咲-Saki (仮面ライダー)電王戦!   作:ツヨインジャー

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第8話 風越は泣けるで!(中編)

「いい加減にしろよ!あんた、さっきからキャプテンの邪魔ばかりしてるし!何しに来たんだよ?」

 

華菜はキンタロスの目に余る数々のドジに痺れを切らしたのか、K京太郎に掴みかかっている。

 

「済まんなぁ。そういうつもり、俺はないねん。」

 

「あんたねぇ…もう、キャプテンの足引っ張るんだったら出てけよ!」

 

華菜はK京太郎に無情な一言を浴びせてしまう。

 

「華菜…」

 

美穂子が心配そうにつぶやく。しかし、K京太郎はそんな華菜に反論の一つもせず、頷いた。

 

「せやな。お前の言うとおりや。俺は美穂子さんの役には立てんかった。そんなんじゃ、おる意味ないから出てけ言われてもしゃあないわな。」

 

K京太郎は踵を返し、部室の扉へ向かう。

 

「美穂子さん。うまい弁当おおきにな。」

 

K京太郎はそのまま扉を開けて出て行った。

 

「待って!」

 

「キャプテン!?」

 

美穂子がK京太郎の後を追いかける。意外な反応に華菜は驚いていた。

 

 

 

 

 

 

K京太郎は校舎の下駄箱前にいた。

 

「待って…!」

 

息を切らして止める美穂子の言葉にK京太郎は歩みを止める。

 

「美穂子さん…何で来たんや。」

 

「その…ありがとう…私、あなたのおかげで心の迷いがなくなったの。」

 

「せやから、言うたやんか。俺は何もしてへん。」

 

「違うの…ちょっと私の話を聞いてくれないかしら…?」

 

美穂子は震え声でK京太郎に胸の内を伝える。

 

「私、みんなに麻雀をたくさん打ってもらいたくて、昔は校内ランキング最下位の人がしていた雑用を全部引き受けてるの。でも、私はキャプテンだから、もっとリーダーとして、みんなを引っ張るような気持ちで部活動をするべきじゃないかな、雑用を全部引き受けちゃうようなお人好しでいいのかなって思い始めてたの。」

 

そのとき、美穂子の目から涙が一粒、頬を伝う。

 

「でもね。あなたが来てくれて、あなたが雑用を手伝ってくれてとても嬉しかったのよ。だから、皆をきっと喜ばせることができるのなら、お人好しも悪くないかなって思えた。だって、あなたは私よりもお人好し。コーチの車を学校まで運んで来ちゃうくらいにね。でも、誰かのために頑張れるってとても素敵だと思うの。自分のやってたことは間違って無かったって…うう、くすん。」

 

美穂子は喋っている途中に嗚咽の声をもらす。

 

「美穂子さん。涙出てるで。懐紙いるか?」

 

K京太郎は美穂子に懐紙を差し出す。美穂子は懐紙を受け取り涙を拭いた。そして、K京太郎に泣き顔から一転、眩しいくらいの笑顔を見せた。

 

「美穂子さん。あんたはホンマに出来た人間やで。初対面の俺のために泣くことなんてそうそうできることやない。これからも頑張ってや。影ながら応援しとるで。」

 

ほなな、と言いながらK京太郎は今度こそ振り返らずに去っていく。美穂子はK京太郎の背中が見えなくなるまでずっと見送っていた。

 

 

 

 

 

さて、ここで終われば丸く収まりそうなのだが、何が起こるかわからないのが、世の常。美穂子がK京太郎を追いかけていったころ、華菜は部室の窓際で寂しそうに下を向いていた。

 

「キャプテン…何であんなやつに肩入れするんだし。あんなやつに…」

 

そのとき、華菜の背後に砂の塊が現れる。

 

(おい…お前の望みを言え…どんな望みでも叶えてやろう…お前が払う代償はたった一つ…)

 

「ひにゃあ!?何だしこれ?」

 

華菜は突然の出来事に尻餅をついて驚く。

 

(早く…何でも望みを叶えてやる…言え…)

 

最初は半信半疑だったが、華菜はさっきのモヤモヤからつい、望みを口にしてしまった。

 

「本当に何でもいいんだな?じゃあ、キャプテン…福路 美穂子先輩をいじめや悪口から守ってほしい。さすがに一人じゃ不安だから私と一緒に。あんな清澄の京太郎とか言うやつよりも華菜ちゃんの方がキャプテンを守れることを証明してやるし。」

 

(わかった。契約成立だ。)

 

砂の塊は豹のような獣の姿に変化した。

 

 

 

 

 

「ちっ、福路の友達かなんかの生意気な男のせいで金が手に入らなかったわ。」

 

「もうあんなやつ、ほっとこうよ。麻雀部で3年のくせに雑用ばかりしてるダサい女だしね。まったく、いい子ぶってるつもりなのかしらね?」

 

先ほど前に公園で美穂子をいびっていた二人の女子生徒が美穂子の陰口を言いながら歩いていた。しかし、それが悲劇の引き金になるとも知らずに…。

 

「おい、福路 美穂子の陰口言ったのはお前らか?」

 

「な、何よあれ!?」

 

女子生徒が指差す先には豹のような怪物がいた。

 

「言ったよな?じゃあお仕置きだな。悪いな。恨むなら契約者を恨んでくれ。」

 

豹のような怪物は自身の武器である二本の短剣を逆刃で持ち、女子生徒に有無を言わせず襲いかかった。

 

数十分後、その女子生徒二人は血まみれの状態で発見され、通報を受けた救急車により病院に搬送されたのであった。

 

 

 

 

一方、そのころK京太郎は先ほど前に美穂子と出会った公園で昼寝をしていた。しかし、通過した救急車のサイレンで目を覚ます。

 

「何か気がかりやな…ん?これはイマジンの気配や!ちょっと気配を辿ってみるか。」

 

K京太郎は起きて公園から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?これはどうやって使うのかしら?」

 

そのころ、風越では美穂子が携帯の操作に悪戦苦闘していた。

 

「キャプテン、大丈夫ですか?」

 

「キャプテンは機械に弱いですからね。確か、家電以上携帯未満…」

 

携帯に首を傾げる美穂子に手を貸そうとしているのは、風越女子麻雀部中堅の『文堂 星夏』と同じく麻雀部次鋒『吉留 未春』である。だが、彼女達にも恐ろしい魔の手が伸びた。

 

「お前ら覚悟しろ!」

 

突然、部室の窓ガラスが割れ、そこから豹のような怪物が侵入する。その直後、星夏と未春の首をそれぞれ片手で掴み、締め上げようとする。

 

「な、何ですか…これは…?」

 

「く、苦しい…」

 

「お前ら福路 美穂子を「機械音痴」とか言ってたな?お前らも馬鹿にする奴らか。始末してやる。」

 

「ふ、二人とも…」

 

美穂子は助けに行きたいが、怖くて足がすくんでいる。そして、部室の扉の陰から絶望的な表情でこの光景を見ていた人物がいた。

 

「わ、私のせいだ…私のせいでみんなが…」

 

華菜は恐怖と罪悪感に身を震わせ、動けないでいた。そのときだった。

 

「どすこーい!」

 

また、別の窓ガラスが割れた。しかし、飛び込んできたのは怪物ではなく、K京太郎だった。K京太郎は怪物を張り手で突き飛ばす。

 

「きゃっ!」

 

「痛たた…」

 

K京太郎の活躍で星夏と未春は解放される。

 

「ちくしょう…仕方ない。こいつらは後回しだ!」

 

怪物は窓から跳躍して逃げ出す。

 

「美穂子さん、みんな、無事か?」

 

K京太郎は辺りを見回す。

 

「私は大丈夫です。だけど、二人が…」

 

美穂子は涙目で肩で息をしている星夏と未春を介抱しようとする。

 

「わ、私のせいでこんなことに…キャプテンごめんなさい!」

 

急に扉の陰から華菜が泣きながら土下座のような姿勢で現れる。しばらく、皆は沈黙するが、最初に口を開いたのはK京太郎であった。

 

「そうか。あのイマジンと契約したのはお前やったんか。大方、美穂子さんに関する願い事やろ?まあ、今更お前を責めてもしゃあない。」

 

K京太郎は美穂子に向き直る。

 

「美穂子さん。ここはみんなのことを頼んだで。」

 

「京太郎さんはどうするの?」

 

「俺はあのイマジンを追いかけて、退治したる。だから、安心せえ。絶対勝ってきたるからな!」

 

K京太郎は走り出して、窓のから飛び出す。だが、その直後に華菜も部室から飛び出した。

 

「華菜…?」

 

(華菜ちゃんのやったことは華菜ちゃんが責任を取らなきゃ。あの怪物を探して願い事を取り消してもらおう!)

 

華菜はそんな思いを胸にイマジンを探す。しかし、イマジンとの契約を変更することはできない。そのような制約を華菜は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

ここは風越女子校の体育館裏。この場所で豹のようなイマジンとK京太郎が対峙していた。

 

「見つけたで。さあ、もう観念しいや!」

 

「へん。オイラはただ、「福路 美穂子をいじめから護衛しろ」と頼まれただけだぜ。お前には関係ないだろ?」

 

「違う!美穂子さんは十分強い人や。お前なんかに守ってもらう必要なんかないんや!」

 

しかし、イマジンはK京太郎を半目で睨む。

 

「へー。それってもしかして、あの人がひとりぼっちだって言ってのか?お前もあの人を暗に馬鹿にしてんだな。お前も叩き潰してやるぞ!この『ジャガーイマジン』がな!」

 

ジャガーイマジンは勝手な解釈で短剣を抜き、K京太郎に襲いかかる。しかし、K京太郎はジャガーイマジンの攻撃をかわし、パスを取り出し、ベルトに変える。

 

「お前に灸を据えたらなあかんな。変、身ッ!」

 

『アックスフォーム!』

 

京太郎の身体に一瞬、無機質な黒いアーマーがついたかと思うと、金色のマスクのようなものが頭に、黒いアーマーが金と黒のアーマーに変化した。これがキンタロスが憑依した斧を武器に戦う姿、『仮面ライダー電王 アックスフォーム』である。

 

「俺の強さにお前が泣いた。」

 

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