俺と天狐の異世界四方山見聞録   作:黒い翠鳥

39 / 93
本日二回目の投稿になります。

こちらから見ても問題ない構成にはなっていますが、前話をお見逃し無いようご注意ください。
また、(壱)とありますが、『File No.19』は今話で最後です。


File No.19-3 マヨイガの意思の断片(壱)

(ふむ、こんなところで良かったかの)

 

十分だよ。

 

天狐からの声に返事をする。

タケル君なら大丈夫だと思っていたけど、もともと予定していた以上の結果が出ている。

 

(せめてもう少し情報が欲しかったんじゃが。あれは吸血鬼ではなく憑き物の(たぐい)じゃろ。それくらいは言ってくれても良かったんじゃないかのぅ)

 

広義的に言えば吸血鬼でもあるさ。

彼女自身は悪魔憑きと呼んでいたようだけど。

 

(まぁ、理由も分かる故、これ以上は言わんがの。タケルが血を飲ませたときに()()()()()()()()()()()()()し)

 

ああ、あれには驚いたよ。

 

変質した理由は分かる。

タケル君が彼女を吸血鬼だと認識したからだ。

 

ただ、フェルドナ神の時も思ったけど()()()()()()()()()()()

いかに変質への抵抗がほとんど無くなっているとはいえ、あれは早すぎる。

 

(そりゃぁ、まぁ。タケルじゃからのう)

 

タケル君だから?

 

(そうじゃよ。タケルは人間でありながら半歩、妖怪の世界を歩いておる。故に妖怪、そして神の本質に触れることが出来る。これはあやつが幼少の頃に(あやかし)に取り憑かれたせいじゃな。それだけにその影響力はすさまじい。呼ばれずともマヨイガに来ることが出来るのも、そのせいじゃしな)

 

タケル君が妖怪の側に踏み込んでいるのは知っていたし、本質に触れる事が出来るのも知ってはいた。

だけど、それだけであれ程まで変質させられるほど、妖怪というのは脆くない。

 

あと、幼少時に妖怪に取り憑かれたって話は初耳。

 

(変質させられるのではない、変容しようとしてしまうんじゃよ。あやつの信仰は、在り方は、意志は妖怪にとって心地よく、()()()()()()()()()()()

 

魅せられるが故に近づこうとしてしまう……か。

なるほど、ならあの変質……いや、変容速度も道理か。

 

(そういう訳じゃよ。ところで、一応確認しておくが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思ってよいな)

 

此方達(こなたら)には他心通も宿命通も通じないのに、どうしてそう直ぐに真相に辿り着くかな。

 

そうさ。

先日この事を伝えた時に推薦されたよ。

確かに此方達(こなたら)が呼ぶに相応しい人間だったから、そのまま呼ぶことにしたって訳さ。

 

(じゃろうな。結果的に呼ばれた人間にも、マヨイガにも、タケルにも益があった。三方良し……いや、間接的にルミナ神にも利がある事を考えると四方良しか)

 

そうだね。

しかもある程度の影響力を持ちつつ、大勢には影響しない。

今の状況であれば正に丁度良い人選だ。

 

(初手としては理想的じゃな。で、あと何度、茶番を演じるつもりじゃ?)

 

あのさぁ、何でわかるんだよ。

 

(謀り事には向いとらんな。隠すつもりがあるならせめて惚けてみせよ)

 

うぐっ。

はぁ、まあいいや。

 

最低でもあと二回。

此方達(こなたら)にも矜持がある。

無条件でとはいかないからね。

 

(もはや、早いか遅いかの違いでしかないと思うがのう)

 

そんな事はいい。

この事、タケル君には言ってないだろうね。

 

(言っておらぬよ。これはお主等(ぬしら)の口から伝えねば意味のない事じゃからな)

 

ならいい。

次も頼むよ。

 

(任せておくがよい)

 

 

 

『本妖に魅せられた自覚がないというのが、タケルの凄まじい所なんじゃよな』

 

ん? 何か言ったかい?

 

(ただの独り言じゃよ)

 




最初はタイトルを『誰かの記憶』にしようかと思ったけど、誰か謎のまま書くことが出来なかったので変更。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。