静寂に見舞われる忍の里を見回る佐助達。高台には忍の里の人が外側を観察している。
「それにしても、本当に静かだね」
「宇髄さんが厳重警戒報を発令したからな。何が起こるかわからない。その恐怖で身を潜めてるんだろ」
すると十字路に出た。
「俺は真っ直ぐ行く。真菰は右、義勇は左に行ってくれ」
「うん」
「わかった」
「何かあったらすぐ知らせるんだぞ」
そう言って三人は別れた。
「例の子、一人になったよ」
「よし、行くか」
そう言って里の中に入る謎の二人。そこには高台で見張りをしていた人の血であろうものが広がっていた。
真菰達と離れて数刻。佐助は高台の近くまで来ていたが、嫌な予感がした。
──何で血の匂いがするんだ……?
すると佐助の上から何かが滴り落ちてきて、佐助の額に当たる。佐助はそれを拭い、見る。それを見た瞬間、佐助は高台まで一気に飛んだ。
「まじかよ……」
そこには鬼に喰われたであろう人の残骸が広がっていた。
──いつの間に……もしかしたら……!
その時、背後から気配を感じた為、佐助はその場を離れる。すると高台が壊れた。
「避けられたか……」
佐助は体勢を整え、相手を見る。そこには二体の鬼がいた。
「お前らは……」
その二体の鬼の左目には「下弐」と「下伍」と書かれていた。
「俺は下弦の弐、炎の使い手、
「下弦の伍、砂の使い手、
琰火は手から火を、砂魄は砂を出す。
「なるほど……昨日、
機の里とは、昨日襲われた里の名前だ。
「砂の壁で里を囲み、里を燃やす。だろ?」
「凄いね。その通りだよ」
「なぜ里を襲った」
「お前を誘き寄せる為だよ」
「何?」
「あの方からお前を殺し、その眼を取る様に言われてね。お前が何処にいるか聞きに行ったんだが、誰も知らないときた。だから燃やした。次はこの里を狙おうと思った時、お前が来た」
「つまり俺はまんまと罠に嵌ったって事か……」
──この事を真菰達に伝えないと……
「悪いが、残りの二人は君に構っている暇はないよ」
「何だと……?」
「何故なら、僕の分身が戦ってるからね」
そう言って砂魄は砂の分身を出す。その時、遠くの方から爆発音が聞こえた。そこは義勇と真菰が行った場所だった。
「どうやら始まったみたいだね」
「助けに行かなくて良いのかい?」
「……助けに行くさ。ただし、俺じゃない。行くのは……俺の分身だ」
そう言って佐助は影分身を三体出す。一体は義勇、一体は真菰、もう一体は宇髄の所に行った。
「お前達はここで俺が倒す」
佐助が剣を抜き、構える。そして写輪眼を発動した。
「そう、その眼だよ。あの方はその眼を欲している。奪わせてもらうよ!」
琰火から攻撃を仕掛けてきた。手から作り上げた火の玉を二つ投げる。佐助はそれを斬った。するとその瞬間、二つの火の玉が爆発した。佐助はそれをギリギリ後ろに躱す。
──あの火の玉、起爆機能も付いてんのかよ……無闇に斬らない方が良いな。
琰火は再び火の玉を三つ投げる。佐助は今度は斬らず、躱した。すると通り過ぎた火の玉は佐助に狙ってるかの如く、戻ってきた。
「追尾機能まで付いてんのかよっ!」
それでも佐助は躱し続ける。だがその時、足が動かなくなった。足元を見ると、砂が佐助の足を掴んでいたのだ。佐助は砂魄を見る。後ろで地面に手を置いていた。
「僕は砂を自由に操る事ができる。君を捕まえるこのなんて、造作も無いよ」
佐助は苦虫を噛んだ様な表情を浮かべる。すると先程の火の玉が佐助に迫って来た。
佐助は右手に千鳥を纏う。そして火の玉に向かって千鳥鋭槍を決める。すると爆発せずに、火の玉は消滅する。
「何!?」
「写輪眼でその玉の起爆源を見切った。そこを雷で麻痺させ、起爆出来なくした」
「なる程……ますますお前の眼が欲しくなったよ」
「そう簡単にやるかよ。千鳥流し!」
佐助は剣を地面に刺し、そこから千鳥を流した。すると砂魄に効いたのか、手を離してしまい佐助を捕らえていた砂が消滅した。
すると佐助は一目散に砂魄の所に行き、頸を斬った。だが、その砂魄は灰ではなく砂になって消えた。
──砂分身か……
「僕はここだよ」
そう言って琰火の横に地面から現れた。
「厄介だな……」
「次は僕の番だよ。血鬼術・砂針砲」
すると佐助の周りに無数の砂の針が覆う。そして佐助を襲う。
佐助は写輪眼で砂針を斬っていくが、斬りきれなかった砂針が佐助に傷をつける。
「グッ……」
「まだまだいくよ。砂牢壁」
今度は佐助を覆う様に壁ができる。そして蓋をされ、佐助は外が見えなくなった。
「この状態なら逃げられないよね。じゃあ、死んで」
牢の中で砂針砲を展開させ、佐助を串刺しにする。
「意外と呆気なかったね」
「最後をお前に取られたのは気にくわねぇが、まあ良いだろう。牢を開けろ」
砂魄は牢を開ける。その瞬間、雷の針が二人を襲った。
「千鳥千本!」
琰火は何とか躱したが、反応出来なかった砂魄は串刺しになった。
「な、何で……」
砂魄は佐助を見ると、佐助の眼が先程と違う事に気付いた。写輪眼だった佐助の眼が六芒星になっていた。そして右眼から血が流れていた。
「何だ……その眼は……」
「万華鏡写輪眼。これで何とか難を逃れた」
「一体何が……」
「天照。全てを焼き尽くす黒炎だ」
佐助は牢の中で、暗くて見えない状態から火遁を使い明るくし、迫り来る砂針砲を天照で燃やしたのだ。
「そんな事が……」
「千鳥千本を受けたお前はもう動けない。お前からやる」
「それはどうかな?」
そう言った砂魄の声は後ろから聞こえた。
「それは僕の分身だよ。君は僕を倒す事はできない」
「……なる程。そういう事か」
佐助は砂魄を見て、一つ気付いた。
「ここに本体はいない」
「何故そう思うのかな?」
「お前の眼だ。俺を最初に襲ったときは目に下伍と書かれていた。だがお前は何も書かれていない。つまり、分身だ」
「その通りだよ。ここに本体はいない。本体は今頃、君の仲間を殺している頃かな?」
「そこに俺の分身がいる事を忘れるな。分身が解けてないという事は、まだやられてない証拠だ。それに、あまり彼奴らを舐めるなよ?」
「何……?」
「私達は簡単にはやられない」
「やられるつもりもない」
「ド派手に登場だぜ」
すると砂魄の背後から真菰と義勇と天元が来た。
「ごめん、彼奴ら結構強い……」
そう言って琰火の隣に現れたのは本体の砂魄だった。その瞬間、分身の砂魄が消える。
「天元も来てたのか」
「親父が行ってこいって煩くてよ。それに、俺も忍の端くれで、ここは俺の里だ。俺もやらなきゃダメだろ」
「里の方は?」
「里の人達が力合わせて消火活動してるよ」
「そうか」
俺達は四人並び、二人の鬼を見る。
「良いか、真菰、義勇。こいつらは今までと違う。だから──」
「わかってるよ、お兄ちゃん。気は抜かない。そして──」
「生きて帰る、だろ?」
二人の言葉にフッと笑う。
「天元も、覚悟は良いな」
「おう。派手にやってやるぜ」
「行くぞ、お前ら!」
こうして、下弦の鬼との決戦が、再び幕を開ける。
次回
「決着」