精霊術師と乙女剣士の異世界旅   作:孤独なバカ

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助け合う

訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルド団長は野太い声で告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

という声から3日が経ち今俺たちは宿場町【ホルアド】に到着した。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。

 

「そういえばあなた何みているのよ。」

 

今俺は八重樫の部屋にいるというのもあれから甘える頻度が高くなり世間話や王宮を見て回ってり、リリィと呼ばれる王国のお姫様と話したり、恐らくハジメ以上に異世界に入ってからはべったりだ。

 

「ん?これ。」

「えっと?魔物図鑑?」

「あぁ。明日の演出の魔物の特徴とかを頭に入れているんだよ。例えばこのロックマウントは咆哮でスタンする攻撃を持っていて味方を投げて後衛に襲ってくることがあるからな。俺は後衛だけど飛んでくる可能性がある。気持ち悪いから女子が詠唱を放棄する可能性を含めて弱点の氷属性の攻撃をするとかそういった前準備だな。ハジメも同じものを部屋で読んでたぞ?」

 

オルクスの大迷宮の予習というべきものだ。こういったことは欠かさないのが生き残ることにつながるだろう。

キョトンと八重樫はしている。そして少し苦笑したようにしていた

 

「そう。やっぱり南雲くんと渋谷くんはしっかりしているわね。私も見せてもらっていいかしら。」

「別にいいぞ」

「えぇ、ありがとう」

 

と真横から覗き込んでくる八重樫。だけど妙に柔らかいものが俺の右腕に当たると少しドキッとしてしまう

最近八重樫の距離が近すぎる

どれくらい近いのかというとボディタッチが明らかに多いのだ

白崎に最近渋谷くんと仲良すぎないと言われるくらいには一緒にいる時間が多い。

ご飯は毎回のように一緒に食べているし、明日のパーティーも訓練の連携もほとんど八重樫と訓練を続けている

しかも八重樫がそれを認めているのでちょっと白崎からも少し寂しそうだ

でも最近は白崎にもべったりな気がしている

白崎と街外に出てきたとか色々の話を夜に話してくる。着せ替え人形にされたとか色々愚痴を話しているのに笑顔である。

実際いい気分転換になっているのだろう

 

「……」

 

気持ちに気づいてないわけじゃない。というよりも俺ですら分かっているのだ。今の八重樫がただ甘えているだけではないってことに

俺と八重樫の唯一の違いを挙げるなら現実主義者とロマンティストであることだろう。

俺の物語は基本的に取材から面白いネタを傍聴して使っており基本的に恋愛や部活動が主体のものが多く基本的に現実味がある作品が多い。

まぁ基本的にGOODENDで終わるのだが不幸になる登場人物も多いのだ。

その不幸な人物も基本的にはいいキャラなので主人公よりもモブの方が人気なのだが。

まぁそれを嫌がらない時点で俺の気持ちも整理はついているんだろうけど

 

「そういえば。八重樫。白崎は?」

「香織?香織なら南雲くんの部屋にいるはずだけど?」

「……あ〜。それなら少し長くなりそうだな」

 

俺は小さく苦笑してしまう。あの二人は意外と話すときはきちんと話すのだ。

まぁ俺が小さく助言してあげたこともあるのだが、それでも昔とは違い少し香織のアシストをしていた。

 

「……ふぅ。あの二人さっさとくっつけばいいのに」

「……えっ?それって」

「ハジメも白崎のことを好意的に思っていることは確かだと思うぞ。あいつ一度白崎のことに聞いたことがあるけど自分の評価が低すぎることばっかりだからな。何が原因なのかは分からないけど。結局後悔だけはしたらダメだと思うしな」

 

俺もハジメも恋愛に関しては奥手だ。お互いに理解はしている。理解しているけどそれは自己評価が低いのだ、

俺だって自己評価が低いってハジメによく言われている。そうなのかもしれない。でもそんな度胸は今はない。

 

「……」

 

少しだけ隣の八重樫を見る。この少女の力になれるのだろうか?俺は八重樫に甘えているのだろうか?

不安ばかりが募っていく。

俺にとって大切な人たち

それを守れる強さがあるのだろうか?

 

「……主人公なら白崎かハジメだよなぁ。」

「……いったい急に何を言いだすのよ。」

「いや。なんとなくこの世界が物語だったらって思ってな。俺の立ち位置見たいなもの考えていたんだよ。」

「主人公がハジメくん?光輝じゃないの?」

「ハジメだろ。どう考えてもヒロインがいて鈍感で友達キャラがいる。しかも一人だけ非戦闘職であるんだぞ?なんか覚醒イベントとかが起こりそうな展開だろ。」

 

するとキョトンとしてから確かにと笑う。ハジメの影響で白崎がラノベの文化を触れているので自然とそういう知識がついているのだろう。

 

「まぁ俺は友人キャラか。主人公の味方で天之河がハジメと対比させるのにはぴったりだろ?」

「……それじゃあ私はどういう登場人物なのよ。」

「ん〜ヒロインの友達キャラって色々設定的にはかなりあるからな。例えば主人公のヒロイン昇格とか、ハーレム仲間に入ったりそれとも主人公とヒロインの取り持って一番人気キャラにのし上がったり。それかまたまたライバルキャラとくっついたり色々なルートがあるんだよ。まぁ作者的にいえば、一番動かせやすいキャラになるんじゃないか?」

 

実際ヒロインの友達キャラというのは色々な立ち回りがある。ヒロインの友達枠っていうのは作家的に動かしやすいキャラであることには違いない

俺が書く作品は必ずヒロインが一人ボッチになることはない。

いつも動かしやすいキャラとして一人は置いておく。

 

「そう。それなら主人公の親友とヒロインの親友が付き合うことってあるのかしら。」

「……物語的にはありふれているな。ニセコイとかがそうじゃなかったか?」

「漫画もあなた読むのね?」

「まぁな。まぁ俺の作風からいうに恋愛物ばっかりだけど。結構小説でも多いんじゃないか?ベタな展開になるのだけどそれでも俺は結構好きな展開だな。」

 

脇役が結構好きな俺にとって実は主人公の話より引き立て役に力を入れてしまう俺に担当者も少し呆れているんだが。

 

「でも、そう言うありきたりの展開も嫌いじゃない。絶対に俺は書かないけどな。」

「書かないの?」

「書かないな。書いたら絶対にそっちが主人公になるから」

「……あなたどれほど友人キャラに力入れているのよ」

 

呆れ顔の八重樫。それに苦笑してしまう

 

「それに物語にしたら現実味がないだろ?」

「それあなたがいうかしら。」

「物語は人を楽しませたり面白いって思うことだから、ノンフィクションでも嘘みたいな物語なんだ。まぁ異世界召喚ってただでさえ現実味が少ないし恋愛くらい普通にできたらいいなって思っているのもあるんだけどな。」

「……でも物語のような恋愛って素敵じゃない?」

「それは同感。でも俺に任せてそこに行けとか俺が君を守るよとかあんまり好きじゃないんだよな」

 

俺がそういうと不満そうな八重樫。

 

「あら?でも男の子にそう言われるのが夢な女子もいるわよ。」

「確かにそうだけどそれでも男子でも好きな人と協力して生きて生きたいって思うんじゃないか?結婚式でもよく言うじゃん『健やかなる時も 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときもこれを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?』ってだから助けるってよりも助け合うって言う方がロマンチックな気がするんだけど」

「……」

 

すると八重樫は少しきょとんとする。俺はそして一呼吸おく。ここからはほぼ自分の気持ちを伝えるために誘導させてもらった

 

「それに助けるって一方的だと命をかけてでも助けたい人ができたからな。だけど告白も何もできていないから死ぬわけにはいかないだろ?だから八重樫とお互いのことを助け合っていけたらいいと思っているんだけど」

「えっ?それって。」

 

すると八重樫が俺の方を見る。だけど俺は少し目をそらす。

顔が熱くて八重樫の顔が見れない

照れ臭くて。そして少し頰を書きながら

 

「今はまだ自信がないから。八重樫のことを守ってやれるほどの実力も力もない。だからちゃんと隣で、八重樫と一緒に地球に戻れたなら。あっちで告白したいんだ。だから少しの間待ってくれないか?この世界ではなくて地球で、八重樫が望むのならトータスでもいい。……でも全部解決した後地球に戻っても八重樫の隣で助け合って生きていきたい」

「……あのね。それ告白というよりプロポーズほとんど変わらないわよ。」

「お前が分かりすぎるんだよ。初日から態度変えすぎ。さすがに鈍感な俺でも気づく」

 

その一言で全てが察したのだろう。八重樫があたふたし始める

 

「だ、だって私こういうことはじめてだから……恋愛相談なんてどうすればいいなんて香織には話せなかったし」

 

顔を真っ赤に染め少し恥ずかしげにもじもじし始める八重樫。何この可愛い生き物。

照れている時が明らかに普段の義妹集団がどう見るのかなって思ってしまう

恐らく香織を見習ったんだろう。突撃してくる癖に恥じらいを持っている。

肉食系よりもたちが悪かった。勝てる筋書きが一切見つからなかった

いつの間にか一緒にいるのが当たり前になり、そしてそれを失うのが惜しくなっていった

 

「でも、渋谷くんも意外にロマンチストなのかしら」

「いや。違うだろ。だからこんな情けないこと言っているんだしな」

「でも……嬉しいのね。好きな人と両思いってわかるのって。」

 

もう隠そうとはしない。八重樫が隣に座って肩に体を預けている

白崎が帰ってくるまでの間ずっと心地よい雰囲気はお互いの体温をわかちあいながら穏やかな時を過ごした

ミュウについて

  • ハジメの娘
  • 主人公の娘
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