先日の出来事以来、崇秀の周りでは特に不審な動きはなく、論文コンペの日もだんだん近くなってきていた。
だけど、校内ではもう1人平川と同じであろう組織から援助を受けていた生徒がいた。同じ風紀委員である3年の関本という生徒だった。
達也がロボ研に入った際に睡眠ガスを部屋に充満させ、達也が眠った隙にハッキングツールで妨害するといった手口だったが、あらかじめ感づいていた達也と、風紀委員長である千代田の活躍によりそれは未遂に終わった。
「風紀委員の関本先輩が.... それで、関本先輩の身柄は?」
「今は東京の留置所だそうよ。今日渡辺先輩が様子を見に行くと言っていたけど。」
「あー同じ学年で風紀委員でしたもんね。それにしても何故こんなことを...」
「その原因は、明日あたりには分かるはず。何も無ければね。」
「なるほど、だから渡辺先輩が。」
千代田はコクリと頷き、
「さあ、仕事に戻るよ、日も近いんだから。」
この日は校内では何もなく終わった。
夜、崇秀は達也と通話をしていた。
「
「ああ、関本先輩を処分するために来たのだろう。」
「にしても、大亜連合の奴らが本格的に動き出したか。」
「狙いは明後日の論文コンペだろう。」
「その時は俺達も参戦する事になるのか?」
「状況にもよるだろうな。何も無ければ良いのだが。」
「ま、来たら来たでその時だ。論文コンペ、頑張れよ。」
そうして通話は終わった。
10月29日、全国高校生魔法学論文コンペティション当日、会場の横浜国際会議場には全国の魔法科高校生や、魔法関係者などが来ていた。
だが、会場こそ違和感はないものの、その会場がある横浜の様子は何か妙な感じがした。街中には外国人が多く行き来している感じで、颯爽とした雰囲気のような気配も感じる。
会場の警備はプロの魔法師以外にも魔法科高校生で構成した九校共同
会場警備隊がある。総隊長は一高の十文字が務めており、その中には一条将暉などの姿もあった。
崇秀は誘われはしたものの、参加はしなかった。元々こういったことには積極的ではない性格だが、それ以外にも万が一の事を考えて、といった理由もあった。
プレゼンが始まる前に、崇秀は藤林少尉と会っていた。
「なんであんたがここにいるんだ?」
「なんでって達也くんの応援に決まってるじゃない。それと、目上の人には敬語を使いなさい。」
「最近めんどくさいと思うようになってな。仕事とプライベートで区別するようにしただけだ。それで俺が今話してるのは藤林響子だ、藤林使用とでは無い。」
「はぁ... ま、それならまだ良いか。早乙女君は警備隊とかには参加しないの?」
「校内の風紀を乱さないように頑張った。それで十分だ。」
「君らしいわね。では、そろそろ用事があるからここで。次顔合わせる時は、敬語の時だから。」
「そんな縁起もないことを...」
そうして、本番の方は順番に始まった。一高のプレゼンも無事に終え、次は三高の出番となったその時だった。
会場に突然爆発音のような音が響く。その瞬間、会場の入り口から何人かの武器を持った工作員が会場や観客席を囲んだ。
「抵抗はやめて、CADを今すぐその場に置け!」
1人が大声でそう言うと、生徒たちは皆CADを自分の元に置いた。
だが、もちろんそれに従わないものもいた。
達也が会場前方の方へと出る。武器を持った2人の工作員と向かい合った。それを見た崇秀は
「後ろは俺が相手をする。」
とだけ達也に伝え、崇秀は一蹴りしただけで会場の広報へと飛んだ。
「なんだお前は、無駄な抵抗はやめろと言っている!」
「黙ってろ、お前みたいな雑魚の言うことなんて従うかよ。」
「なんだと!?」
その瞬間工作員は崇秀に銃弾を放つ。
だが、その銃弾は放った工作員の肩を貫通した。対魔法使用の高速弾だったが、崇秀には関係のない事だった。工作員は痛みで肩を抑えようと、小銃を手から放し、傷口を押さえる。
そしてもう1人が武器をナイフに変えて崇秀の方へと突っ込んで行く。
崇秀の間合いに入り、ナイフを振りかざした時、その工作員はナイフを持っていた方の手首を押さえた。
「なんなんだこれは!?」
「お前が俺にやろうとしていたことを、お前にやっただけだが?」
崇秀が仕留めたと同時に、達也の方も取り押さえ、その様子を見ていた警備隊の生徒も他の工作員を取り押さえた。
崇秀は達也の元へと行く、彼の周りにはいつものメンバーが集まっていた。
「はぁ、この後はどうしようか。」
「逃げ出すにしても、正面入口の敵を片付けないとな。」
達也がそう言った時、周りにいたエリカとレオが嬉しそうな様子だったが、触れなかった。
「待ってろ、なんて言わないよね?」
とエリカが嬉しそうに問いかけた。
「別行動されるよりはマシか。」
そう言った時、エリカたちだけでなく、周りにいたメンバー全員が嬉しそうな、安心したような感じの表情だった。
そうして、崇秀たちは出入り口の方へと向かう時だった。
「待って...ちょっと待って司波達也!」
呼び止めたのは三高の吉祥寺真紅郎だった。
「なんだ、吉祥寺真紅郎」
『今のは『分子ディバイダー』じゃないのか?あれは確かUSNA軍の...」と何か言おうとしていた時、吉祥寺の後方で「バーン!!」と壁が破壊される音がした。それは崇秀が起こした小さな空気弾による衝撃で壊れたものだった。
「今はお喋りしてる暇なんかねえーんだよ。とっとと失せろ。」
崇秀がそれだけ言い、周りのメンバーで再び出入り口の方へと向かった。
出入り口にいた敵は崇秀が前に出なくても達也や深雪、幹比古、エリカだけで抑えることができた。
「出る幕が無かったぜ...」
とレオが悔しそうに呟く。
「ほのか、美月大丈夫か?」
と達也が声をかける。先ほどの戦闘では敵の動揺を誘うために少々刺激の強いやり方で戦ったため、それを見た二人の顔色は良くなかったようだ。
「いえ、大丈夫です...」
と2人は答える。
「それで、これからどうするんだ?」
とレオが達也に尋ねる。
「情報が欲しい。予想外に大規模なようだから、行き当たりばったりでは泥沼にはまり込むかもしれない」
「なら、VIP会議室を使ったら?」
達也が考え込んでいるところに雫が提案した。
「VIP会議室?」
「うん、あそこは閣僚級に政治家などの会合に使われる部屋だから、大抵の情報にアクセスできるはず。」
「そんな部屋が?」
「一般には開放されてない会議室だから」
「暗証番号なんかも知ってる」
「分かった、そこに案内してくれ。」
達也がそういうと、皆VIP会議室の方へと行くことにした時、崇秀の液晶端末にはメールが来ていた。
「すまないが俺はちょっと戻る。すぐにそっちに行くから先に行っててくれ。」
「何かあったの?」
とエリカが少し不思議そうな顔をして尋ねる。
「ただの忘れもんだ。エリカの考えてるようなことはしねーよ。」
とちょっとだけ笑いながら答えた。
崇秀以外がVIP会議室へと向かったところで崇秀は会場の外へと出ていった。
外ではゲリラたちと交戦している魔法師が多くいた。
「はぁ...こんな雑魚に手間取ってんのか」
CADを起動させ、その場でコンクリートでできた地面に踏み込み、その破片をゲリラに向かって蹴り付ける。
小さくても尖った破片に集中しているベクトル量により、銃弾のような威力を持つ破片はゲリラたちの腕を貫通していく。
何人かと相手しているところにゲリラたちに電撃が放たれる。
「この魔法は... 来たのですね。藤林少尉」
ゲリラたちに放たれたのは、電撃を放つ魔法である、被雷針だった。
「少し遅れました。さ、行きますよ特尉。」
2人はもう一度、会議場の方へと戻って行った。
「今日の任務ってのは?」
「残っている一高の生徒を含めた逃げ遅れた民間人の保護と、その後に敵部隊の殲滅を単独で行ってもらいます。」
「いきなり単独ですか。」
「特尉の使う魔法は、周りに人がいない方が最大限に力を発揮できますから。データも欲しいとのことですよ。」
「なるほど... そういえば、風間少佐は?」
「実は、大黒特尉にも今回の任務には参加してもらうことになりました。ムーバルスーツの件なども含め、説明しにいっているところです。今丁度少佐の元へと向かっているところよ。」
「周りには他の生徒もいるのに、大丈夫なんですか?」
「国防軍の特例で、皆さんには守秘義務に乗っ取ってもらうのでそこのところは大丈夫ですよ。」
「そんなのあったんですね。わざわざ俺が外に出た意味は....」
「まあ、そこは気にしないで。」
そう話しているうちに皆のいる場所に着く。
中で風間が一通り話終えたタイミングで藤林がトントンとノックし、
「失礼します。」
と言って中に入る。崇秀もその後に続いた。
「響子さん!?それにタカくん...!?」
「お久しぶりですね、真由美さん」
「お久しぶりです、響子さん。それでその、タカ...早乙女くんは...?」
「彼も、同じ独立魔装大隊の所属です。階級は大黒特尉同様、特尉として国防軍に所属してます。この件ももちろん守秘義務に乗っ取ってもらいます。」
藤林は真由美だけでなく、この部屋にいる一高生全員にそう伝えた。
「それと避難にあたって、皆さんの護衛は私の部隊と早乙女特尉が付きます。」
崇秀は特に何も言わず、一礼した。この部屋にいる一高生はやはり少しついて行けていないような様子だった。
いよいよ来訪者編のアニメの放送が開始されましたね。
来訪者はアニメーションで見て見たいシーンが沢山あったり、リーナの可愛らしさなんかも見れて毎週楽しみにしながら過ごしてます。
原作の方では新シリーズが始まり、これにも目が離せないですね。