東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて 作:F.Y
魔理沙とブロントさんを乗せた箒は、鬱蒼としたジャングルに着地した。日光は殆ど届かず、サルや鳥の鳴き声が響く。
「さーってと。まずは、そうだな。この白玉楼の下層のスラム街に行きたいんだけど、協力してもらえるかな?ブロントさん」
「うむ。よいぞ。まるサには脱獄を手伝ってもらった恩もあるしな。フレの助けをするのがナイトなんだが?」
「助かったぜ。そのスラム街に置いてきたものがあってな。そいつを取りに行きたいんだ」
「む、良いぞ。では、さっそくそのスラム街とやらにのりこめー^^」
ブロントさんと魔理沙は、ジャングルからスラム街目指して歩き始めた。その途中・・・・・・。
黒い一つ目の魔物と小さな虎のような魔物、そして顔が付いた動く切り株が飛び出してきて。二人の襲い掛かった。
「何いきなり話しかけてきてる訳?」
「そんなこと言っている場合かよ!倒すぞ!」
最初に動き出したのは魔理沙だ。彼女は意識を集中させると、八角形の道具を持ち、魔物に向けた。
「食らえ!」
その道具から無数の星型の光が飛び出した。それは魔物の群れに降り注ぎ、火傷を負わせる。
「俺にも一撃を食らわせろ!行くぜ、ハイスラぁ!」
ブロントさんの斬撃できりかぶおばけが真っ二つになった。小さな虎のような魔物はブロントさんに飛び掛かってきたが、魔理沙が箒でぶん殴り、そいつを弾き飛ばした。
だが、虎の魔物はまだ倒れていなかった。唸り声を上げて飛び掛かってくる。魔理沙は箒に乗り、魔力を纏いながらそいつに体当たりした。モンスターは短く鳴いて、そのまま動かなくなった。
「一丁上がりってやつだな、ブロントさん。へへっ、なかなかいいコンビになってきたんじゃないのか?」
「確かにな・・・・・・む?」
「ん?ああ、ちょっと体当たりしたときに、さっきの魔物の爪が引っかかったらしいな」
魔理沙の腕には長い切り傷ができていて、そこから血が流れている。
「こういう時こそナイトの出番なんだが・・・・・・・ケアル!」
魔理沙の傷は白い光に包まれ、瞬く間に塞がった。
「へー、治癒の魔法か。私じゃどういう訳か全然習得できなかったけどな。助かったぜ。ありがとな、ブロントさん」
「なあに、こんなものナイトにしてみたらチョロいこと」
「さて、あそこの門をくぐれば、スラム街だ」
「それじゃ、カカッと行くとするか」
「そうだな・・・・・と、言いたいが、ちょっと待ってくれないか?」
「む?何かな?」
魔理沙は草むらにかがみこみ、何かを探す仕草をしていた。やがて、何かを手にして立ち上がった。
「これはレッドベリーだな。そのまま食べても美味いが、私はこいつを魔法の錬成によく使うのさ。他には・・・・・・ああ、これだ。ゲンコツ茸。こいつもよく使う・・・・・おっ、悟り草がびっしり生えているな。これも頂いて行くぜ!」
それから、暫くの間、ブロントさんは手持ちの袋の中身がいっぱいになってしまうまで魔理沙のアイテム集めに付き合わされてしまった。
スラム街は、白玉楼の下層部にあった。みずほらしい掘っ立て小屋やテントが並んでいる。そんな中でも、明るく生活をしている人々がいるようだ。
「ほう。こんな町があるとはな」
「ああ。ここじゃ、白玉楼の城下に住む奴らでも家を持てないような貧しい奴らが暮らしている。じゃあ、ちょっと付いてきな・・・・・・って、ブロントさんはそれじゃあ目立っちまうな。ちょっと待ってな」
魔理沙はスラム街の中に消えていき、暫くしてから大きなぼろ布をもって戻ってきた。
「ほら。そいつで顔を隠せばいい。でも、まあ・・・・・・それだけ体がでかいとあまり効果が無い気がするが、仕方ないな」
「むう・・・・・・」
二人はスラム街の通りを進んだ。やがて、何やらガラクタが山のように置かれている。場所に辿り着く。
「さーってと、確かこの辺りに・・・・・・・あれ?」
「む、どうしたんdisかね?」
「無い・・・・・。レッドオーブが無くなってる!」
「む?そのレッドオーブというのは?」
「ああ。白玉楼から私が盗み出したものさ。ここに隠しておいたはずなのに・・・・・」
「へーえ。嬢ちゃん、アレの持ち主だったのか?」
「む?」
話しかけてきたのは、ボロボロの服を来た男だった。
「おい、あんた。何か知っているのか?」魔理沙がその男に向かって言う。
「ああ。つい、この間だのことだ。珍しく上の白玉楼の兵士。それも、精鋭部隊の庭師連中がここにやってきて、ゴミ捨て場を漁っていたのさ。で、何が起きているのか見ていたんだが、なんとそいつら、ここから大きな赤い宝石を取り出してな。確か、神殿に持って行って保管する、とかなんとか言っていたぜ」
みずぼらしい恰好の男は、そう言って笑いながら去っていった。
「くそっ、人のものを盗みやがって・・・・・・・」
「お前、それでいいのか?」
「ん?私は盗んだわけではないぜ。ただ、死ぬまで借りようと思っていただけだぜ」
「おいィ・・・・・・」
「それよりも、神殿か。確か、ここから南にあったな。仕方が無い。今日はもう遅いから、ここの宿屋に泊まろう。上の町だと、あんたの顔は割れているからな。治安は悪いが、こっちの方が安全さ。それに、私らが脱獄しているのはもうとっくのとうにバレているだろうし」
「むう・・・・・仕方にい」
「それに、もう日も傾いているな。あそこの宿に泊まろう。下層部の町の宿屋だ。大した宿じゃないにしても、安いだろうし、まさか上の市街地に泊まる訳にはいかないだろ?」
魔理沙の言う通りだった。宿屋は建物自体もボロボロで、かなり小さい。部屋も少なく、二人部屋が一つしか空いていなかった。宿の主人は、にやにやしながら二人を部屋に案内した。
「ふう。寝心地は良さそうじゃないけど、まあ、牢屋に比べたら天国みたいなもんだな。まあ・・・・・・明日は神殿に行くしかないな」
「むう。その神殿ってのはどこにあるんdisかね」
「白玉楼の南にあるぜ。だけど、そこも魔物の巣窟になっているって話だ・・・・・ところでブロントさん」
「む?何か用かな?」
「一応言っておくけど・・・・・・・寝込みを襲ったら、ぶっ飛ばすからな」
「おいィ。そういう汚い下ネタとか【いりません】。ナイトは下段ガード能力もかなり高いからな。汚いのは忍者で十分なんだが?」
「そうか・・・・確か、私を捕まえたのもその忍者とかいう奴だったな。それじゃ、お休み、ブロントさん」
翌朝、ブロントさんと魔理沙は宿を出て、道具屋と武器屋で装備を整えて南の神殿に向かう事にした。天気は曇っていて、少し外は肌寒かった。
「昨日は天気が良かったのにな・・・・・まあ、早いところ出発しよう。もしかしたら、ここまで庭師どもが探しに来るかもしれないからな」
「むう・・・・・」
「それにしてもブロントさん、随分寝起きが悪いな。何回揺さぶっても起きなかったんだから」
「むう・・・・・」
「ま、早いところ神殿に行って、オーブを取り戻そうぜ。あ、その前に薬草や毒消し草、聖水を買っておいた方が良さそうだな」
「『確かにな』まるサの冒険スキルは流石一級廃人レベルだと感心が鬼なる」
「へへっ、それほどでもないぜ」
そんな訳で、ブロントさんと魔理沙は武器や防具を新調し、薬草や毒消し草を買い揃えて目的地の神殿に向かった。
途中、汚いおにびドングリやリリパット、ビッグハットを退けながら神殿へ向かって密林を南下しいく。しかし・・・・・・。
「おいィ、橋が落ちているんdisがね」
「仕方ないな。ブロントさん、後ろに乗ってくれ」
「うむ。助かるぞ」
「と、言うか、最初からこうすれば良かったんだよな。ブロントさん一人を乗せるくらい、どうってこと無いんだしさ」
二人は箒に乗って空を飛び、目的地を目指す。そんな中、一匹の犬が二人を何か言いたげな目で見上げていることには全く気づかなかった。