優等生のストーリーも絡んでます。
そうして、崇秀はパトロールに向かった。首につけているチョーカー型のCADは、やはり珍しいのか少し注目を集めてしまう。それに、入試の成績が出回っているせいか、風紀委員として歩いていても声をかけられる事が多い。だが、崇秀は部活に入る気は無いので、全て断っていた。
崇秀の活動は昨日は特に何事もなく終わった。だが、達也の方は、剣道部と剣術部の争いを収めたらしく、早速活躍しているそうだった。だが、何もなった事が決して悪いわけではない。むしろ、平和に終わった方が良い。
そして、二日目の今日もパトロールに出ていると、突然
「乱闘だー!」
との騒ぎが聞こえた。近くに行くと、どうやらが先に止めに入ろうとしていた。
だが、止めに入った瞬間、背後から達也に向けて魔法が放たれた。
(あれは...空気弾![エア・ブリット])
あれほどなら達也も避けれただろうが、崇秀は空気弾の止めに入った。
まずは左足を踏み込み、その一歩で発生するベクトルを達也の背後にまでつくように操作する。次に領域干渉でその空気弾を防いだ。
すると空気弾を放った生徒は逃げ、喧嘩を起こした生徒や、その周りにいた生徒は舌打ちや、納得いかないような顔をした。
(こいつら、もしかしてグルで達也を...)
そう思い崇秀は達也に、
「俺は空気弾を放った生徒を追う。達也はこの場を頼む。」
崇秀はすぐにその生徒を追った。
今度は移動魔法と慣性中和魔法の併用による高速走行の魔法...に見せかけたベクトル操作の応用による魔法で、追いかけた。
わざわざ面倒なことをしたのは、あまり騒ぎにならないようにするためだ。
やがて追いつき、その生徒の前に立ちはだかった。
「魔法の不適正使用により、あなたには同行してもらいます。」
崇秀はそう言ったが、まだ抵抗するつもりか、CADを走らせていたが、それよりも速く振動の魔法を発動し、相手の動きを止めた。
崇秀はそのまま取り押さえ、
「こちら講堂付近、逮捕者一名。身動きは取れないように押えていますので、助っ人をお願いします。」
そう連絡し、すぐに助っ人がきた。
そして崇秀は部活連本部に報告のため来ていた。
「...以上が今回の経緯になります。」
崇秀は真由美と摩利、それに部活連会頭の十文字に報告を終える。
「達也くんがね...もしかして昨日のことかしら。」
真由美はそう答える。
「予想はしていたが、早速こんな事が起きてしまうとはな...」
摩利もこれには少し悩まされているようだ。
「そうだな...これは関わっていた人物全員が懲罰対象になる。司波も呼んで話すとするか。」
摩利はそういった。それにこれは部活動関連ではなく、個人的なものによるものなので、克人は聞いているだけだった。
後日、この件については関わっていた生徒は反省しているようで、達也もそこまで気にしていないようだったためか、軽い罰で終わった。
こうして崇秀も務めを果たし、新歓の期間が終わった。そして昼休み、いつものように生徒会室で食事を取っていると、達也が先日、同じ二科生である剣道部の壬生紗耶香という人物とカフェで座っていたという話になった。言葉責めにしたなどといった噂が流れていたため、深雪がとても不機嫌になってはいたが、先日の事件の礼と非魔法系のクラブで連携して学校側に考え伝えるために、協力して欲しいとのことだった。
だが、達也がそれを伝えて何をするか聞いたところ答えられなかったので、そのところは終わったという。
また、風紀委員の活動が点数稼ぎなどとも言われそれについては、思い込みが激しいとのことになった。壬生紗耶香が何者かに誘導されているのではないのか...そして、その何者かというのに反魔法国際政治団体「ブランシュ」の名前が達也の口から出た。
この名前が出たことには驚いていたが、どうやら、真由美や摩利もその事は知っていたらしく、ブランシュの傘下である「エガリテ」の侵略を学校は受けていることが分かった。それが分かったのは、生徒の中に赤と青で縁取られたリストバンドをつけている者がいるからだ。そのリストバンドをつけている生徒はエガリテの信者であると真由美は言った。
これには崇秀も思い当たることがあり、剣道部の主将である司甲も着けていた写真を見た。
そして、今日のところはその話で終わった。
次の日、いつものように帰っていると、たまたま深雪を外で見かけた。
「深雪」
そう呼ぶと深雪は振り返り
「あら、崇秀くん。お帰りですか?」
そう聞かれたので
「ああ、俺は帰るとこだが、深雪は荷物を持ってないがどうしたんだ?それに達也もいないようだが。」
「実は、生徒会の用事でここに買い出しに...お兄様は、学校でお待ちになってるわ。」
「そうなのか、途中までなら一緒に行くが。深雪一人だと人目を集めるだろうし。」
「お気遣いありがとうございます。なら、お言葉に甘えて。」
そう言って、深雪の目的地まで送ることにした。
店まで向かっている途中、崇秀たちはある生徒を見かけた。
「あれは...光井たちじゃないのか?」
「何か変に胸騒ぎがするけど、大丈夫かしら?」
そう話していると、ほのかたちはある方向に走り出した。ほのかたちは何かを追っているようだった。崇秀たちも念のためCADを準備し、
崇秀たちも追ってみると、ほのかたちは地面に倒れ込み、何人かの集団に囲まれていた。どうやらキャスト・ジャミングを使われたようだった。
「深雪、ここは俺がやる。」
崇秀がそう言った時、一人がナイフをほのかたちに振りかざしたので、崇秀はすぐに空気の流れを自身の手に集めて空気弾を作り、それをナイフを持っている手にめがけて放った。
崇秀の優れた演算能力により、見事命中。衝撃によりナイフは場に落ち、族たちはすぐにキャスト・ジャミングを崇秀たちに放った。
だが、崇秀たちにはそんなものは効かなかった。崇秀はキャスト・ジャミングの波動を受ける前に反射し、深雪は事象干渉が強いためだ。
「馬鹿な、アンティナイトは高純度の特注品だぞ。この影響下で魔法なんか...」
「雑魚(非魔法師)が使うキャスト・ジャミングなんて、俺や深雪には通用しない。」
そして崇秀は移動魔法を族に放ち、族たちは壁に当てられた衝撃で倒れた。
族たちを捕らえ、ほのかたちも特に問題なく起き上がることができていたため、大事にはならなかった。
「深雪...来てくれたんだね。それに、早乙女くんも助けてくれてありがとう。」
「私からも言わせて、ありがとう深雪、早乙女くん。」
「本当にありがとう!あ、二人とも始めまして。」
とほのか、雫、それに明智英美という女子生徒が礼を言ってくれた。
「いや、無事で何よりだ。それより深雪、こいつらはどうする。」
と捕らえた族のことについて尋ねた。わざわざ深雪と名指しで呼んだのは、あの件に関するかもしれないからだ。
「そうね...監視システムでいずれは発見されるから...」
「警察に通報した方が良いんじゃない?」
とほのかは言う。だが深雪は
「ちょっと大事にはしたくない事情があるんだけど...でも被害者であるみんなが訴えたいなら止めはしないわ。」
と言う。雫が
「防犯カメラには撮られてないし、問題ない。」
と答える。
「そう、ありがとう。」と深雪は答える。
そうしてほのかたち三人は帰った、三人はさっきの崇秀や深雪のことについて話していた。
「さっきの二人すごかったね。まるでキャスト・ジャミングが効いてないなんて。」
「深雪は事象干渉力が桁違いなんだと思うけど、早乙女くんのは一体なんなんだろう...」
「領域干渉の干渉力がキャスト・ジャミングを上回ったんだと思う。でもあんな短時間で...」
といった疑問のままで終わってしまった。
そして残った二人は例のことについて絡んでいると思い、深雪は
「後の事は私に任せてくれないかしら?」
と言ったので崇秀は
「そうか。まあ俺はあまりこの件には手を突っ込むのも面倒だし、何か手があるなら任せる。それに、予定より時間がかかってしまったから今日はもう帰るよ。」
と言って、そのまま帰っていった。
数日後、突如放課後に学校で校内放送が流れた。
「全校生徒の皆さん!僕たちは学内差別撤廃を目指す有志同盟です!」
そう言った放送が流れ始めた。崇秀は風紀委員の招集により、不法占拠されてる放送室の前に来た。
放送室に強引に乗り込み、占拠していた生徒たちを取り押さえたが、真由美が生徒会と、有志同盟と名乗る生徒たちとの交渉に応じる日にちを決めたいとのことで、その場は収まった。
そうして、討論会当日の日、崇秀は風紀委員の仕事で出入り口付近の監視していた。講堂には全校生徒の半数が来ており、一科生と二科生がそれぞれ五分五分といったとこだった。その中には同名のメンバーも混ざっていた。そして、放送室の時にいた壬生紗耶香を始めとしたメンバーはここにはいなかった。
討論会はもはや真由美の演説会となっていた。真由美は一科生と二科生の差別をなくすよう訴え、討論会は終わったその時だ。
突如、轟音が講堂の窓を震わせた。崇秀は出入り口付近から来た数人の闖入者を取り押さえた。そして、達也たちが実技棟に向かうようだったので、崇秀ももうすぐ収まるであろう講堂は先輩方に任せ、ついていくことにした。
実技棟付近に付くと、レオが交戦しており、深雪がレオと戦っていたテロリストを弾き飛ばした。エリカも駆けつけると、達也はある推測をする。
「テロリストの目的は事務室ではないとしたら... 」
「図書館よ」
近くから別の人の声が聞こえる。カウンセラーの小野先生だ。
「彼らの狙いは図書館のデータ。そこに壬生さんもいるわ。」
そう言ったので崇秀たちは図書館の方へ向かった。
図書館の前に来ると、三年生の生徒がテロリストと交戦していた。CADなしで相手にしているのはさすがと言うところか。
そうして崇秀もすぐに止めに入る。攻撃性の魔法は使わず、体術による戦闘スタイルでテロリストを相手にしていた。レオも硬化魔法を使い、加わる。
「崇秀、レオ、ここは任せたぞ。」
「ああ」
「おうよ」
そう返事し達也たちは図書館へ向かった。
テロリストはなんとか抑え、達也たちが向かった図書館のデータも壬生の身柄も無事で終わり、壬生はエリカと交戦した時に怪我を負ったため、保健室に運んでいた。
向かっている途中、レオに
「移動魔法だけで、よくもあんなに相手にできたな。」と聞かれたので
「まあな。真の優れた魔法師って言うのは、魔法力以外も完璧でなくてはならないんだ。」
と少しかっこつけたような台詞を述べた。
保健室に来てしばらくすると、真由美、摩利、克人も来た。首謀者であろう司甲が今は話せる状態ではないため、壬生に事情を聞くことになったのだ。
壬生の方から背後組織がブランシュであることがわかり、達也はブランシュの拠点に乗り込もうとしていた。深雪、エリカ、レオ、そして克人が協力しようとしていた。崇秀は摩利に
「お前は行かないのか?」と聞かれたが
「もう面倒事には巻き込まれたくないので。それに、俺は行っても行かなくても結果は変わりませんよ。」
と言い、遠慮した。
そして、達也たちとそこに加わった桐原先輩の活躍により、ブランシュの拠点は制圧され、事件は幕を閉じた。
次回からは九校戦編です。崇秀には大活躍してもらうつもりです。