東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて   作:F.Y

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霊水の洞窟

 ブロントさん一行は彼岸の里から海づたいに西へと歩みを進めていた。この野良妖怪が跳梁跋扈するご時世にも関わらず、行商人や薬草や鉱物を採取する人々は後を絶たない。それはそのはず、最近は、危険を冒してでも役に立つ武具や薬の材料を採取しに行く人々が減っていて、それに伴い、それらの原料の流通量も減少し、結果的に武具や薬品の流通量が減少し、価格も吊り上がる。

 そのため、これを商機であると考えた、戦いに自信のある人間たちは自らそれらを手に入れに、わざわざ魔物の住処になっている森林や洞窟などに向かって行くのだ。

 勿論、その多くの人々は、成功する試しが無い。大抵の場合、魔物に襲われて命を落とすか、大怪我を負ったり、毒を盛られたりして逃げ帰っていく人々が大半だ。

 

「それにしても、ここまでしてお金が欲しい人なんているんですね。天国には持っていけないのに」

 

 魔物に襲われて亡くなったのか。衣類が鞄などを身に着けたままの状態で白骨化した死体に小鈴が手を合わせる。

 

「危険だからと言っても、お金になるのよね。こういうのは」アリスがその骸を見て言う。

 

「シャンハーイ・・・・・・」

 

「そりゃあ、しかばねーなって、私らもこういうことにならないように注意しないとな」と、魔理沙。

 

「まあ、不安が鬼なるのもわかるという意見。だが、メイン盾のナイトがいる限りはこのPTメンからは死人は出さないんだが?」

 

「さて、敵さんだぜ。わらわらやって来たな」

 

「何いきなり話しかけてきてる訳?」

 

 あおバチ騎兵にマドハンド、ダックスビル、スライムつむり、虎男と魔物が大勢現れた。

 

「ちっ、随分多いな。面倒だな」

 

 魔理沙が八卦炉を掲げ、レーザーを放つ。短剣を持つ上海人形が回転しながら敵に斬りかかり、霊夢がモンスに向かって弾幕の雨を降らせる。

 

「おら、メガトンパンチ!」

 

 ブロントさんは剣を抜く間もなく、拳を虎男の腹に叩きつけ、更には大盾を前に掲げて体当たりを食らわす。流石の体格の大きな魔物も、これには堪らず背中から派手に地面に倒れる。

 

「そこで大人しくしていなさい!」

 

 ブロントさんが転がした虎男に向かって霊夢がお札を放った。お札は地面と魔物に張り付き、虎男の動きを完全に封じ込めた。

 

「お、こいつ、良さそうなものを持っているな。私が死ぬまで借りてやるぜ!」

 

 あおバチ騎兵と空中戦を繰り広げていた魔理沙は、魔物が宝箱を持っているのを目ざとく見つけ、短剣で切り付けると同時にかすめ取る。大事にしていたお宝を強奪されたあおバチ騎兵はすっかり頭に血が上ってしまい、他の人間のことを無視して魔理沙を追い始める。だが、それが命取りとなった。

 

「はあっ!」

 

 小鈴が術式を使って発生させた大きなつむじ風にあおバチ騎兵は巻き込まれ、錐もみ状態になって地面に墜落する。そこに魔理沙が飛びながら通りかかり、弾幕の雨を降らせてとどめを刺した。

 

 一方で、スライムつむりの相手をしていたアリスは少々苦戦していた。上海人形が持つ槍で攻撃するものの、殻に籠って防御するスライムつむりの装甲を貫通できないでいたのだ。しかも、その殻はかなり頑丈なようで、物質を脆くするスペルを放っても目に見えた効果は現れない。

 

「仕方ないわね。こうなったら、まとめてやっつけるしかないか」

 

 アリスは、ここに来る前に習得した術式を試した。すると、今度はスライムつむりたちの動きがおかしくなった。そいつらは、フラフラと蛇行したり、味方であるはずの別の魔物に向かって攻撃を仕掛ける。

 

「これでちょっとは楽になったかしら?」

 

 その隙を逃さなかったのが霊夢だ。霊夢は混乱状態のスライムつむりの群れの中に飛び込み、回し蹴りや正拳突きを食らわせてなぎ倒していった。

 

「これで一丁終わりね。ブロントさん、そっちはどう?」

 

「こっちは片づけたぞ。後にはバラバラになった雑魚がいた」

 

「魔理沙、そっちは?」 

 

「楽勝だぜ。それに、こいつを見てくれよ」

 

 魔理沙はいつの間にか、魔物から3つも宝箱をかすめ取っていた。相変わらず、お宝の臭いには敏感のようだ。

 

「呆れた」アリスが魔理沙が抱えている宝箱を見て言う。

 

「魔法使いかと思えば盗賊だったという顔になる」

 

「失敬な。魔物にはこういうものは使えないから、私が有効利用してやるだけだぜ。さーて、よっと」

 

 魔理沙が宝箱を開く。1つ目の宝箱には爆弾石、2つ目には上薬草、3つ目には鉄の槍が入っていた。

 

「まあ、悪くは無いな。この鉄の槍は後で売ってお金にしてしまえばいいし」

 

「さて、モンスを片づけたから、とっとと洞窟に向かうぞ。ZUNは急げという名言もあるからな」

 

 

 

 ブロントさんたちは、魔物を退けつつ、程なくして目的の洞窟に辿り着いた。洞窟の中はごつごつとした岩だらけで、小さな川も流れている。どうやら地下水が溜まっているらしい。

 

「確かに、ここで薬の原料になる水が手に入るとか町の坊さんは言っていたな」

 

 魔理沙が川の水を手で掬い、軽く啜った。

 

「お、この水はなかなか良さそうだな。泥や水草の臭みが全く無い」

 

「水源はこの洞窟の奥みたいね。さて、行ってみましょう」霊夢は洞窟の上を見上げて言った。

 

 この洞窟は鍾乳石が垂れ下がっており、その先からポタポタと水が垂れている。洞窟の上部には幾つかの穴が有り、そこから陽光も差し込んでいる。更にはヒカリゴケが至る所に生えていることもあり、視界は十分に確保できている。

 

「やっぱり野良妖怪が住んでいるな。見てみろよ」

 

 ポイズントードやしびれくらげ、マタンゴが近寄ってくる。ブロントさんがポイズントードを一刀両断し、槍を持った上海人形が飛び回りながらモンスを薙ぎ払う。霊夢が飛ばした杭ほどもある大きさのある針にまほうじじいが貫かれ、魔理沙の八掛炉から放たれるレーザーがマタンゴを焼く。

 ブロントさんが大股でモンスの集団に踏み込み、右手で男女平等パンチをくらやみハービーに食らわし、マタンゴを剣で切り裂いた。

 

「こういう洞窟は、全部野良妖怪の巣になっているのね。全く面倒な」

 

 霊夢がお札を飛ばして、宙をふわふわ漂うしびれくらげを地面に張り付けの状態にする。そこに魔理沙の八掛炉から錬成されたミサイル状のエネルギー弾が撃ち込まれた。

 

「ふう、片付いたぜ。早いところ水源を探そうぜ」

 

 

 

 ブロントさんたちは洞窟を流れる川を遡るようにして奥へと進んでいった。洞窟の壁の所々にある裂け目からはちょろちょろと水が流れている。

 

「やっぱりこの洞窟の奥が水源みたいだな。ちょっと私たちの分も汲んでいこうぜ」

 

 魔理沙は水筒を取り出して、洞窟の壁から流れている地下水を満タンになるまで入れた。そして、もう少し奥に進むと更に多くの川が地面を流れている。

 

「そろそろ水源に辿り着きそうだな。あっちの方から水が流れてきているみたいだ」

 

「何でそんなことが分かるのよ」アリスが魔理沙を不審そうな目で見て言う。

 

「トレジャーハンターの特性だぜ。お宝の匂いってやつだ」

 

「魔理沙と同じ意見だわ。この川を遡って行けば水源ね」

 

「それじゃ、とっととそこに向かうぞ。ZUNは急げと言う名言を知らないのかよ」

 

 

 

 ブロントさんたちは、ようやく水源と思しき場所を見つけた。だが、そこに至るまで、ちょっとした、しかしながら彼らにとってはどうとでもない障害があった。2体のモンスが立ち塞いでいたのだ。そいつは、岩みたいにごつごつした体で身長3m以上、ブロントさんをも凌ぐ巨体だ。

 

「うわっ、なんだよこいつ。こいつがここのボスなのか!?」

 

「そんな事言ってる場合!?来るわよ!」

 

 アリスが剣を持った上海人形を敵に向かわせ、切り付けさせた。だが、表面を引っ掻いた程度の効果しか無く、敵にダメージを与えた様子は無い。

 

「ここはナイトにお任せなんだが?ハイスラぁ!」

 

 ブロントさんが魔物に斬りかかる。だが、そいつの岩のような表皮を少しだけ削ったくらいにしかダメージを与えていない。

 

「任せてください!」

 

 小鈴の術式が岩のような魔物の表皮を多少、軟化させた。そのおかげでブロントさんやアリスの剣による攻撃が通るようになった。

 

「もう一度行くぜ?今度こそバラバラに切り裂いてやろうか!?」

 

 ブロントさんが剣を振るうと、今度は魔物の表皮の破片がそこら中に散らばる。斬撃が通用するようになったようだ。

 

 霊夢が飛び上がり、手に持ったハンマーを魔物に何度も振り下ろす。その度に魔物の硬い体組織が飛び散り、敵は遂に動かなくなった。

 

「ほら、終わったわよ。思ったより大したこと無いのね」

 

「白魔かと思ったら、臼魔だったという顔になる」

 

「Oi、みす、misu、おい、誰が臼魔ですか。そのアルパカみたいな耳を後ろから破壊してやろうか」

 

「すいませんでしたぁ!わかったから人の耳を引っ張るのはやめるべき!」

 

「とっととここから出ようぜ。ほらよ」

 

 魔理沙はいつの間にか泉の水を汲み、瓶の中に入れていた。数本分用意してある。

 

「よし、それならとっとと町に戻るぞ」

 

 魔理沙が大きな魔方陣を描き、ブロントさんたちがその上に乗る。魔理沙が術式を発動させると、5人は一瞬で洞窟の外へと移動した。

 

 

 

「む、そこにいたのにいなかったという顔になる。流石は魔理沙の魔法スキルはA+といったところか」

 

「へへっ、それほどでもないぜ。じゃあ、次はこれの出番だな」

 

 魔理沙がキメラの翼を放り投げる。ブロントさんたちは、一気に彼岸の里まで飛んでいった。

 

 

 

「さて、これに満月草を浸して少し待てばいいのね。じゃあ、私と小鈴ちゃんであの子にこの薬を渡してくるから、ブロントさんたちは船のドックの近くで待っていて」

 

「うむ。わかったぞ」

 

 霊夢と小鈴は一旦ブロントさんとは別行動を取ることになった。

 

 ブロントさん、魔理沙、アリスは船のあるドックへと向かった。日は傾き始め、町の広場は『海の男コンテスト』の開催時間が近づくに連れ、人がどんどん集まり、かなりの黒山の人だかりとなっていた。

 

「ブロントさん、あいつ・・・・・」

 

 魔理沙がコンテストのステージの方に目を向けた時だった。黒装束を着た、茶髪、黒い目線の男がおり、その近くに刀を持つ人間が複数いる。

 

 やがて、その目線の男はブロントさんたちの方を見た。

 

「やっと見つけたぜぇー、ブロントよぉ」

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