東方鉄聖竜~ブロントクエスト11 時すでに時間切れになった過去を求めて   作:F.Y

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レッドオーブ

「ブロントさん、寝起きが悪すぎるぜ」

 

 魔理沙はたき火にフライパンをかけ、近くの小屋で売っていた卵を2つ、割って落とした。

 

「むう・・・・・」

 

「ブロントさん、そこのソーセージを串に刺して焼いてくれ。だけどまあ、当分は大したメシにはありつけそうに無いな」

 

「仕方にぃ・・・・」

 

 魔理沙はカバンから麻袋を取り出し、その中のキノコをフライパンの上に無造作に落としていった。

 

「おいィ。そのキノコは食べても大丈夫なんdisかね?口だけ達者なトーシロが毒キノコを知らないうちに食って裏世界で幕を閉じるのはよくあること」

 

「おいおい、私を見くびらないでくれよ。食えるキノコと食えないキノコの区別くらい付くさ。毒キノコの方が、魔法の実験の材料には最適だからな。ほら、見てくれよ」

 

 魔理沙は別の袋を取り出した。その袋にはドクロの絵が描かれている。

 

「ほら。こっちは食えないキノコだ。私はこれを魔法の実験に使うから集めているんだが、もし食ったら、数日下痢をする程度のものから、体中にできものが出来て発熱するもの、激痛でのたうち回って数分であの世行きになるものまでより取り見取りだぜ。一口食ってみるか?」

 

「ちょとsyレならんしょそれは」 

 

「こっちは魔物にでもぶん投げてやれば、毒を食らって動きが鈍くなって戦いやすくなったりもするかもな。魔物相手にどれだけ効果があるかは未知数だが、バブルスライム以外ならそこそこ効くんじゃ無いかな」

 

 

 

 腹ごしらえを終えた二人はピラミッドのような古い建造物の前に立っていた。そこは白玉楼の神殿で、代々、西行寺家が守ってきたものだ。ここに来るまでかなりの数の魔物を葬ってきた。その為、二人は新たな戦闘能力を身に着けていた。

 

「こいつを食らいな!」

 

 魔理沙が八掛炉をかざすと、そこから紫色の霧が放たれた。それを浴びたモンスはおかしな方向に攻撃を始めた。

 

「おおー、上手くいった。ブロントさん、今だぜ!」

 

「一気に行くぜ!バラバラに切り裂いてやろうか!?」

 

 あらぬ方向に向かって体当たりを繰り返しているリップスやフラフラしているびっくりサタンが剣で切り裂かれた。

 

「どこ見てやがる!こっちだ!」

 

 魔理沙の八掛炉から今度は無数の火の玉が飛び出した。それらはモンスターの群れの足元に着弾して爆発を起こす。邪魔になっていた魔物は火傷を負ってのたうち回る。ブロントさんが剣を振り回し、とどめを刺した。

 

「さて、邪魔者を片づけたし、とっととピラミッドにのりこめー」

 

「わぁい」

 

 

 

 ブロントさんと魔理沙はピラミッドの階段を登り、頂上にある入り口に向かった。そこで見たものは・・・・。

 

「おい、何だこれは」

 

「む?」

 

 入り口付近で複数の人間が転がっている。そいつらは刀を持っていたようだが、その殆どがへし折られていた。

 

「庭師連中がやられたのか?こいつはまた・・・・・」

 

「HNMでも現れたんdisかね?」

 

「うーむ。普通じゃ無いのは明らかだが、だからと言ってレッドオーブを取り戻すのを諦めたりする気は無いな」

 

「うむ。それでは、中に入るぞ」

 

 

 

 神殿の中は暗いが所々に設置されているランプに火が灯されていた。内部には魔物が入り込んでおり、そいつらを少々退けなければならなかった。そして、二人は最深部に到達した。

 

「む・・・・・?」

 

 レッドオーブが置かれている祭壇には2体の魔物がいた。頭は鷲、体はライオンで翼が生えている。

 

「ケケケ、こいつはいいぜ。しかも、ただの宝石じゃないみたいだ」

 

「とっとと頂いて魔王様への貢ぎ物に・・・・・ん?」

 

 その2体の魔物は後ろに人の気配を感じ、振り返った。

 

「なんだ?お前ら?」

 

「おい、その宝石を返してもらうぞ!」

 

 魔物はブロントさんたちの方を見た。

 

「ケケケ、こいつは美味そうな人間が入り込んできたな」

 

「宝物の他にメシまで手に入るとは飛んだ幸運だな」

 

「人間を食うとかちょとsyレならんしょ。マジで震えてきやがった」

 

「言ってる場合かよ!来るぞ!」

 

 ブロントさんは敵の最初の一撃を盾で防いだ。爪と金属製の盾がぶつかり、火花が散る。反撃とばかりに剣を振るい、切り付ける。だが、そいつの毛皮が分厚く、思ったような傷を負わせることができない。

 

 魔理沙が八掛炉を掲げ、魔力をそこに集中させた。そこから大きな氷の塊が幾つも飛び出し、魔物の体を切り裂く。魔物は反撃とばかりにするどい爪を繰り出したが、魔理沙は見事なバックステッポでそれを避け、今度は八掛炉から火柱が噴きだし、魔物に火傷を負わせる。

 

 二体の魔物は怒りの叫び声を上げ、お互いに視線を合わせる。そして、二人のうち弱い方の獲物を倒すと判断したのか、魔理沙に狙いを絞った。鋭い鉤爪が可憐な少女目掛けて振り下ろされる。だが。

 

 ガキン!金属と爪がぶつかる音が響いた。ブロントさんが掲げた盾が魔物の手を阻んだのだ。もう片方の敵の腹には剣が深く突き刺さり、そこから赤黒い血がどくどくと流れ出ている。ブロントさんは剣を右に払い、その傷を更に大きく開かせた。

 

「そうはナイトがおろさないんだが。ナイトの盾が届く範囲で仲間を襲うとは、その浅はかさ愚かしい」

 

「凄いなー、憧れちゃうなー。って、そんな暇無いな!ブロントさん!どいてくれ!」

 

「む、バックステッポ!」

 

 ブロントさんがその巨体に似合わない華麗な跳躍で後ろに下がる。剣が抜かれた魔物の傷口から更に大量の血が流れ出た上に、内臓もこぼれ出ている。

 

 魔理沙の八掛炉からレーザーが放たれた。それは、ブロントさんが今しがた魔物に負わせた傷を直撃し、そのはらわたを直接焼いて炭化させる。魔物の片割れは叫び声を上げ、前に倒れて動かなくなった。

 

 人間ならば、ここで仲間を殺されたことで怒りをあらわにしたりするのだが、魔物にはそんな思考は存在しない。魔物が考えているのは、目の前の人間を殺し、はらわたを食い散らかすことだけだ。

 

 狭い空間の中で魔物は翼を広げ、飛び上がった。魔理沙が箒で浮かび、そのすぐ真下をすり抜ける。魔物は魔理沙のその動きに完全に気を取られていた。

 

「不意だまいくぜ!おら!」

 

 ブロントさんが魔物の背中に斬りかかった。分厚い皮膚を傷付けはしたが、剣の刃はその下の筋肉や内臓までには届かない。

 

 その魔物の思考が単純なのが幸いした。そいつがブロントさんの方を向くと、今度は後ろから魔理沙が放ったレーザーを食らって火傷を負う。

 

 だが、まだ倒れた訳では無い。魔物は皮膚から煙を立ち上らせながら再び立ち上がり、獲物に狙いをつける。

 

 魔理沙が再び八掛炉を掲げた。今度はそれから鏃のような形をしたエネルギー体が猛烈な勢いで連射された。それは、ブロントさんの剣がなかなか通らなかったモンスの皮膚を易々と貫通する。床に血や肉片に加えて、砕かれた肋骨の破片まで散らばった。

 

 魔理沙の魔法によって内臓までズタズタにされた敵は、アワレにも盾の役目(?)を果たせず死んでいた。これにて完全決着!もう勝負ついてるから。

 

「ふう、手強い奴らだったな。さて・・・・・」

 

 魔理沙は床に転がっていた赤い宝玉を拾い上げる。あれだけ激しい戦いの中に巻き込まれたのにも関わらず、それには傷一つ付かずに不思議な輝きを放っている。レッドオーブだ。

 

「やっと取り返したぜ。早いところこんなところからおさらばしようぜ」

 

 

 

 ブロントさんと魔理沙は神殿の外に出た。さて、これからどこに行くべきか。白玉楼や村に戻るという選択肢は無い。

 

「ところで魔理沙、これから俺たちはどこに行くべきなんdisかね?下手に町に戻ったら天狗ポリスに捕まって、裏世界でひっそり幕を閉じるのは確定的にあきらか」

 

「それなら宛があるぜ。付いてきな」

 

 

 

 二人は遺跡から東に向かって歩き始めた。丁度、正午前のようで太陽がかなり高い位置にあった。小鳥のさえずりが聞こえ、狐が森に向かって駆けていく。

 

「ほら、あれだぜ」

 

「む?」

 

 魔理沙が指を向けた先には大理石でできた祠があった。二人でその中に入り、中心にある祭壇のようなものの上に立った。

 

「さて、ちょっと気分が悪くなるかも知れないが、我慢してくれ。白玉楼の追っ手から逃げるにはこうするしか無いからな」

 

 魔理沙は目を閉じ、魔力を集中させ始めた。やがて、青白い光の渦が二人の足下に現れる。

 

「む?こるは・・・・・?」

 

 光の渦はだんだんと大きくなり、二人を吸い込んでいく。

 

「おいィィィィィィィィィィィィィ!?」

 

 

 

 それから半刻ほど経ったとき、白玉楼の庭師団の分隊がこの辺りをしらみ潰しに来たが、当の逃亡者は既に遥か遠い南東の大陸に到着した後だった。

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