乃渡由比はバトスピテスターである   作:monochrome:黒

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勝負!焔忍法帖!__参

 

「俺は『サムライ・ドラゴン』をLv1で召喚!」

 

 

 

桜吹雪が吹き上がりそこから陣羽織を纏った青き剣客のドラゴン、『サムライ・ドラゴン』が現れた。そして幸村はレベルが変わらないも関わらず『イクサトカゲ』にソウルコアを置いた。……間違い無い、【覚醒】の準備に取り掛かったのだ。

 

「良い傾きだ。」と由比は思った。

『サムライ・ドラゴン』は【覚醒】する事でBP+、更には「回復」する効果を持つ。緑属性対策としてはかなり有効だ。疲労などを得意とする緑特性に対して回復を行えると言う点はかなり大きい。そして幸村はそのままアタックステップへと移る。

 

 

 

「『サムライ・ドラゴン』でアタック!フラッシュ【覚醒】‼︎『イクサトカゲ』のソウルコアを『サムライ・ドラゴン』置く事でターンに1回回復する!更にこのターンの間BP+5000!」

 

 

 

鞘からその剣を抜刀し、『サムライ・ドラゴン』は此方へと攻めて来る。ソウルコアが置かれた事でLv2に上がりBPが+されて2回アタックが可能な状態でだ。『サムライ・ドラゴン』と『イクサトカゲ』でアタックすれば由比のライフは最高3つ減らせるだろう。恐らくこの戦法は兼続には有効だ、だが由比は違う。

 

ライフはくれてやるがただでは終わらせてはやらない。手札から1枚のカードを抜き取って由比はニヤリと笑う。

 

 

 

「フラッシュ"アクセル"!『三十三代目風魔頭首ヤタガライ』!不足コストはダイビートから確保、よってLv1にダウン。アクセルの効果、相手のスピリット又はアルティメット3体を疲労させる。この効果で疲労したスピリット1体につき自分のスピリット1体を回復させる!回復しろダイビート!カヤク!ヤタガライは手元に置く!」

 

 

「フル回復⁉︎だが『サムライ・ドラゴン』のアタックは続いているぜ!」

 

 

 

突如翡翠の風が相手のフィールドに吹き荒れ、幸村のスピリット達は軒並み疲労する。アクセルの効果で連続アタックが出来なくなった『サムライ・ドラゴン』、ここで下手にブロックしてもBP負けして破壊されるのがオチだろう。由比としてもむざむざスピリットを失いたく無い。ならばここで取れる手段は___

 

 

 

「ライフで受ける!「ライフ減少後」でバースト発動『四十四代目異牙忍頭首シシノビ』!BP12000以下のスピリット4体を破壊する!対象は『サムライ・ドラゴン』と『イクサトカゲ』!そしてこのままバースト召喚!」

 

 

「なっ⁉︎」

 

 

 

『イクサトカゲ』は言わずもがな。『サムライ・ドラゴン』は現在BP加算されているとは言えBP11000だ。あと2000あれば対象外だったろうがレベルコストが足りない為無慈悲にも対象になる。

 

炎が風の様に畝り竜巻と化しそのまま『サムライ・ドラゴン』と『イクサトカゲ』を焼き尽くす。見るにも鮮やかな紅の爆発の花が咲いて幸村のフィールドは文字通りの「ガラ空き」状態になってしまった。「それならアクセルを使わずでも良かったのでは無いか?」と思われるだろうがこれは兼続を相手する事を前提とした「模擬戦」。疲労などの効果を最低でも1回は使わねばなるまい。

 

少なくとも兼続は緑単体デッキだろう。

赤属性のBP破壊系は使わないが由比のデッキは赤緑混合デッキなのだからしょうがない。相手は何も出来なくなってしまった状態のフィールドを茫然として己のターンエンドを告げた。

 

 

 

(幸村君のブロッカーは0、此方のアタック出来るスピリットは3体。ライフは4つであっちは3つ……このままフルアタックを仕掛けても問題ないだろうけど___)

 

 

 

恐らくこのまま行けば由比は勝てる。

無論相手がマジックなどのカウンターを使って来なければの話だが。

 

これは「模擬戦」、もっともっと幸村にとっての経験値が必要だと自分は判断する。……他人の事は言えないが彼は武蔵に来て日が浅い。利家、早雲相手に連続で勝ち進んで来たがそれでも経験値が足りないのだ。もっと、更に、「「バトスピテスター」の感覚と一緒にするな」と言われればそれまでだが幸村とのバトルがそれが少ないと由比は思ってしまうのだ。

 

……確かに幸村は強い。

だがそれは天賦の才ではなく努力がものを言ったもの。きっと彼に教えていた人間がとても上手かった人なのだろう。今ある幸村の強さはその経験が物語っていると言っても言い。だが、幸村がS級バトラーとしてバトスピ界隈から距離を取っていた間の時間がブランクを呼んでいる。______恐らく、このまま行けばいずれ幸村は誰かに負けるだろう。あの3人の内の1人によって、だ。

 

 

 

(君の強さは諸刃の剣……でも"叩いた分だけ強くなれる"と私は信じてる。)

 

 

 

1度折った骨がくっ付くと更に強くなる様に。

 

そして由比は己のターンを告げる。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ……さぁ行こう。

 

 

 

「手元から『三十三代目風魔頭首ヤタガライ』をLv2で召喚。召喚コストはカヤクから確保、よって消滅。ヤタガライの召喚時効果発揮、ボイドからコア2個をを自分のスピリットに置く。」

 

 

 

その効果でシシノビにコアを2つ乗せてLv2にパワーアップさせる。しかしシシノビのLv3コストは4つな為余分にコアを置いている様な状況だ。だがそれで良い。わざわざヤタガライを手元から召喚しコアブーストをかけたのは何もレベル上げだけでは無いのだから。

 

シシノビに手を翳し由比はしっかりと相手を見据え、

 

 

 

「アタックステップ、シシノビでアタック!Lv2,3のアタック時効果発揮、ターンに1回自分のデッキ上から2枚オープン出来る。その中の系統【忍風】を持つスピリットカード又はブレイヴカードをノーコストで好きなだけ召喚する。残ったカードは手札へ。」

 

 

 

フィールドに自身のデッキが現れ上から2枚オープンされた。オープンされたのは『忍魔神』『忍頭領ソウルドラゴン・焔影(ほかげ)』。何方も系統【忍風】を持つカードであり____一方は維持コアを必要としないカードだ。オープンされたカードに由比はニヤリと笑って勇ましい口調で口上を述べる!

 

 

 

「___光ある所に影はあり、焔ありし所には「忍」び耐える「者」あり。遍く「忍」び耐える「者」達の象徴たる焔よ、永久の中で決して消える事なく燃え盛れ!Lv2でノーコスト召喚、『忍頭領ソウルドラゴン・焔影』‼︎更に『忍魔神』を焔影に左直接合体(ダイレクトブレイヴ)‼︎コストはシシノビとヤタガライから確保!よってヤタガライはLv1にダウン‼︎」

 

 

 

途端、フィールドに紅炎が爆発したかの様にワッと湧き上がった。炎はそのまま意思があるかの様に渦を巻き上げ、一気にフィールドに火の粉を撒き散らしながら勢い良く落ちる。炎が消え、現れたのは手裏剣型の鎧を纏い、所々に緑色の装飾を纏い太刀を携えた魂を宿す武者に近い龍の姿であった。

 

まさか「ソウルドラゴン」と言う自身のキースピリットと同じ名を冠したスピリットを見て幸村は目を見張った。そこまで予測はしてこなかったのだろう。彼は驚きのまま思った事を声に出してこう呟いていた。

 

 

 

「ソウルドラゴン…焔影…だと…⁉︎」

 

 

「ソウルドラゴンにはいくつかの派生があるんですよ。その内の1つ…系統【忍風】を持つソウルドラゴン、それが『忍頭領ソウルドラゴン・焔影』です。」

 

 

 

これが「焔忍法帖」デッキのキースピリット。

かつて由比が使い、そして今幸村が使うソウルドラゴンのまた別の姿である。

 

シシノビがベストなタイミングで出してくれたのが幸いだった。そしてそのシシノビのアタックはまだ生きている。ブロッカーのいない幸村が取れる手段は必然的に1つしかない。

 

 

 

「ライフで受ける!っ‼︎」

 

 

「これで幸村君のライフは2つ…このターンがラストターンになりそうですね。ヤタガライでアタック!」

 

 

「そうはさせるか!フラッシュタイミング『紅蓮フレイム』‼︎BP8000以下の相手のスピリット1体を破壊するぜ!」

 

 

「!」

 

 

 

巻き起こった紅蓮の炎がダイビートに直撃しそのまま爆発の花を咲かせた。さしものの由比も予想の外の対応に驚き瞠目する。まさかこうなるとは思ってはおらず___驚きとまだまだ諦めない幸村にフッと笑みが溢れる。

 

彼はまだ足掻こうとしている。こんな状況にも関わらず圧倒的な差を見せられても尚足掻こうとしているのだ。それがどれだけ愛しく感じてしまうのだろう。嗚呼、まだ諦めない。諦めやしない。彼の烈火の炎はそんな容易く消えはしないのだ。

 

しかして尚ヤタガライのアタックは続いている。そしてまだ此方には合体済みの焔影が居り、状況的に厳しいのは変わらない。だが幸村は畳み掛ける様に手札から1枚カードを引き抜いてコストを支払いマジックを使用した。

 

 

 

「更にフラッシュタイミング『絶甲氷盾』!ヤタガライのアタックはライフで受ける!」

 

 

 

幸村のフィールドに氷の盾が張りこれ以上のアタックを拒む。これで幸村は首の皮1枚繋がった状態でギリギリ留まった状態だ。

 

アタックステップ強制終了。

最早由比に何も出来る事は無い。ここから幸村がどう巻き返せるのか心の裡で期待しつつ自分は「ターンエンド。」を告げた。

 

 

 

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