ルミナ神の描写を少し修正。
「ふふふ、うふふふ、ぬふふふ、ぐふふふ」
とある日、ルミナが変な声で笑っていた。
「一体どうしたんだい、ルミナ。何か嬉しい事でもあったのかい」
いや、本当に。
「あら、プロミネディス。これを見てくださいな。
そういうとルミナの姿が変わる。
小柄だった体は僕に迫る程に大きく。
控えめだった胸は一見して大きいと分かるほどに。
元々美しかった髪は夜空を映したような艶やかさを持ち。
引き締まった筋肉には、ほど良い程度に肉が付き。
神としての威厳に溢れた目元はより鋭く。
それが絶妙なバランスで整っている。
いくらルミナが
月の模様が変わらないようにルミナにも信仰される姿が存在し、その見え方を変える事で姿を変えているのだ。
だけど、この姿を僕は知らない。
魔法による変身でもない。
これは間違いなく信仰によって形づくられた姿だ。
「
「あ、うん。すごく美しいと思うよ。でも、どうやって」
考えられるのは
確かにルミナは理想の姿になるために何度かマヨイガに行っていた。
だけど、その為には最低でも30年ほどかかると言っていなかったかい?
「あの
やっぱり、マヨイガの彼が関わっていたか。
だけど、いくら彼でもルミナの変質が早すぎる。
フェルドナのような一つの村からの信仰しかもっていなかった神ならともかく、ルミナはミルラト神話圏全体に信仰を持つ神なのだ。
「彼からは沢山異世界の話を聞きましたの。その中に興味深いものがあったので試してみたのですわ」
曰く、彼の世界では溢れんばかりの物語が存在するそうだが、主に特撮と呼ばれるジャンルでよく使用される設定の一つなのだとか。
キャラクターの活動の幅を広げる為に状況に合わせて能力を変化させ、それに合わせて見た目を変えることで物語を見る者にどのような状態なのか視覚的に分かりやすく示す。
その中には全ての能力が上昇する強化形態なるものも存在するのだとか。
そして重要なのはこれらが可逆である事。
つまりは今まで信仰されてきた姿とルミナが理想とした新しい姿の二つは矛盾しないのだ。
この形態変化をルミナは
それをフェルドナを称える物語の内容に混ぜ込み、神託を下して劇を作らせた。
その力は通常の姿を遥かに上回る。
より完全に近い力を持つがゆえにその姿も
しかし、完全に近い力を持つがゆえにこの世に降り立つには消費も大きく、そのため今まで知られていた姿は消費を抑えた
そんな設定を紛れ込ませた。
そしてそれは驚くほど
神託によって作られた劇であることが伝わったのも大きいだろう。
フェルドナが実際にサツマイモを持ち帰り、それが飢餓に怯える人々に届けられたという噂が旅人を通して広まっている事も劇の信憑性を高めていた。
だけど一番の理由は上演された場所が
数多の神々を祀る大地にあって自身の信仰する神が他の神より優れていれば、口には出さずとも嬉しく思う人間は多いはずだ。
そしてその根拠が他ならぬ神託によって示された。
元々ルミナは姿を変える神であった事も幸いした。
今までその力を使わなかったのは強大すぎるが故に地上で使うには弊害も多かったから。
これらが今までの信仰と矛盾しなかったことで、
それに過去に例のない目新しさもこれほどまでに話が広まった理由の一つだろう。
聖地サクトリアという月神信仰の中心地で広まったそれは、ルミナに新しい能力を与えることになった。
信仰が形を成し、ルミナが
いやはや、まさかそんな手があったなんて。
「やはり異世界の知識は宝の山ですわ。今度はどれを試してみようかしら」
ルミナは
しかしそれはそれ、これはこれ。
神として
その見返りとしてこちらの世界での便宜を図る。
個神としても
「ところでちょっと聞きたいんだけど、何でタケル君を
彼は人間であって神ではない。
神である必要があったとしても、
「それは100年後を見越しての事ですわ。タケルさん達は100年もしないうちに異世界に帰るでしょ。ですが、すでにこの劇によって異界の存在は異界神の名とともに広まり始めている。そうなるとタケルさん達が帰った後、どうなると思います?」
それが十分に広まっているのなら、信仰によって新たな異界神が誕生する。
そして新たな異界神は劇中の通りルミナの友として顕現することになるだろう。
……なるほど。
そうなると貴高神級のルミナの味方が一柱増える訳だ。
それも神々のパワーバランスの外にいる存在が。
ルミナ(とフェルドナ)のみが
「彼らが帰る時に
分霊というのは神の神霊を分割して他の神殿に移すことで元の神霊と同等の力を持つ神を増やす異世界の神の能力の一つだったか。
分霊しても元の神霊に影響はなく、信仰さえあれば無限に増やせるのだとか。
改めて考えても脅威の能力だ。
「更に言えば、これは
「そうだね。それによって血が流れた事も少なくない」
なるほど、
上手くいけば先日ルミナが言っていた習合とやらで取り込むことも出来るようになる可能性もある。
最悪、それらに失敗したとしても
そう考えれば
「それとキツネツキとしたのはフェルドナと彼らの約束で宇迦之御魂やマヨイガの名前が出せなかったからですわ。それに、
「そういう事か。それにしてもずいぶんとタケル君を買っているようだね」
今までにもルミナに気に入られた人間はいたが、友とまで言われたのはタケル君が初めてだ。
「一緒にいて楽しいというのはありますわ。作る料理もおいしいものばかりですし。それに、
これは何とも。
『神の天敵』ともなりうる彼だけど、逆にそれが心地よく感じるほどに神の心にふれる在り方をしているとも言えるのだ。
それこそ、分霊を傍に置いても良いと思わせるほどに。
「それと洞察力も凄いですわ。なにせ
「導く神としての権能で、そのまま思考していれば読み解いていたと知った訳か」
「ええ。コンさんには全ての思惑を伝えていましたから二度手間でしたし。なにより余計なことを考えずに新婚旅行を楽しんで欲しかったのですもの」
そして読み解けなかった本命の目的が理想の体型になれるようにする事だったと。
彼もまさか他の事よりも体型を変えることが本命だとは思わなかったんだろうなぁ。
「次に
よほど嬉しかったんだね。
それからしばらく楽しそうにマヨイガについて語り続けたルミナ。
ルミナ神のマヨイガの面々に対する評価はこんな感じ。
タケル……お気に入りの人間。友人としても神としても好意的に見ているが、踏み込み過ぎると危険。おそらくこのくらいの距離感がお互いにとってベスト。
ミコト……良い子。ちょっと贔屓してあげたくなる程度には可愛く思っている(ただし小動物的な意味で)。
コン……油断ならない実力者。お互いに適度に利用し合うくらいの関係が丁度いい立ち位置。
こんごうさん達……優秀で働き者なコンの眷属。
耶識路姫……知ってはいるが接点が無い。そんなに怖がらなくてもと思っている。
この後、ルミナ神は
ちなみに漢字で書いてカタカナ語読みするセリフはミルラト神話圏の古い言語をルミナ神が格好つけで使ったものを翻訳した結果になります。