咲-Saki (仮面ライダー)電王戦!   作:ツヨインジャー

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(そのころ合宿先では…その2)

華菜「やっぱり京太郎はただの人間じゃないかもしれないし。」
咲「京ちゃんは普通の人だよ、たぶん。京ちゃんが赤いアーマーを付けて戦ってたのも夢だったのかも…」
衣「アーマー?リュウタロスも衣を魑魅魍魎から守ってくれたことがあるぞ!確かそのときは紫色の鎧を付けていたぞ。」
桃子「えっ?私が見たときの清澄のウラさんは青いアーマーで化け物と戦ってたような…?」

ゆみ「皆、漫画の見過ぎじゃないのか?」


第14話 永水に舞い降りた王子(後編)

「姫様ー。失礼しまーす。」

 

初美が小蒔が寝ている居間に入る。しかし、初美は直後に飛び込んできた光景に驚く。何とW京太郎が小蒔を膝枕していた。

 

「な、何をなさってるんですかー!?」

 

「おお、これは付き人その1。見てわからないか?プリンスたるもの姫を就寝までエスコートせねばならない。これぞ王子の嗜み…」

 

「か、霞ちゃんに見られたら大変ですよー。」

 

そのとき、小蒔が目を覚ました。

 

「あ、ジークさんすみません!私、寝ちゃってましたよね?」

 

「気にすることはないぞ、姫よ。」

 

初美は霞が来ない内に目を覚ました小蒔にホッとする。

 

「姫様。私、ちょっとお散歩に行くんですが、姫様も一緒にどうですか?」

 

「そうね。ご一緒させてもらいましょうか。ジークさんはどうします?」

 

「私はいい。そもそも動くのは私ではない。世界の方だ!」

 

「はいはい。」

 

初美はため息混じりに適当に返す。小蒔は初美に続いてぺこりと頭を下げて部屋を出た。

 

W京太郎は小蒔と初美が出ていった後、そっと部屋を出る。

 

「少し外の空気を吸ってこようか。」

 

W京太郎は縁側に行き、座って庭を眺める。

 

「プリンスさんでしたっけ?こんなところで何してらっしゃるのですか?」

 

W京太郎は声のした方向に向き直る。そこには霞がいた。

 

「付き人その2か。いかにも私はプリンスだ。私はこの美しい庭を眺めたくなってな。こうして外に出たのだ。」

 

「あら、意外と風流な趣味をお持ちなんですね。」

 

霞は微笑を浮かべるも、すぐに笑みを消す。そして、俯き加減にW京太郎に告げる。

 

「私は正直、貴方が嫌いです。ですが、感謝もしています。」

 

「なぜだ?」

 

「小蒔ちゃんが私達に以外の方とあんなに楽しそうに話しているのを初めて見ました。小蒔ちゃんは、そのあまり大きな声で言えないのですが、霧島神鏡の姫ゆえにあまり遠出をしたことがないのです。だから、ちょっと胡散臭くても貴方が旅の話をしてくれたおかげで小蒔ちゃんは喜んでいました。ありがとう。」

 

その言葉を聞いたW京太郎は後頭部に両腕を回して霞にこう言う。

 

「お前は主を大切に思っているのだな。そこは評価してやろう。それにお前は良い主人に仕えたな。誰に対しても優しく接することは上に立つ者になると途端にできなくなるものだが、姫はその心を忘れていない。」

 

「そうですね。小蒔ちゃんはとても優しい子です。」

 

「付き人その2よ。私もお前のことは好きにはなれないが、考えていることは同じなのだな。」

 

「不思議ですね。それと、私は付き人ではありません。ちゃんと『石戸 霞』という名前があります。」

 

W京太郎はぶっきらぼうに返事をする。

 

「ふん。石戸…『かずし』だったか…はうっ!?」

 

「あらあら。ちゃんと私の話を聞いてたのかしら?」

 

霞は笑顔で縁側から降りて、W京太郎の脛を蹴った。

 

W京太郎は脛を蹴られて顔をしかめるが、突然何かハッと気づいたような顔になる。

 

「む、これは…姫が危ない!」

 

「え?何かしら?」

 

しかし、霞が気づいたころには隣にW京太郎の姿はなかった。

 

「『姫が危ない』…まさか小蒔ちゃんの身に何かが!?」

 

いつもは落ち着いている霞も心配のあまり、神社を飛び出し、小蒔を探しに行った。

 

 

 

 

 

ここは小蒔の神社からそう遠くない商店街。どことなく昔懐かしい雰囲気の商店街の一角で緑の髪の少女が黒糖を食べている。彼女の名前は『滝見 春』。春も小蒔達と同じく永水女子高校の麻雀部であり、団体戦では中堅を務める。

 

「今日は黒糖が…安かった。」

 

少しほくそ笑みながら歩いていると、ある2人の人物に遭遇した。

 

「あ、春ちゃん。こんにちは。」

 

「こんにちはなのですよー。」

 

「姫様…こんにちは。」

 

春は散歩中の小蒔と初美に出会った。

 

「はるるは買い物してたんですかー?」

 

春は声は出さずにコクリと頷く。和やかな時間が3人の中に流れていたが、その和やかさはある招かねざる客によって壊される。

 

「おらおら!出て行け。ここは『桜田組』のシマなんだぞ。」

 

商店街に響くガラスの割れる音や、アーケードが崩れる音、さらに逃げ惑う人々の悲鳴。小蒔達の目の前では信じがたい光景が広がっていた。

 

「ひ、姫様…一体商店街に何が起きてるんでしょうか…?」

 

突然の出来事に唖然とする初美。そのとき、小蒔が春に叫ぶ。

 

「危ない、春ちゃん!伏せてください!」

 

小蒔は春と肩を組んでともに屈む。すると、2人の頭上にチャクラムが高速で通過する。

 

「次は当てるぞ。痛い目に遭いたくなかったら早くここから出ていけ。」

 

3人の眼前に河童に似た怪物が現れる。しかし、小蒔はそんな怪物の脅しにも屈さず、怪物の前に立ちはだかる。

 

「あなたこそ、ここをめちゃくちゃにしてどうするつもりですか?それに商店街は皆のものです。貴方のものではありません。」

 

「あんたな…言わせておけば威勢のいいこと言いやがって。いいか?ここは桜田組のシマだ。関係ない人間は1人残らず追い出せって頼まれたんでねっ!」

 

河童のような怪物はチャクラムを小蒔目掛けて投げつける。

 

「姫様っ!?」

 

小蒔は迫り来るチャクラムに目を伏せる。しかし、そのときだった。突如、チャクラムが何か高速回転するバックルのようなものに弾かれたのであった。

 

「何だとっ!?」

 

そのバックルはある人物の下へ戻る。そして、腰に巻きついた。

 

「島津の姫。遅くなって済まない。だが、安心してほしい。姫はこの私が守る。」

 

小蒔が振り返ると後ろにはW京太郎が立っていた。

 

 

 

 

 

 

「何者だ、あんたは?俺様は『ウォーターインプイマジン』。ふふ、怖えだろ?」

 

だが、そんなウォーターインプイマジンの言葉には耳を貸さず、W京太郎はこう言った。

 

「姫の国を荒らす賊よ。お前には制裁が必要なようだ。変身。」

 

『ウィングフォーム!』

 

W京太郎はバックルをベルトに変化させる。すると、京太郎の身体に一瞬、無機質な黒いアーマーがついたかと思うと、青い翼のようなマスクが頭に、黒いアーマーが白と金のアーマーに変化した。これがジークが憑依した、手斧とブーメランで戦う華麗な姿『仮面ライダー電王 ウィングフォーム』である。

 

「降臨…満を待して。」

 

 

 

 

 

 

「ちっ、あんたは電王だったのか?仲間から聞いていた姿とは随分違うがなっ!」

 

ウォーターインプイマジンはチャクラムを電王に投げつけるが、電王は手に持つブーメランと手斧で簡単に弾き返す。

 

「なぬっ!?」

 

「どうした?届いていないぞ?」

 

「何をまぐれ当たりで調子に乗ってやがる!」

 

今度はチャクラムを手に持ち、接近戦を仕掛けていた。しかし、電王は何食わぬ顔で攻撃をかわし、二つの武器で何度もウォーターインプイマジンを斬りつける。

 

「ぐぬっ!ぐはっ!?」

 

あまりに一方的な戦局だった。ウォーターインプイマジンは体から火花をあげ、ついに地面に転がされる。

 

「我が刃の前にひれ伏せ。」

 

「おのれ……おっ?」

 

突然、ウォーターインプイマジンは電王の前から逃げる。そして、ウォーターインプイマジンが向かった先には…

 

「大丈夫?小蒔ちゃ…きゃあっ!?」

 

小蒔を心配して商店街にやってきた霞がいた。ウォーターインプイマジンはすかさず霞にチャクラムを向けてこう告げる。

 

「おい、武器を捨てろ。さもなくばこの女を殺すぞ!」

 

「や、やめてっ…」

 

電王はあろうことかブーメランを背後に投げる。そして、手斧を手前に投げ捨てる。

 

「そうだ。それでいいんだ…」

 

だが、ウォーターインプイマジンがそういい終わらない内に電王は高速で手斧を拾い上げてウォーターインプイマジンに向かって走る。そして、目にも止まらぬスピードでウォーターインプイマジンの腹部を手斧で斬り裂き、人質の霞を抱き寄せ、助け出す。

 

「なにぃ!?う、うわぁー!?」

 

ウォーターインプイマジンが最期に見たもの。それは電王が先程、真後ろに投げたブーメランだった。飛んできたブーメランが直撃し、ウォーターインプイマジンは爆発する。これがウィングフォームの二段構えの必殺技『ロイヤルスマッシュ』である。

 

「まったく。世話の焼ける付き人だ。」

 

「な、何ですかその言い方。でも、助けてくれてありがとう…」

 

霞は少しふくれっ面になるも、頬は赤らんでいた。今、霞はウィングフォームの電王にお姫様抱っこされていたからだった。

 

電王は霞を降ろした後、ブーメランを回収し、変身を解除した。

 

「姫、怪我はなかったか?」

 

「はい!ジークさん、助けてくださってありがとうございます。」

 

小蒔はW京太郎の胸に飛び込む。W京太郎は優しい顔で小蒔を撫でる。

 

「あれほど態度が大きいのもこれだけ強かったら納得できますねー。」

 

「みんな無事で…なにより…」

 

初美と春もそれぞれ思いをつぶやく。しかし、ジークにとっては辛い別れがやってきた。空に突然、穴が空き、そこからデンライナーが山に降りていくのがW京太郎の目に見えた。

 

「何ですかあれ?」

 

「神様の使いでしょうか?」

 

遠目ではあるが、小蒔達も見た赤い列車。W京太郎は小蒔達に向き直る。

 

「皆の者。約1名を除いて…がふっ!えー、私を暖かく迎えてくれて感謝する。」

 

「いえ、こんなおもてなししかできなかったのに、私達を守っていただいて何とお礼したらいいか…」

 

小蒔は手をはたはたと振りながら言うが、その手をW京太郎は優しくとり…

 

「島津の姫、名残惜しいな。では、別れのキスを…あぶっ!?」

 

手の甲にキスをしようとしたW京太郎を霞はチョップで阻止する。そんな霞をW京太郎は少し半目で見つめてこう言った。

 

「まったく。先程までのか弱さはどこへ行ったのか。私はその方が似合っていると思うがな。」

 

霞は一瞬、赤面するも微笑を浮かべて言う。

 

「アドバイスありがとう。参考にさせてもらうわ。いつか、素直な私を貴方に見せるために…」

 

「何か言った?霞さん?」

 

春につぶやいたことを聞かれる。

 

「ううん。なんでもないわ。」

 

「では、皆の者。さらばだ。」

 

W京太郎は小蒔達に背を向ける。

 

「また、いつでも遊びに来てくださいね、ジークさん!」

 

W京太郎は小蒔の言葉に小さく頷くと歩き出す。その足はデンライナーが降りた山に向かっていた。

 

 

 

 

 

「帰ってきたか、鳥野郎。」

 

デンライナーにたどり着いたジークを見たモモタロスがつぶやく。

 

「さて、私はそろそろあの時間に帰るとしよう。ああ、『これ』は返してやる。」

 

ジークは京太郎の身体から抜ける。そして、京太郎の身体を食堂車の机に寝かせた。

 

「それと、お前達にチップを払ってこう。ありがたく受け取れ。」

 

ジークがモモタロスに手渡したのは何かの金具であった。

 

「何だこれ?」

 

「先輩!それもしかして動力機関の留め具じゃない?」

 

「なるほど。せやから、歯車が動き出した途端に外れたんやな。そら留め具がなかったら、あかんわな。」

 

「これでデンライナー直るの?鳥さん、ありがとう!」

 

モモタロス達が盛り上がっている間にジークは隣の車両の扉を開ける。そして、皆が気づいたころにはもうジークの姿はどこにもなかった。

 

「とりあえず、留め具をはめてきたぜ。これで動くはず…おっと!」

 

モモタロスとウラタロスが先頭車両から戻ってガタンと音がして再び、デンライナーは走り出した。

 

「やったあ!今度こそ復活だ。」

 

「もう脱線することもないやろ。」

 

「みんな、喜んでることに水をさすようで悪いけど、京太郎を長野に返してあげないと。」

 

ウラタロスが指差す先にはテーブルの上で爆睡している京太郎がいる。

 

「あ、忘れてたな。まあいい。んじゃ、いざ長野へ!」

 

「「「おー!」」」

 

モモタロスの掛け声に便乗し、他の3人も声をあげる。だが、彼らはまだ知らなかった。こうしている間にも恐ろしい陰謀が着々と進んでいることに。

 

「…バラ…」

 

京太郎は蚊の鳴くような寝言でこう言った。

 

 

 

 

 




『敵イマジン図鑑 No.5』
「ウォーターインプイマジン」
・桜田組のヤクザの男と契約したイマジン。モチーフは日本昔話『河童の雨乞い』から河童をイメージしている。河童のような外見で武器は近接武器にも投擲武器にも使えるチャクラム。しかし、それ以外の能力がこれといってないため、あっさりとウィングフォームに敗退した。

(作者あとがき)

ジーク編を読んでいただき、ありがとうございます。なかなか筆が進まず、さらに前後編になってしまったことをお詫び申し上げます。

ジークと小蒔やジークと霞さんのやりとりは妄想すると何かすごく微笑ましいのは自分だけでしょうか?相変わらずプリンスはわがままでしたが。

さて、物語もいよいよシリアスな展開を迎えようとしていますが、まことに勝手ながら次回は番外編を予定しております。「あの2人」が白糸台でチーム虎姫の過去を守るために大奮闘します。お楽しみに!
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