貴方の物語、オリジナル・ユニバース。   作:魔女っ子アルト姫

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テイマー交流会へ、参加しよう。 その3

「さあ遠慮する事は無い、力を抜き心を解き放つのだ!!」

「……ガイア」

『シャアアッ』

「ま、待つのだアイゼン君!!君の気持ちはよく分かるがガイア君に攻撃許可を出そうとするのはやめてくれたまえ!!」

 

腕のいい鍛冶職人から直接専用防具製作を請け負って貰えた、と言われれば耳触りも良いだろうが実際の所は日本かぶれドラゴン狂いに目を付けられているだけに等しい。こんな事ならばここに来たくも無かった、いっその事こいつが大好きだというドラゴン、地竜に襲わせて大往生させてやろうか……とさえ思ってガイアに許可を与えそうになるのだが、そこはテイマー交流会の顔役として長いアルビオンがそれを察して止めに入った。

 

「やるならせめて全く関係ないエリアにて確りとPVP設定を組み立ててからで頼む!」

「いや攻撃自体に対する禁止じゃないのな……」

 

スタンディングが思わずツッコミを入れてしまうが、アルビオンとしてもそれ程にオロチの変態的な性癖には頭を抱えている事が伺える。鍛冶職人としてはプレイヤーの中でも極めて上位、最上位に位置するとも言っていい超一流の腕前でありオロチに製作依頼を出す為には本人からの許可を貰わなければならない程。そしてその条件の全てがドラゴンに関する物。

 

「やれドラゴンの鱗やら骨やら皮やら……それを持ってこない限り依頼を受け付けない。しかも既に取得しているものでは当人の実力を図れないから依頼を受けてから採ってきた物でないとダメだというのだ」

「あぁ~……そりゃキツイわ。唯でさえ遭遇確率が低いのにドラゴンってその尽くが高レベルだからなぁ……ある種低レベルだったガイアが希少なケースだったと言えるからなぁ……」

 

ドラゴンが最も遭遇率が高いと言われているのは最高難易度エリア、ドラゴン・オブ・キャニオン。例えそのエリアに足を踏み入れたとしてもドラゴンのレベルは極めて高く最高難易度モンスターの筆頭。運営の発表データでは他エリアでも遭遇する事は出来るが可能性は極めて低い、なのでアイゼンがガイアと出会えたことは正しく奇跡に等しいので運営がその運を称賛するレベルなのである。なのでドラゴンの素材が欲しいと思えば、後々のアップデートで実装予定だというドラゴンの国を待つのが無難なのが現状。

 

「あ~……アイゼン君、君の理解を解こうとしている訳ではないがオロチの腕前は上位ランカーが是非とも自分の専用装備を作って欲しいと願う程だという事は私が保証しておく。彼から装備製作を申し出てくれるという事は前例がない奇跡と言っても良い」

「そんな、奇跡、お断り、No thank you」

 

気持ちは分からなくも無いがそれだけ嫌なのか片言になってきている。アイゼン自身そっちのケが全くないのに絶世のイケメンが興奮しては無い気を荒くしながら抱き付かんとばかりに迫ってくる上に変態チックな言葉を連呼しているのだ、どれだけ腕がいいとしても嫌だと言いたい気持ちも極めて理解出来る。だとしても一応の友人のフォローをしない訳にも行かないアルビオンは必死に言葉を繕うって説得を試みる。

 

「か、彼の申し出を断ってしまうという事は彼の条件をクリアできない多くのプレイヤーの恨みすら買ってしまう恐れもあるのだ、故に不服かもしれないが必要経費だと割り切ってしまうのも良いと思う。そして何より君の防具は私の目から見ても既に限界に近い、そこへ〈究極鍛冶〉であるオロチに防具を誂えて貰えるというのはこれから先においても君の財産となる。極めて頑丈且つ軽量な防具でこれからかかるかもしれない防具代や修繕費用などが無くなると思えば相当なメリットなると思うのだが!?」

「ム、ムゥゥッ……」

 

同じく〈魔法戦士〉の先人であり遥か高みに立っているアルビオンの言葉は極めて正論であるし、ガイアは兎も角として自分が我慢すればそれだけいい防具が手に入るのも事実。そしてもしもという時はガイアの専用防具の強化や修復のお願いも出来る、メリットの方が遥かに大きい。その事を踏まえて改めて考え……ガイアも必要である事を同じく理解したのか、非常に、非常に遺憾且つ渋々了承の意をアイゼンへと送った。

 

「―――……お願い、します……」

「おおっ!!任せておきたまえ、君の為の究極の防具を作ろうではないか!!」

「うむっ分かってくれたようで私も安心だ」

「にしては凄い胸をなでおろしている上に凄い微妙そうな顔してますぜ旦那」

「あれほどまで嫌がっていた彼に許可させたのだ、我ながら友の面目を立てる為とは罪悪感もある……」

 

ハシャいでいるオロチの姿は喜ばしい物があるがそれを齎す為に生まれた一人の後輩とその相棒の落ち込む顔は出来れば見たくはなかったというのが本音。だがこれも未来への投資にかかる手数料と思って貰えるのならば万々歳。

 

「では―――君には交流会にて行われるデュエルを一度行って貰う!」

「おいオロチ、まさか君はアイゼン君と共に戦うガイア君の勇姿を見たいがためにそのような事を言っているのではないだろうな……」

「それは大いにある!!」

『おい』

「だが本質は違う、私からすれば彼は初見である上にどのような戦いを好む傾向にありどんな場面でどのように身体を使うのか全く知らない。防具の痛み方から推測は可能だろうが情報の信頼性を重視するならば実践して貰うのが防具を製作する上では必要だと言えないかな」

 

屁理屈のようにも聞こえるが、真っ当な意見で筋も通っている。オーダーメイドを作る為に身体の寸法を測るのと同じで各部の素材の選定に加工の仕方に強度、付随する効果の選定などなどやる事は非常に多い。職人としてはそれらを完璧に兼ね備えた一流の一品を送るのが誇りであり、自らに依頼を託してくれた者への礼儀でもある。

 

「君に過ぎた品を送れば君の成長を阻害し悪影響を及ぼす、故に君の力を見た上で相応しい一品を作りたい。故にデュエルを行って貰えないだろうか」

「……そういう事でしたら、是非とも〈魔法戦士〉の先人たるアルビオンさんにも見て頂きたいですから」

「うむ、拝見させて貰うとするよ」


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