「ツモ!3000オールだ!」
このあがりに清澄の麻雀部の誰もが驚いた。
「京ちゃん。今日、4回目のあがりだよ。」
「京太郎がトップだじぇ。」
「京太郎に何があったんじゃ?」
「いやー、1位って気持ちいいなー。」
調子に乗って頭を掻きながらニヤつく京太郎。実は京太郎がここまで強くなったのはある理由があった。
(何か最近、対局中にハッと思い出すんだよな…。龍門渕や鶴賀の人と一緒に麻雀を打ったうっすらとした記憶を…。でも、記憶として残っていても身に覚えがない。不思議な記憶なんだよな…。)
どうやらウラタロスやリュウタロスが他校の麻雀部と交流したことが京太郎にも少しだけ記憶として残っているようだ。その記憶を頼りに打ったら、勝てたのであった。
「あちゃー。みんな須賀君に負けちゃったのね。明日の『四校合同合宿』のスケジュールを変えた方がいいかしら。」
「そうですね。みんな、油断してるのかもしれません。」
久と和の言葉に京太郎以外の人物は頷く。しかし、京太郎は驚いていた。
「え?部長、また合宿行くんすか?」
京太郎の質問に少し苦笑いしながら久が答える。
「ごめんね。須賀君はお留守番よ。」
「ええっ!?そんなあ…」
すると、まこが口を挟む。
「まあ、どうしてもいきたいんなら、宿代その他もろもろを自腹で払うなら連れていけるが、どうするんじゃ?」
「うっ…さすがに月末近いのに自腹はきつい…」
京太郎はカバンの中にある財布を見やる。どういうわけか、この一週間ほどで所持金が激減したのであった。原因はもちろんイマジン達が憑依している間に勝手に使い込んでいるからである。モモタロス達の買い食い代、バス代、さらには壊した物の弁償までをすべて京太郎の小遣いで賄っていたのである。
「じゃあ、悪いけど留守番よろしくね。でも、麻雀の練習は怠っちゃだめよ?」
「京ちゃん、元気出して。お土産買ってきてあげるから。」
咲に慰めてもらったものの、初めて1位になった喜びから、一気に意気消沈した京太郎であった。
その後、部活が終わり、みんなが帰路についていた。今日は咲、和、優希、そして京太郎の4人で帰っていた。
「京太郎、最近何かあったのか?何か良くない噂を聞くじょ。」
「え?俺が何をしたって?」
優希は信じがたいという顔で話す。
「神社で変な帽子かぶってブレイクダンス踊ってたり、風越で不良と喧嘩したりしてるって聞いたじぇ。」
「須賀さん。何か悩みでもあるんですか?」
「京ちゃん。いくら部長に雑用ばかりさせられるからって、グレちゃだめだよ?」
心配そうに見つめる和と狼狽える咲。しかし、そんな2人をよそに京太郎は首を傾げる。
「ええ?どれも身に覚えがまったくないんだけど…」
とにかくこの話題はうやむやに終わったが、京太郎は実はやはりうっすらと記憶がある。しかし、自分から意識的にやった気がせず、まるで頭の中で誰かが録画した映像が再生されたような記憶なのである。
(嘘ついてその話題を終わらせたけど、この記憶は一体何なんだ?頭では覚えてないけど、体は覚えてるみたいな…)
そんなもやもやした胸中で京太郎は咲達と別れたのであった。
「もしもし。そこ貴方。ちょっといいかしら?」
京太郎はハッと振り向く。そこには黒い外套を着た赤い髪の女性が立っていた。
「え?俺に何か用ですか?」
とりあえず京太郎は歩みを止める。赤い髪の女性はこちらを見ながら口元を歪める。
「やっぱり貴方は『特異点』のようね。その証拠に『電王』に変身ができる。」
「はっ?何を言ってるかさっぱり…」
だが、京太郎がそこまで言いかけた瞬間、目を疑うべき光景が京太郎の目の前に広がる。
「突然だけど…貴方には死んでもらうわ!」
赤い髪の女性は外套の袖から鋭い棘がついた植物の蔦のようなものを京太郎目掛けて一直線に伸ばす。
「うわあっ!?」
何とかかわすことに成功したが、京太郎の背後にある大木がメリメリと音を立てて倒れた。
「外したわね。今のは練習…次は本気で当てに行くわ。」
「た、助けてくれー!」
京太郎は恐怖のあまり道を外れて山の中へ逃げる。赤い髪の女性もしきりに京太郎を狙って蔦を発射するが、森の視界を悪さのせいか、幸いにも京太郎に当たっていない。
「『特異点』を消せば、私の計画は完璧に…」
「ひぃっ!俺はまだ死にたくねぇよー!」
京太郎は無我夢中で逃げる。すると、目の前に何か建物のようなものが見えてきた。京太郎はその建物の開いている扉の中に飛び込んだ。京太郎がその扉に飛び込んだ直後、その扉が閉まる。蔦は扉に阻まれて京太郎に届かなかった。
「ふう。何だよ…。ホラー映画みたいな体験だったな…。てか、ここはどこだ?」
京太郎は一息ついた後、周りを探り始める。外はもうとっくに暗く、さらに京太郎のいる場所には明かりがないため、京太郎の周りは真っ暗である。
「ん?何だこれ…?ソファー?」
京太郎は手探りで周りを確かめる。そこにはふかふかとしたソファーが置いてあった。
「へぇ、高そうなソファーだな…うっ!?」
京太郎の背後から光り輝く小さな球体が迫り、そのまま京太郎の身体の中へ入る。京太郎はそこで意識が途切れ、本当に目の前が真っ暗になる。そして、その謎の球体から白い羽根がハラリと落ちたのであった。
「運良くデンライナーに乗り込んだようね…」
赤い髪の女性は少し悔しそうに京太郎が逃げ込んだ車両を見やる。そして、腕から生やした蔦をしまった。
「今、面倒な奴が特異点に憑依したわね。仕方ない。私の代わりに一人、イマジンを送り込んでおくわ。よろしくね?」
赤い髪の女性が空を見上げると、これまた光り輝く小さな球体が浮いている。そして、その球体はデンライナーの方へ飛んでいった。
「お前ら、喜べ!ついに、亀の拾ってきた歯車を合わせたら、動力が直ったぞ。」
「本当かい?先輩。」
「ようやく直ったんやな。長かったなあ。」
「やったー!これでまた電車で旅できるね。」
皆が口々に喜びの声をあげる。モモタロスはどかっと椅子に座ると得意げに話す。
「もうしばらくしたら動くはずだぜ…おっと、動き出した!」
ガタンと車両が揺れる。そして、ついにデンライナーは発進した。
「ばんざーい!デンライナー復活したね。」
諸手を挙げて嬉しそうに飛び回るリュウタロス。ホッと胸を撫で下ろすウラタロス。緊張から解放されたので昼寝を始めるキンタロス。そして…
「ん?待てよ…何かだんだん揺れが大きくなってきてないか?嫌な予感が…」
電車はとっくに発進したはずなのに揺れがまだおさまらないことにモモタロスは気づく。そして、嫌な予感が的中した。
ガタンと下から突き上げられたような揺れの後、デンライナーはまた激しく横に揺れる。
「なんや!?また壊れたんか?」
「あー、モモタロス!直ってないじゃんか。嘘つき!」
「そんなこと、俺が知るか!」
「みんな。とりあえず先頭車両へ行こう。」
激しい揺れに襲われながら4人は先頭車両へ向かう。すると、大変なことが起きていた。
「何あれ?歯車が転がってきてる!」
「カバーも外れてしもとるぞ!?」
「おいおい、ちゃんと修理したはずだぞ!?」
「先輩のことだから何か欠陥があったのかも?」
先頭車両の動力機関はモモタロス達が修理したのにも関わらず、歯車が外れて床に歯車が散乱していた。まもなくデンライナーは激しい揺れのあと、また動かなくなった。
「あーあ。また脱線しちゃった。」
「どないするんや?また森の中に落ちたで。」
キンタロスが窓を指差す。窓の外は長野に落ちたときのように木が鬱蒼と生い茂る森だった。皆は一旦、食堂車へ戻る。
「また清澄に落ちたんじゃねぇのか?」
「いや、それは外に出てみないと…」
ウラタロスが言いかけたそのとき、隣の車両の扉が開く。そこから出てきたのは…
「えっ!?京太郎…じゃなくて…」
モモタロス達が見たのは須賀 京太郎であって須賀 京太郎ではなかった。隣の車両から来た京太郎は白いメッシュが入ったコーンローの頭。白い羽根をあしらった襟巻きを付けていた。
「家臣諸君。久しぶりだな。」
「何でてめぇが京太郎に憑いてんだこの鳥野郎!!」
「ジーク?なぜここに?」
ウラタロスの質問にジークは芝居かかった口調で答える。
「いくら世界が私のためにあるとは言え、たまには旅行でもして見聞を広めようと思ってな。それにだ。気分転換のバカンスもなかなかいいものであると考え、私はこの電車に乗ったのだ。」
ジークはそう語ったあと、肩をポンポンと払う。
「しかし、私の別荘も随分と埃っぽくなったものだ。加えて、電車が脱線し、我が高貴なる身体が汚れてしまったではないか。お前達はプリンスを迎えるという自覚がないのか?」
だが、その言葉にカチンときたのかモモタロスが京太郎、もといジークに憑依されたのでW京太郎に掴みかかる。
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ!早く京太郎の身体から出やがれ!」
しかし、掴みかかったモモタロスにW京太郎は指をさして言い放つ。
「お供その1…頭が高い!」
「うわあー!?」
モモタロスはジークの能力で手の平サイズに縮められてしまった。その後、W京太郎は辺りを見回し、口を開く。
「だがしかし。今の状況を察するに、どうしても列車は動かないようだな。家臣達よ。私が旅行から戻るまでにこの列車を修理しておけ。私の部屋の掃除も忘れるなよ?」
それだけ言うとW京太郎はデンライナーの外に出ようとする。
「待ちなよ!せめて京太郎の身体は置いていって。」
「それにここはどこかわからへん。京太郎の身に何かあったらどうすんのや!」
「京太郎は僕が先に憑いたの!だから、返してよ鳥さん!」
小さくなったモモタロス以外の3人が京太郎の身体を取り返そうと必死にジークを止める。しかし、案の定…
「お前達…全員まとめて頭が高い!」
「「「うわぁー!?」」」
皆、手の平サイズに縮められてしまった。
「ほう。なかなか空気の美味な土地だ。この場所に臨む山もまた美しいな。」
W京太郎は山から町に降り、旅行を満喫していた。手にはどこで手に入れたのか薄いガイドブックを持っている。
「この書物によれば、ここは『島津』の国のようだな。いやはや自然に囲まれた素晴らしい景観だ。」
どうやらデンライナーが不時着した場所は鹿児島県のようだ。長野県とはかなり距離がある。W京太郎が気持ちよく、鹿児島の良さについて語っていたときだった。
「お前、ここに勝手に屋台出すんじゃねぇ!」
「俺達、『桜田組』のシマだと心得てるのか?ああ?」
「す、すみません。私、ここに来たばかりで…」
「どうしてもここに店出したいなら、ショバ代納めろ。」
「そんな…困ります。」
どうやら屋台の店主と暴力団のチンピラ達がもめているらしい。そんな一触即発の現場にW京太郎が舞い降りた。
「民衆どもよ。プリンスのお通りだ。もう少し静かにするがよい。」
「何だてめぇは?俺達をなめているのか?」
「桜田組に逆らったらこうなるぞ!」
1人のチンピラがW京太郎に殴りかかるが、W京太郎はひらりとかわし、チンピラを指差す。
「はあ。お前も頭が高い!」
「え?うおわぁー!?」
W京太郎に向かってきたチンピラはモモタロス達と同じように手の平サイズに縮められてしまった。
「兄貴!くそ…この化け物…!」
もう1人のチンピラは何とナイフを取り出して構える。そして、W京太郎に切りかかった。W京太郎は手の甲を切り裂さかれ、出血する。
「私の高貴な身体を傷つけるとは…無礼者!」
「ひいっ!なんじゃこりゃあ!?」
チンピラの手に持つナイフがジークの能力で米粒のように小さくなってしまった。チンピラはW京太郎に恐れをなし、逃げていった。
その光景に屋台の店主は唖然としていた。そのとき、W京太郎に誰かが駆け寄る。
「すみません。焼き芋を…あっ!大丈夫ですか?あなた、怪我してますよ。」
屋台の客と思われる巫女服で黒いおさげの少女が手から血を流すW京太郎に驚いていた。
「いや。このような怪我などどうということは…」
しかし、W京太郎が言葉を言い終える前に、巫女服の少女は懐から手拭いを取り出し、W京太郎の手の甲に巻く。
「いけません。こんな大きな傷はちゃんと止血しないと…あの、歩けますか?」
だが、W京太郎は返事をせずに巫女服の少女をじっと見つめる。
「姫様ー。こちらにいらっしゃいましたかー。」
すると、また巫女服の少女がやってきた。だが、なぜか服が大きくはだけている。
「初美ちゃん。ええ、実はこの人が怪我してたので応急処置をしていたんです。」
そのとき、W京太郎が何か気づいたような顔でおさげの巫女服の少女の手を取り、しゃがみ込む。
「これは失敬。貴女はこの島津の国の姫であったのか。私はジークと申す。良しなに。いやはや、怪我した者の治療を率先してやるとは、何と寛大な姫であろうか。」
「え?島津の国?あの、私はそんな…」
「姫様?この方は一体どちら様ですかー?」
しかし、そんな初美と呼ばれた少女の疑問をよそにW京太郎は立ち上がって初美に目をやる。
「姫の付き人か。なら、頼みがある。この私を姫の宮殿へ案内してほしい。文をよこさなかったのはこちらの非であるが、ぜひとも姫の宮を見ておきたいのだ。」
「付き人?はっちゃんのことですかー?てか、あなたはどちら様で?」
「我が名はジーク。呼ぶときは気軽にプリンスでも…」
そのときだった。今度は黒いロングヘアーの巫女服の少女がやってきた。
「小蒔ちゃん。ここにいたの。あら?貴方は誰です?」
「霞ちゃん。」
この少女は霞というらしい。彼女達は何を隠そう、永水女子高校麻雀部『神代 小蒔』と『石戸 霞』である。W京太郎の間には和にも勝るとも劣らない立派な胸を持つ小蒔と霞がいる。巨乳好きの京太郎なら狂喜するはずであるが、今はジークに精神を支配されているため、そんなことは関係ない。
「姫の付き人その2か。私を姫の宮に案内したまえ。」
「姫?なぜ貴方は小蒔ちゃんを姫と呼ぶのですか?」
小蒔の出生。つまり、霧島神鏡の姫だということは霞を含む、一部の人物しか知らないはずである。それを初対面の男が知っていたことに霞は驚いていた。
「なぜ?なぜってそれは姫は島津の国を治めているのだろう。そのように呼ぶのは当たり前ではないか。」
「この人は何を言っているのでしょうねー?」
初美は呆れたような顔になる。だが、小蒔がW京太郎に意外な一言を投げかける。
「要するにジークさんは私の神社に行きたいのですね?それなら案内しますよ。ぜひ、参拝して行ってください。」
「姫。助かるぞ。感謝する。しかし、姫の付き人達は礼儀がなっていないな。少しは姫を見習って…へぶっ!?」
だが、次の瞬間、W京太郎の腹部に何かが入り、鈍い音がした。
「あらあら。無礼なのはどっちかしらね?」
霞は笑顔で腹に拳を、いわゆる「腹パン」をW京太郎に食らわせた。どうやらあまりのウザい態度に我慢できなくなったようだ。
「あわわ、霞ちゃんが怒ってますよー。」
「くっ…何と野蛮な付き人だ。」
W京太郎は腹を抑えてながらつぶやいた。
ここは小蒔の家である神社。ここの神社の境内を歩くのは巫女服を着た眼鏡をかけた少女。彼女の名は『狩宿 巴』。小蒔達が通う学校、『永水女子高校』の麻雀部に所属し、団体戦では次鋒を務める。そんな彼女はおぼんでお茶と茶菓子を運んでいた。
「はあ。随分態度の大きなお客さんですね。でも、まあ姫様が楽しそうだからいいでしょうか。」
巴は襖を開ける。そこには部屋の真ん中に踏ん反り返って座るW京太郎とその隣で目を輝かせながら話を聞いている小蒔がいた。
「それで、ジークさんはお母さんに会えたのですね。」
「ああ。我が母は優しく私を迎え入れてくれたなあ。しかし、我が母と兄弟を狙う蛮族が現れて、一時はどうなることかと…」
ジークの話の元ネタが知りたい方は電王23、24話をご視聴していただくとして、小蒔はジークの体験を物珍しそうに聞く。リアクションも愛嬌のあるものが多く、ジークにも好印象であった。
「その話はどこまでが本当なんでしょうねー?」
小蒔とともに話を聞いていた初美が口を挟む。そこへ、巴が机にお茶と茶菓子を置いた。
「付き人その3、ご苦労だった。それにしても、付き人その2が遅いな。私はともかく姫を待たせるとは。まったく、そのように仕事を怠けているから胸の辺りに余分な脂肪がつ…えぶっ!?」
「あらあら。誰の胸に余分な脂肪が付いているのかしら?」
霞が買い出しから帰るやいなや、W京太郎を買ってきた羊羹の箱で殴打する。
「こ、これだけ客人に対して乱暴な家臣を解雇せぬとは、姫は本当に寛大であるな。」
「ジークさん。霞ちゃんは家臣でも付き人でもありません。だから、今のはジークさんが悪いですよ?」
W京太郎の失言を小蒔が咎める。
「う、うむ。そうか。今のは悪かった。謝ろう。」
小蒔に注意されて仕方なくW京太郎は霞に謝るのであった。
「そして、私は恩を返したあと再び時間の中を放浪することになったのだ。」
「なるほど。それでその旅の途中でここにたどり着いたのですね。」
小蒔は興味深そうに相槌を打つ。だが、W京太郎が話しているうちに小蒔はだんだんうつらうつらと首を動かし始める。
「姫?ああ、どうやらシエスタの時間のようだ。付き人、ベッドを用意せい。」
しかし、W京太郎が辺りを見回しても誰もいない。W京太郎は渋々立ち上がり、押入れから毛布を取り出し、小蒔にかけてあげた。そのときだった。
「うぅん…ふわふわして…気持ちいい…」
小蒔はW京太郎の襟巻きに抱きついて微睡む。W京太郎は一瞬払おうとするものの思い直す。
「姫の安眠を妨げてはならないな。私もしばらくともにいよう。」
W京太郎は態勢を低くし、小蒔が襟巻きを枕にできるようにした。
「兄貴…どこ行っちまったんだよ。」
くわえタバコで街を歩いているのはジークに絡んだ暴力団の組員であった。この男は手の平サイズに縮められた兄貴分を探して、幼稚園を通りかかる。
「はーい。今日のお話しは『河童の雨乞い』です。」
幼稚園から園児達に紙芝居の読み聞かせを行う保育士の声を聞く。そのとき、ふしぎなことが起こった。
(おい…お前の望みを言え…どんな望みでも叶えてやる…お前の払う代償は…たった一つだ。)
暴力団の男は唐突に現れた砂の塊に面食らうも、砂の塊が述べた言葉の意味を理解し、こう言った。
「あー、それなら『桜田組』の縄張りで勝手に屋台とか出してるやつがいないか見てきてくれよ。んで、そんなやつがいたら追い払ってくれ。はぐれた兄貴を探さなきゃなんねぇけど、見回りも叔父貴に頼まれてるからお前も手伝ってくれ。」
するて、砂の塊は河童のような姿に変化してこう言った。
(わかった。契約成立だ。)
(そのころ合宿先では…その1)
純「そういえば、須賀京太郎は来てないのか?」
美穂子「京太郎さんは欠席なのですか?残念です。」
ゆみ「須賀という清澄の男子生徒に伝えておいてくれ。モモを助けてくれてありがとうってな。」
咲「京ちゃん、いつの間にみんなと知り合いになったんだろ?」
和「しかも、明らかにみんな会いたがってますね。」