東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて   作:F.Y

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前夜祭

 翌日。ブロントさんと萃香は難なく試合を突破した。作戦通り、霊夢と魔理沙が相手選手の控室の近くで待機し、アリスと小鈴はブロントさんの控室の中で待機していた。

 

 相手選手の怪我は、ブロントさんから言わせてみれば『それほどでもない』とのことだったので、霊夢たちにはそのまま張り込みをしてもらうことにした。万が一、救護室に運ばれるようなことがあれば、即座にアリスと小鈴がそこに駆け付ける算段を整えていた。

 

「さて、俺たちも霊夢のところへ行ってみるぞ。犯人は現場に戻ってくるという名ゼリフもあるくらいだからな」

 

 ブロントさん、アリス、小鈴、萃香は4人揃って霊夢たちのところへ向かった。しかしながら、霊夢と魔理沙に言わせれば、対戦相手は控室に戻ってきていないとのことだった。

 

「おかしいな。多少の打撲と切り傷で済んだはずなのにな。骨折もしていなかったはずなのに、取り敢えず、救護室に向かってみるか」

 

 

 

 萃香の提案で、一行は救護室に向かってみた。そこで待機していた医者によれば、こっちに試合に参加していた妖怪と人間のコンビは、やって来ていないという。

 

「おいィ・・・・・ちょとsYレならんしょこれは・・・・・」

 

 いよいよおかしな事が起きているようだ。武闘大会に参加している人間や妖怪が次々と失踪しているとなると、何者かが参加者を拉致しているとしか思えない。

 

「なあ、今日の試合はこれで終わりだよな?後は・・・・・準決勝と決勝か」

 

「そうなると、狙われているのは8人ね。ブロントさんと、萃香。そして、準決勝まで勝ち残った相手」

 

 霊夢が周囲を見回しながら言う。そこへ、武闘大会を主催している里の役人をしている妖怪がやって来た。

 

「おや?あなた方は先ほどの試合を勝ちあがった方たちではないですか。一体、何をしているのです?」

 

「あら、ちょうどよかった。さっきの試合で負けた人たちを見なかった?」

 

「いや、見ていないですね。実は、私もその件でここを見回っているのですが」

 

「なるほど。あんたたちもこの事件を追っている訳か。まあ、主催者となると、放っておく訳にもいかないか」魔理沙が腕組みをし、その妖怪の方を見た。

 

「ええ、その通りです。そこで、我々は参加者に警護の者を付けることとしました。勿論、あなた方にも警護を付けます」

 

「おいィ・・・・・ナイトは守られるものじゃないで、仲間のメイン盾となるのが役目なんだが」

 

「そうは言われましても、武闘大会に参加している人間や妖怪が失踪するだなんて、この旧地獄街道で大会が始まって以来、一度も無かったことです。とにかく、まだ誘拐犯がまだここに残っている可能性もあります。護衛の者には邪魔をさせません」

 

「そうなったら仕方無いわね。準決勝だし、ここでまた何か起きたら虹色の枝を手に入れるどころの話じゃなくなるわ。ブロントさん、ここは慎重に調べましょう」

 

「む、そうだな。自慢じゃないが俺はイシの村の名探偵ホームズと言われた実績があるのだよ」

 

「ブロントさん・・・・一体、何個の異名があるんだ・・・・」

 

 魔理沙はブロントさんの顔を見て、少し困惑した様子で言った。

 

 

 明日明後日はいよいよ武闘大会の準決勝、そして決勝戦ともあって、人間も妖怪も鬼も大勢で旧地獄街道の大きな通りに連なる飲食街で飲み歩いている。

 通りの屋台は活気に溢れ、翌日の準決勝でどちらの組が勝って、決勝戦に駒を進めるのかという話に花を咲かせている。

 そんな中、一人の人物が通りをゆっくりと歩いていた。その人物は真っ黒なマントに身を包み、フードを被っているため、その顔をうかがい知ることはできない。

 そいつは周囲を見回すような動きをして、何事も無かったかのように雑踏の中を進み続ける。そして、ポケットの中に手を入れ、中から小さな瓶を取り出した。中には紫色がかかった、半透明の液体で満たされている。そして、その不気味な人物は誰にも怪しまれる事無く、人混みの中へと消えていった。

 

 

 

 ブロントさん一行と萃香は、まずは夕食を取ることにした。そうは言っても、物騒な事件が起きている現状、町に繰り出して仲間のうち誰かが行方不明になってしまっても困るので、常に6人が一緒になって行動するようにする。

 町には失踪事件の話は流れていないのか、みな、至って普通通りに過ごしている様子だった。確かに、武闘大会の勝者のことは話題に持ち上がるが、敗者のことはあっさりと忘れられてしまうのだろう。旧地獄街道というのは、こういう町なのだ。

 

「さーて、私の行きつけの美味い店があるんだ。ここの通りのちっさい店だけどさ」

 

 萃香の案内で、ブロントさんたちは1軒の店に入っていく。中は多くの妖怪と人間で賑わっており、テーブルはほぼ埋まっていた。

 

「店長、いつものやつを6人分とお酒!」

 

「おう、萃香。ちょっと待ってろ!」

 

 萃香はここの常連らしい振る舞いをしていた。暫く待っていると、色とりどりの料理と酒が次々と運ばれてくる。

 

「ほー、美味そうだな。さて、頂くとするか!」

 

 魔理沙が唐揚げを口に運び、アリスはチャーハンを皿によそう。

 

「あーら、いいお酒じゃない。こんな辛気臭いとことなのに、こんなのがあるなんてね」

 

 霊夢はおちょこにどんどん酒を入れて、飲み干していく。

 

「おおー、いい飲みっぷりだね。そうだ、ブロントさんも一杯どうだい?」

 

「『せっかくだけど遠慮します』」

 

「なんだよそりゃ、辛気臭いなー」

 

「あ、萃香さん。ブロントさんは、お酒が全くもってダメでして・・・・・」小鈴が助け舟を出した。

 

「そうそう、物は試しに無理やり飲ませてみたんだけど、全くダメ、ちょっと啜っただけで気絶するみたいに寝ちゃってね」と霊夢。

 

「なんだよそりゃぁ。情けないにもほどがあるよ。ここじゃ、お酒が飲めない奴は、問答無用で雑魚認定されちゃうんだよ」

 

「おいィ、酒を飲むとか、アルコールで胃と肝臓をやられて寿命がマッハになるのは確定的に明らかなんだが?」

 

 ブロントさんは酒を無視して、衣をまぶして揚げられた魚を胃袋に運んでいく。かなり美味い。

 

「ところで、明日の準決勝の相手だけど・・・・・」

 

「ああ、知ってる奴だよ。この旧地獄街道の荒くれ者でさ、力は強いんだけど、所詮は人間だよね。多分、そいつはブロントさんを狙って攻撃してくるだろうから、その隙にあたしがボコるっていう作戦で良くないかい?」と萃香。

 

「つまり、俺がメイン盾としてそいつらの攻撃を引き付けているうちに、芋が不意だまを食らわせるというんだな」

 

「ちょ、私は芋じゃなくて鬼だよ」

 

「まあ、私たちが野良妖怪相手にいっつもやっている戦い方だな。メイン盾のブロントさんが前で敵の攻撃を受け止めている間に、私らがボコボコにするってな」

 

 魔理沙はそう言って、分厚いベーコンをビールで胃袋に流し込む。

 

「あっ、何よー、もうお酒が無いじゃない。ねー、こっちにお酒もっと持って来てよー。魔理沙も小鈴ちゃんも飲むでしょ?」

 

 霊夢が給仕をしている妖怪に向かって手を振る。

 

「おいィ!?おもえはまだ飲む気なんdisかね」

 

「何言っているんですか。このくらい、まだ序の口ですよ」

 

「そうだぜ、ブロントさん。だいたい、私らが普段どれだけ飲んでいるか知ってるだろ?」

 

「ちょとsYレならんしょこれは・・・・?」

 

「なんだよー、一人だけ飲めないとか、随分とまたつまらない人間だね」と萃香。

 

「おいィ、酒を飲むとか肝臓と脳細胞が破壊されて一巻の終わりなんだが?」

 

 ブロントさんは酒から目を逸らし、スプーンでピラフを掬って食べる。それにしても、俺の同行者はどうして

こうも酒ばかり飲むんだ?ちょとsYレならんしょこれは?

それに、明日は準決勝だ。酒なんか飲んでいたら、酔っ払ったあげく、肝臓がマッハ。おれは不良だから、明日に備えてとっとと宿屋で寝るんだが?

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