ですが、原作とあまり流れは変わってないです...
三人が向かい、近くで様子を確認しようとした時、崇秀は思わず驚いてしまった。それは、その生徒たちの殆どと面識があるからだ。そして崇秀は思わず、
「達也...?」
と小さな声で呟いていた。そして、生徒たちのトラブルはどうやら治ったような気がしたがそんなことを思ったのは束の間、崇秀のクラスメイトである女子生徒一人が汎用型のCADデバイスを走らせ、達也たちのクラスメイトに向けて攻撃性の魔法を放とうとしていた。
だが、これにはさすがに見ておくわけにはいかなかった。真由美はサイオンの塊を女子生徒のCADに向けて放ち、女子生徒のサイオンはその塊と共に分散し、反動で後ろによろめいたが、もう一人の崇秀のクラスメイトの女子生徒がその女子生徒を腕で支えた。
「止めなさい!自衛目的以外の魔法の使用は、校則違反以前に犯罪行為ですよ!」 真由美はそう言い、生徒たちは真由美の方へ振り向き、次に摩利と崇秀の方と見る。
「1ーAと1ーEの生徒だな。詳しい話を聞かせてもらうから、そこにいるものたちは全員ついて来い。」
そう言って起動式も既に展開していた。これはこれ以上反抗しないようにとの威圧だ。
崇秀も一応CADの電源を入れていたが、おそらく使うことはないだろうと思っていた。
そうしていると、奥から一人の男子生徒が歩いてきた。達也だった。
その後達也は自分の分析能力で事情を説明し、今回はなんとか不問と言うことで終わった。崇秀は最後に達也に微笑みかけ、二人の後についていった。
その後は何事もなく巡回は終わり、風紀委員本部に戻って来た。
「まあ以上が風紀委員の活動だ。基本は二人程度で巡回し、一日一日交代で回していく。だが、もうすぐ部活動の新歓がある。ここでは毎年トラブルが多いため、巡回を強化することになるから君にも参加してもらうだろう。」
「了解しました。」
崇秀はそう言い、今日の活動は終わった。
その後、三人で帰ることになり、話はさっきの事件のことになった。
「ほう、早乙女は司波とは知り合いなのか。」
「ええまあ、入学前からの友人です。彼は実技は苦手ですが、分析が得意なのは事実です。」
「そうなのか...」摩利は何か考えながらそう言って、この話は終わり、次は崇秀の話になった。
「そういえば、タカくんのそのCADは特化型?それに耳の後ろに付けているのは...?」
そう聞かれたので崇秀は
「汎用型のCADです。俺は系統魔法全般が得意なので、汎用型でないと対応できないのでね。耳の後ろに繋がっているのは俺の脳とリンクするためと言った方が良いでしょうか。詳しくは言えませんが、知り合いの魔工技師が開発した試作品のテスターとして使わせてもらってます。」
俺はそう言ったが、これにはいくつか嘘がある。まず、汎用型と言うのが大きな間違いだ。実際はベクトル操作に特化した特化型であり、ベクトル操作の応用で自己加速術式などのさまざまな系統魔法に近いものを使うため、汎用型と答えた。それに試作品でもなんでもない。既に開発されているものだ。完全思考型としては試作段階ではあるが、これは崇秀には既に実用レベルのものになっていた。
ちなみに知り合いの魔工技師とは実は達也のことだ。このことは前々から知らされており、一ヶ月に一回程、見てもらっている。どうやら国防軍の開発部が忙しくなったため、その役割は達也に回ったのだ。達也も思考型のCADには興味があるようだったので、あっさりと引き受けてくれた。達也曰く、「点検だけだし、これくらいなら負担にはならない」と言っている。
三人で校内を出た途中、崇秀は達也たちが寄り道しているとのことだったので、そっちの方に合流することにし、学校から少し歩いたとこで二人とは別れた。
やがて崇秀は達也たちのいるとかへ合流した。だが、そのメンバーには少し驚かされた。達也たち1Eのメンバーと、深雪、それと同じ1Aの光井ほのかと北山雫がいたからだ。あの時達也が弁解してくれたおかげで処罰は免れたから、その事に感謝しているのだろうと思っていた。
まあ同時に
(昼休みのあの態度はどうしたものか)
とも思っていたが、そんな事は気にしないようにしていた。
その後崇秀は達也のクラスメイトであるレオやほのか、雫に挨拶をし、さっきの事件の詳細も聞いた。そし崇秀も、自分が風紀委員になったことも話し、その日はみんな帰った。
次の日崇秀は、何故か昼休みに生徒会室に来るよう言われていた。崇秀以外にも、達也と深雪が呼ばれており、深雪が呼ばれる訳はなんとなく分かっていたが、二人は何故かははっきり分からなかった。
生徒会室に入ると、真由美に摩利、それと入学式の時にみた鈴音とあずさが挨拶し終え、毎年恒例の新入生総代の生徒会入りにより、深雪は生徒会の一員となった。(最初は自分よりも兄を推薦していたが、生徒会は一科生だけとの理由で却下された)
次に風紀委員の生徒会枠が一人余っている話になり、これには達也が推薦される事になった。達也は
「魔法をうまく行使できない二科生の自分が入るには相応しくない。」と反対していたが、魔法を使わなくても、昨日見せた魔法式を分析する能力で、的確な処罰を下さるという理由で押し切られていた。崇秀は達也の風紀委員入りには反対はしなかったので、その様子をずっと横で眺めていた。だが自分が呼ばれた理由は分からないままだったが、
(食堂で食事をするよりかは)
と特に不満はなかった。
達也の風紀委員入りは曖昧なまま終わってしまったので、続きは放課後にする事になっていた。深雪の生徒会の仕事の説明もあったので、風紀委員本部に行く前に生徒会室へ向かった。そこには昼休みのメンバーと男子生徒がいた。その男子生徒は、入学式の日に真由美の隣にいた服部副会長だった。
服部は、深雪と俺には挨拶したが、達也には挨拶しなかった。どうやら二科生は気に食わないようだった。そして、達也の風紀委員入りにも反対。それに対してはさすがに深雪も納得いかなかったようなので、言い合いになったところを、最終的に達也が服部で模擬戦をする事になり、演習場へ向かった。魔法を使った喧嘩は時には危険を招くものなので、こういった場所で正式に対決するのだ。
ルールは互いの肉体の接触は禁止とし、怪我を負わせない程度の魔法で相手を戦闘不能にするというルールだ。ルールの範囲を超えた魔法を使用した場合は、審判の摩利が止めに入る。
崇秀は試合が始まる前に真由美にどちらが勝てるか聞かれた。
崇秀は
「はっきりとは答えられません。確かに服部先輩は校内でも相当な実力派です。ですが、複数相手でも個人でも対人戦闘というのは、魔法の展開の速さだけで決まるようなものでもないですよ。」
とそうはっきりとは答えなかった。
そうしているうちに試合が始まった。服部はすぐに起動式を組み立て、魔法の発動体勢に入ったが不発に終わる。そして服部はサイオンの波動を背後から受け、倒れる。
「勝者、司波達也。」
試合は一瞬で終わった。崇秀と深雪以外は驚きを隠せていなかった。その後、達也や深雪が何をしたのかを説明をし、起き上がった服部は深雪に謝罪だけし、演習所を去った。
「タカくんが言っていたことってそういうことだったのね。」
真由美はさっきのことを見てそう思ったのだろう。俺は小さく頷いた。
そうして摩利、崇秀、達也の三人で風紀委員本部に向かった。達也は、もう今更引き下がれないと思って風紀委員に入ることにしたそうだ。
中に入ると前と同じように散らかっている部屋だ。どうやら達也にはこの光景には耐えがたいものがあるらしく、片付けをすることになった。
しばらくすると、巡回を終えた風紀委員の男子生徒が戻ってきた。
「委員長、本日の巡回終了しました!逮捕者、ありません!」
威勢のいい声が部屋中に響く。
「....もしかしてこの部屋、姐さんが片付けたんですか?」
「姐さんって言うな!何度言ったらわかる!」
そう言いながら丸めたノートで叩く。
「そんなに叩かないでくださいよ... ところで、その二人は、新入りですかい?」
「ああ、その通りだ。一年A組の早乙女崇秀と、一年E組の司波達也だ。早乙女は教職員枠、司波は生徒会枠で入ることになっている。」
「へぇ、一人は紋無しですかい。」
紋というのは、一科生のブレザーについてる花弁の刺繍のことだ。それをつけていない達也の方を先輩は見る。
「辰巳先輩、今の発言は、禁止用語に当たりますよ。ここは二科生が正しいかと。」
もう一人の男子生徒がそう言った。
「お前たち、そんなことを言っていると足下をすくわれるぞ。ここだけの話、さっきあの服部がすくわれたとこだ。」
摩利がそういうと二人は表情を変える。
「...そいつが、あの服部に勝ったと」
「ああ、正式な試合でな。」
「なんと、入学以来負け知らずの服部が...」
「そいつは心強い。」
「逸材ですね、委員長。」
「ああ、それに隣にいる早乙女も入試の実技試験では学年一位の実力だ。」
「それはまたとんでもないやつだな。今年の新入りは、心配いらなさそうだな。」
「意外だろ?」
と摩利は一年の二人に聞いた。
「?」
といった表情を二人はする。
「いや、ここの生徒の多くはブルームだ、ウィードだの言った肩書きで優越感に浸り、劣等感に溺れるものばかりだ。私もそれにうんざりしていてな...さっきの試合は正直痛感だったよ。
それに、真由美や十文字もあたしがこんな性格だって知っているからな。だから生徒会枠と部活連枠は、比較的そういう意識が少ない生徒がいる。0というわけではないが、実力で評価できるヤツらだ。
だが、教職員枠まではそういった訳には行かないことがほとんどなんだが、今年は君のようにそういったのを気にしない生徒で良かったよ。だからここは、君たちには居心地の良い場所になると思うぞ。」
「三ーCの辰巳鋼太郎だ。腕の立つヤツは大歓迎だ。よろしくな。」
「ニーDの沢木碧だ。君たちを歓迎するよ。」
そう言って互いに握手を交わす。
この先輩二人とは上手くやっていけそうだと、一年の二人は思った。
次の日、一高にもこの期間がやってきた。部活動の新入生勧誘だ。一高でも普通科の高校と同じような面ももちろんあり、この新歓もその一つだと言える。
ただ、その部活動は魔法科高校ならではの魔法を使った部活動も多くある。メジャーな競技は一高から九校の間で対抗戦も行われる。そのため、学校側も甘くみているところがあり、新入部員獲得戦は激しくなる。
「...という訳で、この時期はトラブルが多発するんだよ。」
ここは昼の生徒会室。崇秀は、食堂で食事を取ることを避けるため、今日もここに来ている。鈴音とあずさは昨日ここに呼んだからで、普段は教室で食事を取っているそうだ。達也も深雪も、一緒に食事を取るのはここが落ち着くからか、生徒会室に来ている。そして、崇秀たちは新歓についての話を聞いている。
「だから授業に支障をきたすことをあってね...そのため今日から1週間の期間を設けてるの。」
と真由美が補足する。
「この期間はそれぞれの部が勧誘のテントを貼るからな。そのためお祭り騒ぎになる。
それに、どこが元かは分からない入試成績の上位者リストや、競技実績のある新入生は取り合いになる。
無論、ちゃんとルールはあるし、ルール違反した部活動には罰則があるが、陰では殴り合いや、魔法の撃ち合いも少なくない。」
「CADの携行は、禁止なのでは?」と達也が質問する。
それには摩利が答え、
「新入生向けのデモンストレーション用に許可が出るんだよ。審査はあるが、事実上フリーパスだ。
そのため、この時期は無法地帯化してしまう。」
「学校側も、九校戦の実績のためか、多少のことは黙認しているところがあってね...」
と真由美が続く。
「てな訳で、風紀委員は今日からフル回転だ。」
「いい人材が見つかって良かったね、摩利。」
もはやこういうやり取りは日常茶飯事だ。
「でも、ターゲットの多くは一科生ですよね?二科生の俺ではあまり役には立たないと思いますが。」と達也が言う。
「そんなことは気にしなくて良い。崇秀も一年だからって遠慮する必要はないぞ。」
崇秀はいつの間にか名前呼びになっていた事には触れず、頷いた。
「放課後は巡回だ。授業が終わり次第、本部に来てくれ。」
授業が終わり、崇秀は本部に向かう。達也も既に来ており、中に入って席に着く。
二人は、下座の端でお互い顔を合わせるように座った。
「全員揃ったな?」
摩利が立ち上がり、
「そのまま聞いてくれ、今年もまたあの馬鹿騒ぎの一週間がやって来た,。この中には去年、騒いでいたものも入れば、騒ぎを大きくしたものもある。だが、今年は処分者を少なくするよう気を引き締めて取り組んでほしい。くれぐれも、風紀委員が騒ぐような真似はしないように。」
「それと、今年は卒業生分の補充が間に合った。紹介しよう、立て。」
そう言われ二人は立ち上がる。
「一年A組の早乙女崇秀と、一年E組の司波達也だ。早速、パトロールに加わってもらう。」
すると、二年の一人が
「役に立つんですか?」
と聞く。そう言うと摩利は
「ああ、心配するな。二人とも使えるヤツだ。
司波の実力はこの目で見ているし、早乙女も相当な技量の持ち主だ。」
そう答えると、二年の生徒も半ば納得したような様子を見せる。
「ではこれより最終打ち合わせをする。巡回は前回までの打ち合わせ通りだ。質問はないな?」
質問するものは特にいなかった。
「よろしい。では早速行動に移ってくれ。レコーダーを忘れるなよ。
早乙女と司波は私から説明する。それ以外のものは出勤!」
そういって、それぞれ外へ出る。崇秀と達也はここに残り、摩利から説明を受けた。会えると達也が
「CADはここの備品を使っても良いですか?」と聞く。
「構わないが、ここにあるのは旧式だぞ。」
「そうですが、ここにあるのはエキスパート仕様のもので、なかなかの高級品ですよ。」
「そうなのか。埃を被っていたものだし、構わんよ。」
「では、このCADをニ機借ります。」
「ニ機か。君は本当に面白いヤツだな。」
摩利はそう言い、達也はCADを借りて、崇秀と本部を出る。
「じゃあ、行きますか。」
崇秀はそう言い、二人はそれぞれ向かった。
入学編は後半分程度で終わるかもしれないです。
本音を言うと、はやく九校戦編が書きたいです...