インフィニット・ストラトス 漆黒の獣   作:田舎野郎♂

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今更ですけど、戦闘シーンってやっぱり難しいです…



第34話 反撃の狼煙

「……一機は任せる」

 

「任せるって、悠斗は一人でやるつもり!?」

 

「その方がやりやすい、それに俺ではそいつの面倒は見切れない」

 

「えっ!? そりゃ無いだろ!?」

 

「……とにかく任せるぞ」

 

会話をやめ、目の前の無人機に集中する。

 

行くぞ、黒狼。

 

『主様の仰せのままに』

 

スラスターを最大出力で吹かせる。

 

開いていた距離を一気に詰め寄り、片方の無人機へと突っ込んだ。

 

そのまま展開している黒爪を横凪に振り抜いた。

 

「らぁっ!!」

 

振り抜かれた黒爪はスラスターを用いたバックステップで避けられ、無人機は近接ブレードを展開してそのまま肉薄して来た。

 

迫るブレードを黒爪で受け止めると火花が飛び散る。

 

一瞬の膠着状態、しかしそれはほんの一瞬で直ぐ様互いに近距離での攻防を繰り広げた。

 

黒爪を振るう、避けられる、ブレードを振るわれる、避ける、受け止められる、受け止める。

 

ほんの数秒にも満たない時間で数十にも及ぶ攻防を繰り広げるが、違和感を感じた。

 

……こいつ、さっきの奴よりも反応速度が速い?

 

個体差があるのかわからないが、明らかにさっき潰した奴よりもこいつの方が強い。

 

両腕の黒爪だけで無く、さっきの奴が反応出来ていなかった蹴りも、両足の黒爪の攻撃も見切られているかの様だ。

 

「ちっ……!」

 

決定打には及ばない、全ての攻撃がかする程度で防がれている事への苛立ちが募るが、何とか堪える。

 

感情的になれば、流されてしまえば、勝てるものも勝てない。

 

考えろ、こいつらがまだ知らない攻撃は……。

 

「お、らぁっ!!」

 

全力での大振りの一撃、案の定奴は身体を沈ませる事でその一撃を難なく避けた。

 

更には腕を振り抜いた事で無防備になった俺を見て好機と見たのか、ブレードを構えて迫って来る。

 

「掛かったな、間抜けが……!」

 

迫る無人機の土手っ腹目掛け、牙狼砲を高速展開。

 

零距離から、砲弾をぶち当てた。

 

勢い良く吹き飛ぶ無人機、だがこれで終わらせるつもりは無い。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で奴へと迫る。

 

しかし攻撃を繰り出される瞬間、奴は反応して俺に向けてブレードを振り抜こうと構えた。

 

それが、俺の待っていた瞬間だ。

 

黒爪の能力を解放、個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)と同じ軌道で奴の正面から背後へと移動する。

 

そのまま、背後から身体を貫いた。

 

「くたばれ……!」

 

貫いたまま、力付くで奴の身体を振り回しアリーナの壁へと叩き付け、追撃としてもう一方の腕の黒爪を突き刺してコアに当たる部分を貫いた。

 

一瞬の静寂、次の瞬間コアが破壊された事により無人機から上がるショートによる火花。

 

そのまま黒爪を引き抜くと、無人機は力無く倒れ伏した。

 

これで、二機目……鈴と織斑は……。

 

視線を無人機から後方へと移すのと、遠くで鈴と織斑が残る最後の無人機に吹き飛ばされたのは、ほぼ同時の事だった。

 

「っ!? クソが……!」

 

急ぎ、二人の元へと向かった。

 

 

 

 

 

「鈴! 織斑!」

 

「くっ……悠斗……!」

 

「ゆ、悠斗! あいつ、いきなりスピードが上がって……!」

 

いきなりスピードが上がった? おかしい、そんな事有り得るのか?

 

……待て、確かにさっきの奴は最初の一機より反応速度が上だった。

 

しかも俺の攻撃の大半を見切っていた様に見えた。

 

それが意味するもの、つまり……。

 

「……俺達のデータが、取られている?」

 

「な、何だよそれ!?」

 

「あくまで仮定の話だ。 だが最初の一機は正直雑魚だったが、さっきの奴は反応速度が速い上に攻撃の大半が防がれた。 そしてそいつを倒した瞬間最後に残ったさいつのスピードが上がった……なら可能性としてそう考えるのが妥当だろう」

 

「厄介ね……」

 

「……鈴、織斑、エネルギーはどれくらい残ってる?」

 

「……さっきの試合のままだから、もう四〇パーセントを切ってるわ」

「お、俺はもう二〇パーセント切ってる……」

 

厳しいな、織斑が戦力になるかは別として、鈴がまともに攻撃に参加出来ないのは。

 

俺はまだ半分以上残っているから問題は無いが。

 

「……鈴、短期決戦で仕留める。 俺が前衛で行くからお前には遠距離から支援して貰いたい」

 

「わかったわ、悪いけど任せるわね」

 

「悠斗! 俺は!?」

 

「シールドエネルギーの無い奴は黙って下がってろ、ISの無い状態であれの相手をすれば本当に死ぬぞ」

 

「だ、大丈夫だって! 俺だってまだ戦える! 二人に任せて俺だけ何もしない訳にはいかないだろ!? だから……!」

 

最早自棄になっている織斑、これは駄目だ。

 

「聞こえなかったか? 黙って、下がれ」

 

「ひっ!?」

 

睨み付ければ、織斑は怯えた様に固まった。

 

隣の鈴も俺を見て息を飲んでいる。

 

「そのエネルギー残量で奴の攻撃を受ければどうなるのかわからない筈が無いだろうが、お前は死にたいのか?」

 

「ち、違う……」

 

「……お前は束のお気に入りの一人、お前が死ねば束が悲しむんだよ。 俺は束のそんな姿は見たく無い……だから黙って下がってろ、下がらないならあいつより先にお前を力付くで黙らせるぞ?」

 

「……俺、は」

 

「……それに、お前は鈴との事があるだろうが、それなのにここでもしお前が死んだらどうする?」

 

そう伝えれば、織斑は悔しそうに歯を食い縛りながらも引き下がった。

 

このまま更にごねる様なら本気で力付くで気絶させてでも黙らせるつもりだったが、無駄なエネルギーを使わずに済んだな。

 

「……鈴、準備は良いか?」

 

「っ! う、うん! 行けるわ、頼んだわよ!」

 

「……あぁ、行くぞ」

 

黒爪を構え、前傾姿勢を取ると同時にスラスターが熱を帯びて行く。

 

短期決戦なら、出し惜しみはしていられない。

 

地面を蹴った瞬間、爆発的な加速で一気に奴へと肉薄した。

 

「おらぁっ!!」

 

振るった黒爪は空を切る。

 

奴は身体を反らすだけの最低限の動きで回避すると、そのまま手にしたブレードで反撃してくる。

 

黒爪の能力で空間を蹴り、勢い良く身体を捻りそれを回避。

 

その捻りを利用し脚部の爪を繰り出すが、奴の装甲を僅かに掠めるだけ。

 

そのまま更に空間を蹴り、逆脚と両腕と繰り出したが、何れも回避されるかブレードで防がれてしまう。

 

体勢を崩した俺に攻撃を仕掛けて来る無人機、それを黒爪で受け止めつつ牙狼砲を展開、零距離で砲弾を放ったのだがそれすらも回避される。

 

クソが……本当に厄介だ……。

 

攻撃がまともに入る気がしない、さっきまで使った戦術は全て対処されてしまう。

 

牽制として牙狼砲を撃ちながら一度距離を大きく取り、鈴の元へと下がる。

 

「おい鈴、何もしないが後衛がそれだと意味が無いぞ」

 

「ば、馬鹿言わないでよ……悠斗、あんた一体何者なのよ!? 今の動きに着いて行ける筈無いじゃない!?」

 

「……は?」

 

嘘だろ? なら鈴も織斑同様下がるしか無いのか?

 

奴を俺一人で、かなりキツいがこうなったらやるしか……。

 

 

 

 

いや、俺とした事が大事な事を忘れていた。

 

鈴が無理でも、心から信頼出来る後衛が俺にはいるだろうが。

 

「悠斗さん、大変お待たせしましたわ」

 

上空から掛けられた声、それと同時に俺の隣に蒼が降り立った。

 

「セシリア、他の生徒の避難は?」

 

「アリーナの全ての防護壁を破りました、集まっていた生徒の避難は済ませましたわ」

 

「……流石だな」

 

「ふふっ、大した事ではありません……それで、残りはあの一機ですの?」

 

「あぁ、最後に厄介な奴が残ったがセシリアが来たなら問題無い。 奴は恐らく先程まで倒した無人機を利用して俺達のデータを取っている様だ。 俺達の戦術は通用しないが、セシリアはまだ奴らと戦闘はしていないからデータが無い、鈴が後衛が出来ないらしいからセシリアに任せたいんだが……可能か?」

 

「悠斗さん、私を誰だと思っていますの? イギリスの代表候補生として、そして悠斗さんの恋人として、精一杯努めさせて頂きますわ」

 

「ふっ……そうだな、野暮な質問だった。 セシリア、任せるぞ」

 

「えぇ、任されましたわ」

 

レーザーライフルを構えつつ、六機のビットを全て稼働させて奴へと照準を合わせるセシリア。

 

……本当に、頼りになる。

 

「……行くぞ」

 

頼れる後衛がいる為に牙狼砲は収納させ、スラスターを最大出力で吹かして奴へと肉薄する。

 

そのまま黒爪を奴へと振り抜くが、先程と同様にブレードで防がれる。

 

防がれるのは百も承知だ、そのまま連激で黒爪を振るい続ける。

 

そして奴が反撃に応じ、ブレードを振るって来た為に黒爪で受け止める。

 

 

 

 

……そう見せ掛けて、そのまま攻撃を受け流した。

 

体勢を崩された無人機は直ぐ様スラスターを吹かして無理矢理体勢を整えながら俺にブレードを振るおうとして来たが、これが狙いだ。

 

迫るブレードを受け止めもせず、受け流しもせずに、俺はその場に身体を屈ませた。

 

それと同時に、狙い済ましたセシリアの狙撃が奴の右肩へと着弾した。

 

更に追撃で放たれる狙撃、やはりセシリアのデータは無い為か奴は完全に避ける事が出来ずに数発がまともに着弾する。

 

それにより体勢が崩れた所を狙う。

 

「らぁっ!!」

 

黒爪が、奴の左腕を捕らえた。

 

全力で振るった黒爪はそのまま奴の装甲を切り裂き、左腕が上空へと吹き飛んだ。

 

今が絶好のチャンス……ここで、決める……これで終わらせる。

 

 

 

 

 

 

『一夏!! 頑張れ!』

 

 

 

 

 

その、筈だった。

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