ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.7 意地、ぶつけます!

 

 

「さて、残るはライニーのほうか」

 

 

 ゼノヴィアが明日夏たちのほうに視線を向けると、釣られて俺もそちらに視線を向ける。

 

 

「・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・!」

 

「ふん」

 

 

 そこには息を切らして刀を構える明日夏と余裕の佇まいをして拳銃を構えるライニーがいた。

 

 明日夏は額からスゴい量の汗を流しており、表情から疲労も感じられた。戦闘服もボロボロだった。対して、ライニーは涼しそうな表情であり、いまだに無傷だった。

 

 

「ふむ、こちらもそろそろ決着がつきそうだね」

 

 

 ゼノヴィアの言うとおり、どう見ても、明日夏の敗北で決着がつきそうな状況だった。

 

 あの明日夏が手も足もでないなんて!?

 

 

「明日夏がああなったのも、相性が悪かったのもあるわ」

 

「相性、ですか?」

 

 

 部長の言葉に俺は訝しげに訊き返す。

 

 

「明日夏の戦い方は超至近距離での接近戦。小猫と同じタイプね。でも、それに対して相手は銃使い。しかも、狙いは正確で、なおかつ二挺拳銃なのを活かして、確実に明日夏の逃げ道を塞いでいるのよ。そのせいで、明日夏は相手に近づけない。裕斗みたいな速さもないから、動きで翻弄することもできない。完全にジリ貧状態よ」

 

 

 部長の解説を聞いて、俺は改めて明日夏のほうを見る。

 

 明日夏はもう完全に満身創痍といった感じだった。でも、その目はいまだに諦めの色は見えなかった。

 

 

「もう決着ついただろうが。なぜ、そんな状態になっても戦う?」

 

 

 ライニーの問いに明日夏は鼻で笑う。

 

 

「ダチを侮辱された──理由はそれで十分だろうが」

 

 

 明日夏はなんてことのないように言った。けどまあ、俺だって、ダチを侮辱されたら、侮辱したそいつになにがなんでも一発かましたい理由はわかる。

 

 

「そいつは悪魔だろうに?」

 

 

 ライニーは俺のことを一瞥して、再度明日夏に訊いた。

 

 

「関係ねえよ。悪魔になってようがなってなかろうが、イッセーがダチであることに代わりねえよ」

 

 

 答えた明日夏が今度はライニーに訊く。

 

 

「随分と悪魔を嫌悪してるな? 敵だから、ってだけじゃねぇな。悪魔によって人生を狂わされたくちか?」

 

 

 明日夏の問い返しにライニーは一瞬だけ表情を歪ませる。悪魔に人生を狂わされたって、どういうことだ?

 

 

「図星か?」

 

「──おまえには関係ないだろう」

 

 

 歪ませた表情はもとに戻ったけど、明らかにライニーの声音は不機嫌そのものだった。

 

 

「そう訊くってことは、おまえも把握はしてるんだな。悪魔がどんな存在なのか」

 

 

 ライニーは俺たちのことをもう一度一瞥して当然のことのように言う。

 

 

「傲慢で強欲、人間なんて道具にしか思ってない。それが悪魔だろ? とくに純血の上級悪魔なんてそんなんだろ?」

 

 

 な、何言ってんだよ、こいつ!?

 

 

「てめぇ、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ! アーシアだけじゃなく、部長のことまで侮辱するならマジで許さねぇぞ!」

 

 

 ライニーの言葉に純血の上級悪魔である部長のことを侮辱されたと思い、思わず殴りかかりそうになる。

 

 部長はそんなヒトじゃないぞ! ソーナ会長だって、部長の親友だってことと、匙の様子からそんなヒトじゃないのはわかるし、ライザーだって鼻につく奴だったけど眷属から慕われてる感じだった。これ以上、ふざけたことをぬかすならマジで許さねぇ!

 

 叫ぶ俺を見てライニーは嘆息する。

 

 

「どうやら知らないみたいだな? なら、教えてやるよ。おまえが見てきた純血の上級悪魔はあくまで例外みたいなもんだ。ほとんどはさっき言ったとおりの奴らだ。とくに転生悪魔に関してはな」

 

 

 転生悪魔に関しては?

 

 

「自分の下僕が自身のステータスになるから能力がある奴を手段を選ばず、言葉巧みに不利な条件、不本意な形で悪魔に転生させる奴。中には本人の意思を無視して無理矢理悪魔に転生させる奴もいるんだからな」

 

 

 なっ!? ライニーの言ったことに絶句してしまう。

 

 

「・・・・・・残念ながら、彼が言ったことは事実よ。実際にそういうやりかたで下僕を増やす上級悪魔は多いわ」

 

 

 部長も苦虫を噛み潰したかのような表情でライニーの言葉を肯定した。

 

 マジかよ・・・・・・。下手すると、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を持ってた俺も、そんなふうに下僕にされてたかもしてなかったのかな? つくづく、部長の下僕になれて幸せだぜ!

 

 

「ま、転生悪魔になった奴もなった奴で急に得た力に溺れて問題を起こしてるがな」

 

 

 はぐれ悪魔のことを言ってんのか?

 

 

「そいつも、いずれそうなるんじゃねぇのか?」

 

 

 ライニーは俺のことを見ながら、明日夏にまた問いかけた。

 

 なるかよ! あんなバケモンによ!

 

 

「ましてや、そいつは()()()だろ?」

 

 

 なんだよ、赤龍帝だからなんだってんだよ?

 

 

「・・・・・・ずいぶんとごたくを並べるが、つまり、おまえはこう言いたいのか? 歴代の赤龍帝は皆、その強大な力に溺れて暴走した。悪魔になったイッセーはさらに力に溺れて暴走しやすいと? それではぐれ悪魔になると?」

 

 

 なっ!? 歴代の赤龍帝って、皆、力に溺れて暴走したのかよ!? 俺もそうなっちまうって言うのかよ!?

 

 

「まあ、もっと悲惨なのは、その暴走に巻き込まれる奴だがな。実際、歴代の赤龍帝に関わった者はろくな生きかたができなかったみたいだからな」

 

 

 ライニーの言葉にショックを受ける。せ、赤龍帝って、そんなに危険な存在なのかよ!?

 

 

「・・・・・・だから、いまのうちにイッセーと縁を切っとけってか?」

 

「ま、おすすめはするかな」

 

 

 それを聞いて、俺は明日夏のほうを見るけど、明日夏は心底呆れた様子で嘆息していた。

 

 

「随分とバカらしいこと訊くんだな」

 

「──何?」

 

「歴代の赤龍帝の顛末はもちろん知ってる。だから何だ? 歴代は歴代だろ? イッセーはイッセーだ」

 

「そいつが力に溺れないっていう根拠はあるのか?」

 

「根拠なんて別にないし、そもそもいらねぇよ。ま、あえて言うならダチだからか」

 

 

 明日夏の言葉を聞いたライニーは信じられないものを見てるかのようだった。

 

 

「・・・・・・そんなの根拠でもなんでもないだろうが」

 

「だろうな。ただダチを、イッセーを信じてるだけだからな」

 

 

 明日夏はなんてことのない、あたりまえのように言った。

 

 

「・・・・・・なぜそこまで言える? さっきからそいつの言動を見ても、ろくな奴には見えないが?」

 

「まあ、たしかに。そいつはどうしようもないほどバカで、どスケベで、教室で堂々とエロ関連のものをさらすわ、覗きはするわ、女性の服を弾け飛ばす技を開発するわと、悪いところをあげれば、キリがないかもな」

 

 

 ボロクソ言うなぁ、おい! いやまあ、事実ですけど・・・・・・。

 

 

「けどそれはあくまで、表面的なものにすぎねぇよ。そいつの本質は、どうしようもないほど、いい意味でバカな奴さ」

 

 

 あのー、明日夏さんや。それ、フォローしてるんですか?

 

 

「ま、他人のおまえにはわからないだろうし、悪魔だからわかるつもりもないんだろうがな」

 

 

 不敵に笑みを浮かべる明日夏。

 

 

「・・・・・・仮に──」

 

「おまえが言うようなことになったら、なったらでそんときだ。ぶん殴って、目を覚まさせる。やることはそれだけだ」

 

 

 ライニーの言葉を遮って、不敵に笑みを浮かべながら断言する明日夏。

 

 

「──そんなざまになるほど弱い奴が随分とぬかすな?」

 

「たしかにそうだな。ダチを侮辱した奴をぶっとばせないのは情けないな。だから──」

 

 

 明日夏は刀を鞘に収めて構える。

 

 

「なにがなんでも、勝つつもりだ!」

 

 

 次の瞬間には、明日夏はその場から駆けだしていた!

 

 

「チッ!」

 

 

 ライニーは即座に突っ込んでくる明日夏に拳銃を撃つ。

 

 

Attack(アタック)!」

 

 

 明日夏は刀の機能で電流によって身体能力を強化し、顔を腕で覆いながら、当たることなんかお構いなしに銃弾の雨の中を突っ切る。

 

 そして、ライニーに肉薄した瞬間、拳を打ち出した!

 

 

「甘いな」

 

「なっ──ぐぅっ!?」

 

 

 だけど、ライニーは明日夏の拳を難なく躱し、持ってた銃を十字架に戻して、逆に明日夏の腹に拳を打ち込んでいた!

 

 

「銃だけの能なしだとでも思ってたか?」

 

 

 野郎、格闘術も使えるのかよ!

 

 

「――くッ!」

 

 

 明日夏はナイフを取り出して斬りかかる。

 

 だけど、ライニーは難なく明日夏のナイフを持つ手を掴み、そのまま明日夏にナイフを向けて押し込む。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 ナイフは深々と明日夏の肩に突き刺さってしまう!

 

 さらに明日夏はそのままライニーによって蹴り飛ばされてしまった!

 

 

「──ッ!」

 

 

 吹っ飛ばされてる状態から無理矢理地面に着地しながら明日夏は肩からナイフを抜き、そのままナイフを投擲するけど、ライニーは即座に銃で弾き飛ばしてしまった。

 

 

「まだだ!」

 

 

 再び駆けだす明日夏。

 

 ライニーはさっきのことから、銃撃は無駄だと判断したのか、もう片方の銃も十字架に戻し、格闘戦の構えを取る。

 

 

「はぁッ!」

 

「ふッ!」

 

 

 明日夏が掌底を放ち、ライニーはそれを腕で逸らし、回し蹴りを放ち、明日夏はそれを腕で防ぐ。

 

 二人はそこから同じような感じで拳と蹴りのラッシュをお互いに放ち、腕で逸らすなり防ぐなりする。

 

 ス、スッゲェ! さっきまで、明日夏は満身創痍な感じだったのに、ライニーと互角に接近戦をこなしていた!

 

 

「・・・・・・彼はさっきまで満身創痍だったはず。急にどうしたと言うんだ?」

 

 

 ゼノヴィアが明日夏の現状を見て、怪訝な表情を作っていた。

 

 

「意地、というやつだろう」

 

 

 ゼノヴィアの疑問にアルミヤさんが答えた。

 

 

「意地というものは案外バカにならないものだ。とくに追い詰められた状況のときには、自分を奮い立たせるものとなる。それが例え、すべての力を出し切った状態でも前に進ませるほどにな」

 

 

 それはなんとなくわかるかも。

 

 俺もライザーとのレーティングゲームのときに、最後は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の力も使えないほどにまで追い詰められ、満足に動けず、意識も朦朧とした状態になったけど、部長のために勝つという意地だけでライザーに立ち向かえた。

 

 

「それに、そういう状態で放たれる一撃にはなにかかしらがこめられているものだ。そういう『こもった一撃』というのは、破壊力が大したことがなくとも、当たれば肉体的なダメージとは別のダメージを芯に与える。ライニーは表面上はなんてことのないようにしているが、士騎明日夏の一撃一撃に驚異を感じていることだろう」

 

 

 俺は改めて明日夏を見る。

 

 あいつはいま、どんな気持ちで戦ってるんだ?

 

 

━○●○━

 

 

 俺とライニー、お互いの回し蹴りが激突する。

 

 クソッ! 格闘術も一級品だな! エクスカリバー奪還の任務に就いてるだけはある!

 

 雷刃(ライトニングスラッシュ)の身体能力の強化を何回も使ったため、体のほうも限界だった。

 

 けど、それでも意地でも負けたくなかった。

 

 イッセーを侮辱されたこともそうだが、俺の決意が本気だということを示したかった。

 

 確かに、歴代の赤龍帝は力に溺れて暴走した。信じていたとしても、イッセーがそうならないとは限らないかもしれない。実際、そのことを想像してしまったこともある。

 

 だから、イッセーと距離を置けってか? ふざけんな! そんなくだらねぇ理由でダチを見限るなんてするかよ! 仮に暴走したとしても、ぶん殴ってでも止めてやる!

 

 力を付けてきたのは賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になるためってもある。けど、何よりも、大切なものを守りたかった!

 

 俺は一度、千秋を見捨てたことがある。父さんと母さんが死に、引きこもり、俺たちの声が届かなくなっていた千秋を、自分も父さんと母さんが死んで辛いなんて都合のいい言い訳を作ってな。それだけじゃねぇ、本当は助けたかったのに千秋やイッセーに迷惑をかけられないなんてこれまた都合のいい言い訳を作っていじめられていた鶫と燕を見捨てた。

 

 ・・・・・・なんというか、自分が情けなく思えた。本人たちや周りに仕方なかったなんて言われても。

 

 そして、そんな三人を救ったイッセーの誠実さと真っ直ぐさに憧れた。そうありたいと思った。そのために強さもほしいと思った。

 

 だから力を身につけてきた! 千秋を、兄貴を、姉貴を、ダチを、仲間を守れる力を!

 

 だが、ここ最近でのイッセーやアーシアを堕天使に殺されたこと。そのときは本当に自分の未熟さを思い知った。

 

 もう二度とそんな無様はさらさねぇ!

 

 ああ、奴との戦いで追い詰められ、問答してよかったぜ。この決意を改めて確認するのに一役買ってくれたからな。

 

 あとはこの決意を示すだけだ!

 

 

Attack(アタック)!」

 

 

 おそらく、体の限界からして、これが最後の身体能力の強化。

 

 

「チッ!」

 

 

 ライニーは十字架を拳銃に戻して撃ってくる。

 

 俺は顔を腕で覆いながら突っ込む。

 

 戦闘服で防ぎきれなかった衝撃と痛みが限界の体に致命的なダメージを与えるが、意地で突っ込む!

 

 

「うぉぉぉぉッ!」

 

 

 そのまま、突進の勢いを乗せて拳を打ち出す。

 

 こんな単調な攻撃が当然、野郎に当たるはずもない。だから、避けられた瞬間が勝負だ!

 

 

 ズドムッ!

 

 

「ぐぅッ!」

 

「何っ!?」

 

 

 だが、奴はなぜか俺の拳は避けず、俺の拳は野郎の鳩尾に深く突き刺さった!?

 

 まさかっ!?

 

 俺は慌てて腕を引こうとするが、ライニーによって腕を捕まれてしまった!

 

 やっぱり、これが狙いか!

 

 そして、奴の銃の銃口が俺の肩に押しつけられた。そう、俺のナイフで奴によってつけられた肩の傷に。

 

 次の瞬間、俺の耳に一発分の銃声が入ってきた。

 

 

━○●○━

 

 

「明日夏!?」

 

 

 肩の傷に銃擊を受けた明日夏は大きく仰け反ってしまう!

 

 まさか、ライニーの野郎があえて明日夏の一撃を受けて動きを封じるなんて!

 

 

「終わらせる!」

 

 

 ライニーは銃を十字架に戻して、明日夏に肉薄する!

 

 傷に銃弾を受けたら、おそらく滅茶苦茶な痛みが発生して、満足に動けないはず。明日夏にはもうあの状態から反撃するなんて──。

 

 

「──ッ!」

 

 

 次の瞬間、明日夏の目が一際鋭くなった。そして──。

 

 

「──ふぅッ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 

 明日夏が体勢を立て直し、その勢いを乗せた掌底でライニーを吹き飛ばした!

 

 マジかよ・・・・・・。絶対、とんでもない痛みですぐには動けなかったはずだったのに!?

 

 驚く俺は明日夏の肩の傷を見る。

 

 そして気づいた──。

 

 明日夏の肩の傷を緋色のオーラが覆っており、そのオーラが銃弾を止めているのを。

 

 あれって、明日夏の神器(セイクリッド・ギア)のオーラ! あれで銃弾を止めたから、すぐに動けたのか!

 

 

「クソッ──っ!?」

 

 

 吹っ飛ばされたライニーはすぐに体勢を立て直そうとするけど、明日夏はオーラを腕の形にして伸ばし、ライニーを捕まえていた!

 

 明日夏はそのままオーラを引っ張り、ライニーを引き寄せた!

 

 

「──今度のは結構効くと思うぜ」

 

 

 明日夏がそう言う明日夏の右手にオーラでできたドラゴンがいた!

 

 次の瞬間、明日夏の右腕が突き出される!

 

 

「──緋い龍擊(スカーレット・フレイム)!」

 

「──ッ!?」

 

 

 明日夏の必殺技をくらい、ライニーはさっき以上に後方に吹っ飛んだ!

 

 明日夏はさらに追撃しようと突っ込む!

 

 

「ぐっ!」

 

 

 ボロボロになったライニーは苦悶の表情を浮かべながら十字架を銃に変える!

 

 それを見た明日夏は自身の体に電気を流し続けている刀を鞘から抜いた!

 

 だけど、電気が流れてる状態で強引に抜いたせいなのか、電気がものスゴいバジバジッと迸って、明日夏の手を焼いていた!

 

 それでも構わず、明日夏は刀を振るう!

 

 そして、ライニーも銃の銃口を明日夏の顔面に向けていた!

 

 ちょっ、ヤバッ!? 二人とも、相手を殺すつもりで攻撃してないか!?

 

 そう思っているあいだに明日夏の刀の刃が吸い込まれるようにライニーの首筋へ、ライニーの指が銃の引き金を引いて──。

 

 

「──そこまでだ」

 

 

 刹那、二人の間にアルミヤさんが現れ、片方の手で刀を持っている明日夏の手を受け止め、もう片方の手で銃を持っているライニーの手を押して銃口を明日夏の顔から逸らされ、銃弾が明後日の方向に飛んでいった。

 

 

「──少々、やりすぎだ。これはあくまで手合わせのはずだ」

 

 

 ていうか、あのヒト、いつのまにあそこまで移動したんだ!?

 

 さっきまで、部長たちのそばにいたのに!?

 

 

「私が止めなければ、キミたちは二人とも命を落としていた。よってこの勝負は引き分けだ。それでいいかね?」

 

 

 アルミヤさんに諌められた二人はお互いの武器を引く。

 

 これにより、俺たちと教会の戦士たちとの戦いが終わった。

 

 

━○●○━

 

 

「・・・・・・まさかこのような結末になるとはね。先輩はともかく、彼と兵藤一誠は侮れないね」

 

 

 戦況を見て、ゼノヴィアはそう呟いた。

 

 それを聞いて、木場は憎悪の視線をゼノヴィアに向ける。

 

 おい、木場! 決着はついたんだから、落ち着けよな!?

 

 ライニーも明日夏のことスッゴい睨んでるし、明日夏も明日夏でライニーほどじゃないけど睨み返してるし。

 

 

「さて、これで手打ちとさせてもらってよろしいかね、リアス・グレモリー」

 

「ええ、もちろんよ」

 

「では、今度こそお暇させてもらう。先程の話、よろしく頼む」

 

「そちらこそ」

 

 

 アルミヤさんと部長が確認を取ると、アルミヤさんはゼノヴィアたちを引き連れて立ち去ろうとする。

 

 

「では、失礼する」

 

「機会があったら、また手合わせをしよう」

 

「イッセーくん、私の服を弾け飛ばしたことを懺悔なさいね! もし裁いてほしかったら、いつでも言ってね。明日夏くんもじゃあね」

 

「えっと、失礼します」

 

「・・・・・・ふん」

 

 

 五人各々で別れの挨拶をして、教会から来た戦士たちはこの場から立ち去っていった。

 

 

━○●○━

 

 

「・・・・・・いっつつ・・・・・・」

 

「大丈夫ですか?」

 

「・・・・・・ああ」

 

 

 アーシアが明日夏の体に手を当てて、神器(セイクリッド・ギア)で回復させていた。

 

 

「無茶したな、おまえ」

 

「・・・・・・あんまりおまえには言われたくないな」

 

 

 俺と明日夏は軽く軽口を叩き合う。

 

 

「おまえのアドバイスのおかげでなんとかなったよ」

 

 

 ホント、明日夏のアドバイスのおかげでなんとかなったし、いいものも見れた!

 

 

「そりゃ、よかったよ。けど、イリナの言った通り、あと一段階パワーアップしてれば、普通に勝てたかもしれなかった」

 

「・・・・・・それがわからないのは修業と実戦不足です」

 

「今後は相手の力量を測る目も養わないとな」

 

 

 明日夏と小猫ちゃんの言葉を聞いて、自分はまだまだ弱いと改めて実感する。また新しい課題が出てきたな。

 

 

「待ちなさい!? 祐斗!」

 

 

 部長の制止する声が聞こえてきた。

 

 そちらへ顔を向けると、その場から立ち去ろうとしている様子の木場と激昂している部長の姿があった。

 

 

「あなたの思いを果たすチャンスはあるわ! そのための条件もこちらから要求したのだから!」

 

「・・・・・・でも、確実にチャンスが訪れてくれる保証もありません。下手をすれば、向こうがすべてのエクスカリバーを処理してしまう可能性もあります。ですから・・・・・・」

 

「私のもとを去ろうなんて、許さないわ! あなたはグレモリー眷属の『騎士(ナイト)』なのよ!」

 

「・・・・・・部長・・・・・・すみません」

 

「祐斗ッ!」

 

 

 木場は部長の制止の言葉に耳を貸さず、部室から立ち去った。

 

 

「祐斗・・・・・・どうして・・・・・・」

 

 

 部長は木場が消えたほうを見ながら悲しそうな顔をしていた。

 

 そんな部長の悲しそうな顔を俺は見ていられなかった。

 

 

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