ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.6 聖剣と戦います!

 

 

 『魔女』と呼ばれたアーシアは体を震わせていた。その単語はアーシアにとって、辛い思い出を思い出させるものだった。

 

 

「あー、あなたが魔女になったという元『聖女』さん? 堕天使や悪魔をも癒す能力を持ったために追放されたとは聞いていたけど、悪魔なっていたとはね」

 

「・・・・・・あ、あの・・・・・・私は・・・・・・」

 

 

 イリナにも言い寄られ、アーシアは体を震えせながらスカートの裾をギュッと掴む。

 

 そんなアーシアにゼノヴィアはさらに無情な言葉をかける。

 

 

「しかし、『聖女』と呼ばれていた者が悪魔とはな。堕ちれば堕ちるものだ」

 

「てめぇ! いい加減にしろおまえ──」

 

「・・・・・・イッセー先輩」

 

 

 ゼノヴィアの言い分に思わず突っ掛かろうとするが、小猫ちゃんが手で制してくる。

 

 わかってる! ここであいつらとやらかしたらマズイってことぐらい! 頭ではわかってるけど、沸き上がる感情が抑えられなかった!

 

 

「そこまでにしろ、ゼノヴィア。彼女はもう追放され、そしていまや悪魔の身。もう我々とは関係はないし、我々も彼女にとやかく言う権利はない」

 

「いや、そういうわけにはいかないよ、アルさん。神の信徒として、彼女を無視するわけにはいかない理由がある」

 

 

 アルミヤってヒトがゼノヴィアを諌めようとするけど、ゼノヴィアは止まらず、アーシアに問いかける。

 

 

「まだ我らが神を信じているのか?」

 

 

 ゼノヴィアの問いにイリナが呆れた様子で言う。

 

 

「ゼノヴィア、彼女は悪魔になったのよ」

 

「いや、背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら信仰心を忘れられない者がいる。その子にはそう言う匂いが感じられる」

 

「へー、そうなんだ。ねぇ、アーシアさんは主を信じているの? 悪魔の身になってまで?」

 

 

 イリナの問いにアーシアは震えながら弱々しく答える。

 

 

「・・・・・・す、捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから・・・・・・」

 

 

 それを聞き、ゼノヴィアはアーシアに聖剣を突きだす。

 

 

「ならば、いますぐ私たちに斬られるといい。キミが罪深くとも、我らの神は救いの手を差し伸べてくれるはずだ。せめて私の手で断罪してやる。神の名のもとに」

 

「てめぇ──」

 

「そのくらいにしてもらえるかしら!」

 

 

 思わず飛び出そうとするが、先に部長が言葉に怒気を含ませて割り込んだ。

 

 

「私の下僕をこれ以上貶めるのは」

 

「貶めているつもりはない。これは信徒として当然の情け──」

 

「──ッ!」

 

 

 ついに我慢の限界が来た俺は小猫ちゃんの手を振り払い、庇うようにアーシアの前に立つ!

 

 

「アーシアを『魔女』と言ったな!」

 

「少なくとも、いまは『魔女』と呼ばれる存在だと思うが?」

 

 

 ゼノヴィアはあたりまえのように言った。

 

 

「ふざけるなッ! 自分たちで勝手に『聖女』に祀り上げといて! それで少しでも求めていた者と違ったから見限るのか!? ・・・・・・そりゃねえよ。そりゃねえだろう!? アーシアはなぁ・・・・・・ずっと一人ぼっちだったんだぞ!」

 

 

 俺は溜まっていたものを止められなかった。ずっと、ずっと神さまに関わる者に言ってやりたかったんだ。

 

 

「『聖女』は神からの愛のみで生きていける。愛情や友情を求めるなど、元より『聖女』になる資格などなかったのだ」

 

 

 当然だというかのようにゼノヴィアは口にした。

 

 クソッ! なんだ。なんなんだ、こいつらは!

 

 理解できねぇ! 理解なんてしたくねぇ! 

 

 

「その神さまはアーシアがピンチだったときに何もしてくれなかったじゃないか!」

 

「神は愛してくれていた。何も起こらなかったとすれば、彼女の信仰が足りなかったか、もしくは偽りだっただけだよ」

 

 

 ゼノヴィアは冷静にそう答えた。

 

 こんな奴ばかりなのか、教会の連中は!? ふざけんな。ふざけんなよ!

 

 

「何が信仰だ! 神さまだ! アーシアの優しさを理解できない連中なんか皆バカ野郎だ!」

 

「・・・・・・キミはアーシア・アルジェントのなんだ?」

 

「家族だ! 友達だ! 仲間だ! おまえらがアーシアに手を出すのなら、俺はおまえら全員敵に回しても戦うぜ!」

 

 

 ゼノヴィアの問いに俺はハッキリとそう告げてやった!

 

 

「ふん、なるほどな」

 

 

 突然、嘲笑うかのような言葉が紡がれた。その言葉を発したのは、今まで会話に参加せず黙っていたライニーと名乗った男だった。

 

 

「何がなるほどなんだよ!」

 

「家族、友達、仲間、なるほど、愛情や友情を求めたそいつにはうってつけのたぶらかし文句だったわけだ」

 

「何ッ!?」

 

「そう言ってそいつをたぶらかして悪魔に仕立てあげたんだろう? 悪魔の誘惑ってやつか? 悪魔らしいかぎりだ」

 

「ちょ、ちょっと、ライくん!」

 

 

 嘲笑を浮かべながら好き勝手言うライニー。そんなライニーを神田ユウナがあわあわしながらも諌めようとする。

 

 

「そんなんじゃねぇ! 俺はアーシアと友達になりたいって思っただけだ!」

 

「そりゃ、悪魔を癒す力は何がなんでもほしいだろうからな」

 

「そんなの関係ねえ! 悪魔もシスターも癒しの力なんかも関係ねえ! 俺はそんなもの抜きでアーシアと友達になろうとしたんだ!」

 

「そう言ってたぶらかしたんだろう? 悪魔はそういう口がうまいからな」

 

 

 なんなんだよ、さっきからこいつはよ!?

 

 

「ん? なんだ。おまえらもこいつにやられた口か?」

 

 

 そう言ったライニーの視線の先には、スゴい形相でライニーを睨んでいる千秋、鶫さん、燕ちゃんがいた。三人とも、明らかに怒っていた。

 

 

「哀れだな。悪魔に魅了されるなんてな。一体どんな手口にやられ──ッ!?」

 

 

 ライニーの言葉を遮って拳が打ち込まれた!

 

 ライニーは驚きながらも、的確に拳を掴んで受け止める。

 

 

「明日夏!?」

 

 

 拳を打ち込んだのは、明日夏だった。

 

 

「・・・・・・なんのつもりだ?」

 

「・・・・・・それはこっちのセリフだ」

 

 

 ライニーの問いに明日夏は拳を突き出したまま答える。

 

 

「連れはアーシアを貶めたかと思えば、くだらねぇ理由で斬ろうとする。おまえはおまえでいきなり好き勝手言ってイッセーを侮辱する。・・・・・・いい加減、我慢の限界なんだよ!」

 

 

 相当頭に来ている様子で明日夏はゼノヴィアとライニーを睨む。

 

 

「アーシアに手を出し、その口も黙らせねぇのなら、俺も黙ってねぇぞ!」

 

 

 明日夏はゼノヴィアとライニーを睨みながら、拳を突き出して言った。

 

 

「そっちがその気なら受けてたつよ。先ほど盛大に喧嘩を売られたからね」

 

「俺も別に構わないぜ」

 

 

 ゼノヴィアもライニーやる気満々だった。

 

 

「ちょっ!? 二人とも──」

 

「止めなさい! 二人とも──」

 

「──ちょうどいい。僕も混ぜてもらおうか」

 

 

 神田ユウナと部長が俺たちを止めようとするけど、木場がその制止の声を遮った。

 

 

「・・・・・・誰だキミは?」

 

「キミたちの先輩だよ。──失敗作だったそうだけどね」

 

 

 ゼノヴィアの問いかけに木場は不敵に笑みを浮かべて答えた。

 

 

━○●○━

 

 

 ・・・・・・我ながら短慮な行動だった。

 

 つい先程の自分の行動を反省しながら、現状を確認する。

 

 イッセーは本来、言いたいこと言いたかっただけで、実際にやり合うつもりはなかったみたいだ。

 

 俺も止められたら一応は引き下がるつもりだった。

 

 だが、木場が俺たちの口論に乗っかって教会の連中に殺意全快でケンカを売りやがった。それをゼノヴィアとライニーも買いだして一触即発の空気となって、完全に収まりがつかなくなってしまった。

 

 それを察したアルミヤ・A・エトリアが部長にお互い上に報告しない非公式の手合わせを渋々ながら提案してきた。部長もその提案に渋々乗り、俺、イッセー、木場のオカ研側とゼノヴィア、イリナ、ライニーの教会側の対決と相成った。

 

 対戦カードは俺とライニー、イッセーとイリナ、木場とゼノヴィアという形となった。

 

 そして俺たちはいま、球技大会の練習をしていた場所に立っていた。俺から少し離れたところにはイッセーと木場がおり、さらに俺たちと対峙するようにゼノヴィア、イリナ、ライニーがいた。その俺たちからさらに離れたところに残りのオカ研のメンバーとアルミヤ・A・エトリア、神田ユウナがいた。

 

 そんな俺たちの周辺を囲い込むように紅い魔力の結界が張られる。これで多少の無茶をしても周囲に影響が出なくなるらしい。

 

 

「では、始めようか」

 

 

 ゼノヴィアの言葉を皮切りに教会側の三人がローブを脱ぎ、黒い戦闘服姿になった。ゼノヴィアとイリナのは体の線が浮き出てて、正直眼のやり場に困るものだった。ライニーのは俺の戦闘服のコートがないバージョンって感じで、グローブが手首の先まで覆うタイプだった。

 

 

「上にバレたらお互いマズいわね!」

 

 

 そう言いながらも人数合わせの割に結構ノリノリなイリナは腕に巻いている紐を掴むと、紐は形状を変化させ、日本刀の形になった。

 

 

「殺さない程度に楽しもうか」

 

 

 ゼノヴィアの持つ剣の布が取り払われ、破壊の名前に恥じない破壊力重視と思われる刀身が太い剣が現れた。

 

 

「フン」

 

 

 ライニーはグローブの両手首の部分を開く。すると、そこから腕にかけられた十字架が現れる。

 

 次の瞬間、十字架が光り輝き、十字架がグリップの部分に十字架をあしらった刻印がされた白銀の拳銃に変わっていた!

 

 

「じゅ、十字架が!?」

 

 

 十字架が拳銃に変化したことに元シスターであるアーシアが驚愕していた。

 

 

「武器に変化する十字架──聞いたことあるな。確か、『武装十字器(クロス・ギア)』って名前だったか?」

 

 

 聞いた話によると、最近になって教会が神器(セイクリッド・ギア)を参考に開発した、言わば、人工の神器(セイクリッド・ギア)と呼べるもの──それがあの聖なる武器に変化する十字架『武装十字器(クロス・ギア)』だった。

 

 

「よく知ってるじゃねぇか」

 

 

 ライニーは銃口をこちらに向ける。

 

 武装十字器(クロス・ギア)は、エクスカリバーなどの聖剣と比べれば、性能は大きく劣るし、人工の神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれながらも、その神器(セイクリッド・ギア)みたいな能力はないらしい。けど、誰でも扱え、持ち主の扱いやすい武装に変形するという特徴があり、利便性においては圧倒的に優れていた。そして、悪魔などの聖なる力を弱点としている存在にとっては十分に驚異となる代物でもあった。

 

 何より、使い手によっては、既存の聖剣や神器(セイクリッド・ギア)並みに性能を発揮するらしい。

 

 そして、エクスカリバーの奪還という任務でやって来たこいつだ。それぐらい、いや、それ以上の実力はあると想定して臨むべきだな。

 

 そう分析しながら戦闘服に着替え、雷刃(ライトニングスラッシュ)を手に構える。

 

 やめるつもりだったとはいえ、あいつらの言葉に腸が煮えくり返っているのも事実だった。木場ほどじゃないが、やる以上はぶちのめす!

 

 

━○●○━

 

 

 うーん、明日夏の奴、止められたらやめるつもりだったとは言っていたけど、結構やる気満々じゃねぇかよ・・・・・・。木場もはなっからやる気満々──ていうか、相手を殺しそうな勢いだぞ!?

 

 おいおい、殺し合いは禁止だぜ? わかってんのか、木場?

 

 

「・・・・・・ふふふ」

 

 

 当の木場は不気味なほどの笑みを浮かべていた。薄ら寒くなるほどの笑顔だ。

 

 

「・・・・・・笑っているのか?」

 

「ああ。倒したくて、壊したくて仕方のなかった物が目の前に現れたんだからね──」

 

 

 ゼノヴィアの問いに木場が答えた瞬間、木場の周囲に複数の魔剣が出現した。

 

 

「・・・・・・『魔剣創造(ソード・バース)』か。思い出したよ。聖剣計画の被験者で処分を免れた者がいたという噂をね。それはキミか?」

 

 

 今度のゼノヴィアの問いに木場は答えない。ただただ、殺気を向けているだけだ。

 

 

「兵藤一誠くん! 士騎明日夏くん!」

 

 

 いきなり紫藤イリナがなぜか瞳をキラキラさせながら俺と明日夏のことを呼んだ。

 

 

「「な、なんだよ?」」

 

 

 俺も明日夏も訝しげにイリナのほうを見る。

 

 

「再会したら懐かしの男の子たちの一人が悪魔になっていただなんて!? もう一人の幼馴染みも悪魔と一緒に行動しているだなんて!? なんて残酷な運命のいたずらぁ!」

 

「「はぁ?」」

 

 

 イリナの言葉に俺も明日夏も思わず呆気に取られてしまう。

 

 

「聖剣の適正を認められ、はるか海外に渡り、晴れてお役に立てると思ったのに!? ああぁ、これも主の試練?」

 

 

 悲しそうに言ってるけど、言葉に反して振る舞いがぜんぜん悲しそうじゃないよ!

 

 

「でも、それを乗り越えることで私はまた一歩、真の信仰に近づけるんだわぁ! ああぁ!」

 

 

 ちょっと、この子、何言ってるの!? 完全に自分に酔っちゃてるよ! 関わってはいけないタイプの子になっちゃてるよ!?

 

 

「さあ、イッセーくん、明日夏くん! 私がこのエクスカリバーであなたたちの罪を裁いてあげるわぁ! まずはイッセーくんから! アーメン!」

 

 

 そう言って、イリナは勢いよく斬りかかってきた!

 

 

「なんだか、わかんねぇが、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』ッ!」

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 籠手を出現させて、斬りかかってきたイリナの斬擊なんとかかわすけど、制服が少し斬られた!

 

 

 あっぶね! 何が手合わせだ! ぜんぜん本気じゃねぇか!?

 

 

「イリナちゃん!? これ手合わせ! 手合わせだよ!?」

 

 

 神田ユウナも慌てて叫んでいた。

 

 仲間にも言われてんぞおい!

 

 

「ああぁ、ひさびさの故郷の地で昔のお友達を斬らねばならない! なんて過酷な運命!?」

 

 ダメだ、この子!? 完全に自分の世界に入っちゃてるよ!

 

「・・・・・・イッセー。いまのイリナに何を言っても無駄だ、諦めろ。とりあえず、さっき言ったとおり、必死で避けろ。悪魔のおまえはかするだけでも大ダメージだからな」

 

 

 バトル前に明日夏に言われたことを思い出し、気を引き締める。

 

 聖剣に斬られた悪魔は光の攻撃を受けたときと同様に完全に消滅する。下手すると、光の攻撃以上のダメージが発生するらしい。絶対に斬られたくないな!

 

 

「『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』か。アーシア・アルジェントの『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』といい、キミの『魔剣創造(ソード・バース)』といい、異端の神器(セイクリッド・ギア)がよく揃ったものだ」

 

 

 俺の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を見て、ゼノヴィアが興味深そうに呟いていた。

 

 

「・・・・・・僕の力は同士の恨みが産みだしたものでもある。無念の中で殺されていった者たちのね!」

 

 

 木場は地面に生えた魔剣を一本手に取り、ゼノヴィアに斬りかかる。

 

 

「この力で持ち主と共にエクスカリバーを叩き折る!」

 

 

 木場は一心不乱に魔剣を振るうけど、ゼノヴィアは易々と木場の攻撃を防いでいた。

 

 すると木場は『騎士(ナイト)』の特性の足の速さで縦横無尽に駆け回ってゼノヴィアに斬り込む。

 

 だけど、神速の動きによる四方八方から来る斬擊をゼノヴィアは最小の動きだけで的確に受け流していた。

 

 木場の速さがぜんぜん通用してねぇ!? マジかよ!

 

 

「クソッ!」

 

 

 明日夏の苦悶の声が聞こえ、明日夏のほうを見る。

 

 ライニーが両手の拳銃を絶えまなく撃ち、撃ち出された弾丸を明日夏は必死に動き回って避けていた。でも、ときどき避けきれずに当たり、苦悶の表情を作っていた。当たっても、着ているコートのおかげで傷ができることはなかったけど、衝撃や痛みまで防げていない様子だった。そのせいで、明日夏はいまは完全に避けることに徹していて、攻めあぐねていた。

 

 木場と明日夏、あんなに強い二人が、一向に攻めきれずにいた。それだけ相手がめちゃくちゃ強いってことかよ!

 

 

「イッセーくん。よそ見してる余裕なんてあるのかな?」

 

 

 イリナの言葉を聞こえ、慌ててその場から飛び退くと、さっきまで俺がいたところにイリナが斬り込んでいた!

 

 クソッ! イリナだって弱いはずはねえ。他の二人と同じくらいの強さなはずだ。ちきしょう、実戦経験が少ないうえに、聖剣との戦いが初めてだから、どれくらい倍加すればいいのか目安がわからん。さっき明日夏に言われたとおり、できるだけ避けて、上げれるだけ上げるしかねえ!

 

 

「こうなったらやるしかねえ! いや、やっておかないと気がすまねぇ! いや、やらねぇと損だ!」

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 ──隙を見て、洋服崩壊(ドレス・ブレイク)かましてやる!

 

 紫藤イリナ。昔は男の子だと思っていた。けど、いまはその体のラインがはっきりとわかる戦闘服から見てわかるとおり、すっかり美少女に成長して、出るところが出てていい体つきをしているぜ!

 

  成長したその裸体、いまからたっぷり拝んでやるぜ!

 

 

「・・・・・・な、なぁに、そのいやらしい顔?」

 

 

 怪訝な顔つきになるイリナ。ふふふ、わかるまい。俺が何を考えているのかを──。

 

 

「・・・・・・気をつけてください。イッセー先輩は手に触れた女性の服をすべて消し飛ばすことができます」

 

「「服を!?」」

 

 

 小猫ちゃんの言葉を聞いて、イリナと神田ユウナが驚愕し、神田ユウナは反射的に自分の着ているものを守るように自身の体を抱いていた。

 

 ていうか──。

 

 

「小猫ちゃん! なぜに敵にネタバレしますか!?」

 

 

 抗議の眼差しを向ける俺に小猫ちゃんはズバリと言う。

 

 

「・・・・・・女性の敵です」

 

 

 ・・・・・・あぅ! ・・・・・・痛烈なツッコミ!

 

 

「なんて最低な技なの、イッセーくん!? 悪魔に堕ちただけでは飽きたらず、心までもが邪悪に染まってしまうなんて! 神よ! この罪深き変態をお許しにならないでください!」

 

 

 悲哀に満ちた表情でお祈りをあげるイリナ。

 

 そんなかわいそうな奴を見る目で見るな!

 

 

「なるほど。性欲の塊か。欲望の強い悪魔らしい行動だと私は思うよ」

 

 

 ゼノヴィアは俺に軽蔑な視線を向けて嘆息しながら言った。

 

 

「ゴメン」

 

 

 なに謝ってんだ、木場ぁぁぁ!

 

 

「悪魔らしい限りだ。そんな悪魔のために戦うなんてな」

 

 

 ライニーが俺に侮蔑の視線を向けると、呆れたように明日夏に言った。

 

 

「いや、イッセーの性欲の強さは悪魔になるまえからだ」

 

 

 それフォローなのか、明日夏!?

 

 

「・・・・・・お、お多感なんだね」

 

 

 神田ユウナがなんとも言えない表情で苦笑いを浮かべていた。

 

 そうなんです! 多感な時期なんですよ!

 

 

「・・・・・・個人の性癖にとやかく言う気はないが・・・・・・戦闘中にそれを持ってくるのはどうなのか。ある意味、肝が座っているというか・・・・・・」

 

 

 アルミヤ・A・エトリアさんは呆れた表情で言った。

 

 

「・・・・・・とにかく、最低です」

 

 

 小猫さまがまとめるように言った。エロくてゴメンね!

 

 そんななんとも言えない空気のなか、木場は手に持っていた魔剣を地面に刺し、別の魔剣を二本手に取った。

 

 

「燃え尽きろ! そして凍りつけ!」

 

 

 片方の魔剣からは業火が渦巻き、もう片方の魔剣からは冷気と共に霧氷を発生させ、木場は二刀流でゼノヴィアに斬りかかる。

 

 

「甘いッ!」

 

 

 ゼノヴィアの一振りが木場の二本の魔剣を粉々に砕いてしまう!

 

 

「はぁッ!」

 

 

 ゼノヴィアは聖剣を器用にくるくる回したかと思うと、高々と持ち上げて天にかざし、地面に振り下ろした。

 

 

 ドォォォォォオオオオオオオオンッッ!

 

 

 突然、足場が激しく揺れて、地響きが発生する!

 

 体勢が崩れ、俺はその場で膝を着いてしまい、目の前のイリナも尻餅を着いていた。

 

 さらに周囲に土煙が巻き起こり、俺にも土がかかってきた。

 

 

「なっ!?」

 

 

 土煙が晴れ、視界に入ってきた光景に俺は我が目を疑った。

 

 

「『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の名は伊達じゃない!」

 

 

 ゼノヴィアが振り下ろした聖剣を中心に巨大なクレーターが生みだされていた!

 

 一撃でこんなクレーターを作ったのかよ!? 剣の一振りで!?

 

 

「・・・・・・七つに分けられて、なおこの破壊力・・・・・・。フッ、七本全部消滅させるのは修羅の道か・・・・・・」

 

 

 木場はこの光景を見て、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべるけど、その瞳に映る憎悪の影はいまだに消えていなかった。

 

 

「はぁ、ゼノヴィアったら。突然、地面を壊すんだもの・・・・・・」

 

 

 立ち上がったイリナは土を払いながら毒づく。

 

 

「さてと、そろそろ決めちゃいましょうか!」

 

 

 再び聖剣をこちらに向けて斬りかかってくるイリナ。

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 よし! いまだ!

 

 

Explosion(エクスプロージョン)!!』

 

 

 俺の中を力が駆け巡る。十分かどうかわからないけど、ここで攻める!

 

 

洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!」

 

 

 斬り込んでくるイリナに俺も飛びかかる!

 

 

「──ッ!? 卑猥な!」

 

 

 俺の目的に気づいたイリナは慌てて俺の突進を避ける。

 

 

「まだまだッ!」

 

「イヤッ!」

 

「ふッ!」

 

「やめてッ!」

 

「であぁッ!」

 

「ダメーッ!」

 

 

 チッ! 身軽だな! だが諦めん! 変態でもいい! 俺はたくましく生きていきたいんだ!

 

 イリナの服を弾け飛ばすのに夢中になっていた俺は、イリナの動きに徐々に順応していった。

 

 

「イッセーくんの動きが急にしなやかかつ機敏に!」

 

「イリナちゃんが一方的なんて!?」

 

 

 俺の動きのよさに驚く朱乃さんと神田ユウナ。

 

 

「ヒトは何かに夢中になると、自然と集中力が高まる。集中力が高まれば、動きのパフォーマンスもまたよくなる──とは言うが・・・・・・」

 

「・・・・・・単なるスケベ根性です」

 

 

 アルミヤ・A・エトリアさんの解説を聞いて、小猫ちゃんがバッサリと告げた。

 

 

 エロくて、ゴメンなさいね! だけど、いまの俺を止められるの者などいるはずがない!

 

 

「なんなのもう! ヒッ!?」

 

 

 逃げ回るイリナだったが、ついにその動きを捉え、逃げる方向に先回りした!

 

 

「俺のエロを甘く見るなァァッ!」

 

 

 指をわしゃわしゃと動かし、スケベな笑みを浮かべながら間合いを詰め──ダイブするように彼女へ飛び込んでいく!

 

 イリナに手が届こうとした瞬間──。

 

 

「──ッ!」

 

 

 彼女は咄嗟の動きで身を屈めてしまった!

 

 勢いが止まらない俺はそのまま前方に飛んでいき、結界を抜けてイリナの後方にいた鶫さんと燕ちゃん、小猫ちゃんのもとへ──。

 

 

「あ」

 

 

 そして、鶫さんと小猫ちゃんの肩へ俺の手がそれぞれ触れてしまい──。

 

 

「きゃっ!?」

「わっ!?」

 

 

 燕ちゃんを勢いそのまま押し倒してしまった! むろん、手は触れている。

 

 次の瞬間、三人の制服が弾け飛んだ。そう、下着すら容赦なく。三人は丸裸となっていた。

 

 鶫さんの部長や朱乃さんに並みの大きさを誇る生乳、小猫ちゃんのロリロリで小ぶりな生乳、同じくらい小ぶりで、小猫ちゃんとは違った魅力がある燕ちゃんの生乳が俺の眼前であらわになる。

 

 それを目にした俺の鼻から勢いよく鼻血が噴き出た。

 

 ありがとうございます! ――って、そうじゃなくて!?

 

 全裸の年下の幼馴染みを押し倒しているこの絵面はいろいろとマズい!

 

 

「わぁー! ゴメン、燕ちゃん!?」

 

 

 慌てて起き上がる俺!

 

 当の燕ちゃんは全身を真っ赤にさせていて、いまにも火が噴き出そうな様子だった。

 

 そして、なぜか姉である鶫さんは怒るでもなく、なぜか目を輝かせて俺と燕ちゃんのことを見ていた。なんで?

 

 

「とりあえず、ありがとうございます!」

 

 

 とりあえず、声に出してお礼を言う俺。

 

 

「いや、違う! これは──」

 

 

 慌てて弁明しようとした瞬間、俺は突然の浮遊感に襲われた。

 

 

「・・・・・・どスケベ」

 

 

 怒った小猫ちゃんに殴り飛ばされたのだ。

 

 そのまま重力に従い、俺は地面に叩きつけられた。

 

 ちょ、超痛い・・・・・・。

 

 

「あのね、これは天罰だと思うの。だから、こんな卑猥な技は封印すること、いい?」

 

 

 倒れ伏している俺にイリナが棒か何かでつつきながら言ってくる。

 

 

「・・・・・・だ・・・・・・」

 

「はぇ?」

 

「・・・・・・いや、だ・・・・・・! ・・・・・・魔力の才能をすべて注ぎ込んだんだ・・・・・・。女子の服が透明に見える技とどっちにするか、真剣に悩んだうえでの決断だったんだぞ・・・・・・! もっと、もっと女の子の服を弾け飛ばすんだ! そして、そして、そしていつか、見ただけで服を壊す技に昇華するまで俺は戦い続ける!」

 

 

 思いの丈を高々と宣言しながら気合を入れて俺は立ち上がる!

 

 

「・・・・・・そんなことでここまで戦えるなんてどうかしてるわ!?」

 

「・・・・・・ある意味スゴいね・・・・・・」

 

 

 俺の宣言にイリナは異質なものを見る目をし、神田ユウナはなんとも言えないような表情を浮かべていた。

 

 

「エロこそ力! エロこそ正義だぁッ!」

 

 

 俺は体勢を低くして、一気に飛び込む。

 

 イリナはそれを軽くジャンプして避ける。

 

 

「でやぁぁぁッ!」

 

 

 そこへアッパー気味に攻撃するが、それも後ろに飛んで躱された。

 

 

「ふッ!」

 

「──ッ!」

 

 

 イリナが横なぎに聖剣を振るってくるが、咄嗟にそれを籠手でガードする!

 

 

「あなたを少し見くびっていたようね。いい動きだし、いまのもいい判断よ。避けようとしたら確実に避けきれなかったはずだもの。悪魔のあなたに聖剣の一撃はかすり傷でも致命的ですもの。その瞬間に勝負はついていたでしょうね」

 

 

 そ、そうだったのか? 最初は避けようと思ったんだけど、体のほうが咄嗟にガードしてしまったんだ。結果的にそっちのほうがよかったか。

 

 

「その様子じゃ、体が咄嗟に反応したって感じね? どうやら、避け方に関して徹底的によく鍛えられているみたいね。その経験が体が咄嗟に反応させたのよ」

 

 

 そういうことか。鍛えてくれた明日夏に感謝だな。ホント徹底的に容赦なく打ち込んできたからな。必死に避けようと頑張ったよ。

 

 

「でも──」

 

 

Reset(リセット)

 

 

「──ッ!?」

 

 

 『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の能力解放の時間が終わってパワーアップが解除され、体中から力が抜けていく!

 

 

「実戦経験の少なさがあだになったようね。いまの戦い、あと一度パワーアップしていたら、いい勝負になったはずよ。──あなたの敗因は、相手との力量差がわからずに神器(セイクリッド・ギア)を使っていること。読み間違いは真剣勝負の場では致命的よ」

 

 

 クソッ! いけるかと思ってたけど、経験のなさがここできたか!

 

 

「悪いけど、もうパワーアップの時間は与えないわ。急な力の減少に体の動きも鈍っているでしょうしね」

 

 

 イリナの言うとおり、たぶんパワーアップの時間はもう与えてもらえないだろう。

 

 

「やぁぁぁッ!」

 

 

 イリナはさっきより素早い動きで斬り込んでくる!

 

 けど──。

 

 

「なっ!?」

 

 

 イリナが驚愕の表情を浮かべた。

 

 その原因は俺の左手。俺の左手はイリナの聖剣をガッチリと握っていた。

 

 

「おりゃぁぁぁッ!」

 

「──ッ!?」

 

 

 武器を捕まれて動きが止まった隙を逃さず、イリナに向けて拳を打ち出す!

 

 

「くっ!」

 

 

 だけど、拳が当たる瞬間に聖剣が紐の形に変わってしまう! 擬態の能力か!

 

 紐状になった聖剣は俺の手からするするっと抜けてしまう。イリナはそのまま後方に飛び、俺の拳はイリナにかすっただけで大してダメージを与えられず、距離を取られてしまった。

 

 イリナの表情はいまだに信じられないものを見るようなものだった。

 

 

「どうして!? どうして、悪魔であるあなたが聖剣を握れるの!?」

 

 

 そう、イリナが驚愕したのは悪魔である俺が聖剣を握ったことだ。悪魔は聖剣に触れるだけでも危険。それを握るなんて自殺行為である。

 

 

「悪魔なら聖剣に触れることさえできない」

 

「そうよ! いかに『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』があろうと、聖なる波動を完全に防ぐことなんて──」

 

「だけど、悪魔の腕じゃなかったら?」

 

「えっ!?」

 

 

 そう、俺の左腕は悪魔の腕じゃない──ドラゴンの腕だ。だから、悪魔の弱点は関係ない。ライザーとの戦いのときに使った戦法を応用したんだ。

 

 もっとも、このドラゴンの腕で聖剣を掴むってのを教えてくれたの明日夏なんだけどな。

 

 

『強化が解除されたら、イリナは間違いなくパワーアップの時間を与えないために速攻で決めてくるはずだ。だが、そこにつけ入る隙がある。あとはおまえ次第だ』

 

 

 ホント、避け方といい、いまのといい、明日夏には感謝だぜ。

 

 

「なるほどね。たしかにドラゴンの腕になっているのなら、聖剣の波動も効果は薄いわ。いま思えば、さっきガードされたときに疑うべきだったわ。イッセーくんのクセに生意気よ!」

 

 

 ドラゴンの腕のことを説明してやったら、ムスッとした表情を作るイリナ。でも、すぐに余裕そうな表情に戻す。

 

 

「でも、せっかくのチャンスも逃したわね。そうとわかっていれば、もう驚かないわ」

 

「いいや。もう勝負はついたぜ」

 

「えっ!?」

 

 

 イリナは俺の言葉に訝しげな表情になる。

 

 イリナの一撃は悪魔である俺にとってかすっただけでも致命的。だけど、それは俺も同じだぜ!

 

 俺の必殺技は触れるだけ発動条件が整う。たとえそれがかすっただけでも!

 

 

「弾けろ! 洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!」

 

 

 刹那、イリナの着ていた戦闘服がバラバラに弾けた。

 

 おお! 服の上からでもわかっていたが、見事なプロポーション、そして、おっぱい! 脳内メモリーに保存保存!

 

 

「いやぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 自身の服が弾け飛んだことにイリナは一瞬だけ呆けるけど、すぐに現状を認識して、悲鳴をあげてうずくまった。

 

 

「わわわッ!? イリナちゃん!」

 

 

 神田ユウナが慌ててイリナに駆け寄り、自分の着ていたローブをイリナに着せてあげた。

 

 神田ユウナもイリナやゼノヴィアと同じ戦闘服を着ていて、その体のラインがよくわかる。

 

 おお! この子もイリナやゼノヴィアに負けず劣らずのなかなかのプロポーション!

 

 そんな神田ユウナがなんとも言えないような表情を作りながら訊いてきた。

 

 

「あ、あのー・・・・・・」

 

「ん?」

 

「さすがにこんな状態じゃ、イリナちゃんも戦えないと思うから、これ以上の戦闘は・・・・・・」

 

「ああ。いいよ。もともと、俺は言いたいことを言いたかっただけで、正直、やり合う気はなかったんだよ」

 

 

 それに、大変素晴らしいものを拝まさせていただきましたからね!

 

 脳内に保存したイリナの裸体を思い出して、ついつい笑みを浮かべてしまう。

 

 

「最低よ! イッセーくん!」

 

 

 それを見て、涙目で恨めしそうな視線を向けて非難するイリナ。

 

 ふふふ。いまの俺にそれは心地のよいものにしか感じられなかった。

 

 

「・・・・・・最低です」

 

 

 あぅ、小猫さまの容赦ないツッコミ。

 

 というわけで、俺とイリナの戦いは無効試合みたいな感じで終わった。

 

 

「はぁぁぁぁあああああッ!」

 

 

 木場が気合を発し、手元に何かを創りだしていく。それは巨大な一本の剣だった。その大きさは木場の身長をはるかに越していて、二メートル以上はあった。

 

 

「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力! どちらが上か勝負だ!」

 

 

 木場は巨大な魔剣を手にゼノヴィアに斬りかかる。

 

 

「──こっちも勝負ついたね」

 

「──ええ。選択ミスよ」

 

 

 木場の行動に神田ユウナとイリナが淡々と告げた。

 

 どういうことだ?

 

 

「──残念だ」

 

 

 ゼノヴィアは酷く落胆した表情をしていた。

 

 

「でやぁッ!」

 

 

 木場は勢いよく魔剣を振るうけど、ゼノヴィアは難なくそれを躱し、聖剣の鍔と思しきところを木場の腹部に抉り込ませた!

 

 

「ガハッ!?」

 

 

 それだけでも相当な破壊力なのか、木場は血を吐き、その場に崩折れた。

 

 

「・・・・・・キミの武器は多彩な魔剣とその俊足だ。巨大な剣を持つには力不足な上に、自慢の動きまで封じることになる。そんなことすら判断できないとはな」

 

 

 倒れた木場を一瞥して淡々と告げるゼノヴィア。

 

 

「たとえ、彼があの巨大な魔剣を扱えるだけの筋力を持っていたしても、創造系の神器(セイクリッド・ギア)で創られた魔剣とオリジナルの聖剣とじゃ、強度も能力も比べるまでもない差があったから、打ち合いになってもゼノヴィアの圧倒だったよ」

 

 

 神田ユウナは淡々と解説してくれた。

 

 どう転んでも、木場があの巨大な魔剣を創りだした時点で勝負は決していたのか。

 

 

「・・・・・・ま、待て・・・・・・!」

 

 

 木場から離れようとするゼノヴィアに木場は手を伸ばすけど、勝負が決しているのは誰が見ても明らかだった。

 

 

「次はもう少し冷静になって立ち向かってくるといい。『先輩』」

 

「・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・」

 

 

 ゼノヴィアの言葉に木場はただただ憎々しげに睨むだけだった。

 

 

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