乃渡由比はバトスピテスターである   作:monochrome:黒

5 / 24
炎の虎vs白銀の獅子__弍

「バトスピテスター」乃渡由比対「炎の猛虎」炎利家のバトルを……炎の様に赤い髪を六銭文の飾りがついた黒と白のヘアバンドで上部に留め、青色に黄色のラインが入ったTシャツに赤い陣羽織を羽織り、灰色の少し大きめのズボンに赤い色に龍を象ったデッキを下げる13歳程度の少年_____つい最近武蔵に彗星の如く現れた赤属性のS級バトラー、「烈火幸村」も観客の一人として見ていた。

 

部屋で環奈とデッキの事で話をしていたらドタドタと佐助達が階段から慌ててやって来て、「炎組に「バトスピテスター」って名乗ってる奴が赤井長頼を相手にバトルしてるんだ!」と大声で言うものだから気になって見に来た次第である。

 

 

 

(一体…あのバトラーは何なんだ…?)

 

 

 

幸村達がスタジアムに着いた時には乃渡由比と名乗るバトラーが「異魔神ブレイヴ」なる誰も知らない、見たこともないカードを召喚しているところだった。

 

バトスピについては誰よりも博識である環奈に問い掛けても「拙者も知らぬカードでごじゃる。」と答え首を横に振った。更に環奈が言うには乃渡由比が召喚した『戦神乙女ヴィエルジェ』にはライフ回復効果を持っていても手札戻しの効果は持っていない筈だと言う。

 

より謎が深まったところで利家とのバトル。

戦況は利家の『ヤイバード』を破壊して彼女のターンに移った。

 

 

 

「私のターン。コスト4のネクサス『時刻む花時計(RV)』を配置。配置時効果で"〈星座封印〉"!『セイルフッシュ』のソウルコアを"私のライフへ"!」

 

 

「ライフにソウルコアを置いた⁉︎」

 

 

「ごじゃ⁉︎『時刻む花時計』にその様な効果は無いでごじゃる‼︎」

 

 

 

『セイルフッシュ』に置かれたソウルコアがシュン!と言う音と共に消え、バトルでライフで受けた時の様にソウルコアがまるで紋章の様に現れて消えた。恐らくライフに置かれた事を意味しているのだろう。

 

その光景に幸村や利家含む、由比以外の誰もが瞠目した。「ライフにソウルコアを置く」そして「〈星座封印〉」と言う聞き慣れない_____否、初めて聞いたワードに幸村達は驚きを隠せない。今まで見た事も無ければ聞いた事すら無いのだ。先の「異魔神ブレイヴ」同様…初めて聞くもの目にするものに頭の中が?マークで埋め尽くされるのは道理である。

 

そんな幸村達に呼応でもする様に、乃渡由比は胸に手を当ててこう告げる。さながらそれは壇上に立つ役者にも似ていて…

 

 

 

「〈星座封印〉___基〈封印〉と言う効果はある特定のスピリット又はネクサスが持つ効果です。ネクサスならば配置時、スピリットであるならば召喚時やアタック時など様々。〈封印〉する事で特別な効果を発揮する事も出来、バトルを有利に進める事が出来ます。」

 

 

「〈封印〉…。」

 

 

「つ、つまりどう言う事なんだ?」

 

 

「あの者の言う事が正しいのであればある条件が揃った時にソウルコアを己のライフに置く事が出来る、それが〈封印〉でごじゃる。そして〈封印〉された事で真の力を発揮するカードもある。と言う事でごじゃろう。」

 

 

 

乃渡由比の説明を吸収し、なるべく解り易く噛み砕いて佐助達に説明する環奈。無論環奈とて初見の効果だ。過去の例等の知識が無い以上、彼女の言葉を鵜呑みにして言葉にするしかなかった。

 

 

 

「乃渡由比…「異魔神ブレイヴ」や「〈星座封印〉」を扱うものの、根本的には【星魂】【光導】を主軸としたブレイヴ使いでごじゃろう。『光輝く大銀河』…あのネクサスは手札にある【光導】を持つスピリットをコスト5として扱う効果を持つでごじゃる。」

 

 

「と言う事は……」

 

 

「左様、あの者の使うデッキは12宮スピリットをキーとした白と黄色の混色ブレイヴデッキでごじゃる。」

 

 

 

先の赤井とのバトルと現在行われている利家とのバトルで導き出した環奈の答え。デッキとしては珍しいタイプの色の組み合わせだが、系統で補っているのであるのならこの勝負……何方がどう動くか予測不能になって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『セイルフッシュ』をLv2のままにしてターンエンドです。」

 

 

 

背後に壮大な大銀河と紫色の空の下、色とりどりの花畑に囲まれた中で聳え立つ大樹に根付く様に掛けられた花時計を背負って由比は己のターンエンドを告げた。これだけ見れば何とまぁ派手で神秘的な光景なのだろうか。ずっと見続けるには目が疲れそうになるのが難点ではあるが。

 

アタックも仕掛けずにターンエンドをした由比に利家は一つの文句も言わず、ただ面白そうに笑みを浮かべながらこう言う。

 

 

 

「〈星座封印〉…それが第二の隠し球ってやつか。幸村の奴もそうだったがテメェも充分面白れぇわ!まるでショーでも見せられているみてぇだぜ!」

 

 

「ご満足頂けたのなら結構。テスターとして「見せる」事も仕事の内ですから。」

 

 

「だったらお次はコイツでどう防げるか見せて貰おうか!俺のターン!『オードラン』をもう一体召喚!」

 

 

 

もう1体の『オードラン』が召喚される。

このターンで0コストのスピリットを召喚するとは大抵のところつまり___

 

 

 

("大型スピリット"の召喚による軽減確保‼︎)

 

 

 

大型スピリットの召喚、若しくはキースピリットの召喚。利家の台詞から察するに後者の可能性が高い。ここで出して来ると言う事はバトルの流れを己のものにする気なのだろう。今までショーの如く新たな効果を色々と見せて来た由比を舞台から引き摺り落とす様に。空気を利家の色に染める気だ。

 

例え此方のライフが〈星座封印〉の効果で全回復していたとしてもキースピリットが大きな警戒になる。場にいるか居ないかの違いは天と地の差レベルだ。そう考えていると利家が動いた。

 

 

 

「これが俺のキースピリットだ!来い!俺の『センゴク・タイガー』!」

 

 

「来た……!」

 

 

 

利家のフィールドから燃え盛る炎が勢いよく吹き出し、その裡から頭に角のある兜と所々に外装を纏うそれは大きな虎がフィールドに現れた。姿からにして系統はやはり【皇獣】。由比は頭の中にある知識から『センゴク・タイガー』についての知識を引っ張り出して冷静に解析する。

 

 

 

(コスト6の大型スピリット…召喚時にBP20000以上のスピリット/アルティメットを破壊する…。Lv2以上からはアタックで自分のBP以下のスピリットを1体破壊出来る。更にソウルコアが乗っていればその効果でBP7000以上を破壊した時ソウルコアをトラッシュに置いて回復………。『セイルフッシュ』がLv2のままで良かった!)

 

 

 

地味に優良な効果を持っている『センゴク・タイガー』。これがスピリット/アルティメットの効果を一切受けない『セイルフッシュ』がいなければ確実に虎の餌食だ(『セイルフッシュ』は魚介類だから肉食獣の虎に食われるとはどうかと思うが)。

 

だがこのターンで決して由比のライフを削り切れないのは明白だ。相手だってそれは自覚している筈。ならば手段はただ1つ。_____0に出来なくとも相手のライフを減らす事である。

 

 

 

「挨拶代わりに行って来い!『センゴク・タイガー』」

 

 

「ライフで受ける!」

 

 

虎の大爪が削ると言うより抉り削る様な形で由比のライフを減らす。ガラスが割れる音と近い音が耳朶を叩き思わず由比も袖で庇う様な姿勢を取った。残りライフ4。だがまだ利家のアタックステップは終わらない。

 

 

 

「『ヤイバード』テメェもだ!」

 

 

「ライフで受ける!ここでフラッシュタイミング『ランパートウォール』!このバトルが終了した時アタックステップを終了する!不足コストは『セイルフッシュ』から確保、よってLv1にダウン!」

 

 

 

瞬間、ゴッッ‼︎と言う音と共に由比のフィールドに硝子で出来た巨大な要塞が現れ利家のアタックを阻んだ。これで由比のライフは残り3つ。フルアタックを仕掛けられたとしても0にはならないとは言え1になるだけだ。それに相手も相手でライフは5つ…無傷な状態、不利な状況なのは変わりない。

 

アタックステップを強制終了され、ブロッカー2体を維持して利家は「ターンエンド」を告げる。

 

……さぁ、そろそろ自分も何かしら行動を動かさなくては。

 

 

 

「私のターン。スタートステップ、ドローステップ…_____クス、ここで来てくれるなんて張り合いたくなった?」

 

 

 

ドローで引いたカードに自分だけが聞こえる声量で問い掛ける。あまりにも来たカードが「虎に負けていられないぜ」と言わんばかりなせいか、良すぎるタイミングで来てしまったからと言うか、おかしくて内心苦笑してしまった。

 

だがお陰様で勝ち筋は見えた。

あとは勝つ為に実行に移すだけだ。「リフレッシュステップ、メインステップ」と告げ、薄く笑って前座とも言えるスピリットを召喚した。

 

 

 

「……"双子は片割れ同士執着し共に星になりけり、しかしてそれは表裏を創り出す道化師となる柔軟宮(ミュータブル・サイン)である!"___Lv2で召喚!『魔導双神ジェミナイズ(RV)』‼︎」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。