(おつかれさん。上手く行ったようじゃの)
天狐か。
おかげさまで、というべきかな。
(どうじゃった? その
なるほど、あれは魅入ってしまう。
あの子は、
物理的な話じゃなく、精神的な話だ。
人間の
未知への恐怖は妖怪を肥大化させる。
経験による知識から
程度の差はあれどそれは人間が生きていくうえで必要で、誰もが持つ性質だ。
故に、妖怪から目を逸らす。
名をつけ、想像し、理解した気になる。
それは生き残る為に必要な行為だ。
避けるべきものを知らない訳じゃない。
恐怖も知識も持ったうえで妖怪と同じ目線で妖怪を見る。
妖怪の本質に触れることが出来る
(別に全ての妖怪に対してそうする訳では無いがのう。必要とあれば意図的に目を逸らす事くらいはするぞ)
それは当然だろう。
どうしても人間と相容れない妖怪というのは存在するのだから。
それでも、
とはいえ、よくもまぁ
朱に交われば赤くなる。
ここまで妖怪に深く触れ続けていれば、知らず知らずのうちに妖怪変化となり果てていてもおかしく無いのに。
もしかして、君が防いでいたりするのかい?
(
無意識に?
(
人間としての
(そうじゃ。大抵の妖怪は魅入る前は人間の一人としてしか見んし、魅入ったら魅入ったで陽宮尊としか見んからな。自分で言うのもあれじゃが、両方の在り方を見れる妖怪は実は希少なんじゃよ。お主が人間としての『マヨイガの主』をタケルに求めたことで、
あれ、そういう事だったの?
単純に仲の良さの問題かと。
(それも間違ってはおらんがな。懐に入れてもいいと思う程仲が深まったという事じゃし。そもそも意識して言葉使いを変える基準を決めている訳ではないからのぅ。本人的には何となくこちらの言葉使いの方がいいかなと思った程度じゃろ)
そっか。
ただでさえ異世界と現世の両方で神名を持つ人間という得難い相手なのに、
(……タケルの
いや、別にそういうのじゃないから。
(ならよいがな)
(話の本筋からは外れるんじゃが念のため誤解ないように言っておくと、儂もミコトもタケルが妖怪変化となるならそれはそれでと思っとるからの。人間であると見る事と、人間であって欲しいと望むことはまた別の話しという事じゃ)
あ、そうなんだ。