精霊術師と乙女剣士の異世界旅   作:孤独なバカ

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プロローグ

「……お前、また徹夜か?」

 

俺は栄養ドリンクを友達の南雲ハジメことハジメに渡すと少し呆れてしまう。

 

「うん。少しお父さんの仕事手伝っててさ」

「あ~、プログラム組んでいたのか。お前学生なんだから少しは休めよ」

「そういうケンこそ瞼にクマできているよ」

 

ハジメが心配そうにしているけど。

 

「俺も締め切りがちょっと近くて」

「……それ先週も言っていなかった?」

「前は親父と母さんの漫画の方。小説のプロットの締め切りは今週中」

 

と俺の両親は二人とも漫画家であり、それぞれ少年誌と少女漫画の連載を雑誌で行っている。

遺伝なのかわからないが俺は一応小説家としてデビューしており、連載を抱えてはないのだが結構売れていて、印税が十分取れる程度には売れている。その為、中2のときから年に2本ペースで本を出しているのだ。

 

「……ったく。ふぁ〜」

 

俺も自分のカバンから栄養ドリンクを飲む。

もう何度もクラスで見慣れたのであろうからもう誰も突っ込むことはない。

眠さで死にかけているが。

すると俺の隣で大きな声で

 

「南雲くん、おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒が呼び出す。

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

「……白崎、俺は無視かよ」

「あっ、ごめん。渋谷くんもおはよう」

「おはようさん」

 

俺は呆れながらに呟くと、頭痛と胃痛で全身が悲鳴を上げている。

白崎香織。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。そしてハジメを好きな少女だ。

元々俺とハジメは正直なところ関わる奴が少ない。

俺は正直なところ普通の少年で、よく目に隈ができていることが多いからか、怖がれることが多い。

といっても暴力沙汰どころか、俺未だに喧嘩すらしたことないんだけどなぁ。

その評価に傷つくけど、実際流れている噂だしなぁ。

まぁ体育の成績は滅法いいし、昔空手をやっていたことも関係しているのだと思うのだけど。

ハジメはオタクと呼ばれる分類にあたる。結構前におばあさんを助けた時に仲良くなったのがきっかけだった。

 

「渋谷くん。南雲君。おはよう。毎日大変ね」

「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

「……」

 

すると三人の男女が近寄って来た。八重樫雫、天之河光輝、坂上龍之介が俺の前にやってくる。

 

「……なぁ。俺って影薄いのか?」

「いえ。そんなことないと思うけど。本当に三人がごめんなさい」

「……別にいいけどさぁ」

 

俺はため息を吐く。

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか?いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

「……はぁ」

 

俺はため息を吐く。心底面倒くさい。

 

「ハジメ、コーヒー買いにいくけどお前も行くか?眠気覚しにはちょうどいいだろ?」

「あっ。うん」

「ちょっと渋谷くん」

「後は任せた。今度なんか奢る」

「えぇ、イチゴミルクでいいわ」

「……了解」

 

俺とハジメは席を立ち、教室を出る。始業は遅刻になるけどこれがいつもの日常だった。

 

「それでなんだけど」

「あのー、なんで毎回毎回俺の席で食べるんですかね?」

 

俺は昼休み八重樫と谷口、そして白崎と一緒に飯を食っていた。

 

「そういえばイチゴミルク」

「はいよ。お前らもこれでよかったよな?」

「うん。でもいいの?」

「臨時収入入ったからな。さすがに眠いけど」

「わ〜い、ありがと」

 

とイチゴミルクをとると飲み始める谷口。

 

「そういや、ほら白崎。ハジメのおすすめのラノベ。新刊読み終わったから。後から返せよ」

「うん。ありがとう」

「あなたって本当にお人好しがすぎるわよね」

「お前にだけは言われたくない」

 

俺はため息をつく。まぁ両親が昔から家事をしない分慣れている。

俺の両親は生まれつき

 

「はぁ、でもなんとかならんのか?」

「「無理」」

 

谷口と八重樫が同時に断言した。

 

「昔からあぁだから」

「思い込みが激しいってかなり面倒ってあれ?白崎は?」

 

俺たちが話しているうちにどこかいなくなっていた。

 

「南雲くん。珍しいね、教室にいるの。お弁当?よかったら一緒にどうかな?」

「……お前、あの突撃娘なんとかしろよ」

「ちょっと無茶言わないで。あぁなった香織は止められないわよ」

「あいつをモデルにして一本小説書いてみようかな。『突撃恋娘』って感じの」

 

案外面白そうだと少し苦笑してしまう。

おとなしげな少年が天然ボケの入っている少女が

 

「……ほどほどにしなよ」

「渋谷くんが書いた本、面白いから鈴は買うよ」

「私も買うけど」

「……読者がクラスメイトっていうのもなんだかなぁ。読んでくれてるのは嬉しいけど」

 

と少し頰を掻く。何というか照れ臭い。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く天之河にキョトンとする白崎。

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

「ブフッ」

「「プッ」」

 

俺と八重樫は笑いをこらえきれずに吹き出してしまう。

もうそろそろ止めるかと思った矢先で俺は凍りついた。

目の前、天之河の足元に純白に光り輝く魔法陣みたいなものがあったのだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように注視する。その魔法陣は徐々に輝きを増していき、既に教室全体が魔法陣の範囲に入っている

 

「みんな教室から出ろ!」

「皆!教室から出て!」

 

担任の愛子先生が警告を発したのと同時に魔法陣がさらに光が強くなり。

そして俺たちは光の中に消えていった。

 

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