インフィニット・ストラトス 漆黒の獣   作:田舎野郎♂

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第43話 再会

「お待たせしました悠斗さん」

 

「大丈夫だ、別に待った訳じゃ無いからな」

 

あんな事件があったにも関わらず普段と変わらない、平和的に時間は過ぎて行き今日は月曜日。

 

普段であれば授業がある日だが、先週のクラス対抗戦が土日に掛けて行われた為に今日は振休となっている。

 

ちなみにクラス対抗戦の結果だが、後に機会を設けて試合はするらしいが実質中止の方向で話が纏まった。

 

何やら他の奴らがそれを聞いて絶望に崩れ落ちていたが、何があったのかはわからない。

 

 

いや、それはどうでも良いか。

 

今日は以前から約束していた鈴と織斑の友人の所に行く日、朝まで俺の部屋に一緒にいたセシリアが着替える為に自室へと戻って来た所だ。

 

いつも見ていた制服姿や寝間着姿とは違う、初めて見るセシリアの私服姿は美しいの言葉しか見付からなかった。

 

「……綺麗だ、とても似合っている」

 

「ふふっ、ありがとうございます、ですが悠斗さんもとても格好良いですわよ?」

 

「そう言われると、流石に恥ずかしいな」

 

「もう、悠斗さんはもっとご自分に自信を持って下さいまし」

 

そう言われてもな。

 

「では悠斗さん、行きましょう?」

 

「あぁ」

 

腕を組んで来るセシリア、ちなみに腕の包帯は既に取れている。

 

医療用ナノマシンとやらの性能はかなり高かった様で、既に腕には傷痕すら残っていない。

 

そのままセシリアと並んで、俺達は待ち合わせの場所である学園の校門前へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

「あぁもう……最早ツッコまないからね……」

 

校門前へとやって来ると既に鈴と織斑が先に待っており、鈴が俺達を見て開口一番にそんな事を言って来た。

 

さらにはその表情には呆れの色が浮かんでいる。

 

「それはどういう意味だ?」

 

「……何でも無いわよ、どうせ何言っても無駄なのはわかってるし」

 

「……よくわからないな」

 

変な奴だな、もう少しわかりやすく言って欲しいんだが。

 

 

「織斑さん、鈴さん、改めて今日はお誘い頂いてありがとうございます」

 

「いやいや、鈴と話してせっかくだから二人も一緒に連れて行こうって事になったからさ、それにこういうのって人数多い方が楽しいし」

 

「ふふっ……では今日はダブルデート、という事で宜しいですわね?」

 

「「デ、デートじゃない!」」

 

セシリアの言葉に鈴と織斑は互いに大声で否定し、そして視線を合わせると途端に頬を赤らめながら視線を逸らした。

 

……成る程、これなら時間の問題だな。

 

「と、とにかく! 集まったから行こうぜ!」

 

「ここから何で向かいますの?」

 

「電車で行くんだよ、そんなに遠くは無いから直ぐに着くんだけど、駅から少し歩くしなるべく混まない時間に行きたかったから少し早めに集まったんだ」

 

「わかりましたわ、では行きましょうか」

 

鈴と織斑が先頭で俺はセシリアと腕を組んだまま早速出発した。

 

時折鈴が恨めしそうに睨んで来ていたが、面倒だった為に無視した。

 

 

 

それから最寄り駅で電車に乗り、目的の駅で降りると初めて見る街並みが広がっている。

 

それほど活気のある訳では無いが、不思議と落ち着ける様な雰囲気だ。

 

「うわぁ! 懐かしい!」

 

駅から出て直ぐ、鈴ははしゃぎながら辺りを見渡していた。

 

そうか、鈴にとっては一年振りに帰って来た場所だろうからな。

 

「あの店まだ潰れて無かったの!? わっ、あそこのベンチ! よく学校の帰りに皆で駄弁ってたわよね!?」

 

興奮を隠せずにはしゃぐ鈴を、セシリアと織斑が微笑ましいものを見る様な目で見ている。

 

「鈴、そろそろ行こうぜ? 懐かしいのはわかるけど今日はあいつの所に行くんだし、外出申請出せばいつでも来れるだろ?」

 

「あ、ごめんごめん、つい懐かしくて……」

 

「ははっ、なら今度は二人で来ようぜ? 気持ちはわかるし、二人で懐かしの場所巡りしながら」

 

「えぅ!? ふ、二人で……?」

 

「あぁ! 良いだろ?」

 

「う、うん……」

 

二人のやり取りに、セシリアが心底嬉しそうに微笑みながら眺めている。

 

俺も鈴が嬉しそうで何よりだ。

 

そのまま二人で眺めていたが鈴が我に返って俺達に捲し立てて来た為、宥めつつも全員で歩き始めた。

 

 

 

 

 

「おーい! 一夏、鈴!」

 

そして歩き続ける事十数分後、前方から織斑と鈴を呼ぶ声が響いて来た。

 

視線を向ければ向こうから赤髪の男が此方へと駆け寄って来ている。

 

「弾! 久しぶりだな!」

 

同じく駆け出す織斑、そしてそのまま強く肩を組んで笑いあっていた。

 

「久しぶりだな! 元気してたか!?」

 

「それはこっちの台詞だっての! いきなりIS学園に入学しやがって!」

 

何とも楽しそうに会話をする二人、織斑と鈴から聞いてはいたが昔からの幼馴染みで親友であり、悪友と言っていた奴か。

 

そのまま会話が盛り上がっている二人の元に俺達も辿り着く。

 

「弾、久しぶりね」

 

「おぉ鈴! 帰って来てたんだな!? つか相変わらずちっこいな!」

 

「誰がちっこいよ!!」

 

「ぐほぉっ!?」

 

男の言葉に鈴が鋭い蹴りを喰らわせ、見事に腹部を急襲する。

 

蹴られた腹部を押さえながら踞る男に、セシリアが心配そうに駆け寄る。

 

「あ、あの、大丈夫ですの……?」

 

「げふ……だ、大丈夫大丈夫、俺の扱いなんていつもこんな感じだったから……って、うおおおおおおおっ!?」

 

顔を上げてセシリアを見た途端に突然大声を上げる男、思わずセシリアが肩を震わせ驚いていおり、傍にいた織斑も驚いているが何故か鈴だけは呆れた表情をしている。

 

「えっ、あ、あの……?」

 

「お、おい一夏、鈴! この金髪美人は一体!?」

 

「あぁ、紹介するよ、セシリア・オルコットさんと、その後ろにいるのが五十嵐悠斗、二人共俺のクラスメイトだ」

 

「初めまして、セシリア・オルコットですわ」

「五十嵐悠斗だ」

 

「お、おぉ! 五反田弾だ! 一夏と鈴の悪友って所だな! そ、それよりその……えっと、オルコットさん? 単刀直入に言わせて頂いても……」

 

「あ、弾? 馬鹿な事は言わない方が良いわよ? 悠斗に殺されるから」

 

「…………えっ?」

 

五反田と名乗った男がまるで壊れた機械の様な動きで俺を見て来る。

 

今の反応で何と無くは理解したが、恐らくはセシリアに一目惚れしたのであろう。

 

確かにセシリアは綺麗で一目惚れしてもおかしくは無いが……それは、許す事は出来ないな。

 

「えっ……あの、オルコットさん? も、もしかして……」

 

「はい、御生憎様ですが私の愛する方は世界で只一人、悠斗さんだけですので」

 

そう言って俺の首へ腕を回し、そのまま触れるだけのキスをしてくるセシリア。

 

呆然と目を点にする五反田、苦笑を浮かべながら五反田の肩へと手を置く織斑、呆れた様な表情で口元を歪ませる鈴。

 

「……そういう事だ、下手な発言はやめてくれ」

 

「……う、嘘だろおおおおおおっ!?」

 

五反田の悲鳴にも似た叫びが、辺りに響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

「いや、本当に悪い、つい興奮した……」

 

全員で目的の店へと歩いていると五反田がそんな謝罪の言葉を漏らした。

 

すっかり項垂れており、その背中はかなり小さく見える。

 

「えっと、悠斗って呼んで良いか?」

 

「あぁ、構わない」

 

「その、確か学校始まってまだ一ヶ月ぐらいしか経って無いのに、よくオルコットさんみたいな美人と付き合えたよな?」

 

「……まぁ、それは俺も思うが」

 

セシリアは俺の告白に同じ気持ちだと答えてくれたが、俺の様な素性も知らない奴の告白を貴族であるセシリアが受け入れてくれた事自体が奇跡に近いからな。

 

「もう悠斗さん? 例え出会ってからの日が浅くとも、私は悠斗さんに初めて出会ったあの日から惹かれていたんですのよ? とても強くて、私を守ってくれた優しく紳士的な姿に」

 

「そうか……ありがとうセシリア」

 

「ふふっ、例え何があろうとも悠斗さん以外に心が揺らぐ事なんて有り得ませんわ。 何度もお伝えしましたが、私はいつまでも悠斗さんと一緒にいたいのですから」

 

「セシリア……」

「悠斗さん……」

 

「はいはいはいはい、こんな道のど真ん中でイチャイチャしない」

 

セシリアと見つめ合っていると、鈴がそんな事を言いながら俺達の間に入って来た。

 

「どうしたんですの鈴さん?」

 

「どうしたも何も無いわよ、こんな往来の場所でイチャつかないでよ、一緒にいるのが恥ずかしくなってくるわ」

 

「恥ずかしいですか? 私はただ思った事を口にしただけですが……」

 

「ほらこれよ、無意識ほど恐いものは無いわよ、つうか悠斗も何か言いなさいよ……露骨に無視すんな! こら!」

 

一人騒ぐ鈴に無視を決め込めば更に捲し立てて来る。

 

俺達に何だかんだ言う前に自分が先ずは静かにするべきなんじゃないのか?

 

 

「……なぁ一夏、もしかして鈴の今のポジションって苦労人?」

 

「……多分、最近あんな感じでツッコミしてるとこしか見てない」

 

 

何やら織斑と五反田が俺達を見ながら小声で会話をしているが、上手く聞き取る事は出来なかった。

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