東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて   作:F.Y

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七色の人形使い

 ブロントさん一行はどんどん西へと進み、荒涼とした山道を進んだ。途中、魔物に襲われる旅の商人を助けたり、その辺に落ちている道具を拾い集めたりしていたので、かなり時間がかかっている。

 

「ふう、随分遠いわね。それに、魔物も狂暴になってきているし」

 

「そんなこと言っている余裕は無いみたいだぜ」

 

 魔理沙の視線の先には、また魔物。キメラという蛇とハゲワシを組み合わせたような魔物や、地獄のはさみとかいう緑色の蟹、そしてサボテンボールだ。

 

「まただよ(笑)。いい加減にしないと、俺の怒りが有頂天なんだが!?」

 

 ブロントさんは開口一番、魔物に斬りかかった。魔理沙が放つ氷のつぶてが敵にぶつかり、霊夢が放つ光の弾幕が炸裂する。

 

 だが、こいつらは今まで戦ってきた魔物とはほんの少しだが格上だった。サボテンボールが飛び上がり、回転しながら上空から小鈴目掛けて落下してくる。

 

「バックステッポ!」

 

 ブロントさんが後ろに飛びのき、落下してくる魔物を盾で受け止める。だが、その衝撃はすさまじく、青銅でできた盾がへこむほどだった。

 

「ぐうっ」

 

 今度は小鈴が反撃に出た。やや大きなつむじ風が巻き起こり、魔物を切り刻む。そのおかげで魔物の隊列が崩れた。その隙を逃さず、ブロントさんが攻撃に転じた。

 

「メガトンパンチ!」

 

 銀色の籠手を装着した拳が唸り、キメラの体を直撃する。キメラはグエッと鳴いて地面に落下し、痛みにもがき始めた。

 

 霊夢が放った白い弾幕が拡散し、魔物の群れ全体に降り注いで爆発した。それがとどめとなり、群れで襲い掛かってきた魔物は全員息絶えていた。

 

「ふう。この辺の魔物は強いですね」

 

 小鈴が折り重なって倒れた魔物を見て言う。

 

「多分、環境のせいだろ。荒れ地や砂漠みたいに、普通の生き物が生きていられなうような場所に住んでいるような生き物は、それに対応できるように頑丈な体を持っていると聞くからな。油断してたらあの世行きだぜ」と魔理沙。

 

「『確かにな』と感心が鬼なる」

 

 

 

 ブロントさん一行は山道を歩き続け、そこそこ大きなログハウスを見つけた。どうやら宿屋になっているらしく、多くの旅人が訪れていた。

 

「へーえ、こんな場所にわざわざ行くようなのが結構いるんだな」魔理沙が辺りを見回して言う。

 

「ここは命蓮寺まで行くまでの道の中継地点みたいなものなんです。この先は長いですからね」

 

 太陽は既に西の方へ向かって行き、空はオレンジ色になり始めていた。

 

「ブロントさん、ここから先はかなり長そうだぜ。ここいらで休むのがいいんじゃないのか?」

 

「どちらかと言えば大賛成」

 

「それじゃ、ここで休んで、翌朝になったら命蓮寺を目指しましょうか」

 

 

 

 

「遅い・・・・・・」

 

「やっと起きたのか・・・・・」

 

「もう日が昇っているから・・・・・」

 

 いつものように、ブロントさんは寝坊した。魔理沙たちは既にテーブルの周りの座っている。宿屋の主人が焼きたてのパンを入れた皿を置いて行った。

 

「・・・・・・・すいませんでした!許してくださいますか」

 

 ブロントさんが席につく。

 

「さて、と。その命蓮寺だけど、一体どういう場所なんだ?」

 

「砂漠地方にある、そこそこ大きな寺らしいんです。そのお寺の周囲には町があって、そこもかなり賑わっているようです」魔理沙の疑問に小鈴が答える。

 

「へーえ。そんなところがあるとはな。色々なところを回ってたけど、さすがに行ったことが無かったな」

 

「最近は、妙に魔物が凶暴化しているから、来る人も少なくなっているみたいよ。まあ、今は何処へ行ってもそんな感じだけどね」

 

 確かに、昨日まで滞在していたホムラの里の住民からも似たような話を頻繁に聞いていた。

魔物が強くなってきたため、自衛手段を持たない行商人や旅芸人たちは、傭兵を雇ったり、中には戦うための技術を身につけるような者まで現れたという。

 

「私たちも、ホムラの里に到着するまでは、二人でその辺の魔物は排除できたんだけど、流石にこの先はきつそうなのよね」

 

 霊夢は丸パンを噛り、紅茶で胃袋の中へと流し込んだ。魔理沙はベーコンを咀嚼し、ブロントさんは骨付きの鶏の脚に噛りついた。

 

「それなら、このPTのメイン盾のブロントさんの出番だな。巫女に魔法使い、それに普通の人間。後衛ばっかりだけど」

 

「うむ。守りはナイトに任せるんだが?」

 

「さて、そろそろ出かけようぜ。あまりダラダラしてられないだろうしな」

 

 

 

 荒れた山道を南に向かって下ると、今度は砂漠が見えてきた。ここからは、命蓮寺とその周囲の町に辿り着くまで休憩できるような場所は無い。幸いにも、砂漠の入り口の前に井戸があった。

 

「ここで水を汲んでおこうぜ。この先、休憩できるような場所なんて・・・・・・」

 

 魔理沙は看板を見た。それにはこう書かれていた。

 

"注意、この先、命蓮寺に辿り着くまで水は手に入りません。ここで汲んでおきましょう"

 

"砂漠の魔物は非常に強力です。戦いに余程の自信が無い限り、越えようとするのはやめましょう"

 

"引き返すなら今のうちです。無理せず帰るのも手のうちです"

 

「随分と大袈裟だな。まあ、こんな所に来るような奴は、こんな注意書きなんて無視するだろうけどな」

 

「ま、それもそうよね」

 

 ブロントさんは井戸から水を汲みだし、大きな瓶に入れていった。

 

「さて、ブロントさん。瓶の中はいっぱいになったか?」

 

「なあに、この程度のクエはナイトにとってはチョロいこと。ほれ」

 

「お、これなら砂漠越えできそうだな。さて、行くとしようか」

 

 

 

 強烈な日差しが照り付け、焼けつくような感覚が続く。途中でサボテンボールやじごくのハサミといった、魔物の襲撃を退けつつ、次の目的地を目指す。

 

「あいつには手を出さない方がいいな。いかにも強そうだ」

 

 魔理沙の視線の先には、オレンジ色の体毛を生やし、背中に翼のある大きな 魔物がいた。そいつは巨体を丸め、ぐっすりと眠っている。

 

「ワイバーンドッグですね。かなりの強敵です。ここは静かに通りすぎましょう」

 

「どちらかと言えば大賛成」

 

 流石のブロントさんも小鈴の意見に同意した。一行は巨大なモンスを起こさぬよう、ゆっくりと静かにその場を去った。

 

 

 

 日が傾き、さらに夜のとばりが落ち始めた頃になって、ようやく向こうに城壁らしき建造物が見えてきた。あれが命蓮寺と、その周囲の町らしい。

 

 町は非常に活気に溢れ、通りには商店や宿が幾つも立ち並んでいる。更には、旅の商人が露店を並べ、絨毯の上に様々な商品を並べている。

 更に、奥には大きく、派手なテントがあった。町の人に話を聞いてみると、あのテントは簡易劇場になっており、夜になるとここを訪れたパフォーマーたちが様々なショーを披露し、町の人々を楽しませているのだという。

 

「ふう、疲れたわね。町をちょっと見て回ったら、今日はもう休まない?」霊夢が他の3人に提案した。

 

「ああ、でも、その前にちょっと酒でも飲みたい気分だな。ブロントさん・・・・・」

 

「せっかくだけど遠慮します」

 

「はあ・・・・下戸な人が一人いると、ゆっくりお酒も飲めないなんてね」霊夢が嘆息する。

 

「すまにぃ・・・・・」

 

「どうせなら、ショーでも見に行きませんか?何だか面白そうじゃないですか!」

 

 小鈴の提案には、ブロントさんも同意した。4人はマネージャーに代金を支払い、テントの中に入っていく。

 

 中は長いベンチが並び、大勢の人々がショーを楽しんでいた。既に満席状態のため、ブロントさんたちは立ち見での見物となった。

 

 大きなナイフでジャグリングをしながら、口から火を吹く男が舞台の袖へと下がっていった。どうやら、タイミング悪くショーが終わったところらしい。

 

 観客の拍手に合わせて手をたたく司会の男が舞台に上がってきた。

 

「いやいや、素晴らしいショーでした!では、続いてのショーに参りましょう!次のパフォーマーは、ここ数日で人気急上昇!彗星の如く現れた若き才能!それでは登場して貰いましょう!七色の人形使い!アリス・マーガトロイド!」

 

 洒落たピアノの音色と共に、白いケープと水色の長いワンピースを着た、ウェーブのかかった短い金髪の少女が舞台に上がってきた。彼女のすぐ隣には、小さな金髪の人形が・・・・・・・・浮いていた。

 

 少女は観客に向かって一礼すると、人形の方を見た。

 

「さあ、上海、みんなにご挨拶しなさい」

 

「シャンハーイ!」

 

 人形がなんと・・・・・口を動かし、喋ったのだ。これには、小鈴とブロントさんは目を丸くした。が、一方で霊夢と魔理沙はそれほど大きな反応を示さなかった。

 

「おいィ、人形がしゃべるのはずるい」

 

「ブロントさん、多分、あれは魔法の一種だ。私はこういうのは習得していないけど、術式を解析すれば簡単に習得できるぜ」

 

「む・・・・・?」

 

「確かに、あの人形。糸で操られている様子も無いですね。どうやっているのかと思えば魔法でしたか」小鈴がアリスの指示に従って動き回る人形をまじまじと観察して言う。

 

「それに、糸で操られていたんじゃ、ああいう風に自由奔放に動き回るだなんてできないからな。あいつが魔力で動かしているとしか考えられないな」

 

「ほむ。見事な人形劇だと感心が鬼なる」

 

 ステージの上に立つアリスという少女は自由自在に人形を操って見せた。人形とジャグリングをしたり、人形を観客の間を縫うように飛び回らせたりする。

 

 人形使いがステージから去ると、また司会者の口上に続き、別のパフォーマーがやってきた。どうやら、騒霊の三姉妹とかで、バイオリンとトランペット、キーボードを使った、これまた見事な演奏を披露した。

 ブロントさん一行は、しばし旅の目的を忘れ、次々とステージに上がるパフォーマーたちのショーに夢中になった。

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