ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.4 聖剣、来ました!

 

 

「──ここは?」

 

 

 目を開けると、見知らぬ天井が見えた。

 

 

「たしか、僕は──」

 

 

 そうだ。はぐれ悪魔との戦いのあと、一人さまよい歩いていた僕はフリード・セルゼンと再会した。

 

 ──そして彼は聖剣を持っていた。

 

 彼と戦い、僕は──。

 

 

「目が覚めたか?」

 

 

 突然投げかけられた声に反応して声がしたほうを見る。

 

 そこには壁を背にして、腕を組んで壁に寄りかかっている明日夏くんがいた。

 

 そうだ。フリードとの戦いに明日夏くんと見知らぬ女性が乱入して、その後、フリードは呼び出しがかかったと言ってその場から去り、僕は彼のあとを追おうとしたけど、明日夏くんに引き留められて、それでも追おうとした僕を明日夏くんと一緒にいた女性が僕を気絶させたんだった。

 

 ということは、ここは明日夏くんの家ということなのだろう。

 

 そういえば、彼と一緒にいた女性がいないようだった。

 

 

「槐なら、他に用があるからあの場で別れた。それよりも体調はどうだ?」

 

 

 明日夏くんに言われ、体の状態を確かめる。

 

 体を蝕んでいた聖剣のオーラはもうすっかり中和されたのか体調はひとまず良好だった。

 

 

「・・・・・・とりあえず、大丈夫だよ」

 

 

 そう言った僕は、明日夏くんと視線を合わすことができなかった。

 

 冷静じゃなくなってたとはいえ、僕を助けに来た彼に僕は邪魔だと言わんばかりの態度をとったどころか、あろうことか殺気すらぶつけてしまった。

 

 そのことが僕の中でうしろめたさとなって、顔をうつむかせていた。

 

 

「気にしてねぇから、顔を上げろ」

 

 

 明日夏くんはそう言うけど、それでも僕は顔を上げられなかった。

 

 そんな僕を見たからなのか明日夏くんが嘆息した。

 

 

「とりあえず、今日は念のため学校を休め。部長には俺から言っておく」

 

 

 それだけ言うと、明日夏くんは部屋から出ようとする。

 

 

「──待ってくれ」

 

 

 僕は明日夏くんを呼び止める。

 

 

「エクスカリバーのこと・・・・・・部長には──」

 

「もちろん報告する」

 

「──ッ!? 待ってくれ!」

 

 

 それはダメだ! 部長に報告すれば、部長は間違いなく勝手をするなと関わることを禁ずるはずだ。やっと巡り会えたのに、みすみす見過ごすことなど──。

 

 

「どうやら、まだ頭が冷え足りないようだな?」

 

 

 明日夏くんは僕に冷たく言い放つ。

 

 

「奴の性格はもう把握できてるだろ? 奴はおまえたち悪魔を屠ることに一種の快楽を覚えている。そんな奴が対悪魔用の兵器ともいえる聖剣、それもエクスカリバーを手にした。有頂天になって以前の戦いの借りを返す意味で襲いかかってきたっておかしくない。当然、おまえだけじゃなく、イッセーたちにもな。そんな情報を伏せれば、イッセーたちにどれだけのリスクが発生するか、考えるまでもないだろ?」

 

 

 僕は明日夏くんの言葉に反論できなかった。

 

 あの男が今度は他の眷属仲間を襲う可能性など、考えるまでもなかった。そして、情報が伏せられていたことで対処が遅れて彼の凶刃の犠牲になる可能性も同様だった。

 

 

「聖剣計画のことは部長から聞いた。肝心なところは聞けなかったがな」

 

 

 そうか。部長から聞いたのか。肝心なところというのはおそらく、僕の身に起こったことだろうね。・・・・・・まぁ、おそらく、明日夏くんはもう何があったかは察しているっぽいけどね。

 

 

「イッセーから聞いた。おまえ、エクスカリバーに復讐するために生きているんだってな?」

 

「・・・・・・復讐は何も生まないなんて言うつもりかい?」

 

「いや。そんな言葉で収まるほど、おまえの憎しみは軽くないだろ? そもそも、俺もそんな綺麗事を言えるほどじゃないからな。やめろなんて言わねぇよ。ただ──」

 

 

 明日夏くんは真っ直ぐ僕を見据えながら言う。

 

 

「復讐と仲間──どっちを優先すべきかは考えるまでもないことだろ?」

 

 

 明日夏くんの問いにうつむいてしまう。

 

 

「それとも、おまえとって、部長たちのことはその程度の存在でしかなかったのか?」

 

「そんなことはない!」

 

 

 明日夏くんの言葉に思わず叫んでしまう。

 

 部長には大きな恩があり、僕にとっては姉のような存在だ! 朱乃さんも小猫ちゃんも、それから、()()()()()()()()()()も家族みたいなものだ! イッセーくんやアーシアさんも大切な仲間だ! 僕なんかにはもったいないほどの!

 

 

「でも、エクスカリバーに対するこの想いも忘れてはならないものでもあるんだ!」

 

 

 睨みつける僕を見て明日夏くんはまた嘆息する。

 

 

「はぁ。とりあえず、皆のことを蔑ろにする気はなさそうだな」

 

 

 それを確認した明日夏くんは部屋から出ようとする。

 

 

「仲間も大切なら、報告はさせてもらうぞ。しばらく冷静になってよく考えてろ」

 

 

 明日夏くんの言葉に僕は無言になるしかなかった。

 

 

「それから、朝メシは作っておく。食う気になったら食ってくれ。食わないんなら冷蔵庫にしまっといてくれ」

 

 

 それだけ言い残すと、明日夏くんは今度こそ部屋から退室していった。

 

 

―○●○―

 

 

「・・・・・・うーん・・・・・・体が重い」

 

 

 朝になり、眠っていた意識が起きかけると、なんだか体が重く感じた。

 

 

「・・・・・・えっ」

 

 

 目を開けると、部長、アーシア、千秋、鶇さん、燕ちゃんが俺のベットで寝ていた・・・・・・。しかもみんな裸で。

 

 

「なぁぁっ!? うわああぁぁぁぁっ!?」

 

 

 一気に目が覚めて、俺は悲鳴に似た叫び声をあげてしまった。そしてその叫び声でみんなが起きだした。

 

 

「「あっ・・・・・・」」

 

 

 ふと千秋と燕ちゃんと目が合う。

 

 

「「・・・・・・・・・・・・ッ! ──ッッッ!? ──ッッッッッ!!」」

 

 

 二人とも顔を真っ赤にして声にならない悲鳴をあげながら部屋から飛び出していってしまった。

 

 

「ふふ、二人とも恥ずかしがり屋ね。おはよう、イッセー」

 

「おはようございます、イッセーさん」

 

「おはよ~、イッセーく~ん」

 

 

 残った部長、アーシア、鶇さんは何事もなかったように挨拶をくれる。

 

 

「・・・・・・・・・・・・あ、あの、これは一体?」

 

「昨夜、イッセーさんが勝手にお休みになっちゃったので」

 

 

 あれ、そういえば、俺、いつのまに寝てたんだ?

 

 たしか、部長が裸で俺と一緒に寝るって言いだして、アーシアたちまでもが裸で一緒に寝ると言いだして・・・・・・そこからの記憶がなかった。

 

 

「それで公平にね」

 

「みんなで寝ようってことになったんだ~」

 

 

 俺がいつのまにか寝てたあいだにそんなことになってたのか・・・・・・。

 

 ・・・・・・何か間違ってるような。

 

 

「あっ、そろそろ朝食の支度をしませんと!」

 

「いけない!」

 

「わ~!」

 

「じゃあ、イッセー。またあとでね」

 

「お邪魔しました、イッセーさん」

 

「下で待ってるね~」

 

 

 そう言い残し、三人は部屋から退室していった。

 

 

「だはぁぁ・・・・・・部長の影響でみんなエロくなってきたような・・・・・・」

 

 

 でも、それはそれで・・・・・・いや、アーシアはダメだ!

 

 アーシアは守るべき存在! 守るべき存在がエロエロになるのは・・・・・・むしろよくね! ・・・・・・イヤイヤイヤイヤ!

 

 かといって、部長をはじめ、他の子に何かすると、アーシアが怒りそうだし。

 

 これじゃ生殺しだぁぁぁ!

 

 俺の完璧なシミュレーションでは──。

 

 

『フフフフフ、ハーッハッハ! 今日はどの子を喜ばせようかな?』

 

『イッセーさん! 私に! 是非とも私にご慈悲を! お、お願いします! 私にご慈悲を!』

 

『何を言ってるの! イッセー、よくお聞きなさい! 私はイッセーがいないと生きていけないわ! さあ、早く私を満たしてちょうだい!』

 

『ダメ~! イッセーくんにかわいがってもらうのは私と燕ちゃんだよ~! ね~、燕ちゃん?』

 

『・・・・・・お願い・・・・・・します』

 

『・・・・・・イヤ。イッセー兄、お願い。他の誰よりも先に私を滅茶苦茶にして』

 

『ハーッハッハ! 参ったなー♪ 俺の体はひとつしかないんですよー♪ そうだ──ジャンケンに勝った子からお相手をしてあげましょう』

 

『負けません!』

 

『私だって』

 

『絶対勝とうね、燕ちゃん!』

 

『ええ!』

 

『負けない!』

 

『『『『『ジャンケン、ポン! あいこで、しょ!』』』』』

 

『ハハハ、ハーレム王になったぞー!』

 

 

 ──みたいな感じになるはずだったのに・・・・・・。

 

 現実は厳しい! たしかに部長のおっぱいは見た、触れた! だが、そこから先がラスボス並みの高難度!

 

 

「・・・・・・はぁー、切ない」

 

 

 うぅ、どうしてこんなことに・・・・・・。

 

 

『よう相棒。悩んでいるところ悪い』

 

「ん?」

 

 

 突然の声に周りを見渡すが部屋には俺以外誰もいない。

 

 

『俺だ。相棒』

 

「ドライグ!」

 

 

 声の出所は俺の左手からだった。

 

 声の主は俺の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に宿る存在、『赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』──ドライグだった。

 

 

『相変わらず頭の中はいかがわしいことでいっぱいだな』

 

「む、うるせぇ! 多感な時期なんだよ! いきなり出てきやがって!」

 

 

 普段はこちらから話しかけてもシカトしやがるクセに!

 

 

『まあ、そう言うな。今回は逃げん。ちょいと話そうや』

 

 

 俺はベッドに腰かける。

 

 

「──で、話って?」

 

『そう不機嫌そうにするな。わざわざ警告に来てやったんだ』

 

「警告?」

 

『最近、おまえの周囲に強い気を感じるんでな。おちおち寝てもいられん』

 

「ああ、最近部長によく絡まれるからなぁ」

 

 

 肉体的な意味で!

 

 

『おまえさんの仲間のものならいまさら気にはしないさ』

 

 

 ん、部長たちのじゃない? じゃあ強い気って──まさか敵ってことか!?

 

 

『とにかく気をつけることだ。色を知るのもいい年頃だ。念のため、そういうのを早め早めに体験しておけ。「白い奴」がいつ目の前に現れるかわからんからな』

 

 

 『白い奴』──まえにもそんなことを言ってたな?

 

 

「なあ、その『白い奴』ってなんだ?」

 

『──「白い龍(バニシング・ドラゴン)」だ』

 

 

 ──『白い龍(バニシング・ドラゴン)』・・・・・・。

 

 

『俺たちは二天龍と呼ばれているが、長年のケンカ相手でな。天龍を宿した者同士は戦い合う運命にあるのさ』

 

「者同士って、俺みてぇな神器(セイクリッド・ギア)を宿した奴が──」

 

『──いる』

 

「・・・・・・俺はそいつと、いつか戦わなきゃならねぇってこと?」

 

『そういうことだ』

 

 

 勝手に宿っといて無茶苦茶だなぁ、おい!?

 

 

『見返りとして、ドラゴンの力を与えてやっているじゃないか』

 

「うっ、忘れちゃいねぇよ。おかげで部長も救えたわけだし。だがな、ドライグ。あらかじめこれだけは言っておく!」

 

『なんだ?』

 

「オホン。よく聞け。俺は上級悪魔に昇格して、ハーレム王になりたい! 無数の女の子を眷属下僕にして、俺だけの美女軍団を作る! それが俺の夢だぁぁぁッ!」

 

『ハハハ! そんな夢を持った宿主は初めてだ!』

 

「・・・・・・やっぱ俺って変かな?」

 

『変ではあるが、異常ではないさ。それに叶わない夢でもないぞ。ドラゴンの力は周囲の者を圧倒し、魅了する。敵対する者も多いが、魅力を感じ、すり寄ってくる異性も多いからな』

 

「なっ! マ、マジっスかぁっ!?」

 

「ああ。俺の宿主だった人間は皆、異性に囲まれてた」

 

「うおおおおおッ! あなたさまはそんなにスゴい神器(セイクリッド・ギア)さまだったのですねぇぇぇッ!」

 

 

 いつのまにか、俺は左腕に頭を下げ、敬意を払う言葉遣いになっていた。

 

 

『・・・・・・態度が急変し過ぎだぞ』

 

 

 ドライグが呆れ声になっていたが、関係あるもんか!

 

 

「よーし! 当面の俺の目標は部長のおっぱい攻略っス! そこんとこよろしくっス!」

 

『揉むのか?』

 

「いや、吸う!」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 ドライグがなぜか黙りこんでしまった。俺の目標に言葉を失ったのか?

 

 

『・・・・・・はぁ。女の乳を吸うサポートか・・・・・・。俺もずいぶん落ちぶれたもんだ・・・・・・。しかし、こういう相方もたまにはいい。ただし、俺の警告を忘れるな』

 

「──強い力ってやつか・・・・・・」

 

『ああ。なんせ、現時点ですでに多くの力が相棒の周りにいるからな』

 

 

 部長たちのことを言ってるのか?

 

 

『リアス・グレモリーたちもそうだが、個人的にはおまえさんの親友とその兄弟たちのほうが興味深い』

 

 

 明日夏たちが? まあ、たしかに明日夏と千秋は神器(セイクリッド・ギア)を持っているし、明日夏は冬夜さんと千春さんも神器(セイクリッド・ギア)を持ってるって言ってたな。

 

 

『幼馴染みの兄弟姉妹全員に神器(セイクリッド・ギア)が宿る。偶然にしてもそうあることではないぞ』

 

 

 たしかにそうかもな。明日夏たちが神器(セイクリッド・ギア)を持っているのは、おまえの力が引き寄せた結果だって言うのか?

 

 

『すべてではないが、要因のひとつにはなってるだろう。にしても、ドレイクの奴とまで縁があるのは・・・・・・ちょっと同情する』

 

 

 ドレイク──明日夏の神器(セイクリッド・ギア)に宿る存在で、ドライグと同じドラゴン。

 

 このまえ話をしたけど、結構変わった奴だったよな・・・・・・。

 

 

「なぁ、ドレイクってどんな奴なんだ?」

 

『あぁ、そうだなぁ・・・・・・強いて言えば、遊び人ならぬ「遊びドラゴン」だな』

 

 

 あ、遊びドラゴン?

 

 

『ドラゴンには宝や雌など特定のものを求め、集める奴は多いが、あいつはその中でも変わっていてな。娯楽や遊びなんかを求めていたのだ。そんなもの心から求めるドラゴンなどあいつぐらいなものだろう。そのさまからあいつは「遊びドラゴン」なんて呼ばれていたのさ』

 

 

 ドレイクのことを話してくれているドライグだったが、その声音が心底いやな相手を話しているかのようだった。

 

 いったい、おまえとドレイクの間に何があったんだ?

 

 

『・・・・・・あいつは状況をおもしろくするためならなんにだってちょっかい出してきてな。おれと白い奴との戦いにちょっかいを出してきたのも一度や二度じゃない。そんなことをするものだから、ほとんどドラゴンはあいつを嫌っていてな。「遊びドラゴン」っていうのも、そんなあいつに対する蔑称だったんだ。・・・・・・まあ、本人はえらく気に入っていて、むしろ自称しているんだがな』

 

 

 なんというか、本人も言ってたけど、自由で勝手気ままな奴なんだな。

 

 

『まぁ、ドラゴンってのは基本的に勝手気ままなものだからな。ある意味ドラゴンらしいとは言える。だがやはり、いろいろな意味で異質な奴ではあるな。そもそも、存在からして異質だ』

 

「存在?」

 

『ああ。なんせあいつは肉体がオーラだけで構成されたドラゴンだったからな。そんなドラゴンはおそらく、あいつだけだろう』

 

 

 そんな特別なドラゴンなのか、ドレイクって。

 

 

『まぁ、あいつに関してはとりあえず、基本的にハタ迷惑な奴と覚えておけばいい。とにかく、強い力には注意しろ』

 

「ああ」

 

 

 再三告げるドライグの警告に俺はうなずいた。

 

 

―○●○―

 

 

「・・・・・・それは本当なの、明日夏?」

 

 

 朝食のあと、部長と二人きりになった俺は木場のこととフリードのことを部長に話した。

 

 

「ええ。奴自身がそう言ってましたし、俺から見てもあの剣は相当なものに見えました。何より──」

 

「──祐斗の反応がそれを物語っていたと」

 

 

 部長はしばらくのあいだ、顎に手を当てて考え込んでから言う。

 

 

「とりあえず、祐斗には使い魔を付けるわ。一応、念のためにね」

 

「それがいいでしょうね。で、フリードのことや殺された神父のことをイッセーたちには?」

 

「そっちは部活のときに話すわ。朱乃や小猫にも話さなきゃいけないしね。あのはぐれ神父もこんな明るいうちに襲撃なんてしないでしょう」

 

 

 まあ、流石のあいつもそこまでイカれてはいないだろう。

 

 

「殺された神父に関してはたぶん、はぐれを追って返り討ちにされたってところかしら。おそらく、目的はエクスカリバーの奪還。とりあえず、教会側に関しても警戒はするわ」

 

 

 おそらく、エクスカリバーの奪還の可能性が高いだろうな。

 

 そもそも、奴はどうやってエクスカリバーを手に入れたんだ?

 

 使い手から奪ったのか、もしくは持ち主を選ぶ特性上から使い手がなく保管されていたものを強奪したのか?

 

 まあ、悩んでもしょうがねぇか。重要なのは、奴がエクスカリバーを持っているということ、奴には行動を共にしている存在がいることだ。そして、そのフリードの持つエクスカリバーの奪還のために教会側の刺客がこの町に潜伏している可能性があることだ。

 

 ・・・・・・また不穏な気配が漂いだしたな。

 

 

―○●○―

 

 

「「カラオケ?」」

 

「ひさびさに行かね?」

 

 

 教室の前の廊下で俺とイッセーは松田と元浜からカラオケに誘われた。とくに断る理由はないので、俺もイッセーも了承した。

 

 

「で、どこの店に行くんだ?」

 

「ああ、駅前のところにあるやつだ」

 

「あそこなら挿入歌はおろかキャラソンまでフォローしているぞ」

 

 

 結構曲数が豊富そうだな。

 

 

「挿入がなんだって?」

 

「うおっ!?」

 

「桐生!?」

 

 

 突然、松田と元浜の背後から桐生が現れた。その後ろにはアーシアもいた。

 

 

「やだやだ、朝からまた士騎くんを巻き込んでのエロトーク?」

 

「カラオケ行こうって話してただけだ!」

 

「カラオケ! いいじゃん、私も付き合おうかな♪ ね、アーシア?」

 

 

 桐生は後ろにいるアーシアに尋ねると、アーシアは笑顔で答える。

 

 

「はい、行きたいです」

 

「「何ぃぃぃっ!」」

 

 

 アーシアが来るかもということで、松田と元浜がテンションを上げ始める。

 

 

「よし! イッセー、明日夏!」

 

「・・・・・・な、何だよ?」

 

「・・・・・・何だ?」

 

 

 元浜がメガネを光らせながら呼んできた。

 

 

「この際だ──」

 

「──他のオカ研の女子を誘えってか?」

 

「話が早くて助かる」

 

 

 というか、そもそも最初からそれが目的ってところもあったんだろう。

 

 

「へいへい」

 

「断られても文句言うなよ」

 

「「何がなんでも誘うんだ! いいな!」」

 

 

 詰め寄りながら二人に叫ばれて、俺とイッセーは同時にため息を吐いた。

 

 

「それから、明日夏」

 

「なんだよ?」

 

「できることなら、霧崎さんも喚べないか? おまえが一番仲いいからな」

 

「霧崎も? まあ、誘うだけ誘ってみるが・・・・・・」

 

 

 といっても、あんまり目立つのを避けてる霧崎がカラオケに来るかねぇ。

 

 

「皆、なんの話してるの~?」

 

 

 そこへ、鶫がやって来た。

 

 

「鶫、おまえ、カラオケ行くか?」

 

「いいよ~」

 

 

 鶫はのんびりと即答した。

 

 それを聞いて、目に見えて騒ぐ松田と元浜(バカ二人)

 

 そんな二人を尻目に、俺は霧崎のもとに行く。

 

 

「どうしたの、士騎くん」

 

「ああ、実は──」

 

 

 霧崎にカラオケのことを話し、霧崎のことを誘ってみる。

 

 

「そうだね──せっかく誘ってくれたんだから、行くよ。もう、皆とも知らない仲じゃないしね」

 

「そうか」

 

 

 意外にも霧崎もOKとなった。

 

 で、放課後、アーシアと鶫を先に行かせてからイッセーと一緒にカラオケのことを千秋たちに訊きに行ったが、千秋も燕も塔城も了承した。

 

 意外にも塔城がかなり乗り気だった。

 

 あとは部長と副部長か。

 

 あとそれから、俺とイッセーは気分転換になってくれればと思って木場のことも誘うことにした。

 

 

―○●○―

 

 

「ちわーっス」

 

 

 千秋たちにカラオケのことを訊きに行ったあと、旧校舎にやって来た俺たちは俺を先頭にして部室に入る。

 

 

「来たわね──って、どうしたの、燕? 顔が真っ赤よ?」

 

 

 部長が入ってきた俺たちを見て挨拶をしたあと、燕ちゃんが顔を赤くしているのに気づいて訊いてきた。

 

 実は一年組をカラオケに誘ったあと、そのまま一緒にオカルト研究部に向かってたんだけど、今朝のことで千秋と燕ちゃんが顔を赤くさせてよそよそしくなってたんだ。で、その理由を知った明日夏がいつものように燕ちゃんをいじってたわけだ。

 

 

「えーと、いつものです」

 

「ああ、なるほどね」

 

 

 俺がそう答えると、部長も察したようだ。

 

 

「あらあら、うふふ。私も参加しましょうかしら?」

 

 

 朱乃さんがSな顔をしてそんなことを呟いていた。

 

 

「お願いだからやめてください!?」

 

 

 燕ちゃんは必死に朱乃さんに懇願する。

 

 これ以上いじってくる相手が増えるのは勘弁願いたいようだ。ましてや、朱乃さんは究極のSだからな・・・・・・。

 

 

「そうですよ、副部長」

 

 

 なぜか、明日夏が朱乃さんに異を唱えた。

 

 

「こいつをいじっていいのは俺だけです」

 

 

 ――って、そういう理由かい!

 

 思わず心の中でツッコんでしまった。

 

 

「――って、ざっけんじゃないわよっ!」

 

 

 それを聞いて燕ちゃんが顔を怒りで真っ赤にして明日夏にハイキックを繰り出す。

 

 で、明日夏は黒い笑みを浮かべながら蹴りを避けていた。うん、明日夏のいまの言葉、本音もあるけど、ほとんど燕ちゃんをいじるために言ったな。

 

 

「おい、燕」

 

 

 蹴りを避けながら燕ちゃんを呼ぶ明日夏。

 

 

「何よ!?」

 

 

 捲し立てるように返事を返す燕ちゃんに明日夏は淡々と言う。

 

 

「その位置で蹴りを出せば、イッセーにスカートの中が丸見えだぞ?」

 

「――っ!?」

 

 

 それを聞いた燕ちゃんは慌ててスカートを押さえる。

 

 うん、実は明日夏の言うとおり、蹴りを出すたびに柄物のかわいらしいパンツが見えてしまっていたんだ。

 

 今度は羞恥と怒りで顔を真っ赤にした燕ちゃんが涙目でこちらを睨んできた!

 

 

「・・・・・・・・・・・・見たの!」

 

「・・・・・・えーと・・・・・・」

 

 

 ・・・・・・うん、ここは変に誤魔化すよりも正直に言った方がいいだろう。

 

 

「・・・・・・うん、見た」

 

「──ッ!? ・・・・・・・・・・・・このぉ・・・・・・」

 

「ちょっと待って燕ちゃん! いまのは不可抗力──」

 

「どスケベ!」

 

「ぐへぁっ!?」

 

 

 一気にジャンプで俺の目の前まで跳んできた燕ちゃんのジャンピングハイキックをもろに顔面に喰らってしまった。

 

 ・・・・・・ちなみにこのとき、蹴りが当たる瞬間にまたスカートの中身が見えた。

 

 

―○●○―

 

 

「・・・・・・そういえば、部長。木場はどうしたんですか?」

 

 

 燕ちゃんに蹴られたところをアーシアに治療してもらっていると、ふと木場が部室にいないことが気になったので、部長に訊く。

 

 

「・・・・・・祐斗は今日、学校を休んでいるわ」

 

「──ッ!? 部長、昨日の話と何か関係があるんじゃ?」

 

「ええ、そうね。関係はあるわね」

 

 

 すると、明日夏が会話に割って入ってきた。

 

 

「イッセー。フリードの奴は覚えてるな?」

 

「あ、ああ・・・・・・」

 

 

 な、なんでいきなりフリードの話を・・・・・・?

 

 

「この町にあいつがまた潜伏している」

 

「なっ!?」

 

 

 あいつがまたこの町に!

 

 見ると、アーシアもひどく驚いており、小猫ちゃんも表情を歪ませていた。

 

 鶫さんと燕ちゃんはよくわかっていないのか訝しげにしていた。まあ、二人がこの町に帰って来るまえの話だからな。

 

 

「そして、奴は──エクスカリバーを持っていた」

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

 

 

 明日夏に部長、朱乃さんを除く皆がそのことに驚いた!

 

 な、なんであいつがエクスカリバーを持ってんだよ!? てか、なんで知ってんだよ!?

 

 

「そのはぐれ神父に祐斗が襲われたのよ」

 

「そこに俺が駆けつけたわけだ」

 

「な、なんだって!? そ、それで、木場は!?」

 

「幸い、軽傷だけで済んでる。いまは俺の家に──」

 

「いえ、もうあなたの家にはいないわ」

 

「なっ!? まさか!?」

 

 

 ひどく狼狽しだした明日夏を部長がなだめながら言う。

 

 

「大丈夫よ。ただ、町中をふらふらと歩いているだけよ。たぶん、頭の整理なんかをしているのでしょう」

 

「・・・・・・そうですか」

 

 

 部長の言葉を聞いて明日夏は安堵する。

 

 にしても、明日夏のあの慌てよう、気になるな。

 

 やっぱり、木場と聖剣の関係が原因なんだろうか?

 

 

「教えてください部長! 木場と聖剣になんの関係があるんですか!?」

 

 

 部長は一度瞑目したあと、話し始めた。

 

 

「・・・・・・祐斗が聖剣計画の生き残りということは話したわよね。祐斗以外にもエクスカリバーと適応するため、何人もの子供が育生されていたの。現在、聖剣エクスカリバーと呼ばれるものは七本存在しているからよ」

 

「「七本!?」」

 

 

 俺、それから明日夏もそのことに驚いてしまう。

 

 見ると、アーシアや千秋たちも驚いていた。

 

 ていうか、なんで伝説の聖剣が七本もあるんですか!?

 

 

「本来の聖剣エクスカリバーは大昔の戦争で四散してしまったの。その破片を教会側が拾い集め、錬金術で新たに七本の剣に作り替えたってわけ」

 

 

 なるほど。それで七本もあるわけか。

 

 

「木場はその剣を扱えるってことですか?」

 

「・・・・・・いや、使えないな」

 

「え?」

 

 

 俺の問いを明日夏がバッサリと否定する。

 

 

「もし使えていたら、今頃教会の聖剣使いとして部長と敵対しているはずだ。そもそも、昨夜、部長が計画は完全に失敗したって言ってただろ」

 

 

 そういえばそうだったな。

 

 

「てことは──」

 

「祐斗だけでなく、同時期に養成された全員がエクスカリバーに適応できなかったらしいわ。計画は失敗に終わったのよ。そして──」

 

「──計画の主導者は木場たちを処分した──ですね?」

 

「・・・・・・そのとおりよ、明日夏」

 

 

 処分って、まさか!?

 

 

「・・・・・・おまえが考えてるとおりだ」

 

「──ッ!?」

 

「そんな!? 主に仕える者がそのような!」

 

 

 アーシアも俺と同じことを考えてたのか、ひどくショックを受けていた。目元も涙で潤ませていた。

 

 

「・・・・・・悪魔は邪悪だって言ってるくせに、自分たちがやってることのほうが邪悪じゃないのよ! それを棚にあげて!」

 

 

 燕ちゃんが吐き捨てるように言った言葉を聞いて、明日夏が淡々と言う。

 

 

「──邪悪とか思ってないからだろ。それどころか、神に仕える自分たちの行いはすべて正義。木場たちの件も、主のための尊い犠牲、自分たちの正義のため、なんて本気で思ってたんじゃねぇか?」

 

 

 なんだよそれ! なんの罪もない子供を殺すことが正義だって!?

 

 

「・・・・・・ヒトの数だけ正義があり、その正義は他人からすれば悪に見えることがある。だから、正義はときにもっともタチの悪い悪意になることがある。──兄貴の受け売りだ」

 

 

 冬夜さんがそんなことを言ってたのか。いや、でもたしかにそのとおりかもな。

 

 

「・・・・・・あの子を見つけたときにはすでに瀕死だったわ。でも、一人逃げ延びたあの子は瀕死の状態でありながら、強烈な復讐を誓っていた。その強い想いの力を悪魔として有意義に使ってほしいと私は思ったの」

 

「・・・・・・それで部長が木場を悪魔に」

 

 

 そして、ここ最近まではその部長の想いに応えて生きていたが、あの写真を見て、聖剣──エクスカリバーへの強い復讐心で再び心を満たしてしまったということか。

 

 

「昨日も言ったけど、しばらく見守りましょう。いまの祐斗はぶり返した復讐心で頭がいっぱいになってるでしょうから。ただ、問題はその件のエクスカリバーがこの町にあることよ」

 

 

 そうだ。そのエクスカリバーをフリードが持っていて、そのフリードがこの町に潜伏している。そして、最悪なことに、そのフリードと木場が接触してしまった。復讐の対象が目の前に現れたら冷静でいられるはずがない!

 

 

「木場は本当に大丈夫なんですか!?」

 

「一応、使い魔に見張らせているわ。見た感じ、いまのところは落ち着いているわ」

 

 

 なら、いいんですが・・・・・・。

 

 

「祐斗も心配だけど、あなたたちのことも心配よ」

 

「フリードの奴は悪魔に関わることなら無差別に襲いかかってくるからな」

 

 

 たしかに、あいつは契約しようとした人までも容赦なく手にかける。

 

 俺の脳裏に依頼人が無惨に殺されていた光景が浮かび上がった。

 

 

「とにかく皆、今後はしばらく単独行動は控えてちょうだい。とくに夜は」

 

『はい!』

 

 

 部長の言葉に全員が返事をしてうなずく。

 

 

「明日夏、千秋、鶫、燕。悪いけど、あなたたちにはしばらく悪魔活動をする子に付き添ってもらえるかしら。最低でも二人一組になるように」

 

「ええ、構いません」

 

「わかりました」

 

「は~い」

 

「了解です」

 

 

 だよな。とくにアーシアには絶対明日夏とかが付いて、最低でも三人一組になるようにしてほしいもんだ。

 

 

「それから、はぐれ神父が持つエクスカリバーの奪還のため、教会が刺客をこの町に潜伏させている可能性があるわ。そちらのほうにも気を配っておいてちょうだい」

 

 

 なっ、マジか!? いや、むしろ当然か。自分たちの切り札をみすみす敵に渡したままにするわけがないし。

 

 

 コンコン。

 

 

 突然、部室のドアがノックされた。

 

 

「どうぞ」

 

「お邪魔します」

 

「生徒会長と副会長?」

 

 

 部長が応じると、入ってきたのは会長と副会長であった。

 

 

「リアス、緊急の話があるの。いまから私の家まで付き合っていただけません? あそこなら誰にも干渉されることはありませんし」

 

 

 会長の言葉を聞いて、部長が表情を険しくする。

 

 

「相当込み入った話のようね?」

 

「……ええ。相当に」

 

「わかったわ」

 

 

―○●○―

 

 

 あのあと、部長と副部長は会長たちについていった。

 

 そして、今日の部活はなしということになり、俺たち全員で帰路についていた。いまは塔城の滞在先に向かってる途中だった。

 

 

「緊急の話って、やっぱりエクスカリバーのことかな?」

 

 

 帰路につくなか、イッセーが訊いてきた。

 

 

「さあな。ただ、厄介事なのは間違いないな」

 

「小猫ちゃんはどう思う?」

 

「・・・・・・別に。部長のすることには間違いはないですから」

 

「まあ、明日にでも部長が話してくれるかもしれないし、待つしかねえな」

 

「それもそっか」

 

 

 とにかく、警戒しておかないとな。

 

 ふと、塔城が口を開く。

 

 

「・・・・・・私は祐斗先輩のほうが少し気がかりです」

 

「・・・・・・実は俺もなんだ」

 

 

 塔城やイッセーだけじゃなく、全員が木場のことが気がかりだろうな。

 

 

「部長はああ言ってたけどさ・・・・・・。なんか、少しでも助けになってやれねぇかなって。眷属同士っつうより、友達としてさ」

 

「・・・・・・はい」

 

 

 ・・・・・・そうだな。とはいえ、何をしてやれるかというとな・・・・・・。

 

 そんなことを思っていたら、塔城の滞在先に到着した。

 

 

「・・・・・・では、また明日」

 

「じゃあね、小猫ちゃん。気をつけて」

 

「・・・・・・イッセー先輩たちも気をつけてください」

 

「うん」

 

 

 塔城と別れ、俺たちも家に向かう。

 

 

「・・・・・・小猫ちゃんも朱乃さんも・・・・・・」

 

「ん? どうした?」

 

 

 イッセーが何か呟いていたので訊いてみた。

 

 

「いや、小猫ちゃんや朱乃さんにも悪魔になった事情とかあるのかなって。俺やアーシア、それから木場みたいにさ」

 

 

 そういえば、合宿のとき、木場が自分たちもイッセーやアーシアと似たようなものって言ってたな。

 

 

「──ッ!?」

 

「イ、イッセーさん・・・・・・」

 

 

 家の近くまで来て突然、イッセーとアーシアが表情を強張らせた。

 

 

「どうした、二人とも?」

 

「・・・・・・何か急に悪寒が・・・・・・」

 

「・・・・・・ああ。俺も感じた。おまえは感じなかったのかよ? このいやな感じ・・・・・・」

 

「・・・・・・いや」

 

 

 見ると、千秋たちもそんなものを感じている様子はなかった。

 

 悪寒? 俺たちには感じず、イッセーとアーシアだけが──ッ! まさか!

 

 いやな予感を覚えた俺は急いでイッセーに訊く!

 

 

「いやな感じってどんなだ!?」

 

「・・・・・・なんていうか・・・・・・体中から危険信号が出てる感じだ。・・・・・・この感じ、前にも感じたことがある」

 

「・・・・・・前にも?」

 

「アーシアと出会って、教会に案内したとき、それと、フリードと出会った──ッ!?」

 

「イッセー!」

 

「母さん!」

 

 

 俺とイッセー、俺たちの反応から事態を察した千秋はイッセーの家に向けて駆けだした!

 

 イッセーとアーシアが感じてたのは悪魔の聖なる力に対する危険信号だ! つまり、いま、イッセーの家に教会関係者が来てる!

 

 理由はさまざまだが、最悪なのはフリードの野郎が来てることだ!

 

 脳裏にフリードと出会ったときに見かけた張り付けにされた男性の遺体を思い出す!

 

 そしていま、イッセーの家にはおばさんがいる!

 

 クソッ! 頼む! 最悪な事態にはなるな!

 

 俺たちは玄関のドアを開け、警戒しながら中の様子を伺う。すると、おばさんの楽しく談笑する声が聞こえてきた。

 

 俺とイッセーは怪訝に思いながらお互いに目を合わせると、警戒心を解かずおばさんの声が聞こえるリビングに向かう。

 

 リビングの様子を伺うと、おばさんが見知らぬ三人の少女と談笑していた。

 

 三人の特徴はそれぞれ栗毛のツインテール、前髪の一部に緑のメッシュを入れた青髪のショート、黒髪のポニーテールという髪型で、三人とも白いローブを着込んでいた。

 

 間違いなく教会関係者。

 

 

「あら、皆お帰りなさい。それからいらっしゃい、明日夏くん、千秋ちゃん。どうしたの、皆? 血相を変えて?」

 

 

 俺たち全員、警戒心を抱いてるせいかかなり強張った表情をしてるらしい。ま、当然警戒心を解けるはずもなく──なんて思っていると、栗毛の少女が口を開いた。

 

 

「ひさしぶりだね、イッセーくん、明日夏くん」

 

「「えっ?」」

 

 

 俺とイッセーは俺たちの名前を呼んだ少女を見るが、正直見覚えがなかった。

 

 

「あれ、覚えてない? 私だよ?」

 

 

 そう言って微笑む栗毛の少女。やっぱり見覚えが──いや、まてよ。

 

 

「えーっと・・・・・・」

 

 

 イッセーはいまだにわからないようだが、俺はなんとなく掴み始めていた。

 

 教会関係者で栗毛の髪・・・・・・そんな知り合いは一人しかいない。

 

 

「おまえ・・・・・・イリナか?」

 

「せいかーい♪」

 

「ええっ!? イリナって、紫藤イリナのことか!?」

 

「そうだよ♪」

 

 

 そう、彼女は俺とイッセーのもう一人の幼馴染みである紫藤イリナだった。

 

 おばさんが当時の写真を見せながら言う。

 

 

「この頃は男の子みたいだったけど、いまはこんなに女の子らしくなっちゃって。母さん見違えちゃったわ」

 

「・・・・・・・・・・・・俺、この子のこと本当に男の子だと思ってた・・・・・・」

 

「まあ、あのころかなりやんちゃだったし・・・・・・」

 

 

 ・・・・・・たしかに、そこいらの男子よりもやんちゃ坊主だったな、こいつは。イッセーじゃなくても間違えるほどに。・・・・・・かくいう俺も、当時しばらくはそう思ってた。

 

 

「でも、お互いにしばらく会わないうちにいろいろあったみたいだね。──本当、再会って何があるかわからないものだわ」

 

 

 この言い方からして、イッセーが悪魔だということに気づいてるな・・・・・・。

 

 

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