鬼滅の忍   作:黒い野良猫

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第二十四話 忍柱・早島佐助

 耀哉から柱になるよう言われた佐助はそれを了承し、忍柱となった。

 

「ただいま〜」

「お帰りなさい!」

 

 帰ってきた佐助を、真菰達全員が迎えた。

 

「柱になったんだね! お兄ちゃん」

「流石兄さんだ」

「佐助君凄いわ〜」

「おめでとう、佐助兄さん」

「喜んで良いのかわかんないけどな。とりあえずありがとう」

「まさかこんなに早く柱になるとは……お前は儂の自慢の子だ」

「じいちゃん……」

 

 そう言って鱗滝は佐助の頭を撫でる。

 

「で、柱になったと言うことは……」

「あぁ。屋敷を貰えた」

「そうか……寂しくなるな」

「何? 何の話?」

「佐助は今日でここを出ていく。柱になったからな」

「え!? お兄ちゃん出ていくの!? やだよ! ここにいてよ!」

 

 佐助が出ていく事を知った真菰が佐助を引き止めようと抱きしめる。

 

「ごめんな真菰。俺は柱になった。だからここを出て行かなきゃいけないんだ」

「そんな……やだよ……」

 

 佐助はそんな真菰を見兼ねたのか、真菰をそっと抱きしめる。

 

「真菰。俺は別に死ぬ訳じゃない。会えない訳でもない。いつでも会えるし、俺もたまに帰ってくる。だから、お前と義勇で俺の帰ってくる場所を守ってくれ。俺からのお願いだ」

「本当に? 帰ってくる?」

 

 不安げな目で佐助を見る。その目には涙が浮かんでいた。

 

「当たり前だろ? ここは俺が育ってきた家なんだ。帰ってくるさ」

 

 ──佐助のやつ、継子の事黙っておくつもりだな……

 

 鱗滝はそんな事を思っていた。

 佐助は真菰を離したあと、荷物をまとめて旅立つ準備をした。

 

「真菰、義勇。じいちゃんをよろしくな」

「兄さんも、元気で」

「お兄ちゃん、約束守ってね」

「もちろん。カナエ、しのぶ。次会うときは、お前達が鬼殺隊に入ったときだな。頑張れよ」

「佐助君も無理しないでね」

「佐助兄さん、身体には気をつけてくださいね」

「あぁ」

 

 佐助は鱗滝と向き合う。

 

「じいちゃん。今まで育ててくれて、ありがとう」

「いつでも、帰ってこい」

「それじゃ、行ってきます」

 

 そう言って、佐助は鱗滝の小屋を後にした。

 

「は〜、お兄ちゃん行っちゃったなぁ……」

「真菰、修行するぞ」

「今日はやる気でな〜い……」

 

 そう言って義勇の誘いを断る真菰。

 

「真菰。今まで兄さんがここを離れる事は何回もあっただろ。何で今回は──」

「その時はお兄ちゃんがここに帰ってくるって分かってるから。でも、今度は違う。いつ帰ってくるか分からないんだよ?」

「だから兄さんが言っていただろ。帰ってくるから守ってくれって」

「そうだけどさぁ……」

 

 鱗滝はこのやりとりを見ていた。

 

 ──やはり、ここは言うべきか……ここまで落ち込んでいる真菰は久方ぶりだ……

 

 鱗滝は佐助が黙っていた継子の件を、二人に言う事を決めた。

 

「真菰、義勇」

「どうしたの? 鱗滝さん」

「お前達が佐助の帰りを待つ必要がない方法が一つだけある」

「本当!? 教えて!」

「佐助の継子になれば良い」

「継子?」

「継子は柱が直々に育てる隊士の事だ。将来の柱に見込みがある奴や、柱が認めた奴にしかなれない。そして継子は柱の任務に付いて行く事もできる」

「兄さんは、どうしてそれを黙っていたんだ……」

「理由は恐らく二つ。一つは彼奴の言った通り、ここを守って欲しい事。もう一つは、柱の任務に付いて行く事だろう。柱の任務は普通の任務とは違う。十二鬼月──それも上弦と戦う可能性だってある。お前達の性格上、必ず付いて行くだろう。佐助はそれが嫌なんじゃないか?」

「どうして……」

「二度と、失いたくないから……」

 

 真菰の言葉に、義勇が答える。

 

「佐助は、口ではお前達を信じていると言っているが、やはり錆兎を目の前で失った事がでかいのだろう。心の奥では、また失ってしまうのではないかと恐怖で怯えている。それにまだ十三だ。柱になったとはいえ心はまだ幼い。そう簡単には割り切れないのだろう」

 

 真菰と義勇は考える。今まで一緒に行動して自分達を救ってくれたのは、佐助だった。錆兎の頸を斬ったのも佐助だった。下弦の鬼を倒したのも、佐助だった。自分達は、佐助におんぶに抱っこ状態だと気づいた。

 けど、それでも、佐助の隣に立ちたい。佐助が背負っているものを一緒に背負いたい。その気持ちの方が強かった。

 

「真菰ちゃん。冨岡くん」

 

 するとカナエが二人に声をかける。

 

「ここは私としのぶに任せて、佐助君に付いていって」

「カナエちゃん……」

「佐助兄さんは一人だと絶対無茶しますから。二人が止めてください」

「しのぶちゃん……」

 

 真菰と義勇は互いを見る。そして決心したのか、隊服に着替え、新しい羽織りを身につけた。

 

「鱗滝さん。行ってくるね」

「あぁ。佐助を頼む」

「では、行ってくる」

「行ってきます!」

 

 真菰と義勇は、育ててくれた鱗滝に感謝し、自分が育った場所を旅立った。

 一方その頃──。

 

「ここが俺の屋敷か……でかいな」

 

 屋敷についた佐助は、あまりの大きさに驚いた。

 

「鍛錬場に、調理場、寝室……まじで充実してんな」

 

 室内を散策し、各部屋を確認する。

 

「ここを俺一人で使うのか……彼奴ら連れてきた方が良かったか……?」

「そう思うなら、最初から連れてきてよ!」

 

 すると、聞こえるはずのない声が聞こえた。

 

「真菰……?」

「言っただろう。俺達は兄さんの隣に立つと」

「義勇……どうしてここに……」

「継子になりにきたからだよ!」

「継子!? お前達には話してない……じいちゃんか」

 

 佐助はすぐに犯人がわかった。

 

「全てを知った上で、ここに来たんだな」

 

 その言葉に、二人は頷く。

 

「……わかった。ここまできたら、もう言葉は要らないな。お前達を継子にしよう」

「ありがとうお兄ちゃん!」

「これから家事、洗濯は俺達でやる。今までもやってきたから大丈夫だと思うが、ここはかなり広いからな。掃除が大変だぞ」

「任せてよ!」

「それくらい、造作もない」

 

 二人の意気込みに、佐助はフッと笑う。

 

「俺は一週間休暇を得た。お前達が任務に入るまで、稽古するか」

「ヤッタァ!」

「ありがとう、兄さん」

 

 こうして、新たな柱、早島佐助は二人の継子、真菰、冨岡義勇と共に新たな生活が始まった。




次回
「カナエの実力、しのぶの苦悩」
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