「……はぁ。こんなに時間をとることになるとは」
「命をかけているんだから仕方ないでしょ?でもどう?」
「……正直微妙じゃね?下心があるって気がするんだけど」
既に元々風の精霊も含め何百人?も見てきたのだが俺もこれだっていう人がいなかった
「そうね。でもどうするのよ結局は誰かを選んで契約しないといけないのでしょ?」
「そうだな………ってん?」
「どうしたの……って珍しいわね。」
と俺と八重樫は一つの白色と一つの緑色の光、即ち、精霊を見つける。
「ありゃ?迷ったのか?初顔だな」
「へ?まだ見ていない妖精さんがいたの?ってなんで分かるのよ」
「魔力の大きさや質で基本的に判別つくんだよ。魔力感知の派生だな」
実際魔力操作でどれくらいの大きさになるのかが分かるのだよ
「ってことはつまり?」
「俺たちの契約をあまり好意的に思っていない精霊ってことじゃないのか?」
「……そう。」
少し寂しそうな八重樫こいつ精霊から嫌われるのをかなり嫌がっているよな
やっぱり憧れに嫌われるのは嫌なのか
「どうした?道に迷ったか?」
と俺は精霊語を言語理解で使いながら精霊に話かける。
すると精霊の二人は少し驚いたようにふわふわと漂っている
『本当に私たちのことが分かるの?』
「分からないとこの里に呼ばれてないだろ?道に迷ったんなら送っていくが?」
『……』
精霊二人は黙り込む。何か言いたくないような。いや恐らくこういう態度をとってもらったことがないことだろう
『お兄さんは気づいているんでしょ?』
「ん?」
『……魔力が見えるのなら僕たちが少しおかしい個体ってことが分かるんじゃないの』
すると風の精霊が少し暗い。それも自暴自棄に似た言葉に少し目を伏せる
「下位精霊なのに魔力を持っていることか?」
『……』
無言は肯定だろう。
するとさっきまでおちこんでいた八重樫が手をあげる
「そういえば、なんで精霊って中位以上になると魔力を持つようになるのかしら?」
「それはステータス共有が関係しているんだよ。即ち契約している精霊にも元々の人間の能力が上乗せされる。だからステータス共有っていうんだよ。」
「それじゃあ私たちが二人と契約すればその魔力も上書きされるってこと。」
「まぁな。俺にとったら魔力操作が手に入る可能性があるからそういう精霊を探していたっていうのもあるんだけど」
精霊のことは3日間のうちにおさらい済みだ。特に魔法関連は俺の役割なので覚えたのだ
八重樫に説明しているとき何を不思議に思ったのか二人の精霊は首を傾げる
『二人は僕たちのこと気持ち悪くないのかい?」
「ん?なんで?」
『魔物と同じく魔力操作を持っているの』
「いや。俺はそういうことよりここから出ることが目的だし。元々地球って世界から来たからそういう概念持ってないんだよなぁ」
「私もよく分からないことは多いわね。魔力を持っていないだけで獣人族が差別されたりしているのは。」
すると精霊はフワフワと浮かぶ
『本当?』
「本当だし、それよりも今日の我が身だろ。いつ死ぬか分からないのにここにいるのはさすがにちょっとな」
……ここ隠蔽効果があるから気づいていないけど普通に上にドラゴンが飛んでいるのは正直生きてる心地がしないんだよ
『僕たちのことを嫌ったりしない?』
「しないに決まっているじゃない」
『なら契約したいの!!』
すると白い光の球が俺の周辺を回り始める
緑の光の球はフワフワと俺の体に近づいてくる
「へ?」
『僕もお願いしていいかな?』
「……いいの?」
『僕は見る目が確かな方だと思うんだ。二人が嘘をついていないだろう』
「……俺は嘘はついてないと思ったけど、八重樫は?」
「私はいいわよ。でも名前ってどうするのかしら?」
「付けるだけでいいって聞いたからな。……う〜ん。でもなるべくシンプルかつお互いの世界で通用する名前の方がいいよな?」
そう考えると一つだけ安直だけど閃いた
「ハナとフウカはどうだ?」
「ハナとフウカ?」
「ハナはシンプルに草花の花って字を書いてハナ。命の精霊の方な。フウカは風の香りってことで風香。一応こっちの世界だけではなくて地球に通用するだろ?まぁシンプルに自分が書いた登場人物の名前から取ったんだけど」
「安直すぎない?」
「そうか?俺結構可愛い名前だと思ったんだけど」
『私はハナがいいの!!』
くるくる回転するハナ。すると急に俺を中心に魔法陣が刻まれる
「えっ?」
魔力が膨大に吸い取られていき四人を包むように魔法陣が展開されていく
そして、四人の魔力が一つに結びつき白い魔力に変化し膨大に増加する。
二人の精霊にも変化があった。魔力によって形を変化していく
ハナの姿は白い光が包まれ、人間体になっていく。いや人間の形になってはいるが地球では狐の耳と言っても過言ではないだろう。黄色い耳の位置が上になっており尻尾までついている。
反対にフウカは白い肌をした美人と呼べる姿に変わっていく。耳は尖っていることから恐らく森人族に似せているのだろう
そして俺にも変化があった。白い光に包まれると。体が妙に軽くなり少し視点が高くなった気がする。
魔力の流れが自分を包み込むと全ての光が俺に集結しそしてもう一度大きく輝いた
光が収まりすると俺を含めた二人、いや四人が顔を見合わせる
しかし、俺は一つおかしなことが点がいくつも見受けられた
体がめちゃくちゃ軽くなり空気と体に同じ雰囲気の流れがあることが分かる。
そして八重樫が俺を見ると少し驚いたようにしている
「……とりあえず成功なのか?」
「そうじゃない?」
「ん?八重樫?なんで目をそらしているんだ?」
すると横に逸らしながら俺と目を合わせないようにしている八重樫の姿がいた。
「ちょ、ちょっと待って。……もう少し待ってくれない?」
「ん。いいけどっていうよりステータスっと」
俺はそうやってステータスプレートを開く。
渋谷健太 17歳 男 レベル:30
天職 精霊術師
筋力 3218
体力 4218
耐性 3000
敏捷 12190
魔力 61201
魔耐 18210
技能 精霊術・剣術・縮地 全属性適性【+光属性効果上昇】【+闇属性効果上昇】【+氷性効果上昇】・気配感知・魔力操作・複合魔法・高速魔力回復[+瞑想]・複数契約・契約精霊強化・契約魔力減少・魔力感知・先読・無詠唱・消費魔力軽減・魔法威力増加・再生・家族の絆・家事【+料理の達人】【+洗濯】【+掃除】・世界樹の加護・言語理解
「は?」
俺はステータスをポカーンとみてしまう
いや。そこそこ予想はしていたぞ?でも中位精霊でこれか?
俺たちのステータスは基本的に数百、いやそれ以上の上昇率を持っているはずなのだ。
これユカリのステータスってどれくらいなんだよ。
恐らく俺たち以上に強いことは確実。
……敵対しないようにしないとな
「……えっ?……何よこれ。」
「ん?八重樫も見たのかステータス。」
銀色のプレートを持った八重樫を見る
「えぇ。でも魔法適正はやっぱり引き継げないらしいわね。全ステータスで3000以上、俊敏に限ったら一万を超えているわ。」
「……ん?ちょっと待て?俺と八重樫のステータスで少し変化点があるのか?」
「えっ?」
俺はステータスを見せるとすると絶句する
「……ちょっと何よ。魔力の数値。」
「魔力に関することは賢者だったころも含めかなり成長しやすいし属性とかも関係あるのか?ハナとフウカは何か知っているか?」
「「……」」
すると二人はお互いに自分を見ていた。そしてハナとフウカと言われると俺の方を見る
「……あれ?どうした?」
「えっと。嘘みたいだと思ってね。……本当に契約できると思ってなかったから」
「そう?体調が悪いところとかないかしら」
「大丈夫だよ。ママ。ハナは元気いっぱいだから!!」
すると八重樫の笑顔が固まる
俺も少しだけ吹き出してしまう。さっきのやりとり完全に母親と娘の会話って思っていたのもあったからその影響だと思っていたからだ。
「笑っているところだけどあなたも人ごとじゃないわよ。実際あなたたちは二人の父親と母親なのだから。」
「……ん?ってユカリか?」
もはやいつの間にか現れるユカリに少しだけ慣れてきたので少しだけ驚くがもはやリアクションは取らなくなっていた。
「どういうことかしら。」
「元々下位精霊は実体がないって言っていたでしょ?即ち、あなたたちが妖精と呼んでいた下位精霊は本当に幻なのよ。見える人には見える、見えない人には全く見えない。即ち霊体と全く同じことなのよ。契約することによってこれで本当に生命が生まれる。精霊族として認められるってわけなのよ」
即ち俺と八重樫が生み出した生命体だからこそ父親と母親になるってことか
「ということは基本的に精霊族は死なないって言っていたのは。」
「それは本当よ。中位精霊にはほとんど寿命がない。一度魔力体に入れたものなら契約者も含め寿命がなくなるというよりも年齢を取らなくなるわ」
「……へ?」
それは聞いていなかったことだ。
「さらにあなたたちは再生を持っているでしょ?ハナの技能なんだけどこの子は少し特殊なのよ。」
「特殊ですか?」
「えぇ。……聞いてないの?」
「聞いてないというよりもなんとなく信用できるかできないかで契約したので」
「……その判断が間違っていないのが面白いわね。えぇ。その子は固有技能の再生を持っているのよ。普通なら精霊は毒物など状態異常が効かないのよ。だから唯一の死因に戦闘死があるわけ。でもその子の場合は受けた傷が全て回復してしまうのよ」
その意味は即ち本当に不老不死ということになる。
「でも契約者がここにはいないんですが。」
「当たり前よ。私も数万年生きてきて初めて精霊と本当に契約した人を見たのだから」
「それって……」
「腹黒すぎるだろ。精霊族。」
協力はしてあげる。ただ実際に契約できる可能性はほとんどないってことか
でもとユカリは心配しない
「運命視であなたたちが契約できる可能性はかなり高い方だったわ。二人とも契約できそうになかったら私が契約しようと思っていたから、それとも二人がとったのは最善策。二人は私よりもあなたたちの救いになってくれるわ」
「…全てあんたに転がされていた気がするんだが……」
「あら、じゃあ契約解除するの?」
分かっている口調に俺は小さく息を吐く
「するわけないでしょ?」
「そうだな。何がともあれ二人は娘なんだろ?……家族や仲間を見捨てるなんてできるわけがないだろうしな」
「……ふふ。そうね。それなら精々あがきなさい。それがあなた達が望むべき姿なのから」
とユカリは笑う。その笑みが意味することとなる地獄は翌日思う存分味わうこととなる