リューリク一行が着いた次元世界は比較的新しい管理世界であった。
それでも、技術力は高レベルを誇っていた。
地球人たちはそんな技術力に感銘を受けていた。
特に、魔法という技術は彼らにとって新鮮なものであった。
リューリクはいくつかの手続きと報告を済ませ、彼らを街に案内した。
「リューリク殿、この惑星には軌道エレベーターがないのですか?」
「軌道エレベーター?なんですかそれは?」
それは管理世界の人間にとっては誰でも聞き馴染みのない単語であった。
「艦長、たぶん管理世界では転送ポートに取って代わられたんですよ」
丁汪は笑いながら言った。彼はこの船の誰よりも管理世界の技術に憧れていた。
リューリクとある意味逆の反応を示していたともいえた。
「軌道エレベーターというのは・・・まあ、宇宙まで行けるエレベーターですね」
「宇宙まで行けるエレベーター?地球はそんなすごいものを・・・」
リューリクは丁汪とは逆に、地球の技術力の高さに憧れを抱くようになった。
その時、リューリクにある女性が話しかけてきた。
「リューリク、また面倒を起こしたん?」
「ナナ、今回は君の頭を悩ますことじゃないよ。というより、どうしてここに?」
「哨戒任務や。暇なアンタと違って、こっちは忙しいんよ」
「リューリクさん、この方は?」
「僕の知り合いの局員のナナリー・エレミアです」
「どうも、ナナリーです。うちのリューリクが迷惑をかけてしまって・・・」
「いえいえ、むしろお世話になっていますので・・・」
賢明な読者の皆様なら、ナナリーの見た目とかはある程度想像できるはずだ。
ちなみに、彼女の曾祖母はもう死んでいる(無慈悲)。
時の流れって残酷だ。悲しいことだ(棒読み)。
「・・・上から文句を言われるのはうちなんやけどな、リューリク。今度はどんな面倒ごとをおこしたんや?正直に言えば怒らないから」
「ついこの間まで管理外世界だった地球とのファーストコンタクトをしました」
「法律は知っとるよな?」
「先に来たのは彼らからなのでセーフです」
「なら許す。迷惑かけ取らんよな?」
「ええ、大丈夫ですよ」
そうしている間にも、中国軍人たちは管理世界を探検していた。
彼らが驚いたのは、そこまで情報化が進んでいないという事実だった。
地球では紙ナプキンの入った箱にもウィンドウを表示できるのだ(三体Ⅱ参照)。
「ちょっと不便だけど、どうせ管理世界の方が進んでいるさ」
それでも彼らは地球の方が劣っていると信じていた。
それは色々な意味で裏切られることになるのだが。
次に驚いたのは、宇宙船が飛び交っていないということだった。
彼らはその疑問を局員にぶつけた。
「なんで?(三代目)」
その疑問をぶつけられた局員の方が逆に聞き返した。
地球だと
必ず宇宙船が飛び交っているのだ。
ちなみに、最高速度は光速である。ワープもある。
「光速・・・嘘やろ?」
ナナリーは白目になった(白目)。
聖王のゆりかごでも光速までは出さない。
それなのに、つい数時間前まで次元の海にも出なかったような世界の宇宙船はそれが可能なのだ。
「・・・リューリク、後で覚えてな」
「なんで?(三代目)」
まあ、結局、彼らが一番驚いたのは魔法技術だった。
「僕のお父さんが見たら喜んでいただろうなあ」
丁汪は魔法陣を見ると、感嘆の溜息をついた。
「丁汪さんのお父さんはどのような方だったんですか」
「高名な物理学者でした。まあ、
彼の父親は丁儀という理論物理学者であった。
制御核融合技術などで、地球文明のエネルギー革命に貢献した。
女性関係がアレで、
まあ、関係のない話だ。
高町なのはが来るまでの数日間、彼らは管理世界のテクノロジーを思う存分体感した。
「・・・高度に発展した科学は魔法と区別がつかない」
「どうしたんや、リューリク?黄色い救急車呼ぼうか?」
「大丈夫だよ。ただ、彼らの技術力は聞いた限りだと管理世界を越えてるかもしれない」
「たぶんそんなことはないと思うで。救急車呼んどいたよ」
「そうか。わかった」