「ここは……」
俺は目を覚ますと、辺りは真っ白な雪景色が広がっていた。もちろん雪も降っており、寒い。服はボロボロに破けており、寒さが全く凌げない。
──身体小さいし、お腹も空いた。このままだと凍え死ぬぞまじで……
俺は蹲り、何とか寒さを和らげようとする。すると、奥から誰かがやってきた。
その人は天狗のお面をしており、じっとこちらを見つめている。俺もその人を見つめていた。
「お前さん、名は」
「早島、佐助……」
力のない声で答える。
「家族はどうした。住処は?」
俺は首を横に振る。するとその人は俺に背中を向け、屈んだ。
「乗れ。一先ず儂の小屋に行こう」
「いいの……?」
「早くしろ。さもないとお前さんも死ぬぞ」
確かに、ここで見捨てられたら俺の人生はデッドエンド。折角未来を救いに来たのに、そうなっては元も子もない。
俺は言葉に甘え、その人の背中に乗る。
「軽いな。どれ程食べてない?」
「分からない……」
「そうか……」
それ以降は何も聞いてこなかった。山道を登り続け、一つの小屋についた。
「ここが儂の家だ。名乗ってなかったな。儂は鱗滝左近次だ。育手をやっている」
「育手?」
「話は後だ。まずは中に入ろう。お腹も空いているだろう」
すると俺の腹が可愛くなる。俺は顔を真っ赤にし、頷いた。
小屋に入ると囲炉裏が目の前にあり、とても暖かかった。
「そこに座れ。食事を用意しよう」
俺は言われた通り、囲炉裏の前に座る。とても暖かい。
鱗滝さんが囲炉裏の真ん中に鍋を置き、野菜や肉を入れる。煮込まれたところでお椀にすくい、俺に渡してきた。
「ほれ、食え」
俺はそれを受け取る。
「いただきます」
俺はゆっくりとお椀を口に持っていき、汁を飲む。
「美味しい……」
「そうだろ」
俺が呟くと、顔はお面で見えないが声は嬉しそうだった。
そこから俺は箸を止めることなく食べ続けた。その時、鱗滝さんが声をかけてきた。
「佐助よ。一つ聞きたい。何故、あのような場所にいた」
俺はお椀を置き、箸を置いて話し始めた。この時代の俺の過去の記憶は、女神様に植え付けられた。
「僕のお父さんとお母さんは、見たこともない化け物に食べられました。お父さんとお母さんは僕を庇って、食べられたんです。僕は怖くなって、逃げました。逃げて逃げて、気がついたらあそこにいたんです」
「そうか。すまんな、辛いことを思い出させてしまって」
喋り方が子供っぽいのは、俺が未来からきたことを悟られない為だ。
「お前の両親を喰った化け物。あれは恐らく鬼だ」
「鬼?」
「あぁ。鬼は夜に活動し、人を食って生を得ている」
女神様と言っていることが同じだった。
「……鬼が憎いか?」
「……憎い。大好きなお父さんとお母さんを食べた鬼が憎い」
「そうか。佐助よ。一つだけ、その鬼を殺す方法がある」
「なに?」
「鬼殺隊に入ることだ。鬼殺隊はその名の通り、鬼を殺す組織。そこに入れば、お前の両親を喰った鬼を殺す事が出来るぞ」
「……その鬼殺隊って、すぐに入れるの?」
「いや、すぐには無理だ。鬼殺隊に入るには、最終選別に行き、七日間生き残らなければならない」
「最終選別……」
「だが、今のお前では無理だ。そこで育手の登場だ」
「育手って、鱗滝さんの事?」
「そうだ。儂は最終選別に行かせる剣士を育てておる。佐助よ、剣士にならんか?」
ここに来る前から、答えは決まってる。
「なるよ……僕、剣士になる!」
「いい返事だ。では明日から修行だ。今日はいっぱい喰って寝ろ」
「はい!」
こうして俺は、鱗滝さん──じいちゃんの下で修行する事になった。
大正こそこそ噂話……
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やってほしい
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やらなくてもよい