鬼滅の忍   作:黒い野良猫

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第十四話 蝶の姉妹

 お館様に言われ、ツーマンセルを組むことになった俺と岩柱の悲鳴嶼さん。移動中は特に会話なく、ただ目的地に向かっていた。

 だが、流石に痺れを切らした俺は、悲鳴嶼さんに話しかける。

 

「それにしても凄いですね。鬼殺隊に入って一年で柱になるなんて」

「君も凄い。十歳で鬼殺隊に入るなんて」

「俺にはやるべきことがあるんです。その為にも、進まなければならない」

「……復讐か?」

「まぁ、そんなとこです」

「あぁ。可哀想に……」

 

 そんな会話をして、目的地へと向かった。

 

 ☆☆★☆☆

 

「やめて……来ないで……」

 

 ある屋敷にて、何者かに狙われてる人物が二人。

 

「お父さん、お母さん……」

 

 妹と思われる人物は涙を流していた。目の前で父と母が喰われたのだ。

 

「安心しろ。お前達ももうすぐ連れてってやる」

「なぁ早く喰っちまおうぜ。腹減って仕方ねぇんだ」

「まぁそう焦るなよ。俺達三人でゆっくり食べようぜ」

 

 そう。鬼だ。鬼が三体現れたのだ。

 

「姉さん……」

「大丈夫よしのぶ。私が守るわ」

「かぁ~素晴らしいね姉妹愛! 二人仲良く、逝かせてあげるよ!」

 

 ──あぁ。私もここで終わりなのね。せめてしのぶだけでも……

 

 諦めかけて目を瞑った、その時だった。

 

「ぐはぁっ!」

 

 少女を食べようとした鬼が吹き飛ばされたのだ。少女達はうっすらと目を開ける。

 

「悲鳴嶼さん。今回の目的地はここで良いのか?」

「あぁ。ここで間違いない様だ。だが、間に合わなかった……」

 

 二人の目の前には、二人の剣士がいた。

 一人はとても大柄で、もう一人は少女と大して年齢が変わらなかった。

 

「二人共、早く逃げろ。これから見たくない物見ることになるぞ」

「佐助よ。彼女達を連れて行け」

「……分かりました。こっちにこい」

 

 佐助は二人を立たせ、巻き込まれない様にその場から離れた。

 

「あなた達は鬼狩り様ですか?」

 

 姉と思われる少女が佐助に話しかける。

 

「その通りだ。因みにあの人は柱。鬼殺隊の上の存在だ」

「因みに、あなたは?」

「俺は二年前に鬼殺隊に入った。歳は十二」

 

 ──十二歳!? 私より一つ上……それより、十歳で鬼殺隊に入ったの……? 

 

 そんな会話をして、屋敷より離れた所から、別の鬼が数体やって来た。恐らく血を嗅いできたのだろう。

 

 ──悲鳴嶼さんが言ってた事は、こういう意味だったんだな。

 

 彼女達だけを逃がさなかった理由。それは別の鬼が来ると踏んでいたのだ。

 

「人間だぁ! 人間を喰わせろぉ!!」

「うるさいよ」

 

 一瞬だった。前にいた鬼の頸がいつの間にか斬れていたのだ。それを見た他の鬼達が恐怖で震えあがる。

 

「お、鬼狩りだぁ!」

「逃げろ! 殺されるぞ!」

「逃がすわけないだろ」

 

 佐助は右手に雷を纏わせると、それを一体の鬼に向けた。

 すると雷は鬼に向かって一直線に伸び、貫くとそこを中心に雷の槍が広がって行った。

 

「千鳥鋭槍」

 

 すると雷の槍は鬼を次々と貫いていく。すると鬼は頸を斬られていないにも関わらず、灰になって消滅した。

 そして気付いたら、辺りに鬼はいなくなっていた。

 

 ☆☆★☆☆

 

 俺は新たに来た鬼を退治した。千鳥に形態変化を加えた千鳥鋭槍も使い、楽に倒せた。この二年でチャクラ量も増え、千鳥だけは印を結ばなくても繰り出せるようになった。

 

「取り敢えず鬼はいないな。大丈夫か、お前達」

 

 俺は写輪眼で辺りを見渡し、鬼がいないことを確認する。

 

「あの、助けて下さり、ありがとうございます」

 

 背の高い少女が頭を下げてきた。

 

「気にするな。鬼狩りはそれが仕事だ。だが、お前達の両親を救うことが出来なかった。すまない」

 

 今度は俺が頭を下げる。大切な家族を救うことが出来なかった。

 

「頭を上げてください。気にしてないと言えば嘘になります。ですが、私達は救われました。それだけで充分です」

「そうか。そう言ってくれるだけでありがたい」

 

 そういう少女の表情は、少し曇っていた。隣にいた妹と思われる少女は今にも泣きそうだった。

 

「佐助。そちらは終わったか」

 

 すると悲鳴嶼さんがこちらにやって来た。悲鳴嶼さんの方も終わったのだろう。

 

「こっちは終わりました。悲鳴嶼さんもお疲れ様です」

「うむ。それで、彼女達はどうする」

 

 悲鳴嶼さんは彼女達を見る。彼女達の両親はいなくなってしまった。二人だけで生きて行くには、厳しいだろう。

 

「……俺の所で預かります」

「良いのか?」

「はい。二人の両親は亡くなってしまった。罪滅ぼしとはいきませんが、二人の安全は確保したい」

「佐助がそう言うなら、良いだろう。彼女達を送って行きなさい」

「ありがとうございます」

 

 そう言って俺は悲鳴嶼さんと別れ、二人──胡蝶カナエと胡蝶しのぶを連れて狭霧山に連れて行った。

 

「あの、鬼狩り様……」

「その鬼狩り様って言うのは止めてくれ。俺は早島佐助だ」

「佐助様──」

「様は止めてくれ。俺達は歳が近いんだし、普通でいいよ」

 

 狭霧山に向かう途中、俺とカナエは話していた。しのぶは鬼に襲われた恐怖から解放され安心したのか、今は俺の背中でぐっすり寝ている。

 

「じゃあ佐助君。今から行く場所は、私達以外にもいるの?」

「あぁ。じいちゃんは面倒見の良い人でな。家族を鬼に喰われて孤児となった子を拾っては育てている。俺も拾われた身だしな」

「そうなんだ……邪魔にならないかな」

「ならねぇよ。みんな立場は同じなんだ。だからそう気を張るな」

「う、うん……」

 

 そして小屋が見えてきた。俺はしのぶを起こすと、目をこすって背中から起きた。

 

「ただいま」

 

 俺がそう言うと、じいちゃんが出てきた。

 

「お帰り。彼女達が?」

「あぁ。手紙で言った二人だ」

 

 俺はここに連れてくる前、予め鴉に手紙を渡し、じいちゃんに教えていた。

 

「儂は鱗滝左近次だ。胡蝶カナエとしのぶだな。話は聞いている。入れ」

「は、はい」

「姉さん……」

「大丈夫よしのぶ。私達は今日から此処でお世話になるの。鱗滝さん、宜しくお願いします」

「固くならんで良い。今日から儂らは家族のようなものだ。楽にしろ」

「ありがとうございます」

 

 カナエとしのぶはじいちゃんに頭を下げた。

 そこで俺はある事に気付く。

 

「あれ、真菰達は?」

 

 真菰達がいなかったのだ。

 

「真菰、錆兎、義勇なら最終選別に行った」

「え? 俺何も聞かされてないんだけど?」

「お前は指令中だったろ。それに、お前を驚かせたいと言っていたぞ」

「因みにその真菰さん達はおいくつですか?」

 

 カナエが聞いて来た。

 

「え、十一だけど」

「わ、私と同い年……」

 

 その事を知って、カナエは何か思うことがあるようだ。だが、今は何も聞かないことにした。

 こうして鱗滝ファミリーにカナエとしのぶが加わった。




明治こそこそ噂話!

佐助は此処数ヶ月、狭霧山に帰ってなくて、真菰が暴れていたそうだぞ!
錆兎と義勇は、それを止めるのに呼吸を使ったとか……
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