先に攻撃を仕掛けたのは針鬼だった。背中から出ている無数の針をこちらに放ってきた。俺は写輪眼で針を見切り、触れない様に刀で斬り落とす。
「影分身の術!」
俺はすぐさま影分身を三体だし、真菰達の前を立たせた。
「針は俺が防ぐ。お前達は隙を見て奴の頸を斬れ!」
するとまた針が飛んできた。だが、今度は針だけでなく鬼達も迫ってきたのだ。
──燃やすしかない……!
「火遁・豪火球の術!」
四体の俺は火遁で飛んできた針と狭いくる鬼を燃やす。
「奇妙な術を使うねぇ。君は何者だい?」
「俺は忍だよ。呼吸が使えないな」
「それにその眼……とても力を感じるよぉ。君みたいな子が鬼になってくれたら、あの方もお喜びになるだろうなぁ。ねぇ、鬼にならない?」
「だからならないって言ってんだろ。しつこいぞ」
「そうか、なら……殺すしかないねぇ!」
すると針鬼は針を他の鬼にさした。すると鬼達は先程より凶暴化する。筋力、敏捷、全てが上がっていた。
「真菰、義勇、錆兎! お前達は鬼を相手しろ! 俺は針鬼をやる!」
刹那、俺の視界から三人が消えた。いや、俺がいなくなったと言った方が良いだろう。気が付けば俺は針鬼に殴り飛ばされていた。
──あいつ自体も化け物かよ……!
俺は受け身をとって体勢を整える。油断していた。かなり遠くに飛ばされてしまった。だが、向こうにはまだ影分身がいる。何とかしてくれるだろう。俺は急いでみんなのいる所に戻った。
──正直、上手く行く自信がない。だが、やらないよりかはマシだ!
本体が飛ばされ、残った影分身の俺は眼にチャクラを集中させる。
──頼む、掛かってくれ……!
俺は針鬼の間合いにはいり、針鬼の眼を見る。すると針鬼は動かなくなった。
「ハァ……ハァ……幻術、成功……」
俺は針鬼に幻術をかけた。上手くいく自信はなかったが、決まってくれて一安心だ。
「今のうちに頸を斬ろう」
そう言って頸を斬ろうとした時だった。
針鬼が動き出し、幻術を破って俺を殴ってきた。影分身だった俺は消える。残りの影分身も頸を斬ろうとするが、攻撃を受けて消えてしまう。
本体の俺は影分身が消えたことを感知した。
──幻術が破られた!? いや、俺の幻術が甘かったんだ……! 早く行かないと!
俺は足にチャクラを為、一気に解き放つ。
☆☆★☆☆
佐助がいなくなった現場に緊張が走る。
──兄さんがいなくなった……! 兄さんでも厳しい相手なのか……!
錆兎は針鬼と間合いをとる。真菰と義勇は凶暴化した鬼を斬っている。つまり、ここにいるのは錆兎と針鬼のみ。
「君にも聞こう。鬼にならない?」
「なるわけないだろ。俺は鬼を恨んでる。大切な家族を殺した鬼をなぁ!」
「残念だ。君も殺そう
そう言って爪を尖らせ錆兎を刺そうとする。
「くっ!」
錆兎はギリギリ躱して難を逃れる。
「全集中、水の呼吸・漆ノ型、雫波紋突き!」
錆兎は針鬼を牽制し、距離をとる。
「錆兎!」
すると真菰達がきた。
「大丈夫か?」
「あぁ。なんとかな。お前達は?」
「一応ここにいる鬼は全員斬った筈だよ」
そう言っている真菰と義勇は肩で息をしていた。
「本当に君達は凄いなぁ! 凶暴化した人形達を倒すなんて! 殺すのが勿体無いくらいだよ」
「あとはコイツだけか」
「だが残念。私はあの人形達とは違う。君達はここで死ぬんだ」
「死なない。俺達は約束した。生きて帰ると」
「でも、一人いなくなったじゃん」
「勝手に俺を、殺すんじゃねぇ……!」
その時、佐助の声が響いて聞こえた。
「千鳥刀!」
千鳥を纏った刀を振り下ろす佐助。そして、針鬼の腕が斬れた瞬間でもあった。
☆☆★☆☆
全速力で走った俺はようやくみんなの元に戻ってきた。千鳥刀で針鬼の腕を斬った俺は、そのまま頸を斬ろうとする。
「舐めるなぁ!」
だが、そう簡単に斬らせてくれない。針鬼はもう片方の腕で俺の刀を受け止めた。だが、千鳥を纏っている今の刀は斬れ味が半端じゃない。受け止めた腕も簡単に斬ってしまった。
だが、鬼の腕はすぐ生えてくる。俺は一旦距離を置く。
「兄さん、無事でよかった」
「そう簡単に死んでたまるか。お前達も無事でよかった」
俺は三人が取り敢えず無事だった事に安心した。
「お前達、一気に行くぞ!」
「調子に乗るなぁ!!」
針鬼は身体中から針を出して飛ばしてきた。俺は即座に影分身をだし、写輪眼で見切り、針を斬り落とした。
すると針鬼は先ほどの攻撃でかなり力を使ってしまったのか、動きが鈍くなった。
「今だ! 行け!」
「「「全集中、水の呼吸・捌ノ型、滝壺!」」」
三人の滝壺が針鬼に襲いかかる。完全に怯んだ針鬼にとどめを刺す。
「あの世で鬼になった事、後悔しな」
そう言って俺は針鬼の頸を斬った。
「ハァ……ハァ……勝ったの……?」
肩で息をする真菰。そんな真菰に、俺は言った。
「あぁ。俺達の勝利だ」
その言葉を聞いて、抱き付いてくる真菰。俺はそれを受け止める。
辛い戦いだった。だが、ここで得られた経験はデカいだろう。
「義勇、お前の凪、凄かったぞ」
「ありがとう兄さん」
義勇の凪は、義勇自身が生み出した技だ。
「錆兎も、良くやってくれた」
「兄さんもお疲れ様」
俺達は互いに労い、終わった事に安堵する。
「君達、何終わったつもりでいるのかなぁ?」
その時、頸を斬られた筈の針鬼が喋りだした。
「お前、意外としぶといな」
「私は確かに頸を斬られた。私は時期に死ぬだろう。だが、君達の負けだ」
「何を言って──」
その時だった。
「グハッ」
いきなり吐血した人物が一人。
「さび……と……?」
次回
「鬼になった錆兎」