東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて 作:F.Y
ブロントさんは妖夢や他の庭師に連行され、地下牢に放り込まれた。中はかなり暗く、天井に数ヶ所、微かに空いた通風口から日ざしが差し込む他、蝋燭によって照らされているだけだ。
「おいィ!ナイトがムショで臭いメシを食わされるのはずるい!」
だが、ブロントさんの声は誰にも届かなかった・・・・・・・向こうの牢に囚われている人物を除いて。
「五月蠅いな。ちょっと牢屋にぶち込まれたくらいでガタガタ言いやがって。ちょっとくらい静かにできないのか?」
「む?」
当の囚人は、通路を挟んでどうやら斜め右向かいの牢に囚われているようだ。暗くて顔は良く見えないが、ブロントさんよりはだいぶ小柄なようだ。
「ところで、何であんたここにぶち込まれたんだ?」
「むう・・・・。やはり忍者よりナイトの方が頼りにされていた!キングべひんもすとの戦いでLSメンが・・・・・・・・」
(以下、カカッと省略)
「何だって!?あんたが白夜の騎士だと名乗った途端、ここの主に牢にぶち込まれた、だって!?」
その少女はぎょっとした顔でこちらを見た。そのおかげでブロントさんはその顔をよく見ることができた。やや縮れた長い金髪、金色の瞳の少女は黒いとんがり帽子と黒い服を身に着けている。その恰好は、さながら魔女、そのものだった。
「まさか・・・・・お告げの通りだとは・・・・」
「おいィ?一体どういうことなんdisかね?一人で納得していないで説明してくれませんかね?」
「ああ。ちょっとな。それよりも、早いところここから脱出しないとな。そうしないと、二人ともあの世行きだぜ」
件の少女は辺りを見回した。
「よし、ちょっと私に任せてくれ。そこで大人しく待ってな」
暫くまた待っていると、足音が聞こえてきた。どうやら、看守である庭師がやって来たようだ。そいつは何かが乗った皿を持っている。やがて、庭師は件の少女がいる檻の目の前に立った。
「ほら。食事だ」
看守が皿を差し出した時、凄まじい爆発音が聞こえた。ブロントさんが音がした方を見て見ると、看守は黒焦げになって床に倒れていた。所謂、床ペロという状態だ。
「ふん。魔力さえ回復してしまえば、こんなもんだぜ。さーてっと・・・・・・これだこれだ」
少女はねじ曲がった格子から細い腕を出し、看守から鍵を奪い、素早く鍵を開ける。
「へへっ、楽勝だぜ。ちょっと待ってな」
件の少女は鍵を持ってブロントさんの牢を開けた。
「どうやら、あんたの装備は看守どもが持っていたみたいだぜ、ほら」
少女はブロントさんに剣と盾を渡した。
「助かった。終わったかと思ったよ。それで、ここから出る方法は考えてあるんdisかね?」
「ああ。あるぜ。ついてきな」
「そうだ。あんた、名前はなんていうんだ?」
「む?俺か?俺の名はブロント。謙虚だからさん付けで良いぞ」
少女は自分の背丈の倍くらいの長さの箒を持っていた。ブロントさんは彼女の後に付いて行く。
少女が案内した先は、自分が入れられていた独房の中だ。その床に、不自然に筵が敷かれている箇所がある。
「奴らに気づかれないように、こそこそ穴を掘って・・・・・・・かれこれ2ヶ月くらいかな。やっと脱出の目途が立ったところへ、あんたが現れたって訳だ。まあ、こいつはただの偶然で済ますには、話が出来すぎて裏があるみたいだが・・・・・・」
少女は筵を床から引きはがした。そこには、ブロントさんのような大柄な人間でも通れるくらい大きな穴がある。それからやや狭いトンネルが続いているようだ。
「さて、ついてきな」
「むう。僅かに狭すぎるが、通れないほどでもないと感心が鬼なる。では、トンネルにのりこめー」
ブロントさんは腰をかがめ、少女の後に続いた。
暫く狭いトンネルを這って行く。出口は広い地下空間に繋がっていた。どうやら、ここは町の地下水路のようだ。
「待て・・・・どうやら兵士どもが巡回しているみたいだな」
「む・・・・・?」
ブロントさんは狭いトンネルで止まった。しばらくすると、足音が聞こえてくる。
やがて、足音は遠ざかった。目の前の少女は、匍匐前進しながら進む。ブロントさんも後に続いた。地下水路は随分広く、まるで人間が歩き回れるように整備されていた。
「よし、静かに行くぞ。あっちのトンネルだ」
二人は巡回する庭師たちの目を盗み、向かい側の地下通路に駆け込む。これは煉瓦の壁や石畳が無い。天然の洞窟だ。
「で、ここからどうす・・・・・」
「しっ、何かいるぞ」
少女の言う通り、目の前で巨大な影が動く。それはゆっくりと立ち上がり、唸り声を上げた。
この辺りにいるモンスとは比べものにならない奴だということは、二人はすぐにわかった。HNMみたいなものだ。
「げっ!こいつ、ブラックドラゴンかよ!まずいぜ、ブロントさん!」
そのブラックドラゴンが吠え、少女とブロントさんに向かって突進してくる。
「ちょとsyレならんしょこれは」
「早く逃げよう!」
「一気に行くぜ・・・・・とんずらぁ!」
二人は襲いかかる巨竜から逃げるために、必死で走った。やがて、壁にブロントさんでも通れる程度の裂け目があるのが見えた。
「ブロントさん!こっちだ!」
少女の言う通り、ブロントさんは壁の裂け目にスライディングしながら突入した。向こうは広い空間になっている。その先は水路になっていた。
「助かった!終わったかと思ったよ!」
「さて、と。次は・・・・・・・」
「囚人が逃げたぞ!」
「あっちだ!追え!」
庭師連中の足音が聞こえてくる。それらは段々、こっちに近づいてくる。
「くそっ!もう追い付いてきやがったか!ブロントさん、こっちだ!」
二人は必死で水路を走った。やがて、向こうに明かりが見える。どうやら外に出られそう。
だったはずだが、それは通風口だったらしい。出口の先は崖だった。
「せっかく逃げられると思った出口の先が崖下とかちょとsyレならんしょ!これ作ったの、絶対忍者だろ。汚いなさすが忍者きたない」
「いいや。ブロントさん、私に任せてくれ」
少女はその長い箒に跨がった。
「さあ、後ろに乗りな。しっかり掴まってないと振り落とされるからな」
ブロントさんは少女の言う通りにした。やがて、庭師たちが追い付いた。
「もう逃げられんぞ!観念するんだ!」
先頭の庭師が刀を抜き、二人に近づく。その間、少女は深呼吸し、意識を集中させた。そして、ブロントさんの方を見た。
「ブロントさん、私を信じて貰えるか?」
「む?当然なんだが?俺たちはもう同じムショで同じ臭いメシを食った、ムショLSメンになったんだからな」
「そうか。なら良かった。そうだ。私の名前は魔理沙。霧雨魔理沙だ。忘れないでくれよな!」
魔理沙がそう言って地面を蹴った瞬間、箒は二人を乗せて空高く舞い上がった。その様子を、追いかけてきた庭師たちは呆然と見上げることしかできなかった。