仮面ライダーW ANOTHER STORY 仮面ライダーウィング 作:雪見柚餅子
あの戦いから一週間。
風都に掛かる大きな橋の前に翔太郎達は居た。
「本当に行っちゃうんだね」
「うん」
大きなリュックを背負ったソラに、亜樹子がどこか寂し気に声を掛ける。
翔太郎を救出し、財団Xを倒した後、ソラの今後について話し合った。亜樹子は探偵事務所で預かるという案も出したが、ソラ自身は別の道を選んだ。
そんな彼女が選んだ道が、風都を出て旅に出るというもの。自分が居続けることで翔太郎達に迷惑を掛けるかもしれない、という考えも有ったが、それ以上に自由を得たからこそ、もっと広い世界を見てみたいと彼女が強く望んだからだ。
「いつでも来ていいからね」
「おいおい、別れに長ったらしい言葉なんて要らないだろ」
ハードボイルドを気取って語る翔太郎の足を、顔を顰めた亜樹子が蹴った。
「いっ!! お前、少しは怪我人に優しくしろよ!」
慌てる翔太郎の姿を見て、ソラは顔を綻ばせる。
監禁されていた翔太郎は未だに全身に痛みが残っており、今も足を若干引き摺っている。だが同じように激しい戦いによって怪我をしているはずのソラと照井は、まるで何事もないかのようにぴんぴんしている。ソラはミュータミットとしての回復能力が有るが、常人であるはずの照井が疲れすら見せていないことには、長い付き合いの翔太郎ですら不気味に感じている。
―キュイイイン―
翔太郎と亜樹子の漫才に笑っていると、ソラの肩にライブモードのウィングメモリが留まる。
「そのメモリももっと調べたかったけど、仕方ないね」
残念そうに話すフィリップ。財団Xに関する情報が無いか、一週間掛けて調べていたが、結局成果は得られなかった。だが同時に、ドライバーに仕込まれていた電流発生装置のような厄介な機能も見つからなかったため、その点で安全は確認されている。
「それじゃあ、そろそろ行くね」
ソラは再び翔太郎達を真っすぐ見つめる。
「本当にありがとう」
一礼をしながらそう言って、ソラは四人に背を向けた。
「またねー!」
翔太郎と亜樹子が手を強く振る。
「きっと大丈夫だよね」
ソラの姿が遠くなっていく中、亜樹子が漏らした呟きに翔太郎は笑みを浮かべる。
「当たり前だろ。あの子も『仮面ライダー』だからな」
「……そうだね!」
その翔太郎の言葉に亜樹子、そしてフィリップも笑みを浮かべる。
だがすぐにフィリップは気がかりなことを思い出した。
「どうした?」
その表情に気付いた照井が声を掛ける。
「いや、サワの最期の言葉が気になってね。奴は『あの方』と呼ぶ人物の計画のために、彼女を利用していた……もしかすると、より大きな事件が起こるのかもしれない」
フィリップは不安を煽るような予測を口にする。
そしてこの予測が的中することを、彼らはまだ知る由も無かった。
「そうか、彼がやられたか……」
暗い部屋の中、サングラスを掛けた一人の男が悲し気に呟く。
彼の前に妖しく映る一台のモニター。そこには地球へと向かう幾つもの隕石が映っていた。
「だが我々の計画が完遂される時も近い」
そう言って振り向く彼の前にあるのは、仮面ライダーのベルトにも似た機械。それを手に取った彼は、目を怪しく輝かせながら高笑いをする。
「最早、仮面ライダーごときに我々を止めることは不可能だ!」
そんな彼に、不気味な怪人のビジョンが重なる。
「それでは行くぞ」
男の言葉に従って、眼鏡を掛けた女性と、黒人の男性が後を追うように、部屋から出ていく。
そして誰も居なくなった部屋の中で映像を流し続けるモニター。その中心に映る隕石から、青い光が漏れるのだった。
これにて本作は完結です。一か月の間、お付き合いくださり有難うございました。
この作品を見て「MOVIE大戦MEGA MAX」に興味を持った方は、ぜひご視聴してください。