精霊術師と乙女剣士の異世界旅   作:孤独なバカ

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ステータス

ジリジリとアラームが聞こえ、俺は目が覚める

 

「ん?ここは?」

「あら?やっと起きたのかしら。」

 

するとクスクス笑っている八重樫の声が聞こえたような気がする。

夢なのかっと少しボーッとしていると少しずつ昨夜の記憶が蘇ってくる。

そういえば昨日異世界転移があってその説明のあとに八重樫の部屋に向かって八重樫と甘やかしていたら泣き疲れて八重樫が寝てしまったんだっけ?

そして抱きつかれているから帰ろうにも帰れずしばらく困ったけどさすがに色々なことが積み重なって眠くなったのでアラームだけかけてそのまま寝ちゃったのか

 

「おはよ〜。八重樫」

「えぇ、おはよう。渋谷くん」

 

と挨拶するのだが、軽く頰を赤く染めていたので昨日のことを思い出したのだろう。

……つーか自分でも結構甘い言葉を言ったことから少し恥ずかしいんだけど

まぁ八重樫の顔がすっきりしたからな。恥ずかしい言葉を言ったことだけで済んで良かったと思うか。

 

「そういや。渋谷くんはどうするの?この後、制服で朝食向かうのかしら?」

「……そうだな。俺はそうするつもりだったんだけど。服が少しダメそうだからな。少し変えてからいく」

「えっ?」

 

俺の服は涙や鼻水でぐじゃぐじゃで、さすがに着替えないと気持ち悪い。美少女の鼻水はご褒美ですとかいう変態ではないからさすがに着替えないといけないだろう。

 

「まぁ、だからこそ朝早くに起きたんだけど、一回戻る。それじゃあまた後で」

「えぇ。後、お願いがあるのだけど」

「ん?」

「朝食一緒に食べないかしら、いつものように」

 

すると八重樫のお願いに俺は少し考え

 

「それくらいならいつでもいいさ。それじゃあまた後でな」

「えぇ、それじゃあまた後で」

 

といい俺は朝早くの王宮を急いで自分の部屋に戻ることになったのであった。

 

 

 

朝食後俺たちは早速訓練と座学が始まった。

まず、集まった俺達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートはステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

と俺は簡単なメモを取り始める。

 

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

俺は首を傾げる。するといわゆる現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだと説明を受ける。

そして俺は感覚的にこの人は信用出来る人物だと判断した。

ちゃんと一人一人の疑問点を答え、説明してくれる。

そして俺は針を指に刺し、そして血を擦りつけると表を見る。

 

 

渋谷健太 16歳 男 レベル:1

天職 賢者

筋力 50

体力 50

耐性 50

敏捷 30

魔力 1000

魔耐 50

 

技能 全属性適性・複合魔法・高速魔力回復・魔力感知・無詠唱・消費魔力軽減・魔法威力増加・家事【+料理】【+洗濯】【+掃除】・言語理解

 

なんというか基準値はわからないけど、魔力の数値がいかれているのが分かる。

 

「全員見られたか?説明するぞ?まず、最初に〝レベル〟があるだろう?それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

てかこれじゃ完全に魔法使いの技能だからなぁ。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

 メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう?それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

なるほどな本当に家事以外は完全に魔法使いよりのスキルなんだなぁ。まぁ家事については俺の両親は両方苦手だから俺がやっているからだろうけど。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

「ぶほぉ!」

 

俺は吹いてしまう。するとみんなから見られるが関係ない。

これからステータスを見せないといけないのかと思うと、つい吹いてしまったのだ。

 

「どうした?」

「いや、の、喉に詰まって、なんでもないです。」

 

俺はステータスプレートを隠す。

明らかに俺はどうしようか悩み始めるのだが

 

「どうしたの?」

 

すると隣の席の谷口が聞いてくる。

俺はステータスを開き、机の下に見せる。

すると谷口は俺のステータスを見た途端

 

「……」

 

ぽかーんと口を開けると、谷口は俺を見る。

 

「……えっ?何このステータス」

「バグってないよな?」

「バグってると思うよ」

「そういえば谷口は?」

 

と俺が見た谷口のステータスは30〜70くらいに収まっており、天職は結界師だった。

 

「なんとも普通なステータス……ツッコミどころがねぇ」

「鈴思うんだけど、渋谷くんって鈴に面白さを求めてない?」

「えっ?お前、愛子先生と同じ枠じゃないの?」

「失礼な!!」

「ちょっと渋谷くん、谷口さんどういうことですか!!」

 

すると笑いが起こる。

 

「えっと。それじゃあ渋谷だったか?ステータスを見せてくれないか?」

「……はい」

 

俺はプレートを渡す。するとメルド団長が固まった。

しばらくステータスプレートをじっとみて、ただ俺とステータスを見回す。

 

「……凄いな。レベル1から魔力が4桁。それも全てのステータスで平均以上で天職が賢者か。賢者というのは聞いたことがないが」

「……賢者っていうのは俺たちの世界の書籍には魔法使いの頂点にある役職の一つです。魔法特化の天職なのは間違えないと思います。元々勇者と対抗できる人物をあげられると職業は賢者になりますから」

 

冷静な分析を挙げるとするとメルドさんの顔が引き攣る。

恐らく誰も、いやハジメしか気づいていないだろう。

俺の言葉の意味を理解した人は

そして今度は天之河の番になると

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 

天職:勇者

 

筋力:100

 

体力:100

 

耐性:100

 

敏捷:100

 

魔力:100

 

魔耐:100

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

なんとも返答に困る結果だ。メルドさんも嬉しいことは嬉しいが、俺という問題がいることで不安につながるのだから。

この時点で勇者の天之河が賢者の俺よりもステータス上は弱いことが確定したのだから。

そしてハジメの番になるとその団長の表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。

檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

「あのな。非戦闘系なら戦わなければいいだけだろうが。そんな当たり前のことも分からないの?」

 

俺はそういうと檜山が睨みつけてくるがあっさりとしすぎている。

 

「武器の手入れに新武器の開発などいろいろできることがあるだろうが。バカか?バカなのか?あっ、ごめん。バカだったな」

「てめぇ」

「…こらー!喧嘩は止めなさい!」

 

すると愛子先生が止めに入る。まぁこれを予測しての挑発なんだが。

 

「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。南雲君は一人じゃありませんからね!」

「……今ほとんどって言ったよな。つまり平均以上のものがあるんじゃ」

 

俺の疑問に谷口は小さく「あっ」と呟く。

俺もこっそりのぞいてみると

 

畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

 

「生産チートじゃねーか」

 

俺のツッコミにクラスメイトがハジメを同情してしまう。そしてハジメは目が死んでいた。

 

「あれっ、どうしたんですか! 南雲君!」

 

とハジメをガクガク揺さぶる愛子先生。

確かに全体のステータスは低いし、非戦系天職だろうことは一目でわかるのだが……魔力だけなら勇者に匹敵しており、技能数なら超えている。糧食問題は戦争には付きものだ。

一人じゃないかもと期待したハジメのダメージは深い。

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね……」

「な、南雲くん!大丈夫!?」

「ごめん谷口。あれは先生にしかできないな」

「うん。南雲くんがかわいそうだよ」

 

空回りをしている愛子先生を尻目に俺はため息を吐く。

ハジメの不幸はまだ始まったばかりである。

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