インフィニット・ストラトス 漆黒の獣   作:田舎野郎♂

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読んで頂いている皆様、明けましておめでとうございます(大遅刻)

かなり間が空いてしまった上に既に2月に入ってしまいましたが、今年も更新をしていくつもりですので宜しくお願い致します。




第65話 トーナメント開幕

デュノアが女であると知った件から数日、ついに迎えた学年別トーナメント。

 

アリーナの観客席には学園の全生徒、教員、更には各国からの有力者共が集まり満席となっている。

 

たかが学園の催しに大袈裟ではと思ったが、セシリアと鈴曰くこのIS学園は各国の代表候補生が多く在籍している上にまだ何処にも所属していない学生のスカウトも兼ねている為に当然との事。

 

つまり、まだ何処にも所属していない上に男でISが使える俺や織斑への注目度がかなり高いという事か……面倒だな。

 

 

 

「悠斗さん、頑張って下さいね」

 

隣から掛けられる声、その声に視線を観客席から隣へと移せばセシリアの姿が。

 

言われていた通り二日後には退院出来たセシリアだが、今回の学年別トーナメントには機体の完全修復が間に合わなかった為に参加出来ない。

 

しかしせめて俺と鈴のサポートをしたいと退院してから俺達の特訓にアドバイスをしてくれていた。

 

「あぁ、あいつに当たる前に負けるなんて無様な姿を晒すつもりは無いさ」

 

「悠斗さんなら大丈夫だと信じていますわ、ですが気を付けて下さい、もし悠斗さんに何かあったら私……」

 

「……大丈夫だ」

 

心配そうな表情を浮かべるセシリアの頬へと触れると、セシリアは俺の目を真っ直ぐに見つめて来る。

 

「セシリアに心配を掛けさせるつもりは無い、あいつにきっちりと借りを返してセシリアの元へと戻る……だから、そんな顔をしないでくれ」

 

「悠斗さん……」

 

頬へと触れる俺の手に、セシリアも自らの手を重ねて来る。

 

「セシリア……」

 

重なる視線そのままに、顔を近付けて行き……。

 

 

 

「待たんかああああああい!!」

 

 

 

俺とセシリアの間に割って入る小さな身体、仕方無く視線を落とすとまるで親の仇を見る様な鋭い目付きの鈴がいた。

 

「何だ鈴、邪魔をするな」

 

「邪魔じゃ無いわい! あんたら二人しかいない訳じゃ無いの! 私もここにいるの! ここに! 私も! い・る・の!!」

 

「……それは知っているが?」

「だって鈴さんは悠斗さんとペアですわよね?」

 

「当然の様に答えてるけどわかってるなら何で目の前でイチャイチャすんのよ!? 見てるこっちが恥ずかしいわ!」

 

「え……ですが、悠斗さんが目の前にいるんですのよ?」

 

「言い訳にもなって無いわよ! って、えっ? 悪気が……無い……?」

 

「悪気も何も、傍にセシリアがいるのなら触れ合いたいのは当然だろ?」

 

「え、何? 私が悪いの? ってかそれが当然なの? この世の摂理なの? いつからそんな摂理が存在したの?」

 

「ふふっ、愛する人とは常に共にいたい、傍にいるのなら触れ合いたい、それはこの世の摂理ですわ」

 

「あ、何か前にも似た様な事言われた気がする……って、そうじゃ無くて!? 私がいるのに目の前でイチャコラすんじゃ無いわよ!!」

 

「まぁまぁ鈴さん、落ち着いて下さいな」

 

「これが落ち着いていられるかー!! 大体あんた達はいつもいつも……あ、ちょっとセシリア今私話してるんだけど……」

 

「よしよし、大丈夫ですわ」

 

「あふぅ……」

 

騒ぐ鈴だったが、セシリアに頭を撫でられながら抱き締められると途端に大人しくなった。

 

全く、何がしたいんだこいつは。

 

「……あいつと当たるとすれば、三回戦か」

 

アリーナ内にある巨大なパネルに写し出されているトーナメント表を見れば、ボーデヴィッヒと当たるには二回勝ち進む必要がある。

 

しかも、二回戦目の相手は……織斑と、デュノア。

 

結局、織斑と直接試合をした事は無い為に記憶に残っているのはクラス代表を決める為のセシリアとの試合、そして途中までだが鈴とのクラス対抗戦。

 

だが、あれから織斑は毎日特訓を欠かさず行っている。

 

あいつは真面目な奴だ、きっとあの時の様な無様な戦いをする筈は無い、機体性能を把握し実力を付けている筈。

 

口角が勝手に吊り上がる。

 

最初の頃は適当に理由を付けて試合を放棄したが、今は織斑と戦う事に気分が高揚しているのだ。

 

友人であり強くなった織斑と戦いたい、己の実力を更に付ける為にも織斑には強くなっている事を期待している。

 

「うわ……ちょっと悠斗、何て顔してんのよ……」

 

「あ?」

 

「いや、今のあんた、まるで殺人鬼みたいな顔してたわ」

 

……そんなに酷い顔をしていたのか。

 

「そんな事ありませんわよ? 今の表情もとても素敵でしたわ……その、出来ればその表情で激しくして頂きたいのですが……夜に……」

 

「はっ? あ、いや……ぜ、善処する」

 

何日か前にもそんな事を言っていたが……いや、まぁ、セシリアが望む事ならば出来る限り叶えてやりたいが、具体的に何をどうすれば良いんだ……?

 

「だ~か~ら~! そういう事を人前で言わない! そういうのが他の娘とか先生達に聞かれたらどうすんのよ!? いや私の前なら良いって訳でも無いけども……って、あ、ちょっ……あふぅ」

 

またもや宥められる鈴を横目に、俺は再度トーナメント表へと視線を戻した。

 

恐らく織斑も俺と同じ考えを持っているんだろう、二回戦で俺達に勝てば、ボーデヴィッヒと戦う事が出来ると。

 

元よりボーデヴィッヒが目的だったのは織斑、それが原因でセシリアや他の生徒に対してあの問題を起こしたのだから。

 

……だが、織斑に奴を譲る気は微塵も無い。

 

セシリアに手を出した時点で、奴は俺の獲物なのだから。

 

「……鈴」

 

「あふぅ……へっ? な、何?」

 

「初戦も、織斑達と当たる二回戦目も負けるつもりは微塵も無い、その為にもお前の力が必要だ」

 

「任せといて……と、言いたい所だけどさ、多分あんた一人でどうにかなるんじゃないの?」

 

「いや、初戦は別として二回戦目の織斑と組んでいるのはデュノアだ。 代表候補生であるあいつを押さえなければ面倒だろうし織斑も最近の特訓で力を付けている筈だろ?」

 

「まぁね、一夏は初心者と言っても筋は良いし何より一番恐いのは戦闘中の"勘"がずば抜けてるわ」

 

「……勘、か」

 

「まだ荒削りで基本的な部分はなってないけど油断して良い相手じゃ無いわ、突拍子の無い変則的とも言える動きをしてくる事があるから寧ろ気を付けないといけないのは一夏の方ね」

 

「成る程な……だがそれを聞いた上で頼みがある、出来れば俺に織斑と一対一でやらせて欲しい」

 

「ま、さっきの表情見てたらそう言うってわかってたわよ、なら私はあの女男の相手をするわね」

 

「……ありがとう」

 

「良いのよ、背中は私に任せない」

 

不敵な笑みと共に告げられた言葉。

 

流石は鈴だな、とても心強い……未だに頭を撫でるセシリアの手が無ければ更に心強く思えたが、まぁ良いか。

 

そのまま三人で試合の開始を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ始まります学年別トーナメントの記念すべき一回戦!! 今回のトーナメントで屈指の注目を誇る人物の登場だ!! 今年このIS学園に入学した世界で二番目の男性操縦者、その実力は既に各国の代表候補生をも凌駕するとの噂もある頼れるクール紳士……五十嵐悠斗!!』

 

アリーナに響き渡る放送を聞いて、思わず顔をしかめてしまう。

 

放送を聞いた観客席にいるほぼ全員の視線がアリーナへと足を踏み入れた俺へと集まった。

 

……余計な事を言って欲しくは無いんだがな。

 

『そしてその五十嵐選手とペアを組むは中国の代表候補生、五十嵐選手との関係性は妹か娘とも言われている……鳳鈴音!!』

 

「ちょっと!! 最悪妹は仕方無いとして娘は無いでしょうが!! こら!!」

 

隣で騒ぐ鈴を横目で見ながら、放送をしている奴をどうしてやろうかと考える。

 

 

やがて、目の前に対戦相手である生徒二人が立った。

 

他のクラスの奴の様で、訓練機である打鉄を纏いながらその表情には緊張と何故か諦めに似たものを浮かべている。

 

「……鈴、この試合の作戦だが」

 

「ったく……ん? あぁうん、とりあえず手っ取り早く終わらせるんでしょ? あんたはどっちをやる?」

 

「手っ取り早く終わらせるのは賛同するが……面倒だ、両方片付ける」

 

「…………は?」

 

怪訝そうな表情で首を傾げる鈴から視線を外し、各部の機能を確認、スラスターに熱を込めて行く。

 

『では……試合、開始!!』

 

その放送と共にスラスターの熱を一気に放出、瞬時加速(イグニッション・ブースト)と共に展開した黒鉄を構えて対戦相手の二人へと一瞬で肉薄した。

 

「「えっ?」」

 

一切反応が出来ていない二人へと同時に三回ずつ、計六回の斬撃を放つ。

 

一回目で威力を貯め、二回目で更に底上げし、三回目で一気にそれぞれのシールドエネルギーを狩り取った。

 

そのまま倒れ込む二人、片方の首筋に黒鉄を当て、もう片方に牙狼砲を高速展開し銃口を向ける。

 

「……降参すればこれ以上攻撃はしないが、どうする?」

 

一瞬の事に呆然と目を白黒させている二人にそう尋ねれば、二人は揃って武装を収納すると両手を上げた。

 

「「こ……降参します……」」

 

その言葉を聞いて俺も武装を収納した。

 

 

『………はっ!? し、勝者!! 五十嵐、鈴音ペア!!』

 

一瞬の間を置いて響いた放送に、アリーナ内に爆発的な歓声が響き渡った。

 

黒鉄と牙狼砲を収納し、倒れている二人の腕を取り起き上がらせる。

 

「……悪いな、余り時間を掛けたく無かったから手荒になってしまった」

 

「い、いえ!」

「だ、大丈夫です!」

 

「……そうか」

 

二人に背を向けて控室へと向かって歩き出すと、直ぐに鈴が後を追って駆け寄って来る。

 

「いやいやいやいや、あんた本当何なのよ? え、これ本当に私いる意味あるの? もうあんた一人で良くない?」

 

「……今の試合はあくまでも素人の訓練機が相手だったから通用しただけだ、次はそうは行かないだろ」

 

「えぇー…………」

 

呆れた様な表情で見て来る鈴から視線を外し控室へと戻り黒狼を待機状態に戻した所でセシリアが駆け寄って来た勢いそのままに抱き付いて来た。

 

「っと、セシリア?」

 

「悠斗さん! とても格好良かったですわ!」

 

「……ありがとう、だが今のは訓練機相手だから上手く行っただけだ。 代表候補生や上級生にはおそら恐らく通用しないだろう」

 

「ふふっ、そんな事ありませんわ。 確かに代表候補生レベルになれば先程の速さに対処出来る方はいらっしゃるでしょうけど、完全に避ける事は出来ないものですわ」

 

「そう、なのか?」

 

「あのね、悪いけど私だったらさっきのスピードで攻撃されたら確実に一撃入れられるわよ? 上級生でもよっぽど腕が良いか国家代表クラスじゃないと完全には避けられないわ」

 

……そんなに、速かったか?

 

確かにさっきのは自分でも納得の行くスピードではあったが。

 

「私もビットを全て展開して迎撃しても防ぎきれないと思いますわ、流石は私の愛する方です」

 

セシリアが更に強く抱き着いて来た為にそのまま優しく背中を擦ってやる。

 

「そうか、ならもう少し自信を持っても良いかもしれないな」

 

「あーはいはい、イチャイチャすんのもそれくらいにして次の試合について作戦を立てるわよ」

 

無理矢理間に割って入る様にして鈴が俺とセシリアを引き離す。

 

「む~っ」

 

「そんな可愛い顔しても駄目なものは駄目……ったく、普段は綺麗か格好良いのにこういう時は可愛いとか何なのよもう……あ、こら駄目だってば! もうその手は喰わないからね! 私だって流石に耐性が着いてるんだからそう何度も同じ手は……あふぅ」

 

またもやセシリアに宥められる鈴。

 

何やら耐性がどうこうと言っていたが……まぁ良い。

 

「鈴、次の織斑とデュノアとの試合だが」

 

「あふぅ……んぇ? あ、うん、はい」

 

「さっきの手は使わない」

 

「え? でもあの女男は無理かもしれないけど、確実に一夏は落とせるんじゃないの?」

 

女男では無く、どちらかと言えば男女だけどな。

 

「それだと意味が無い、勝手な事を言っているのはわかっているが織斑とは正面から正々堂々とやり合いたい」

 

それが友人である織斑の為になり、織斑も望んでいる試合の筈だからな。

 

「……ま、しょうがないわね、なら私があの女男を押さえておくわよ」

 

「すまない、助かる」

 

「良いのよ、あんたがそうしたいなら私は文句は言わないわ。 その代わり、負けたら只じゃおかないからね?」

 

「……例え織斑相手でも、負けるつもりは微塵も無い」

 

「オッケー、なら任せたわよ」

 

「あぁ、鈴も任せるぞ」

 

拳をぶつけ互いに笑みを浮かべながら次の試合、織斑とデュノアとの試合へと望むのだった。

 

 

 

 

 

 

『トーナメント初戦が終了し、続いて二回戦が始まりました! そして今回のメインイベントと言っても過言では無い注目すべき試合! 対戦するのは初戦で圧倒的なスピードと目にも止まらぬ攻撃を繰り広げた事で観客の度肝を抜いた五十嵐選手と娘の鈴音選手ペア !!』

 

 

「だ~か~ら~!! 娘じゃなくてせめて妹にしなさいよ!! 試合の前にあんたをぶっ飛ばすわよ!?」

 

「……はぁ」

 

「何の溜め息なのよこら!?」

 

「うるさいぞ、そんな大声を出さなくても観客席から一応姿は見えてるから安心しろ」

 

「何をー!?」

 

 

『おぉ、恐い恐い……そして対するは男性操縦者同士の何とも尊いペア!! あのブリュンヒルデを姉に持ち、その甘いマスクと入学からの短期間で身に付けて来た実力により女子のハートを次々と撃ち抜いている織斑選手!! そして彼を守り支える姿はさながら執事であり嫁、金髪の貴公子デュノア選手!!』

 

 

「……え? 別に俺そんな事してないぞ?」

 

「えぇ、嫁って……えぇ……」

 

「お、俺は悪く無いだろ!? そんな目で見ないでくれよ!?」

 

「……はぁ」

 

「溜め息!?」

 

 

『試合の展開は果たしてどうなるのか!? では早速、試合開始!!』

 

放送と同時に織斑が近接ブレードを展開して構え、デュノアが銃を構えて織斑のフォローに入る。

 

その展開速度は目を見張るものがある、互いに協力し合っておりチームワークの高さが垣間見えるな。

 

だが。

 

『ど、どういう事でしょうか!? 先程圧倒的なスピードを見せた筈の五十嵐選手ですが全く動きません!』

 

観客席もざわつくが、それに構う事無くプライベート・チャネルをオープンチャットへと切り替えた。

 

「織斑、提案があるんだが」

 

「な、何だ? 降参はしないぞ?」

 

「そんな興が冷める様な事を言うつもりは無い……お前とは結局一度もまともに戦っていないだろ? だが友人となった今、お前と正々堂々戦いたい。 俺とお前、邪魔の無い一対一で正面からやり合いたい」

 

「ゆ、悠斗……」

 

「無理なら構わない、今回の試合の規定通りにお互いタッグ戦をするだけだ……乗るか?」

 

俺の問い掛けに、織斑は暫しの間考え込んだ。

 

普通に考えれば互いにフォローの出来るタッグ戦に持ち込んだ方が試合を有利に進める事が出来る。

 

誰しもが断るであろう提案だが……織斑なら、きっと。

 

「……わかった」

 

「良いのか?」

 

「あぁ、こういう機会は中々無いだろ? それに、悠斗からこんな誘いを受けるなんて初めてだしさ、ここで受けなきゃ男が廃るってもんだ!」

 

「……ふっ、お前ならそう言ってくれると思っていた。 そういう事だからデュノア、悪いが織斑を借りるぞ」

 

「うん、勿論構わないよ、男同士の真剣勝負に口を挟むなんて野暮な真似はしないし、おにぃ……んんっ! 悠斗の邪魔はしないから安心して」

 

今、何か言いかけた気がするが……気のせいか?

 

「そうか、すまないな……鈴、デュノアの相手を頼んだぞ」

 

「オッケー、任せときなさいよ」

 

そう言って鈴と拳をぶつけ合ってから離れる。

 

「おぉ、あれ格好良いな! シャル、俺らもやろうぜ!」

 

「変な事言って無いで早く行きなよ、おにぃ……んんっ! 悠斗を待たせるつもり?」

 

「あ、はい……」

 

何やら凹んだ様に項垂れながらデュノアから離れる織斑と向かい合う。

 

織斑の纏うIS、白式の武装は確か近接ブレードのみの特殊な機体だった筈だな。

 

武装を黒鉄のみ展開し、織斑と対峙する。

 

「えっ? あの爪の武装は使わないのか?」

 

「あぁ、お前の武装もそれ一本だろう? なら俺もこの黒鉄だけで構わない……安心しろ、別に手を抜いている訳じゃ無くこいつは普通の近接ブレードと違って特殊な機能が付いている。 油断していると直ぐに落ちるぞ?」

 

「へへっ、それを聞いて安心したよ……この白式はこの雪片弍型(ゆきひらにがた)しか武装は無いけど、機体の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)があるから悠斗も油断してると痛い目に合うぜ?」

 

「あぁ、だが以前のセシリアの時の様に自滅なんてつまらない真似はするなよ?」

 

「あ、あの時は知らなかっただけだって! あれから俺なりに特訓して強くなったんだからな!?」

 

「お前の努力は知っているつもりだが一応確認しただけだ……なら、始めるぞ」

 

「おう!」

 

互いに近接ブレードを構え、同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で飛び出す。

 

互いのブレードが交差し、凄まじい金属音と大量の火花が飛び散った。

 

以前見た試合とは段違いの織斑の一撃、剣筋に迷いが無く、力も互角とは言えないがかなり強くなっている。

 

「成る程、これは本気で行かないといけないな」

 

「くっ……まだ力は負けてるか……! でも負けるつもりは無いからな!」

 

「それは俺も同じだ……行くぞ」

 

「望む所だよ!!」

 

一度距離を取り、再度向かい合う。

 

 

 

……あぁ、こいつと友人になって良かった。

 

最初の頃は危機感も無ければ何事にも無関心と思える程で、このIS学園に相応しくは無いとまで感じてしまっていた。

 

だが織斑は、その真面目な性格と強い正義感、そして責任感でこの短期間でこれ程までの力を付けている。

 

そしてこんな俺を許してくれて、手を差し伸べてくれた。

 

俺には無い、出来ないであろう心の強さも持っている。

 

俺もセシリアを、束とクロを、そして友人を守る為に強くなりたい。

 

織斑と共に、互いに鼓舞して力を付けていくのも悪く無いだろう。

 

だから……。

 

 

 

「行くぞ悠斗!!」

 

「来い、織斑……!」

 

全力で、真正面から向かうのだった。

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