乃渡由比はバトスピテスターである   作:monochrome:黒

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烈火の少年少女達__弍

 

 

「「バトルスピリッツ国際連盟」…?聞いた事無いな…。」

 

 

「「BSLON」なんてそんなのあったか?かんべー?」

 

 

「拙者も聞き覚えのない言葉でごじゃる。しかし、「国際」と言われているならばそれなりに大きな機関である事は間違いない。それでも尚聞き覚えが無いと言う事は_____"ひた隠しにされてきた"と言う意味でごじゃろう。」

 

 

 

誰も彼もが頭に?マークを浮かべる中でただ1人、大凡の推測を立てて言葉にした環奈。そんな少女に由比は「やっぱり察しが良いな。」と心の中で素直に感心した。何故なら___環奈が出した答えは"間違っていない"からである。

 

故に由比は肯定である意味の頷きで返し、

 

 

 

「環奈さんの言う通りBSLON__基バトルスピリッツ国際連盟は創立から現在までその存在を表に出していない国際機関です。日本のIBSAですらその存在を知る者は極偉い人間達に限ります。普通のカードバトラーならまず耳にはしないでしょう。」

 

 

「じゃあなんで由比は知ってるんだ?」

 

 

「…簡単な話、由比がそのBSLONの人間だからでごじゃろう。」

 

 

 

佐助の問いを由比ではなく環奈が返した。

 

そんな彼女に自分は「やっぱり頭が良い。」と思う。由比の言葉から幾つかのワードを絞り己なりに解釈をして、予測を立て答えを導き出す。かつて真の戦国時代に存在した有名なかの軍師の名が渾名として呼ばれているだけあるのはそう言うところもあるのだろうか?

 

彼女の言葉によって視線が一斉に此方を向く。自分はただそれに"首を縦に振って応えた"。そう…「バトスピテスター」乃渡由比とは……

 

 

 

「そう、私はBSLONに所属する人間。「バトスピテスター」とはBSLONが認め、新たなカードを使いこなせると判断された優秀なカードバトラーの事です。テスターの役目は先程説明した通り、まだ世に出ぬカードを使い世界各地を回りながらバトルをしてそのデータを集める事。そのテスターの数は私を含んでもたった3人しか居ません。」

 

 

 

言葉を休める様に注文したみたらし団子の1つをパクリと食べる。香ばしいタレの風味とモチモチした団子の食感が口いっぱいに広がって何とも美味であった。会話中でなければ感情を表に出してニコニコと食べていただろうに。

 

「たった3人」と言う言葉に1番に反応したのは佐助と拓馬だった。

 

 

 

「「バトスピテスター」って3人しかいないのか⁉︎」

 

 

「しかも3人だけで世界各地って無茶がありすぎだよ!」

 

 

 

確かにその言葉は御尤もである。

たった3人しか世界に存在しない「バトスピテスター」。しかも色々な国を回りながらバトルをしてデータを集めると言うのだから、ブラック企業も吃驚だ。少年少女達の前では決して口には出来ないが国の中には紛争地域なども含まれている。どちらかと言えば結構命懸けの役目であった。

 

それを僅か3人の、片手で数えられるカードバトラー達の手で。だがしかしこれにはちゃんとした理由があるのだ。口にした団子を呑み込んで由比は2人に応える様に説明する。

 

 

 

「「バトスピテスター」になれるのも条件があります。」

 

 

「条件?」

 

 

「1つ、バトスピバトラーとしての実力がS級レベルである事。2つ、バトラーとしての誇りを持ち、模範である様な人間である事。そして3つ目が___________"カードに振り回されない事"。」

 

 

 

 

テスターになる3つ目。

それが3つある条件の中で最も重要な事であった。

そして何より、バトラーが早々経験した事が無いものでもある事も。

 

しかしながら目の前の席に座る幸村や環奈は理解がある様だ。故に3つ目の条件で不思議そうな顔をする佐助達に対して由比は団子の柄をクルクルと回しつつ、

 

 

 

「"大きな力は身を滅ぼす。しかし、その力を使いこなせる事が出来れば身を滅ぼす事は無い。"……どんなに強いカードであろうと使う人間がその力に振り回されてしまえばカードの力を生かしきれません。」

 

 

 

「少なからず貴方達もそう言う経験があるのでは?」と由比は付け加える。

 

例え強い効果を持つカード、強いデッキを作ったとしてもそれを使いこなせなければ意味がない。使い手がカードに振り回されてしまえばバトルに負けてしまうし、肝心なところで真価を発揮出来ないで終わってしまう何て事も十分に有り得る。そう言う事にならない様にバトルと経験を重ねて来たのが____

 

 

 

「どんなカードも使いこなせるだけの実力を備えたカードバトラーだけが「バトスピテスター」になれる……テスターになるのは狭き門です。何人かは候補生として居ますが現状BSLONに認可されているのは私を含めた3人のみ___そう言う事なんですよ。3人しか居ないと言う意味は。」

 

 

「成程…どんなカードでも使いこなすカードバトラーか……。そう言われると他のバトスピテスターにも会ってみたくなったぜ。」

 

 

 

みたらし団子を口に含んで呑み込み、串一本平らげるともう1本のみたらし団子にも手を出し舌鼓する由比。幸村のワクワクした瞳に内心苦笑した。その表情は今にもバトルしてみたいと言わんばかりだったからだ。

 

 

 

「2人が日本に来る気になればもしくは、ですかね。私も久しく会って居ないので今頃何をしているのやら。」

 

 

「そんなに会う機会が無いでごじゃるか?」

 

 

「担当地域が違うんです。1人はヨーロッパを中心に活動していて、もう1人は北アメリカ大陸と南アメリカ大陸それとオーストラリアを活動地域にしていて、私はアジア圏を中心に活動しているテスターなんです。日本に来る前はシンガポールに居ましたから。」

 

 

「シンガポール⁉︎スゲェ外国だ!」

 

 

 

「シンガポール」と言う外つ国の名に佐助が反応した。

外国旅行に親しみが無いのか他の人間達も佐助程とは言わないものの驚きの反応を見せる。因みに自分は言語については豊富だ。豊富と言うか、BSLONによって作られたカリキュラムで散々学んだからこそであった。

 

最後の1本であるみたらし団子を平らげ、手と手を合わせて「ご馳走様でした。」と言うと由比はテーブルに手を置いてよっこらしょと席から立ち上がった。時刻は16時、陽も西に傾きつつある時間。そろそろ帰路に着かなければならない時間だ。実のところ、この後帰宅してから家で用事がある。

 

幸村達の顔を見つつ、両手をポンと叩いて

 

 

 

「それではお話はこの辺で。暫くの間は武蔵に居ますので何処かでまた会う事でしょう。」

 

 

「ああ、今度は俺ともバトルしてくれよな由比!」

 

 

「拙者も色々とまた教えて欲しいでごじゃる。」

 

 

「勿論喜んで。では今日はさようなら。皆さんも遅くならない内に家に帰って下さいね。」

 

 

 

にこりと微笑んで由比はその場を後にした。

期間はどの程度か未定ではあるが今暫くはこの日本、武蔵に拠点を置く事になるだろう。

 

上からの情報では関東にはまだまだ個性豊かなS級バトラーが居るらしい。利家を倒した自分の噂はその内広まるだろうし、色々な人間からバトルの挑戦を受けるかもしれない。バトスピテスターとしての務めは勿論果たす。けど、強いバトラーと戦える事の方がずっとずっと楽しみだ。

 

これから起こる事に心躍らせながら、由比は帰路へと足を運んで行くのだった。

 

 

 

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