鬼滅の忍   作:黒い野良猫

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第二十二話 決着

「行くぞ、お前ら!」

 

 そう言って駆け出す佐助達。天元は二体の鬼にクナイをなげ、牽制する。その瞬間に真菰と義勇が横から攻撃を仕掛ける。

 

「水の呼吸、壱の型・水面斬り!」

「水の呼吸、弍の型・水車」

「甘いよ!」

 

 砂魄が砂の壁を四方に作り、三人の攻撃を防いだ。

 

「血鬼術・火堪雨(ひだまりのあめ)

 

 すると空から火が飛び交い、それが雨の様に降ってくる。

 

「躱せ!」

 

 佐助が叫ぶ。四人は火の雨を躱すが、躱しきれなかった真菰と義勇の羽織りが点火する。羽織りをすぐ脱ぎ、隊服だけになる二人。隊服は燃えにくい性質で出来ているため、問題はない。

 すると真菰と義勇が砂の壁に向かって走っていく。上はガラ空きのため、そこを狙ったのだろう。だが──

 

「待て二人とも! それは罠だ!」

「血鬼術・砂爆壁」

 

 先程まで二体を守っていた壁が爆発した。

 

「真菰! 義勇!」

 

 そこに二人の姿はなかった。何故なら──

 

「ったく、ド派手に突っ込みやがって。危ない所だったぞ」

 

 天元が二人を抱えて佐助の隣にきた。爆発寸前に二人を助けたのだ。

 

「天元、ありがとな」

「礼はいらねぇよ。それよりどうする。このままじゃ埒が明かないぞ」

 

 すると砂魄が砂分身を十体以上出した。

 

「……分身はお前達に任せる。俺は彼奴らをやる」

「策はあんのか?」

「自信はないが、やってみる価値はある。頼めるか?」

「任せてよ」

「やってみせる」

「ド派手に決めてやるよ」

 

 佐助は巻物を取り出すと、大きな手裏剣を口寄せした。

 

「頼むぞ!」

「「「おう!」」」

 

 そう言って真菰と義勇、天元は分身に向かって走っていく。

 佐助は口寄せした手裏剣を投げる。

 

「馬鹿の一つ覚えか。そんなもの防げるのも忘れて──」

 

 すると手裏剣は佐助に姿を変えた。

 

「千鳥刀!」

「くっ!」

 

 砂魄はすぐさま砂の盾を作り、攻撃を防ぐ。

 

「甘いなぁ!」

 

 背後から琰火が伸びた爪を佐助の心臓目掛けて突き刺す。だが佐助はポンッと音を出して消えた。

 

「何っ!?」

「上だよ琰火!」

「千鳥千本!」

 

 空中で佐助は千鳥千本を二体に向けて放つ。だが、それも砂の壁で防がれてしまう。

 

 ──砂の壁が厄介だ……ならそれを斬るのみ! 

 

 すると佐助は左手に雷の剣を作る。

 

「千鳥光剣!」

 

 千鳥刀より殺傷能力の強い千鳥光剣。すると砂の壁を壊し、砂魄の右腕を斬る。そして着地したと同時に時計回りに回転し、右手に持っている剣で砂魄の頸を斬る。

 

「そん……な……」

 

 砂魄の頸が落ち、身体が灰化する。すると砂分身達が崩れ落ちた。そして完全に砂魄は灰となった。

 

「後はお前だけだ、琰火」

「やるなぁ。だが、俺はそう簡単にやられないぞ!」

 

 そう言うと琰火の身体に異変が起きた。身体全体が赤くなり、巨大化したのだ。先程よりも筋肉が膨張し、血管も浮き出ている。まさに鬼だ。

 

「なる程。それで機の里を燃やし尽くしたのか」

 

 佐助は足元をみて言う。その足は、今朝見た足跡と一致していた。

 

「お兄ちゃん!」

「何だこれは……」

「オイオイ……いくら何でもド派手過ぎねぇか?」

 

 真菰達が佐助と合流する。

 

「こいつはさっきとは違う。あの針鬼が可愛く思える程だ」

「そんなにヤバいの……?」

 

 真菰が少し震える。目の前の光景に恐怖が襲ったのだろう。

 

「これは俺一人じゃ無理だ。力を貸してくれるか?」

「もちろん!」

「任せろ」

「こいつよりド派手に決めてやるぜ!」

「俺を、舐めるなぁ!」

 

 すると琰火の口から豪火球ほどの火を噴いた。佐助も豪火球の術で応戦する。威力は互角。その隙に真菰と義勇が足元に忍び込む。天元はそれを悟られないため、目元に手裏剣を投げる。琰火はそれを防ごうと、手で薙ぎ払う。

 

「「水の呼吸、壱の型・水面斬り!」」

 

 二人は足元を崩そうと足首に決める。だが──

 

「硬いっ!」

「ク──ッ!」

 

 思った以上の硬さに二人は足を斬れなかった。そして琰火は足元にいる二人を蹴り払う。二人は蹴り飛ばされるも、何とか刀で防ぎ体勢を整える。

 

「結構硬いよ。義勇、凪でどうにかならない?」

「あの硬さはきつい。刃がこぼれるだろう」

「どうすんだ?」

「……」

 

 佐助は考える。あの硬さを乗り切るにはどうすれば良いのか。

 

「……お前達で隙を作れるか?」

「隙?」

「あぁ。隙が出来たとき、俺が決める。何とか作ってくれ」

「わかった」

 

 そう言うと三人は佐助の前に出る。そして天元が手裏剣を目元に投げる。それが合図となり、三人は走り出した。

 

「クソガァアア!!」

 

 琰火は火の玉を次々と投げる。真菰達はそれを何とか躱し、琰火の頭上をとる。

 琰火はそれを好機と思ったのか、上に火の玉を投げようとする。

 

「馬鹿め!」

「俺を忘れるんじゃねぇ」

 

 すると天元が飛びつき、クナイで琰火の目元を斬った。すると火の玉が消滅し、頭上がガラ空きになった。

 

「「水の呼吸、捌の型・滝壺!」」

 

 胴体を斬り付けた二人。すると琰火に隙が出来た。

 

「今だよ! お兄ちゃん!」

「やれ! 兄さん!」

「ド派手に決めてやれ!」

「お前に、消えない炎を教えてやる」

 

 佐助は右目から血を流す。そして右目を開いて、琰火を見た。

 

「──天照!」

 

 すると黒炎が琰火を包み込む。

 

「グアァアアア!!」

 

 そして佐助は右手で千鳥光剣を作り、琰火の頸を斬った。頸はボトリと落ち、灰と化した。

 

「ハァ……ハァ……グ──ッ!」

 

 佐助は右目を手で押さえる。激痛が走ったようだ。

 

「お兄ちゃん!」

「大丈夫か兄さん!」

 

 真菰と義勇が駆け寄る。

 

「あぁ。俺は大丈夫だ……」

「でも、目から血が──!」

「天照を使ったからだ。問題ない」

 

 佐助は落ちた頸の元にいく。

 

「何で、そんなに強い……」

 

 消えそうな声で、琰火は喋る。

 

「俺には守るものがある。その為なら、俺はもっと強くなる。それだけだ」

「そう、か……」

 

 そう言って完全に灰になった琰火。こうして、佐助達と下弦の鬼との戦いは、佐助達の勝利で幕を閉じた。

 次の日。佐助達は里の入り口に来ていた。

 

「佐助殿、真菰殿、冨岡殿、本当にありがとう。君達のお陰でこの里は守られた」

「天元の力もありましたから」

「そうか……我々ももっと精進せねば。無くなりかけている忍者の歴史を、私が復活させる」

「そうですか……」

 

 この時、佐助は異変を感じたが、あえて何も言わなかった。

 

「佐助、ありがとな」

「天元の方こそ。頑張れよ」

「あぁ。次会うときは俺がド派手に勝ってやる」

 

 二人は堅い握手を交わし、別れを惜しんだ。

 

「じゃあ、帰るか」

 

 一先ずの脅威は去った。これから佐助達にどんな未来が待っているのか、まだ知る由もない。

 

 ☆☆★☆☆

 

「そうか、佐助が下弦の鬼を……これはなってもらうしかないね」

 

 鬼殺隊の物語〜完〜




次回、新章突入
「束の間のひととき」
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