なにも返せずにいるジョージに、立ち上がったコナーが改めて口にする。
「そんな奴等の最後のメッセージを受けとる役目は俺達にある。お前達の出番はその後だろう。知りたいことがあれば、後で来てくれ。キツい言葉になってしまったが、そう言いたかっただけだ」
すっ、と差し出されたのはコナーの右手だ。ジョージは無言で握り返すが、その光景に水を差したのは、ハリーだ。
「えっと、二人の男の友情に割って入るのは気が引けるんですけど、質問良いです?」
明らかに、むっ、とした表情のコナーが返す。
「またお前か。人を茶化すような物言いは治らないのか?」
ジョージとよく行動を共にすることもあり、コナーはハリーのことも知ってはいるが、他人のことなどお構い無しに、自身を優先する節がある彼には、あまり良い印象を抱いてはいないのだろう。
現に、コナーの鋭い目尻の理由も探らずに、ハリーは言葉を続け始める。
「今回の被害者なんですけど、いつからこの地区にいた、なんてことは分かります?」
「まだそんな段階には入っていないし、それを知ってどうなると言うんだ?」
「そうですか。いや、今、僕はこの女性に子供がいたのではないかと思っていて、そこから、年齢を割り出せるかな、と」
胸ポケットから抜いた万年筆で頭を掻いた仕種一つですら気に入らないのか、コナーは深い溜め息を吐き出す。
「子供がいたかどうか、そんなことは後まわしで良いだろう。聞きたいことの答えは分かっただろ、こちらは仕事に戻る……」
「なら、この地区における子供の人数は把握しています?」
発言を遮ってまでした質問に、コナーは顔が紅くなり、怒りを露にする。
「お前は子供が犯人だとでも思っているのか!一体、なにを根拠にそれを口にしている!」
コナーの怒声が部屋に響き、現場を撮影していたカメラのフラッシュの音をかきけした。それでも尚、ハリーが口を開こうとした瞬間、背後から現れたジョージの手が蓋をする。
「仕事の邪魔をしてすまない、俺達はそろそろ戻ることにするよ!」
「ああ、是非ともそうしてくれ!」
盛大な舌打ちを挟んで、コナーは自身の仕事に戻るも、いまだ、赫怒した化物が背中に乗っているのが分かる。
ジョージは、ハリーを引摺りつつ、後ろ手で玄関のノブを掴んで外に出ると同時に、ハリーを壁に押し付けて言った。
「お前、一体、どういうつもりだ!コナーは二年前、事故で息子を失っているんだぞ!そんな男に!」
「それ、今回の事件と関係あります?」