鬼滅の忍   作:黒い野良猫

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第二十五話 カナエの実力、しのぶの苦悩

 佐助が柱になって一年。あれから大きな任務はなく、真菰と義勇に稽古をつけていた。

 

「佐助君」

 

 そんな時、佐助を呼ぶ一つの声が聞こえた。

 

「カナエ。久しぶりだな」

 

 胡蝶カナエが屋敷にきた。

 

「ここに来たってことは……」

「えぇ。私も鬼殺隊に入ったわ。だから佐助君の継子になりにきたの」

「良いだろう。ただし、タダでは入れない。お前の実力を見せてくれ」

「分かったわ」

 

 そう言って鍛錬場に入る佐助とカナエ。二人の闘いを見ようと、真菰と義勇も中に入る。

 佐助は木刀をカナエに渡し、内容を説明する。

 

「お前は呼吸を使っても良いぞ。俺は剣術と体術しか使わん」

 

 すると両者構える。暫く静寂に包まれ、先に仕掛けてきたのはカナエだった。

 カナエはかなりの速さで佐助の懐に入る。だが、佐助はそれを読んでいたのか佐助は近付いてきたカナエの背後に回り込んだ。そしてそのまま背中を押し蹴ろうとしたが、カナエは咄嗟にバク宙で躱し、佐助の肩に座り、脚で首を絞める。

 すると佐助はそのまま背中から倒れる。それに危機を感じたカナエは咄嗟に脚を離す。脚を緩めた瞬間、佐助はカナエの足を掴み、動けなくする。そして自分が倒れる瞬間に佐助は足を浮かせバク宙し、カナエだけに衝撃を与えた。

 

「体術が上手になったな」

「アイタタタ……もう少し加減してよ」

「馬鹿野郎。これは試験だぞ。お前が継子に相応しいかのな」

 

 背中を摩りながら立ち上がるカナエ。

 

「やっぱり佐助君には体術は敵わないわね。なら、呼吸を使わせてもらうわ」

 

 そう言って大きく呼吸するカナエ。そして、呼吸を繰り出す。

 

「花の呼吸、壱の型──」

「花の呼吸だと!?」

 

 聞いた事ない呼吸に、佐助は驚く。

 

「──乱れ桜」

 

 するとカナエの木刀が、桜が散るように舞い、その桜が襲ってくるように物凄く早い突きをしてくる。

 

「く──っ!」

 

 佐助はあまりの速さに避ける事ができず、木刀で防いだ。だがその瞬間、佐助の敗北が決まった。

 

「まさか、写輪眼を発動させるとはな……俺の負けだ」

 

 佐助の両目が赤くなっていた。佐助は乱れ桜がきた瞬間、咄嗟に写輪眼を発動してしまったのだ。

 

「と言うことは……」

「あぁ。胡蝶カナエ。今日から早島佐助の継子として、よろしく頼む」

「こちらこそ。よろしくね、佐助君」

 

 先程まで闘いを見ていた真菰と義勇も駆け寄る。

 

「おめでとうカナエちゃん!」

「流石だ胡蝶。あの兄さんに勝つなんて」

「真菰ちゃんも冨岡君もありがとう。これからよろしくね」

 

 継子同士で会話が弾む中、佐助は一つ気になった事があった。

 

「それにしてもカナエ。花の呼吸ってなんだ?」

「花の呼吸はね、水の呼吸を練習しているときに急にできた呼吸なの。花のように舞う呼吸、だから花の呼吸よ」

「なるほど、水の呼吸の派生か……独自に生み出すなんて凄いじゃないか」

「ありがとう」

「それで、しのぶは? 一緒に受けたんじゃないのか?」

「そうだ。しのぶについて佐助君に相談があるの」

「しのぶについて?」

 

 佐助達は鍛錬場を出て、客室に移動する。

 

「それで、相談ってのは?」

「実はね、しのぶは鬼が斬れないの」

「どういうことだ?」

 

 カナエは最終選別で起きた事を事細かに話した。

 カナエとしのぶは最終選別にいき、共に行動していた。あるとき、一体の鬼が出てきて、しのぶは鬼を斬ろうとした。だが、頸が斬れなかったのだ。すぐにカナエが援護に回り、その鬼の頸を斬った。最初は偶然だと思った。だが、結局しのぶは頸が斬れなかった。

 

「そういうことか……」

「何とか隊士にはなれたのだけれど、このままだと佐助君に合わす顔がないって言って、塞ぎ込んじゃって……」

「しのぶは呼吸を使えていたのか?」

「一応、花の呼吸の壱の型は使えるわ」

 

 ──しのぶも花の呼吸か……

 

「一度会ってみるか。しのぶに」

「ありがとう佐助君」

 

 そう言って立ち上がり、佐助はかつて育った小屋に帰る。

 

「佐助、久しいな」

「久しぶり、じいちゃん。しのぶは?」

「中だ」

「ありがとう」

 

 そう言って中に入る佐助。すると、蹲っているしのぶの姿があった。

 

「しのぶ」

「佐助兄さん……」

「ちょっと話さないか?」

 

 そう言って外の椅子に座る佐助としのぶ。しのぶの表情は、明らかに落ち込んでいる。

 

「……カナエから聞いたよ。鬼の頸、斬れなかったんだってな」

「私はあの時痛感しました。私には、鬼の頸を斬る程の力はないと」

「力が無い……か」

「力を込めても、鬼の頸は斬れませんでした。最終選別では、姉さんに頼ってばかり……兄さん、私どうすれば……」

 

 しのぶの目には涙が溜まっていた。

 

「……俺が任務でボロボロで帰ってきた時、手当をしてくれたのはしのぶだった」

「え……?」

「真菰も、義勇も、怪我をすれば面倒を見てくれるのはいつもしのぶだ」

「何を言って……」

「隊士になっても、進む道は色々ある。お前は俺達を治療できるほど、医学に特化している。だから、医学をさらに勉強してみればどうだ? その中に、もしかしたら鬼の頸を斬る以外の方法で鬼を倒せる手段があるかもしれない」

「医学を……」

「いずれは俺達だけじゃない。他の隊士も面倒みるかもしれないが、そこで得られるものは大きいだろう。どうする? それともこのままぐずぐずしてるか?」

 

 するとしのぶは涙を拭き、立ち上がる。

 

「私、やってみます。医学を学び、頸を斬る以外で鬼を倒す方法を探してみます!」

「そうか。じゃあ、一緒に頑張ろうぜ」

「一緒に……?」

「俺の屋敷に来い。あそこなら、色々揃えられるからな。それに、みんな待ってる」

「……はい!」

 

 こうしてしのぶは医学を勉強し、鬼を藤の花の毒で倒す新たな呼吸──蟲の呼吸──を覚えた。

 そして更に一年後、佐助が十五になった年に大きな事件があった。




次回
「消えていく隊士」
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