東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて   作:F.Y

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旧地獄街道

 ブロントさんたちの船は北東を目指して海を進み続けた。途中、魔物に襲われている商船や漁船を助けたり、難破船を魔理沙が家探ししたりと寄り道をしつつも、最終的な目的地である大陸に辿り着いた。

 

 アリスは船を船着き場に停泊させ、管理人にお金を渡してこの船を見ていて貰うよう頼んだ。暫くは陸路を進んでの旅路となる。

 

「さて、ブロントさん、行きましょうか。今まで得た情報を確認した感じ、この大陸に虹色の枝を盗んだ犯人がいるみたいですね」

 

 霊夢が周囲を見回して言った。この辺りは旅人が多いらしく、戦士や武闘家、僧侶といった編成の冒険者のPTの姿が何組も確認できる。

 

「まずは旧地獄の街道を目指すんだったな。その途中に例の滅んだ国の武魂の砦ってのがあるのか?」

 

 魔理沙が霊夢に訊く。

 

「そうよ。一説にはその砦を治めていた王族の家臣に憑りついた魔物の仕業で国が衰退して滅んでいった、という噂も流れているわ」

 

「魔物が人に憑りつくだって?そんなことをするだなんてかなり高度な術式だぞ。それを使えるようなのは、かなりの高位妖怪でもないとそんなことはできないぞ」

 

「うーん。そんな高度な術式を使うとなると、魔物の親玉みたいなものでしょうか?」と、小鈴。

 

「まあ、今は考えても仕方が無いでしょ。早いところ旧地獄街道を目指しましょ」

 

 

 

 ブロントさんたちは魔物を退けつつ、旧地獄街道を目指して北へと進んでいく。やがて、荒れ地の真ん中にレンガや石でできた城壁の跡らしきものが見えてきた。どうやら、それが魔物によって滅亡したと言われている武魂の砦のようだ。

 

「こいつは酷いな。何もかもぶっ壊されてる。こりゃ、お宝も何も壊されるか強奪されるかされて、何も残っちゃいないだろうな」

 

 魔理沙が辛うじて残っている石を積み上げて造られた城壁と思しきものに触れて言う。辺りには壊れた壺や甕の破片のようなものが散らばり、砦の石垣には苔がびっしりと生えている。

 

「む。これがウコンの砦とかいう場所なんdisかね?」

 

「ウコンじゃないで武魂ですよ。それにしても、酷い壊され様ですね。やはり内部に侵入した魔物が手引きして、外から大群が襲ってきた、という感じでしょうか?」

 

 小鈴が破壊された城壁の様子を確認しながら言う。5人はそれぞれ散らばり、砦の各所の様子を確認する。

 

「おい、ブロントさん!地下に続く階段があるぞ!」

 

 流石はトレジャーハンターと言うべきか、魔理沙は目ざとく階段を見つけた。5人でその地下に向かう。だが、地下室に続くと思しき通路は途中で崩れたレンガで塞がれ、それ以上進むことができない。

 

「ちっ、ダメか。仕方が無い。こうなったら先に旧地獄街道に行って、虹色の枝を盗んだ奴を見つけよう」

 

 

 

 それからブロントさんたちは更に進み、旧地獄街道を目指す。途中で襲い掛かる青バチ騎兵や覆面バニー、メイジキメラなどを退け、ようやく北の方に城塞のようなものが見えてきた。

 

「あれが旧地獄街道か?随分と変な建物だな」魔理沙が、まるでそれは町では無いかのような口ぶりで言う。

 

 確かにぱっと見た感じは、尖塔のような城塞に門があるだけで、とても町とは思えない。

 

「いえ、この下が町になっているみたいね。行ってみましょう」霊夢は何のためらいも無く、城塞の扉を開け、そこにあった階段を降りて行った。

 

 

 

 城塞の下は、とても賑わった町があった。上を見てみると、外から空気を取り入れるための通風孔らしき穴が幾つもあり、そこから太陽の光も僅かながら差し込んでいる。とはいえ、基本的には、町のそこら中に設置された松明を利用して内部を照らしているようだ。

 

「まさか地面の下に町を建設するなんてな。まるで蟻になった気分だぜ」

 

 魔理沙が壁を軽く叩いて言った。土をとても硬く押し固めた後、上から漆喰をしっかりと塗られている。

 だが、まずやるべきことは虹色の枝の行方を探すことだ。だが、その手掛かりは程なくして見つかった。何と、この町で近々仮面武闘会が開かれ、その優勝賞品として虹色の枝が出品されているというのだ。

 また、この町を見回って気づいたのだが、町を行き交うのは荒くれ者が多く、正直言って治安はあまり良くない場所のようだ。町の至る所に酒場があり、更にはカジノのネオンサインまで確認できる。

 

「あと、武器や防具も見ておきましょ。この辺の魔物、結構強かったじゃない」

 

「『確かにな』さて、霊夢の言う通り、まずは武器屋に向かうぞ」

 

 

 

 ブロントさんたちは町の武器屋で剣、鎧、盾、槍、杖などを調達し、情報収集をすることにした。そして、粗方町の人々の話を聞いて回った結果、まず、言えることと言えば、虹色の枝を手に入れる為には、仮面武闘会に参加して優勝する必要があるとのことだった。そして、一行は宿を取った。

 

「うーむ。話を総合すると、まずは仮面武闘会に参加して、勝ち上がらないと虹色の枝は手に入らないってことだな」魔理沙が腕組みをして言う。

 

「ならば俺の出番なんだが?俺が他の参加者に男女平等パンチを食らわせて、カカッと優勝すればいい話」

 

「だけど、そうもいかないみたいよ。聞いた話だと、何でも仮面武闘会は、参加者は抽選で選ばれたペアで戦うみたいなのよ。つまり、私たちが参加したところで、誰と組みになるかわからないから、下手したら見ず知らずの他人と連携して戦い続けなきゃならないってことよ」と、アリス。

 

「そう言えば」魔理沙が口を挟む。「確か、この町にはチャンピオン?とかいう奴がいるんだったな。しかも、そいつは何年もの間、仮面武闘会に参加しているものの、そいつに勝てた人間も妖怪もいないらしいぜ」

 

「人間はともかく、妖怪も格闘して勝てない相手?そんな種族、そう多くは無いわよ」霊夢が眉間に皺を寄せた。

 

「ああ、でも、格闘で妖怪を打ち負かすような種族と言ったら・・・・・・」

 

「私の予想ですが、鬼、ではないでしょうか?」

 

 小鈴の意見にブロントさん以外の3人は合点がいった。霊夢、魔理沙、小鈴、そしてブロントさんのような人間は修行によって体力や妖力を身に着けることで強くなる。一方、妖怪は元々妖力は強いものの、例外はあるにせよ、体術に長けている者は少ない。アリスのような魔法使いは、魔力に関しては人間、妖怪に比べて遥かに強いが、腕力がそこまで強いとは言えない。

 一方、妖力は僅かしか持たないが、極めて強い腕力と強靭な肉体を誇る種族がある。それが鬼だ。彼ら彼女らは相手が妖怪だろうが、人間だろうが力比べを挑んでくる。そして、自分より強い相手と戦う事を誇りとしている種族だ。

 

「なるほどな。確かに鬼ならばああいう格闘大会とかに出場したがるのもわかる」

 

 魔理沙が腕組みをした。もし鬼が相手ならば、いくら馬鹿力のブロントさんであったとしても、そう簡単に勝つのは難しい。

 

「そうそう。闘技場を見てきたんだけど、確かに優勝賞品には虹色の枝が展示してあったわ。どうやら、準優勝してもなんらかの賞品があるみたいなのよ」と、アリス。

 

「む?それは一体何なんdisかね?」

 

「うーん、大きな黄色くて丸い宝石みたいなものだったけど、それ自体に対して妖力や魔力は感じられなかったし、どこかの鉱山か何かから採掘されたただの珍しい石か何かじゃないの?まあ、売ったら結構な価値はありそうな感じだったけど」

 

「大きくて黄色い宝石?うーん・・・・・」

 

 霊夢がそう言って腕組みをし、何やら考え事を始めた。

 

「どうした?霊夢?」と魔理沙。

 

「あ、うん、何でも無いわ。でも、その宝石?かしら。妙に引っかかる気がしたのよね」

 

「引っかかるって、どういうことだよ?」

 

「何となくだけど、上手く説明できないわね。まあ、要は仮面武闘会で優勝して、虹色の枝を手に入れない限りはどうにもできないわね。明日はそのエントリーの受け付けだったでしょ?」

 

「おっと肝心なことを忘れていた感。じゃあ、晩飯を食ったらとっとと寝るぞお前ら」

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