咲-Saki (仮面ライダー)電王戦!   作:ツヨインジャー

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第6話 龍門渕に行くけど、いいよね? 答えは聞いてない!(後編)

今夜は少し月の欠けた夜だった。そのような月の下。衣とロブスターイマジンが対峙する。

 

「待て!皆は衣を縛るような存在ではない!だから、手を出す必要はないんだ。」

 

衣は必死に否定するが、ロブスターイマジンは首を振る。

 

「やれやれ。貴女はまだ幼い。知らないようですから教えてさしあげましょう。いいですか?何よりも人を不自由にするもの…それは仲間です。仲間がいるがゆえに貴女の行動は制限されてしまう。責任も背負うことになる。貴女を束縛している存在は案外近くにいるものなのですよ。私はその貴女を縛るものを排除しただけです。「契約」に従ってね。」

 

衣はショックで膝をつく。自分のせいで透華たちを命の危険にさらしてしまった。そんなショックから衣は自分の不甲斐なさに涙を浮かべる。

 

「ころ…も…歩けるなら…お逃げ…なさ…」

 

そのとき、衣の前て横たわっている透華が蚊の鳴くような声でつぶやく。衣はその透華の優しさに再び涙した。衣の涙は透華の服を濡らす。

 

「おや?口出しできないように気絶させたのですが、どうやら喋れるようだ。私の腕も鈍りましたかね。まあいいです。ここにいるのは時間の無駄です。命まで取る必要はない。どうせ貴女達はいずれ私が過去に飛べば消えるのですから。」

 

ロブスターイマジンは衣に近づく。だが、なすすべもなく怯える衣の耳に突然聞き覚えのある声が届く。

 

「ウサちゃんを泣かしたの、オマエ?」

 

 

 

 

 

 

「何者です?貴方に私は用はありませんが…」

 

衣の目には自分の弟子、R京太郎が映った。

 

「リュウタロス!?なぜ戻ってきたんだ、危険だぞ!」

 

しかし、衣の制止を振り切るかのようにR京太郎は言い放つ。

 

「ウサちゃんを泣かしたら僕、怒るよ?」

 

「何をわけのわからないことを…。もしや貴方は私と戦う気ですか?身の程知らずですな。私は接近戦最強のイマジンですよ!」

 

R京太郎はそんな脅し文句には聞く耳を持たず、ポケットからパスを取り出し、ベルトに変化させる。

 

「いくよ、変身。」

 

『ガンフォーム!』

 

R京太郎の身体に一瞬、無機質な黒いアーマーがついたかと思うと、紫色のマスクのようなものが頭に、黒いアーマーが紫と銀のアーマーに変化した。これがリュウタロスが憑依した銃を武器に戦う『仮面ライダー電王 ガンフォーム』である。

 

「オマエ、倒すけどいいよね?答えは聞いてない。」

 

 

 

 

 

「リュウタロス…何だその姿は…?それにその姿から感じる澎湃たる気運…本当にお前は何者なのだ?」

 

そんな衣の疑問を余所に電王はロブスターイマジンと戦い始める。電王はガンフォームの名の通り、銃を連射してロブスターイマジンを攻撃するが、ロブスターイマジンはそんな銃撃をものともせずに電王との距離を詰めようとする。

 

「無駄ですよ!私の体を覆う頑丈な殻は貴方の攻撃など通しません。さあ、喰らいなさい!」

 

ロブスターイマジンは電王に接近し、大きな鋏を振り回す。

 

「銃が武器なら接近戦は分が悪いはずです!」

 

「でもね。僕は負けないよ。」

 

電王はダンスのような軽快な動きで鋏の攻撃をかわし、ロブスターイマジンに足払いを食らわす。

 

「ぐぬっ!?小癪な…」

 

しかし、足払いで横倒しになった体を起こしている隙に電王はバックステップで距離を取る。

 

「オマエ、遅いよ。じゃあ、バイバイしようか。」

 

電王はよろよろと立ち上がるロブスターイマジンに銃を向ける。そして、銃を向けて引き金を力を込めて引いた。すると、みるみるうちに両肩のジェムにエネルギーが溜まっていき、銃口とジェムから電撃の塊が放たれ、ロブスターイマジンを包み込む。

 

「何ですかこれはー!?」

 

ロブスターイマジンは電王ガンフォームの必殺技『ワイルドショット』で爆散してしまったのだった。

 

「ふわあっ!?何だこの衝撃は?」

 

爆発の風圧で危うく衣は飛ばされそうになってしまう。とっさに車の後ろに隠れたのでそのようはことはなかったが。

 

「よし、勝った。」

 

電王は変身を解除し、R京太郎に戻る。

 

「リュウタロス!無事か?」

 

衣がR京太郎に駆け寄る。そのとき、衣は突然R京太郎に抱きかかえられた。

 

「よしよし。もう大丈夫だからね、ウサちゃん。ごめんね。僕がもう少し早く来てれば良かったね。」

 

「抱きつくな〜。でも、リュウタロス。感謝するぞ…」

 

衣は少し嫌がるが、すぐにR京太郎の胸に顔を埋めた。

 

「リュウタロス。そういえばなぜここへ戻ってきたのだ?」

 

衣はR京太郎の腕から降りる。そして、こう問いかけた。

 

「僕ね。ウサちゃんに渡したいものがあったんだ。はい、これ!」

 

それは麻雀牌であった。しかし、裏返すとウサギの絵が書いてあった。またリュウタロスがハクに落書きしたらしい。

 

「白いやつが二枚あったからウサちゃんにもあげるね。友達の印だよ。」

 

「友達…そうだな。衣達は友達だ。」

 

「えへへ。嬉しいよ。それとね、ウサちゃん。」

 

R京太郎は衣と同じ目線になるように屈む。

 

「ウサちゃんは自由になりたいって思ってるみたいだね。だけど、僕は自由はみんなで力を合わせて手に入れるものだと思うんだ。僕も好きなことしたくてしょうがなかったけど、良太郎やモモタロス達みんなでイマジンをやっつけて今みたいにのびのびできるようになったんだよ。だからぁ、ウサちゃんも一人で考えずにさ、みんなと一緒にがんばればいいよ!」

 

その言葉に衣はR京太郎から受け取った麻雀牌を握りしめながらまた涙を流した。

 

「ああ、そうだな。確かに…自由は一人で手に入れることは…できないな。本当に…感謝するぞ…ありがとう…リュウタロス。」

 

「どうしたのウサちゃん?まだ怖いの?」

 

「何でもない!師匠は弟子に涙を見せぬもの。だから、泣いてなどいないぞ。」

 

衣の強気な態度にR京太郎はぱあっと笑顔になる。

 

「良かったぁ、ウサちゃん。じゃあね。僕そろそろいかなきゃ。」

 

「またいつでも衣のところへ来てくれ。待ってるぞ。」

 

「うん!」

 

R京太郎は衣に見えなくなるまで手を振って走り去っていった。

 

 

 

 

 

「うーん…衣!?お怪我はありませんの?」

 

気絶していた透華が目を覚ました。

 

「大丈夫だ。リュウタロスが助けてくれたぞ!」

 

「申し訳ありません、衣様。」

 

ハギヨシも目が覚めたようで立ち上がる。

 

「あれ?ボク達は何をしてたんだっけ?」

 

とぼけたような口調で立ち上がる一。そして、純と智紀も起き上がる。

 

「痛たた。酷い目にあったな。」

 

「何だったんでしょう…」

 

とにかく、全員軽傷で済んだようで、ときどき痛みに顔をしかめながらも皆は車に乗る。衣は夜空を見上げていた。きっと流れ星でも探しているのだろう。そして、きっと願い事は…

 

 

 

一方、京太郎はリュウタロスが京太郎の身体を芝宮神社で捨てたため、咲が帰宅時に通りかかって保護するまで京太郎はずっと神社で凍えていたらしい。哀れ。

 

 

 

 

 

「ただいま、みんな!」

 

デンライナーにリュウタロスが帰宅(?)する。

 

「このハナタレ小僧!俺たちどんだけ探したと思うんだ!」

 

帰って早々モモタロスにどやされた。

 

「ごめんごめん。それより、カメちゃん麻雀しようよ!」

 

モモタロスの説教を軽く受け流し、リュウタロスはウラタロスに麻雀をせがむ。

 

「あれ?麻雀やりたくなったのかい?どういう心境の変化かか知らないけど…ん?リュウタ!その手に持ってるやつってまさか!?」

 

「あ、これ?僕ね、今日イマジンをやっつけてきたんだよ。そのとき拾ったんだ!」

 

リュウタロスの手にはまた歯車が握られていた。

 

「でもね。この歯車を触ったとき、急に頭が痛くなって変な夢を見たんだ。」

 

「夢ってなんや?」

 

リュウタロスの帰宅で目を覚ましたキンタロスが口を挟む。

 

「僕がデンライナーの先頭に走っていく夢。」

 

「何か先輩が急に思い出した記憶に似てない?」

 

「うーん。謎は深まるばかりだな。」

 

「これは神のみぞ知るちゅーことか。」

 

三人は突然見つかったデンライナーの動力の部品と敵のイマジン。そして、モモタロスとリュウタロスの歯車を触ったときに起きた異変の関係性を考えていた。だか、リュウタロスは会議に参加せず、いそいそと電車の奥にある麻雀セットを取りに走っていった。

 

 

 

 

「ロブスターまで敗れ去るとは。役立たずね。でも、私は諦めないわ。いずれ、電王を始末するために。」

 

龍門渕高校の屋上で赤い髪の女性がライターで電王の写真を燃やしながらつぶやいていた。そして、写真を灰にすると、その女性は屋上からまるで煙のように一瞬で消えてしまった。

 

 

 

 

 

一週間後、清澄高校にまた、龍門渕のメンバーがやってきた。今度は衣もちゃんといた。

 

「咲、ノノカ!会いたかったぞ!」

 

衣が喜びの声をあげる。

 

「今度は貴女方に負けませんわよ。」

 

透華もリベンジに燃えていた。そのとき、衣が大きな声をあげた。

 

「リュウタロス!お前、来てたのか。さあ、衣と一戦交えようではないか!」

 

衣は買い出しから帰ってきたばかりの京太郎の腕を引く。しかし、当の京太郎は混乱していた。

 

「えーと。言いたいことはいろいろあるんですが、天江さん。まずリュウタロスって誰ですか?」

 

「あら、須賀君。いつの間にそんなに仲良くなったのかしらね。」

 

「しかも、あだ名までつけられとるのお。」

 

久とまこが京太郎をからかった。優希も和も不思議な光景にキョトンとしていたが、咲はというと…

 

(京ちゃん。やっぱり何か変わったみたい…最近、京ちゃんが京ちゃんじゃないみたいに思う私って…変かな…)

 

幼馴染の勘は冴えていた。

 

 




『敵イマジン図鑑 No.2』
「ロブスターイマジン」
・天江衣と契約したイマジン。モチーフはおそらく衣の好物であるエビフライから連想されたのが実体化した。たぶん。礼儀正しい口調だが、性格は冷酷で相手を追い詰める弁舌にも長ける。ガンフォームの通常攻撃にも耐える殻と、大きな鋏が武器。自称「接近戦最強のイマジン」らしいが、接近戦にほとんど持ち込めずに電王に敗北した。まあ、相手が悪かったな(合掌)

(作者あとがき)
リュウタロス編を読んでくださってありがとうございました。今回は…京太郎×衣というより、リュウタロス×衣になってしまいました(苦笑) 全国の京太郎ファンのみなさん。すみませんでした。

さて、次回は作者がイマジンズの中で一番好きなキンタロス編を予定しています。お楽しみに!
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