亀「リュウタが出会った『天江 衣』という少女と契約していたロブスターイマジンを倒したリュウタは…」
桃「おい、亀公!そんな真面目なあらすじじゃ面白くないだろ?それだからお前のメイン回がいつまでたってもないんだよ!」
亀「え?次のメインは僕じゃないの?」
龍「次はクマちゃんだよ。てか、作者の趣味で今回は僕達がほとんど空気だよね。」
桃「作者が熊好きだから仕方ないだろ…」
「よーし!リーチだ!」
「先輩、それロン。一発、タンヤオ、三色同順、8000点だね。」
「なにぃ!?」
モモタロスはしまったという表情だ。まんまとウラタロスに取られてしまった。
「よっしゃ、リーチや!」
「みんな。僕、ツモだよ!えーと、これ何だっけな…」
「リュウタ、それ『四暗刻』やないか!すごいな…」
キンタロスは麻雀のルールブックを見ながら驚く。リュウタロスは難易度の高い役をときどき作ってくる。衣達との特訓の成果なのであろうか。
デンライナー内では白熱した麻雀大会が行われていた。珍しくキンタロスも居眠りせずに参加している。それもそのはず。実はこの麻雀大会は皆あるものをかけて戦っているからだ。そして、すべての局が終了した。
「ふふん。やっぱり僕が一位だね。」
ウラタロスは持ち前の頭脳を活かし、43500点で終わった。
「うーん。もうちょっとウサちゃんと練習したほうがいいかな?」
二位はリュウタロス。衣に麻雀を教えてもらったことで、麻雀が好きになり、リュウタロス自身もいろいろ勉強したようだ。結果は22400点だった。
「あかん。やっぱり俺は麻雀向いとらへん。」
ルールがうろ覚えで役を揃えることに精一杯だったキンタロスは三位。結果は4300点であった。
「ちくしょう、ちくしょう!俺は麻雀なんか嫌いだ!」
モモタロスはルールはわかるものの、役満を作ろうと必死になりすぎて痛い振り込みを繰り返し、ウラタロスのいいカモにされていた。結果は最下位の−1000点という情けないことになっていた。
「さあ、約束通り僕が「一日自由権」獲得だね。」
そう。この麻雀大会は一日、デンライナーの外、NAGANOで自由を謳歌する権利をかけた戦いだったのである。
「おいおい、本当に行っちまうのかよ?動力に歯車を取り付ける作業はお前しか上手にできないからよ…」
「先輩、そんな急に弱腰にならなくていいよ。帰ってきたら手伝うからさ。」
「いつになるかわからないけどね」と付けたしながらウラタロスはスキップしながら扉へ向かう。よほど外に出れるのが嬉しいのだろうか。ウラタロスはデンライナーの扉を開けて、外に踏み出す。いざ長野へ。
「あーあ。麻雀大会なんかやらなきゃ良かったぜ。」
モモタロスは頭をかきながら気だるそうに動力を直すための工具を取りに行く。キンタロスは案の定、居眠りしており、リュウタロスは麻雀牌でおはじきをして遊んでいる。まったくチームワークがあるかないかわからない面々である。
一方、そのころ京太郎はふらふらとした足取りで一人、通学路を歩いていた。買い物袋を持っていないのでどうやら買い出しではないようだ。
「へっくし!まさか風邪ひいて早退することになるなんてな…。ああ、頭痛がひどい…」
京太郎は昨晩、リュウタロスによって神社に身体を置き去りにされた(第6話参照)。夜の神社に死体のように放置されたせいで風邪をひいてしまったようだ。京太郎はブルブル震えながら帰路を歩く。自宅は目と鼻の先だ。
(苦しそうだね。風邪を治してあげようか?君が払う代償はたった一つだよ。)
突如、京太郎の耳にこんな声が聞こえる。
「誰だ!?俺に話しかけてくるのは?」
京太郎は周りを見回す。すると、背後に青い怪人が立っていた。
「うわあ!?出た!俺に何の恨みがあって現れるんだよ、化け物!」
しかし、青い怪人ことウラタロスは冷静に話す。
「誤解しないでよ。僕は君を襲いに来たんじゃない。仕方ないな。もう一度言うよ。僕は君の風邪を今すぐ治せるって言ってるのさ。」
京太郎は怪しいと思いながらも一応聞いてみた。
「本当にそんなことが出来るなら、やってみろよ。」
「了解☆ なら、まず横になって目をつぶって。」
ウラタロスに言われた通り、京太郎は道端に横になって目を閉じる。
「次に口を開けてほしいんだ。」
京太郎は言われるがままに口を開く。すると、ウラタロスは何か粉薬のようなものを京太郎の口に入れ、さらにどこから持ってきたのか、ミネラルウォーターで流しこんだ。やがて京太郎は……眠ってしまった。
「ごめんね。本当は「睡眠薬」なんか盛りたくなかったんだけど、これも運命として諦めてほしいな。」
ウラタロスは白々しい謝罪のあと、まんまと罠にはまった京太郎に憑依する。
「風邪気味で若干動きにくいけど、これで心置き無く遊べるよ。なかなかこの人、ルックスがいい方だから僕の格好良さが2倍増しってとこかな。」
道路のカーブミラーで髪型や眼鏡の位置を整えるとウラタロス、もとい憑依したのでU京太郎は京太郎の家にポケットから鍵を取り出して中に入る。そして、どこかにあったのか自転車の鍵を拝借して、自転車に跨った。
「自転車もしばらく借りるよ。」
U京太郎は自転車に乗って長野で釣り(意味深)を楽しむそうだ。
U京太郎は自転車に乗りながら長野の町から町へ当てのない旅をしていた。
「うーん。なかなか僕がピンとくるような可愛い女の子がいないな。」
気がつけば、清澄をとうに離れて、風越に来ていた。U京太郎はとある公園の前を通りかかる。
(あれ?あの娘…結構美人かも…!)
ウラタロスが見つけたのは金髪でなぜか片目をつぶっている美少女であった。しかし、ウラタロスはあることに気づく。
「あれ?あの娘、泣いてるのかな?」
だが、その何気ない一言がウラタロスの計画を大きく狂わせた。
デンライナーで寝ていたキンタロスが突然、飛び起きる。
「泣いてる…?泣いて…泣けるでぇ!」
「うわっ!?何するんだよ、キンちゃん!」
京太郎の身体にはウラタロスと入れ替わるようにキンタロスが憑依した。ウラタロスは強制的にデンライナーに戻されてしまった。
デンライナーの中でウラタロスは落ち込んでいた。
「はあ、キンちゃんのあのノリ。久しぶりに見たよ…油断してた。」
「はっはっは。京太郎を騙した罰があたったんだろ。自業自得だな。それより、デンライナーの動力の修理手伝え。ほら。」
モモタロスはウラタロスの首根っこを掴んでデンライナーの先頭車両へ引きずる。
「痛てて、やめてよ先輩。」
ウラタロスはしぶしぶモモタロスの作業を手伝うことにした。
「どうした?何を泣いとるんや?」
京太郎、もといキンタロスに憑依されたのでK京太郎というべきか。K京太郎はうつむき加減の金髪の少女に問いかける。
「え…?私に言ってるのですか?」
金髪の少女は急に話しかけてきたK京太郎に顔を向ける。
「何があったかは知らんけどな。泣きたいときは泣いたらええ。その代わりちゃんと涙は拭いときや。この懐紙でな。」
「あ、ありがとうございます。」
金髪の少女はK京太郎から懐紙を受け取り、涙を拭く。そのとき、公園に女子高生の二人組が入ってくる。
「見つけた。なあ、福路。あたしらにちょっとお金貸してくれない?」
目つきの悪そうな女子生徒が金髪の少女に近寄る。隣にいるそばかすだらけの女子生徒も続いて言う。
「美穂子。少しくらい貸してよ。」
どうやら金髪の少女の名は 『美穂子』という名前らしい。
「で、でも。この前の貸したお金も返してもらってないし…」
「何言ってのあたしら友達…」
しかし、美穂子にたかる女子高生の前にK京太郎が立ち塞がる。
「さっきから、あんたらの話聞いとると胸くそ悪いわ。貸してもろたもん返さへんなんて感心せえへんな。」
「誰、こいつ?美穂子の彼氏?」
「ありえないでしょ?こんなウザいとか言われてる女にさ。」
美穂子はその心無い一言にまた俯き、涙目になる。
「せやから、もうこんなことやめたれや。もう帰りい。俺は泣けるほど強いけど、女を泣かす気はないからな。」
K京太郎の言葉に顔をしかめる女子高生達の後ろに一人の男が現れた。
「おい、どうした?何かあったか?」
「ねえ、この清澄の制服着たやつウザいからちょっとやってくれない?」
「おい、こら。お前、俺の彼女になんか文句でもあんのか?」
パーカーのような服を着た長身の男。どうやら目つきの悪そうな女子生徒の彼氏のようだ。その男はK京太郎にメンチを切る。
「喧嘩はやめとけ。無謀やで。強さにはレベルがあってな、俺の強さは泣けるで!」
男のやぶにらみにも怯まず、K京太郎は強気に言い放った。
「泣ける泣ける、うるせえよ!そんなに泣きたきゃ俺がお前を泣かせてやる!」
K京太郎の挑発じみた言葉に乗り、殴りかかる男。しかし、K京太郎は男の拳を指一本で止める。そして、その男が驚いた隙にK京太郎は男のズボンのベルトを掴み、上手投げを決めた。
「うわぁー!?」
パーカーの男はそのまま泥濘に投げ飛ばされた。
「痛てぇ…ペッ、くそっ…!」
「男が喧嘩で一回負けたくらいでくよくよすな。懐紙やるから、涙拭いとけ。」
K京太郎は余裕そうに懐紙を取り出して差し出す。
「ちくしょう!覚えてやがれー!」
男は泥だらけの服のまま逃げ出した。
「あ、ちょっと待ちなさいよ。」
女子生徒二人組も男の後を追った。
「女置いて逃げるとか、男らしくないな。」
K京太郎は首を捻る。
「あ、あの…助けてくれてありがとうございますっ!」
K京太郎に隠れるように立っていた美穂子がぺこりと頭を下げる。
「何言うてんのや。俺は大したことしとらへん。頭上げや。」
「貴方は確か…清澄高校麻雀部の「須賀 京太郎」さん。県大会で会ったわね。」
美穂子はK京太郎ににっこりと笑顔を向ける。しかし、キンタロスはそんなことは当然ながら知らない。
「『須賀京太郎』…ああ、モモの字が言うとったやつか。まあ、俺のことは好きなように呼びや。」
「よかったら、ちょっと風越に来きてくれないかしら?お礼がしたいの。」
K京太郎は美穂子の提案に了解し、ついていくことにした。
そのころ、そんな美穂子とK京太郎のやりとりを陰から見ていた人物が一人。
「ああ、まごついてたら華菜ちゃんがカッコ良くキャプテンを助けるチャンスを逃しちゃったし。でも、それより何なんだろあの男子?確か、清澄の…名前が出てこないし…」
彼女は風越女子麻雀部大将『池田華菜』。あるネタで人気な彼女は悔しそうな眼差しで二人を見ていた。
一方、ここは麻雀部の部室。机に座るK京太郎に美穂子はタッパーを持ってきた。
「私の作ったお弁当のおかず、ちょっと作りすぎちゃったからあげるわ。」
美穂子はK京太郎に微笑む。
「え、ええんか?何か悪いなぁ…」
しかし、ふたを開けるとそこには見た目からして美味しそうなウィンナーや卵焼きやサラダなどが入っていた。K京太郎はウィンナーを一つつまんで口に入れる。
「う、うまい!あんたすごいなあ!こんなうまいもん作れるなんて。」
K京太郎は思わず箸が止まらなくなり、あっという間に平らげてしまう。キンタロスの性格故かタッパーにはくず一つ残っていない。
「ごっつぁんです。」
「うふふ。喜んでくれてよかったわ。」
その後、美穂子が時計を見て立ち上がる。
「そうだわ。そろそろ掃除しないと…」
すると、K京太郎はドンと床を鳴らして立ち上がり、こう言った。
「せや。うまいもん食わせてくれた礼に掃除手伝ったるわ。」
「え?いいのよ。私一人でできるから。あなたはゆっくりしててちょうだい。」
「いやいや。俺にまかせとき。美穂子さんは休んでてや。」
K京太郎は掃除用ロッカーからモップを取り出して、床掃除を始めた。
「おりゃあー!」
K京太郎は気合いを入れて掃除をするが、勢い余ってモップを持ったまま部室の壁に激突した。
「あ?何や、これ?」
キンタロスの怪力のせいか、それとも助走をつけすぎたせいか、壁にヒビが入り、モップも折れてしまった。
「あらあら。ちょっと力を入れすぎたみたいね。続きは私がやるわ。」
壁にヒビを入れた上にモップを折ってしまったが、美穂子はそんなK京太郎に文句をまったく言わずに折れたモップをK京太郎から受け取った。
「キャプテンー!こんにち…うわぁっ!?なんじゃこりゃあ!?」
ちょうど部室にやってきた華菜が部室の壁のヒビを見て、腰を抜かさんばかりに驚いていた。
それからK京太郎は「弁当の恩や!」と言い、美穂子の雑用を手伝った。しかし、ここでキンタロスのドジが何度も発動した。
「美穂子さん。この洗濯物はどこへ運ぶんや?」
K京太郎は片手ですべての洗濯物を担いでいる。さすがに美穂子もこの光景には驚いていたが、すぐに微笑み返して指示する。
「それは、そこの端っこに置いておいてね。」
「よっしゃ行くでー!」
「あ、その先には池が…」
だが、美穂子の忠告は時すでに遅し。
「おわぁー!?」
K京太郎は洗濯物を担いだまま池に勢い良く落ちた。また洗濯し直しである。
他にも美穂子はコンピュータ室で書類をコピーしようとしていた。しかし…
「きゃあああ!?」
美穂子はなぜかパソコンのコードに巻きつかれていた。まるで、コードが意思を持った触手のように美穂子の身体を縛りつける。
「何があったや、美穂子さん!?わっ、えらいこっちゃ!今助けるで!」
だが、美穂子をコードから救出しようとK京太郎が力任せにコードを引っ張ったため、コードが千切れそうになる。それは一応、通りかかった華菜が止めに入ったのでコードが寸断されるという最悪の事態は回避できた。
そして、何よりひどいドジはこれだった。
(済まないな。私は少し部活に遅れる。車がエンストしてしまってな。)
「わかりました。皆に伝えておきます。」
美穂子は内線の受話器を置く。
「どないしたんや、美穂子さん?」
「京太郎さん?実はね。さっき電話があって、部活のコーチが車がエンストしたらしくって遅れてくるのよ。」
「それは困ったな。よっしゃ、俺が部活の先生をここへ連れて来たる。」
K京太郎は首を捻るとずんずんと校舎の外へ歩き出した。
「あ、京太郎さん。どこへ…」
しかし、美穂子が気づいて止めるころにはK京太郎は車道を走り出していた。
風越女子麻雀部のコーチ『久保貴子』。鬼コーチとして恐れられる彼女だが、突然の車のエンストに参っていた。
「困ったな。早く学校へ向かわないと…」
「麻雀部の先生やな?」
貴子は急に話しかけられて振り向く。そこには清澄高校の制服着て、長い髪を一つ結びにした、黄色い瞳の青年が立っていたからだ。
「誰だ?」
「話は後や、先生。ちょっと車に乗ってや。」
「私の車はエンストしていて動かないんだぞ?」
しかし、貴子はK京太郎の「ええから、ええから。」という言葉に促され車に乗る。そして、K京太郎はこう叫ぶ。
「しっかり捕まっといてや!行くでー、うぉりゃあー!」
何とK京太郎は貴子の車を持ち上げた。
「うわあっ!?何をするつもりだ?」
「このまま学校まで運んでくで。わっしょい!」
「し、正気かお前は!?降ろせー!」
だが、K京太郎は貴子の悲痛な叫びをまったく聞かず、神輿のように車を風越女子校まで運ぶ。そして、道中、通行人の好奇の目や、別の車のクラクションにさらされながらも学校に到着した。
「到着や。よいしょっと!」
K京太郎は貴子の車を勢いよく降ろす。いやー、いいことをしたと言わんばかりのドヤ顔でK京太郎は去っていくが、貴子はついにブチ切れ、たまたま近くを歩いていた華菜に怒鳴る。
「池田ァ!あいつをここに連れてきたのはお前かァ!?」
「いえ、その、私じゃなくて…ごめんなさいー!」
華菜は八つ当たり気味に怒鳴られた。しかし、迫力は十分だったので尻尾を巻いて華菜は逃げ出した。