俺と天狐の異世界四方山見聞録   作:黒い翠鳥

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File No.25-5 マヨイガの意思の断片(参)

(まったく、えらく手のかかる話になったものじゃな)

 

本来なら()()()()()()()()()妖怪を渡して終わるだけの筈だったんだけどね。

 

(生贄の代わりというと、あ奴か。これで何度目じゃ)

 

さぁ? 十より先は覚えていないよ。

 

(最近は減ったと思っておったが、まだまだ需要があるんじゃな。役目を終えるまでの期間が短い故、すぐ戻ってくるからというのもあるんじゃろうが)

 

本当にね。

 

それにしてもまさか生贄が意味のない状態になっているとは思わなかった。

まぁ、此方達(こなたら)としてはタケル君が実績を積めたからよかったけど。

 

(これで三度目。もう良いじゃろ)

 

ああ、これで条件は揃った。

 

このくらいを目途に、そうだね、この日にしよう。

この日に、タケル君に直接会おう。

 

(ま、タケルがお主等(ぬしら)に認められたというのは儂にとっても誇らしいものであるがな。正直これだけ魅入っておいてようやく認めたかといった心境じゃが)

 

何を言うのさ。

 

此方達(こなたら)はマヨイガに在る妖怪三千の集合意識だよ。

誰か一人の人間に魅入るなんてことはあり得ない。

 

よしんば何体かの妖怪が魅入ったとして、全体の意思が変わる事はない。

 

(あぁ、そうじゃったな。自覚が無いんじゃった)

 

何がだい?

 

(それぞれの妖怪に個別に聞いてみるがよかろう。タケルの事をどう思っておるかとな)

 

……?

 

まぁ、いいけどさ。

 

……。

 

……。

 

……!?

 

(ようやく気付いたか)

 

こ、これって。

まさかこんな事が。

 

(全体の意思が変わる事はない。確かにその通りじゃ。ならばその逆もあり得よう。タケルに魅入った妖怪の方が多ければ、それがお主等の意思となる)

 

え? こんなにもタケル君に魅入っている妖怪が此方達(こなたら)にはいたのかい?

 

(魅入った事でどう思うかは個々の妖怪によるからのう。様々な感情が混ざり合った結果、逆にそうだとは思わんかったんじゃろ)

 

そういう事かぁ。

でもいくらタケル君が妖怪の本質に触れることが出来る逢魔人(オウマガビト)だからってこんな事が……

 

(そりゃぁ、逢魔人(オウマガビト)というだけでこんな事にはならんからのぅ。それに加えて神ですら魅入るような魂様(こんよう)をしておるんじゃ。己の側に住まわせ、長く(かたわら)におれば、そりゃぁ魅入りもするじゃろ)

 

うぅ。

 

(まぁ、この辺は今更の話しじゃな。今までもそうじゃったのだから変に意識せねば良いだけじゃ)

 

君が意識させといて何を言うかぁ!

 

(かかかっ。それは良いとして、お主等(ぬしら)がその日にタケルと会うというのなら、当然そのまま■■■■■■■■つもりじゃろう。ならばその前に、儂は命婦専女(みょうぶとうめ)としてタケルに■■■■■■が、構わぬな)

 

いきなり話題を変えないで。

 

そうだね、そのつもりだ。

そっちも構わないよ。

 

元々そいうい条件で協力してもらっていたんだし、既にマヨイガに稲荷神社があるんだから今更さ。

 

それに、此方達(こなたら)がタケル君に魅入っているというのなら、それはむしろ悪い話じゃない。

 

(それはお互い様じゃな。では、そういう事でな)

 

ああ、その日を楽しみにしているよ。

 

 

 

 

 

(あ、そうじゃ。ミコトは(めかけ)なら良いと言っておったぞ)

 

何が!?




最後のはコンがからかっているだけです。でも言っている事は本当

気分屋の里様、誤字報告ありがとうございます。
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