道筋見えてるのに、細部が完成しないという状態に陥ってるので少し強引に進めてしまってますのでご了承ください。
俺は夢を見ていた。ここまで意識がハッキリとして夢だと知覚できるなんてそうそうないが。そして、夢だと思った決定的な理由は、クローゼリアが居ることだった。
”なぁ、クローゼリア。天竜だと呼吸するだけで回復できるって聞いたけどそれって出来ないのか?”
ん?俺は天竜に会ったことは無いはずなんだが‥‥いや、何分幼い頃の記憶はクローゼリアに関すること以外ほとんど忘れてるが。
”そうですね‥‥ごく自然に時の奔流を感じ取ることが出来ればそれも可能でしょうが‥‥”
”ならそれを教えてくれよ!”
”まだまだ基礎すら出来てない貴方に教えるのは早すぎます”
結局基礎が出来て、滅竜奥義を一つ教えてもらいやっとの思いで習得した矢先にあの出来事だった。だから、俺は普段から取り込むことが出来ていない。時を感じることが出来ているからあと少しではあると思うんだが‥‥
夢を見ながら思考に耽っていると、段々と辺りが白くなってきて、意識も無くなってきた。恐らく目覚める時なんだろう。
そして完全に意識を失い次に目を開けると、朝日が差し込んでいる自宅のベッドの上で寝ていた。
「‥‥懐かしい夢だったな。にしても天竜ね」
覚えてる限りは会ったことない筈だと思うんだがな。俺は体を起こして窓を開ける。
「ん〜‥‥もう朝〜?」
ルビーが外からの入ってきた風で目を覚ましたようで、フラフラと飛びながら俺の頭に着地する。
「ほら、起きろって。これから仕事に行くんだから」
「あい〜」
ルビーを頭から下ろして支度をする。
「朝ごはんは〜?」
「今日は何か途中で買って食べるつもりだ。向かうのに時間もかかるし」
「分かった〜」
俺たちは支度が出来次第出発した。因みに、朝ごはんは魚弁当だった。ルビーは魚の丸焼き二つだった。
〇☆〇☆〇☆
ルクスたちが出発したをした頃、フェアリーテイルのギルド内は慌ただしかった。
「大変ですマスター!二階の依頼書が1枚無くなってます!」
「‥‥‥ブーっ!」
ミラからの言葉を聞き、酒を飲んでいたマカロフは吹き出していた。
「依頼書が無くなっただあ?」
「二階に貼ってあったつったらS級のヤツだろ?」
「どこのバカよそんな事を仕出かしたのは」
「猫だ。羽の生えた猫がちぎってくのを見たぜ」
皆が口々に話していると、ラクサスがそこに口を出した。
「ハッピーが!?」
「つー事はなにか。ナツとルーシィも勝手にS級の依頼に向かったってのか?」
「馬鹿だとは思ってたけどここまでの馬鹿とはね」
「‥‥ほぅ。ま、これは重大なルール違反だ。ジジイ!ヤツらは帰り次第破門だよな?つーか、あの程度の実力でS級クエストに行ったら帰っちゃ来れねぇだろうがな」
「ラクサス、知っててなんで止めなかったの!」
ミラがラクサスに詰め寄る。
「俺はてっきりルビーのヤツだと思ったんだよ。まさかアレがハッピーだとは露ほども考えなかったな」
「そんな言い訳が通用するとでも?」
「おうおう、アンタのそんな顔久しぶりに見たな。言っただろう?羽の生えた猫がって。色までは見えて無かったんだからよ」
「‥‥‥」
ラクサスが挑発するような口調で話し、その場の空気がドンドン張り詰めていく。
「不味いのぉ。それで、消えた依頼書は?」
マカロフが消えた依頼書の事をミラに尋ねる。
「呪われた島、ガルナです」
「なにぃ!」
「ガルナってんな無茶な!」
「やっぱりアイツら馬鹿だ!」
「ラクサス!連れ戻してこい!」
マカロフはラクサスに連れ戻すように言うがラクサスはそれを仕事があると言って拒否する。そして、グレイが立候補する形で連れ戻す役目を負った。
〇☆〇☆〇☆
「クロッカスまであとちょっとだな」
「そだね〜。ルクスも復活できたし〜」
「言うな、その事は」
途中まで馬車を使って来たため、酔っていた。クロッカスが近くになった事で徒歩に切り替えたがやはりダメなものはダメなので少しダウンしていたのだ。
「それにしても今回はどんな用なんだろうね〜」
「さてな‥‥。いつも通りの文面だったからよく分からん」
いつも通りとは、城に来てから内容を話すというものだ。呼び出される度にこれだからいつも何を依頼されるのか分からないのだ。大概は途中から姫様が絡んでくるのだが。
「そういえばルクス〜。さっきから何食べてるの?」
「ん?ラクリマと50年ものの木製椅子の欠片だ」
「最近木製のやつよく食べるけど美味しいの〜?」
「個人的には木製が一番うまい。例えるならサクサクパリパリしたお菓子って感じだな」
「へ〜」
しかし、前回食べたララバイは最悪な味だったな。木製だし、多少はいけるかな〜とか思ったがそんなことはなかった。魔力の回復量は結構あったが一口だけで二度と食べたくないと思った。
「やっと着いた〜」
ルビーと話をしながら歩いてい大体30分ぐらいだろうか。ようやく俺たちはクロッカスの街にたどり着いた。
「そっちの魚を2匹くれ」
「今はこれが人気だよ〜」
「今週の週ソラ読んだか?フェアリーテイルのミラちゃんがやべぇぞ!」
「おいおい、そこはブルーペガサスのジェニーちゃんだろ!」
「やんのか?」
「ああん?」
賑やかな街の中を俺たちは歩いていく。余裕を持って本来の招集時間より数時間早く着いたので街を見回っている。
「いつもも思うけど凄い活気だね〜」
「王城の城下町だからな」
しばらく辺りを散策していると、目の前で人が倒れた。咄嗟に駆け寄って起こそうとすると、何やら呟いていた。‥‥というか、どことなく見たことある銀髪だな。
「オナカ‥‥‥スイタ‥‥‥タス‥‥‥ケテ‥‥‥」
その言葉と同時に盛大な腹の音が聞こえ、単純に空腹で倒れたことがわかった。そしてこの人物が知り合いだと言うことも。幸いお金はそこそこ所持していたから、見捨てるのもアレだし助けるついでに俺達も昼食をとる為に近くのレストランに入った。
「いや〜、助かったゾ」
「いい食いっぷりだね〜。にしても、なんでまた行き倒れみたいな事になってたの〜?」
現在目の前で食事をしているのはソラノ・アグリア。なんでも生き別れの妹が居るらしいのだが、どこにいるか分からないとか。後は‥‥天使の様に空に消えていくという事か。
正直、この考えは余り良くないと思っているが何を持ってそんな考えに至ったのかが分からず余り強く言えないのが現状だ。
「あ〜‥‥笑わない?」
「?別に笑ったりするつもりは無いが」
「その、実はお金を全部家に忘れてきてそれに気づいたのがこの街に着いてからです。はい」
「うぷぷ〜、ソラノってばおっちょこちょい〜」
「笑うなってさっき言ったばかりだゾ!」
「こらこら、目くじらを立てない。ルビーも笑うな」
二人を注意し、ルビーの頭を小突く。
「とにかく!今回の事には感謝してる‥‥アリガト」
最後に小さくお礼を言うのが聞こえた。余りお礼を言い慣れてないのか、顔を少し赤らめていた。
「どういたしまして。それで、今日はどんな用でクロッカスに来たんだ?」
「それはいつものやつを買いに来たつもりだったゾ」
「それって〜、初めて会った時にも買ってたアレ〜?」
「そうだゾ。‥‥結局買えなくなったけど」
俺たちがソラノと初めてあったのはお互いにある物を買う為に来た時だ。ある物とは毎週金曜にのみ1000個限定一人二つまでのカップケーキのこと。味は大体ランダムだがハズレが全くなく、その上遠くからわざわざ買いに来る人がいる程に人気なもの。皆前日から街に来て、開店を待つほどの物だ。
以来、この街に来る度にタイミングさえ合えば出会うことが多かった。
「アレ〜?でもお金無かったんだよね〜?宿とかどうしたの〜?」
「そこは‥‥街の外でこちらを使わせて頂きました」
と、星霊の鍵を見せてくるソラノ。というかなぜそこまで畏まった言い方になってんだ。
「変な喋り方〜」
「キャラ崩壊がさっきから激しいと感じるぞ、お前」
「うるさい。とにかく今回は助かった!このお礼は‥‥どっかで返せそうなら返すつもり。ただ、そんな頻繁に会うわけじゃないし‥‥」
「そだね〜。そもそもこの街でしか会わないし〜」
「まぁ、そういったのはその時でいい。俺たちはこの後用事があるから」
「特にすることもないし、一緒に出るゾ」
互いに食事を終えていたので、三人で外に出る。料金は少し値がはったが特に問題なく支払いを終えた。
「それじゃまたな」
「またね〜」
「‥‥うん。また、だゾ」
ソラノと別れ、俺たちは王城へと向かう。はてさて今回の依頼はどんなものなのやら。
「‥‥なんか慌ただしい〜?」
「みたいだな」
俺たちが王城へ向かい中に入ると、何やら兵士たちが慌ただしく動いていた。
「よく分からんが、取り敢えずは王様に会えばわかるだろ」
そうして王座のある部屋へと向かう。王座のある部屋の前に着くと、兵士が待ち構えていた。
「ルクス殿ですね。国王がお待ちです」
兵士に導かれて中に入ると、そこには二人の魔道士が既に居た。因みに二人とも知り合いである。
「うわ〜、あの二人が居るなんてどんな依頼なんだろうね〜」
「聖十大魔道のひとりが居るとか、俺呼ばれる必要あったか?」
そう。先に来ていたのは聖十大魔道の一人、
「メェーン。まさか君が最後の一人だとはね、ルクス君」
「確かにルクス殿であれば適任であるか」
「2人は先に依頼を聞いてるのか?」
二人には敬語は必要ないと言われているので砕けた口調をとる。歳もキャリアも、実力だってあちらが上なのに寛容な2人だった。
「詳細はまだ聞いておらん。しかし、今回は護衛という事を先程聞かされてな」
「そして、最後の一人がもうすぐ来ると聞いていて、君が来たという訳さ。それにしても、相変わらず良いパルファムだね」
「そ、そうだったのか‥‥あの、一夜。離れてくれ」
「一夜って〜、会う人会う人そうやって匂い嗅ぎに行くよね〜。そのうち捕まるよ〜?」
「なに、心配することはない。我がマイハニーであるエルザさん以外にはそうそうしないからね!」
「そんなキメ顔で言われてもね〜」
まずもって相対した知り合いに匂いを嗅ぎに行くこと自体どうかと思うぞ。
「ンンッ!話を始めてもいいかね?」
「おっと、これは失礼しました」
「‥‥今回、お主たちに依頼するのはワシと娘の護衛じゃ」
「護衛‥‥ですか?」
「近々、というよりも明日なんじゃが、周辺国との交流ということで一箇所に集まることになっての。最近は闇ギルドも活発化してきておるし、ここは一つということになったのだ」
「‥‥今回の人選に関しては?」
今回、ジュラがいるのでもう少し適任なヤツが居たと思う。それにジュラ以外の聖十大魔道だって居るしな。
「今回、ウチの兵士達も護衛に付くが‥‥魔導士相手に叶うわけもなし。実力に関しては皆、S級のクエストをこなせるだけの力を持っているため問題なし。後は、個人として信頼を置けるかどうかで決めさせてもらった」
「信頼とは?」
「自分の命と娘の命を預けるのだ。強くても信頼が無ければな。それに、下手に強力な戦力を動かしては問題も多い」
護衛なのに戦力を連れすぎるのもアレだからな。それに国の防衛力とかもあるか。
「配置は一夜殿をワシに。ルクス殿を娘に。この中で1番実力が高いジュラ殿には遊撃を頼みたい」
「私が、遊撃とは?」
「本来であれば2人ずつで分けたいところだったが、早々頼める相手も居なくてな。このような形となった」
それからどう動くかや、依頼の詳細など話し込んでいると、背後の扉の方から何やら騒がしい声が聞こえてきた。
「ひ‥‥ここでは‥‥なので‥‥」
「でも‥‥で‥‥‥なのでしょう?」
そして扉が開かれて現れたのは緑髪の少女、国王の娘であるヒスイ・E・フィオーレであった。
今回、ソラノに少しばかりオリジナルの設定としてカップケーキ等の甘いものが好きというのを加えました。また、原作よりか少し性格が和らいでいるつもりです。
話題は変わりますが、新作の仮面ライダーが笑いどころとツッコミどころしか無かったので少し気に入っています