東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて 作:F.Y
ブロントさんと萃香はあっさりと準決勝を突破した。相手はここまでどうやって勝ち上がって来たのか不思議なくらいの相手で、萃香がデブなレスラーにジャイアントスイングを仕掛けて投げ飛ばし、ブロントさんがそいつの相棒の顔面に男女平等パンチをぶちかますと、簡単にそいつは倒れた。
翌日はいよいよ決勝戦となり、萃香もブロントさん一行も浮かれて、再び町へ繰り出した。
だが、それが迂闊だった。決勝戦の朝、普通ならば早い時間に迎えに来る萃香がやって来ない。
「おかしいですね。萃香さん、どうしたんでしょう?」
小鈴は周囲を見回しながら、まだやって来ない萃香を探していた。
「霊夢、どうしたんだ?」
霊夢の目が鋭くなり、一歩踏み出した。
「ブロントさん、萃香の家に行ってみましょう。なんだか嫌な予感がするわ」
「む・・・・・?」
一行は萃香の家の前に来た。ドアをノックしてみたが、萃香は出る気配が無い。
「おいィ~、おいィ~、早く出てきてくれませんかね・・・・?」
「どうしたんだろう?今まで通りなら、もっと朝早く私らを迎えに来るのにな・・・・・?」
魔理沙も異様な状況に気づき始めた。ドアノブを引いてみると、内側から鍵がかかっているようだ。
「おーい、萃香、どうしたんだ?」
霊夢は顎に右手を当て、何やら考え込んでいる。やがて、そこに決勝戦の相手であるはずの衣久がやって来た。
「あら、皆さんお揃いで・・・・・・」
「おいィ?まさか、決勝を台無しにするために、おもえが萃香を拉致ったんdisかね?ちょとsYレならんしょ・・・・・・?」
「ちょっと、藪から棒に失礼な方ですね。寧ろ、私があなた方の力を借りようと思っていたところなんですよ」
「と、いう事はまさか・・・・」霊夢が言う。
「ええ。今朝早く、総領娘様が、いつの間にかいなくなってしまっていて。朝食を食べる時間になったらすぐに戻ってくると思っていましたが、全く戻る気配が無かったのです。もしかしたら、先に出発していたのかと思い、一度、武闘大会の受け付けに行ってみたのですが、そちらにも来ていないと言われてしまいまして、どうしたものかと思っていましたが・・・・・」
「よし、ブロントさん、こうなったら実力行使よ。みんなでこのドアを蹴破って、中の様子を確認しましょう。それに、さっきからどうも嫌な予感が消えないのよ」
「おいィ、不法侵入とか犯罪でしょう?ムショで10年は臭いメシを食うハメになぬる」
「いや、この際仕方が無いぜ。出場者が2人も出られないとなると、武闘大会自体がダメになってしまう。それだと、虹色の枝が手に入らなくなって、私らの旅もここでおしまいになってしまう」
霊夢と魔理沙は中を調べるのに乗り気だった。アリスと小鈴、衣久もそれに賛成し、結局は萃香の家に強行突入することになった。
「仕方がにぃ・・・・・」
「さて、鍵がかかっているなら私の出番だな。これを・・・・・」
魔理沙がポケットから2本の細い針金のようなものを取り出して鍵穴に突っ込んだ。そして、ガチャリ、という音と共に簡単に扉の鍵を開錠する。
「よし、突入だ!」
魔理沙に続いて、霊夢、アリス、小鈴、衣久が萃香の部屋に入っていく。ブロントさんはほんの少しだけ、開いた扉の前で立ち尽くして、こう呟いた。
「黒/シかと思えば、シ/黒だったという顔になる・・・・・・」
部屋の中は滅茶苦茶に荒らされていた。テーブルがひっくり返り、食器棚が倒れて、水がめが割れたのか、床は全面水浸しだ。
「な・・・・何よこれ・・・・・」
霊夢は部屋の様子を見て愕然となった。
「ちょとsYレならんしょこれは・・・・・?」
「おい、これは」
魔理沙が指した床には大きな穴が空いていた。
「穴・・・・?」と霊夢。
「部屋にも穴はあるんだよな・・・・・・って、そんなこと言っている場合じゃないぜこれは!」魔理沙が言う。
「では、この先に恐らくは萃香さんを攫った犯人が・・・・?」衣久がその穴の先をじっと見て言う。
「おいィ・・・・・・誘拐とか直接的に言って犯罪でしょう?汚いなさすが忍者きたない」
「いや、ブロントさん、流石にあの忍者がすぐに私たちに追い付くとは思えないな」と魔理沙。
「それよりもブロントさん、この先に行ってみましょう。多分、このトンネルを掘った奴が萃香と天子を誘拐したに決まっているわ」
霊夢は全く躊躇う様子も見せずにトンネルの中に足を踏み入れようとした。
「うむ。俺が思うに、芋と天人は今頃汚い忍者に拉致換金されて『はやくきてー、はやくきてー』と泣きが鬼なっているのは確定的に明らか。誘拐された芋と天人を助けに行く→誘拐犯に拉致られたリア♀を助けたと名誉が充実→心も豊かなので性格も良い→彼女ができる、芋と天人を見捨てる→ナイトの名誉が雑魚→心が狭く顔にまで出てくる→いくえ不明」
「それに、これほどのトンネルを掘るとなると、賊はかなりの戦力を持っていると考えられます。皆さん、慎重に進みましょう」
「おい、あんた、戦えるのか?」魔理沙が衣久に対して少し懐疑的な視線を向ける。
「ええ。こう見えても、治療と攻撃の術式はある程度心得ています。皆さんの足手まといにはなりません」
「そうと決まったら、穴にのりこめー^^」
「わぁい^^」
「お、おー^^」
穴は更に大きなトンネルに繋がっていた。中は真っ暗だが、かなり広く、所々からモンスの声が聞こえてくる。
「おい、何だこれは?何も見えないぞ?」と魔理沙の声が聞こえる。
「ちょっと待ってろ・・・・・よし、封印が解けられた!いくぜ、生半可なナイトには真似できないフラッシュ!」
「うおまぶしっ!」
ブロントさんが全身から白い光を放ち、真っ暗な洞窟を明るく照らす。
「あのー、どうやってこんなに都合よくこの場に必要な術式を・・・・・・」衣久が怪訝そうな顔をしてブロントさんを見る。
「えっ・・・・?」
PTメンの全員が衣久を見た。
「えっ・・・・・、あ、あの・・・・・なんでもないです・・・・・」
「まあ、そんなこと気にしていたらすぐ禿げる。それに、ナイトは順応スキルがかなり高いから、その場で必要なアビをすぐ習得する話があるらしいぞ?(リアル話)」
「それよりも気を付けて、ほら、敵よ」
アリスが短剣を持つ上海人形を飛ばし、向こうにいる覆面バニーを切り付けた。
「俺にも一撃を入れさせろ!行くぜ!」
ブロントさんは、その巨体とは思えないスピードで敵の群れに向かい、腐った死体に斬りかかる。
「ハイスラァ!」
腐った死体の左腕が肩から千切れ、宙を舞う。しかし、生ける屍であるこのモンスは全く痛みというものを感じないのか、残った右腕を振り回し、ブロントさんを攻撃する。
「ブロントさん、避けてくれ!」
「バックステッポ!」
ブロントさんが後ろに飛びのくと、魔理沙が八卦炉から氷の塊が混ざった冷気を放った。腐った死体の群れが凍り付いて動かなくなる。
「さて、こんなものね。さ、こんなのに構っている時間は無いわよ」
「だけどよう霊夢、こんなに入り組んで魔物だらけの洞窟から萃香と天子を探し出すなんてかなり難しいぜ。ほら、またお客さんだ」
魔理沙が一瞥した先で、機械仕掛けの小鳥のモンス、ガチャコッコや生ける屍であるどくどくゾンビ、アンデッドマンなどがぞろぞろ群れを成していた。そいつらは、ブロントさんたちに一斉に気づいて、こちらに向かって来る。
「あー、もう!面倒ね!こうなったら、一気に突破するしか無いわ。魔理沙、合図したら私と二人で最大火力であいつらに攻撃の術式を撃つわよ。ブロントさん、あいつらを攻撃したら、先頭に立って真っすぐ走って!」
「わかったぞ霊夢どん」
「それじゃ、行くわよ、魔理沙!」
「おう!」
魔理沙と霊夢は同時に術式を放った。凄まじい爆発で魔物の群れが後ろに吹き飛ぶ。これを食らったモンスは体の一部が千切れ、体を炭化させて倒れている。おかげでこの先に続くトンネルへの突破口が開く。
「ふう、これで大方片付いたわね。さあ、今のうちにとっとと突破するわよ!」
「一気に行くぜ!とんずらぁ!」
ブロントさんが目の前を塞ぐ腐った死体にタックルを食らわせて吹き飛ばし、後ろに倒れたそいつを踏みつけながら走る。
「そこで立ってなさい!」
霊夢がアンデッドマンの群れに向かって無数のお札を投げつけた。アンデッドマンはお札の霊力によって動きを封じられる。
「おっと、いい物持っているじゃねぇか!死ぬまで借りていくぜ!」
魔理沙は隙を見て、アンデッドマンから鋼の剣や鉄兜、青銅の盾などを強奪する。
「うおおおおおおおお!生半可なナイトには真似できないシールドバッシュ!」
ブロントさんは左手で盾を掲げ、目の前の覆面バニーを突き飛ばし、アリスが放った術式により、どくどくゾンビが動きを止める。
他にもモンスが大量に汚く粘着してきたが、そいつらは誘拐犯に拉致換金されたリア♀を助けるべく、とんずらでカカッときょうきょ駆けつける黄金の鉄の塊でできたナイトとそのフレたちによってあっという間に骨になったのであった。