ガンダムブレイカー Re:build   作:柊羽(復帰中)

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プロローグ

 それは、運命の出会いだった。そう言わざるをえない。

 

『おお、ついに均衡が崩れたァ!』

 

 実況の男性が興奮を隠せない様子で、そう叫んだ。攻撃と防御、どちらも互角の両者。その差が今、開いた。

 

 目を輝かせ、口が開いたままのことも忘れて少年はテレビを見ていた。

 

 彼が見ていたのは全国ガンプラバトルの決勝戦・個人の部。都道府県からそれぞれ勝ち抜いた者たちが日本一を勝ち取る、熾烈な争い。

 

 きっとこれは誰もが想像するに難くない形だ。けれどその種目が、今では主流の一つとなっていると言って差し支えない。

 

 

 

 ガンプラバトル。

 

 テレビアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するロボット、通称MS(モビルスーツ)をプラモデルとして商品化。それは「ガンプラ」と呼ばれ、1980年代からガンプラの歴史は途切れることはない。

 

 それから時代と共に技術も発展し、そのガンプラを自分がパイロットになったかのように動かすことが可能になった。そのカギとなるものがプラフスキー粒子と呼ばれる。

 

 プラフスキー粒子はガンプラに作用し、意のままに動かすことができる。それだけではなく、まるでアニメで見た宇宙や街、森などを再現することも可能。それらを組み合わせ、様々なフィールドで自分たちが作ったガンプラを、アニメ世界さながらに戦わせることができるようになったのだ。

 

 プラフスキー粒子の発見、ガンプラバトルの実現。元々新発売のガンプラを作例として作成したり、コンテストで自慢の作品を出すビルダーもいたが、ガンプラバトル発展にともなって登場するプロファイター。子どもが答える将来の夢にこの二つのワードが入るのは、必然だった。

 

「わああ、すごい……!」

 

 彼の目の前で起こっているのは、この年のチャンピオンが決まる戦い。アニメなら物語のクライマックスだ。

 

 互いに『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』に登場するMS、ガンダムエクシアとダブルオーガンダムの戦い。どちらも主人公機であるが、見た目が両者ともに違う。カラーリングや機体そのものの見た目。別のMSやプラ板などを使って自己流にガンプラをアレンジ――それをミキシングと言う――しているためだ。

 

 有利になったのは、エクシアの方だった。機体の動力源であるGNドライヴをエクシアは一基、ダブルオーは二基搭載している。機体出力はGNドライヴが一つより二つの方が優れる。加えて、エクシアの右腕は肘から先が落とされていた。それだけでは後者に有利があると思うだろう。だがこれで戦いが決まらないのがガンプラバトルだ。

 

 自分に合う戦い方。それを実現するためのガンプラ制作。いかにどんな状況でもガンプラを操作できるか。これだけで常識はいとも簡単に覆せる。

 

 両者GNドライヴ特有の、時間は限られるが機体スペックを格段に上げるシステムである”トランザム”を使用していた。機体の色は赤く染まり、移動速度が上昇したため、移動中我々は残像を見ているかのよう。そんな計り知れない世界の中で両者はぶつかり合い、ついにダブルオーガンダム側が隙を見せてしまった。

 

 バトル開始からひたすらの激戦。武装は減り、まともに生きていたのはGNビームサーベルほどしかなかった。それを巧みに操り、この放送を見ている彼含め観戦者を熱狂の渦に巻き込むのは、決勝まで勝ち上がった者だから当然なのだろう。

 

 エクシアが振りかぶったGNビームサーベルが、ついにダブルオーの右腕を引き裂いた。持っていたGNビームサーベルは宙へ放り出される。それでもダブルオーは左腕でもう一本あったGNビームサーベルを引き抜き、戦う。

 

 GNドライヴ稼働音が、機体の限界を表しているようだった。つんざく悲鳴のように聞こえて、けれど少年は目の前の戦闘に夢中で、笑っていた。

 

「がんばれ!」

 

 どちらかを応援するでもなく、彼はただ、磨き上がった戦いっぷりに魅了されていたのだ。

 

 ダブルオーが体勢を変えながら強烈な左蹴りをくりだす。エクシアは左手でガードするが、その一撃が重かったかGNビームサーベルが飛ばされる。好機、とダブルオーは左手を振りかぶる。二機のスピードはほぼ同じ。距離も充分に近い。ダブルオーのビームサーベルの先端がエクシアの胴体を切り裂く、そう思われた。

 

 エクシアが自ら突進してきたのだ。当然切り裂かれるが、それによりダブルオーのとどめの一撃は、僅かに逸れた。残った左の肩にめり込む。だがそこから左腕を落とされる前に、エクシアは宙に漂っていたダブルオーのGNビームサーベルを咄嗟につかみ、それでダブルオーの胸部を貫いていた。

 

「いよっしゃああああああ!!!!!」

 

 少年はリビングではしゃぐ。自分の知らない世界。そこで戦う者たち。彼らの熱狂は、また一人の少年に火をつけたのだ。

 

「どうだ、面白いだろ?」

 

「うん!」

 

「お前の大好きな00シリーズのガンダムだ」

 

「うん、うん!どっちもかっこよかったなー」

 

 少年は元々ガンダムシリーズのアニメは様々視聴していた。その中でも00は大好きなシリーズのひとつだったのだ。

 

「どうだ、俺と一緒に始めてみないか。ガンプラバトル」

 

 その問いかけに、少年ははしゃぐのをやめ、代わりに強く頷いた。

 

「やる。やりたい!ぼくもこの人たちみたいに、かっこいいガンプラつくって、戦って……勝ちたい!」

 

「うし!じゃあ早速、ためてたお年玉使ってガンプラ買いに行こうぜ」

 

「うん、()()()()()

 

 少年は、自身の兄と共に家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その少年は、もう高校生となった。

 

 明かりはデスクライトただひとつ。夜明けの柔らかな空色が遠くから顔を出す。

 

「……でき、た」

 

 彼は背もたれに寄りかかり、おもいっきり伸びる。関節が鳴る音を聞きながら首を回し、改めて目の前にある作品を見つめる。

 

 ストライクフリーダムガンダム。『機動戦士ガンダムSEED Destiny』に登場する主人公機。機体が置かれたマットのまわりにいくつもの塗料瓶が置かれ、拭き取り乾燥させている筆やヤスリなど、模型道具がぎっしりと並んでいる。手に付いたプラスチックの削りかすを拭って、改めて自身のスマートフォンを見る。

 

「足りない箇所の塗装、合わせ目消し……。これでよしと」

 

 メールにある項目をチェックすると、スマートフォンを閉じた。目をつむり、息を吐く。

 

 達成感だ。この完成させた、この余韻に浸る時間がとても好きだ。けれど彼が今し方作ったこのストライクフリーダムは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 彼は、カザマ・ケン。将来、プロのビルダーになることを目指していた。




投稿後に書いてます

スマートフォン向けゲーム「ガンダムブレイカーモバイル」一周年!
ガンブレモバイルを自分なりのストーリーを書きたいなーとちまちま脳内の片隅で作っていたところ、一周年ということでいっそ、見切り発車な形ですがプロローグを出しました。間に合わず1日ずれたけど……

今後どう進んでいくのか、ゆっくり見守っていただくと幸いです。なにせ二次創作復帰中ですので
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