ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.13 破壊の肉宴

 

 

「くっ!」

 

 

 上半身が肥大化した神父が飛びかかってきたのを見た俺は慌ててその場から飛びのく!

 

 

 ドゴォォォン!

 

 

 地面に拳が叩きつけられた瞬間、そこにはそこそこの大きさのクレーターができあがっていた。

 

 チッ、見た目どおりのパワーだな!

 

 

「はぁぁぁッ!」

 

 

 ゼノヴィアがエクスカリバーを豪快に振るい、上半身が肥大化した神父を真っ二つに両断する。

 

 だが、カリスがすぐさま新たに神父ではない死人(服装からして元はただの一般人と思われる)を呼び出して変異させる。

 

 クソッ、生半可なダメージではすぐにカリスによって修復され、なんとか倒してもすぐに死人が補充される。

 

 ならばと、本丸のカリスを狙おうとしても、死人たちに阻まれて近づくことさえできなかった。

 

 当のカリスは、離れた場所で木に寄りかかりながらタブレットPCを片手に俺たちの戦いを見ていた。

 

 時折、タブレットPCのほうに目をやっては、何やらデータを記録していた。

 

 ・・・・・・完全に実験に付き合わされてるな。

 

 

 ガシッ!

 

 

「しまっ──」

 

 

 死人の肥大化した右腕が伸びてきて、反応が遅れた俺は体を掴まれてしまった!

 

 そのまま引っ張り寄せられ、上半身が肥大化した死人に殴り飛ばされた!

 

 

「がはっ!?」

 

 

 木に叩きつけられ、背中から激痛が走る・・・・・・。

 

 

「・・・・・・ぐっ・・・・・・」

 

 

 激痛に耐えながら立ち上がり、変異した死人に視線を向ける。

 

 変異した死人の形態は四種類。まずは上半身が肥大化した形態(A型と仮称)。こいつは単純なパワー特化で一撃一撃が重く、戦闘服の防御力を容易に突破してきやがる。そのぶん、動きが鈍いので回避はそこまで苦労しないのが幸いだった。次は片腕だけ肥大化した形態(B型と仮称)。こいつの腕は伸縮自在で捕縛能力が高く、ちょっとでも気を抜くとあっさり捕まってしまう。いまみたいに、A型をサポートをしていて厄介だった。次は下半身が肥大化した形態(C型と仮称)。こいつはスピードが速く、その足から繰り出される蹴りも威力がバカにならない。スピードがあるぶん、A型とB型の組み合わせよりも厄介だった。最後は全身が変異した形態(D型と仮称)。こいつは他の三種類と比べると特出した部分がない代わりに安定した能力を持っており、一番厄介だった。幸い、他の三種類よりは数が少なく二体しかおらず、カリスの護衛に徹していたので、他の三種類のほうに集中できていた。

 

 俺は他の皆のほうに視線を向ける。

 

 教会組は二人一組になって立ち回っていた。

 

 

「いまよ、ゼノヴィア!」

 

「ああ!」

 

 

 イリナが擬態のエクスカリバーを紐状にして死人を拘束すると、ゼノヴィアが破壊のエクスカリバーで神父を両断した。

 

 ライニーとユウナも前衛と後衛に別れてうまく立ち回っていた。

 

 

「『魔剣創造(ソード・バース)』!」

 

「はぁッ!」

 

 

 木場は多種多様な魔剣による手数の多さと自慢の俊足で、槐も乱戦慣れしてるためか、二人とも一人でもうまく立ち回っていた。

 

 

「クソッ! これじゃキリがねえぞ!」

 

 

 ライニーが死人たちを銃撃しながら毒づく。

 

 この変異した死人たちはその身体能力も厄介だが、一番厄介なのは、損傷するたびに即座にカリスによって修復されてしまうことだった。しかも、修復するのをいいことに平然と捨て身で襲いかからせてくる。そして、いざ倒したとしても、すぐに代わりの死人が補充される。

 

 こういう場合、イッセーの最大まで倍加したドラゴンショットや部長の魔力のような高火力で一気に押しきるのが最適なんだが、俺たち全員そういう戦闘スタイルじゃなかった。

 

 一応、俺にも緋い龍擊(スカーレット・フレイム)という高火力技はあるが、いまだに撃てば消耗が激しいので連発はできず、こんな状況では使えなかった。

 

 早くどうにかしないと、ジリ貧で俺たちがやられるのも時間の問題だった。

 

 俺は変異した神父たちを警戒しつつ、カリスのほうに視線を向ける。

 

 これだけの数の神父たちを一斉に操作し、絶え間なく修復作業をやっていれば、体力と精神力が相当消耗してもおかしくないのに、奴には疲弊の色はまったく見えていなかった。

 

 俺が何を思っているのかを察したのか、カリスが言う。

 

 

「こう見えて、体力には自信あるんですよ」

 

 

 カリスはタブレットPCの電源を落として武装指輪(アームズリング)に収納すると、怪しく笑みを浮かべて俺たちを見据える。

 

 

「さて、データはあらかた取れましたし、そろそろ、本格的に取りに行く方向に集中しますか」

 

 

 カリスの周りに複数の魔方陣が出現した。

 

 魔方陣が輝くと、魔方陣からさらに死人が現れた。その数はざっと十体。

 

 ・・・・・・マズいな。あの様子からして、さっきまではデータ収集のために本気でやっていなかったみたいだな・・・・・・。

 

 この調子じゃ、さらに数が増える可能性もあった。

 

 どうする? このままじゃ、確実にやられる。

 

 撤退しようにも、こうも囲まれている状況じゃ、それも難しい。下手したら、背中を見せた瞬間にやられかねない。

 

 ・・・・・・こうなったら、強引にでも奴らを突破して、カリスを直接叩くしかない!

 

 

「・・・・・・出し惜しみしてる場合じゃねぇか──」

 

 

 俺は緋い龍気を全力で放出し、全速力で駆けだす!

 

 

「突貫ですか。はたして、私に届きますかね」

 

 

 カリスは受けて立つと言わんばかりに、最低限の数の死人たちを他の皆のところに残し、他の死人全員を俺に襲いかからせてきた!

 

 上等だ! 押し通る!

 

 B型が伸ばしてきた腕をオーラの腕で受け流し、接近して変異した腕を雷刃(ライトニングスラッシュ)で斬り飛ばす!

 

 A型が放った拳の一撃をスライディングで躱し、そのまま両足を両断する!

 

 飛びかかってきたC型の飛び蹴りをオーラの腕で受け止め、そのまま足を斬り飛ばす!

 

 いちいち倒してる余裕はない! 大きいダメージは修復に時間がかかるのはさっきまでの戦闘で把握していた。なら、必要最低限のダメージで動きを阻害することにとどめる。

 

 

「──っ!?」

 

 

 背後からB型の腕が伸びてきて俺を捕まえる。

 

 俺は即座にB型の腕を斬り裂く!

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 その隙をつかれてA型の拳の一撃を受けて吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ぐっ!」

 

 

 オーラの腕で強引にバランスをとって体勢を立て直す!

 

 激痛も耐えられないほどじゃなかった。俺は構わず突っ込む。

 

 そのまま、ときに死人たちの攻撃をくらいながらも着々と死人たちを突破していき、カリスに近づいていく。

 

 カリスはそんな俺を余裕の表情で眺めているだけだった。

 

 そしてついに、俺に襲いかかってきていた死人たちの包囲網から突破する!

 

 そこへ、カリスを護衛していたD型が立ち塞がる。

 

 だが、そう来ることは予測できていた俺は既に右手にはオーラが集約させていた。

 

 

「──吹っ飛べ!」

 

 

 全力全開の緋い龍擊(スカーレット・フレイム)が炸裂し、立ち塞がっていたD型を跡形も残さず消し飛ばす!

 

 さらにその余波で俺に近づいてきていた死人たちも吹き飛ばし、カリスも顔を腕でおおい、木に背中を預けることで余波に耐えていた。

 

 

「・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・」

 

 

 全力全開の緋い龍擊(スカーレット・フレイム)によって、体力がごっそり持っていかれ、疲弊で息も荒くなる。

 

 それでも、雷刃(ライトニングスラッシュ)を手にカリス目掛けて駆けだす!

 

 カリスはいまだに緋い龍擊(スカーレット・フレイム)の余波で怯んでいた。やるならいましかない!

 

 俺は勢いそのままにカリスの心臓目掛けて雷刃(ライトニングスラッシュ)で刺突を放つ!

 

 

「──っ!?」

 

 

 眼前に迫る刃を見て、カリスは初めて驚愕の表情を見せた。

 

 

「うぉおおおおおおおッ!」

 

 

 カリスが何をする間もなく、雷刃(ライトニングスラッシュ)の切っ先がカリスの胸を貫いた!

 

 

-○●○-

 

 

 明日夏くんによって胸を貫かれたカリス・パトゥーリアは弱々しく明日夏の刀の刃を掴むけど、やがて息絶えたのか糸が切れたように手が落ちていった。

 

 

「・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・これで終わりだ・・・・・・」

 

 

 息を荒げながら明日夏くんは呟き、刀を抜こうとした瞬間──。

 

 

「──ええ、少しまえまでの私でしたらね」

 

 

 ガシッ!

 

 

「なっ!?」

 

『──っ!?』

 

 

 カリス・パトゥーリアの手が突然動きだして、明日夏くんの腕を掴んだ!

 

 

「惜しかったですね」

 

「どうなってやがる!?」

 

 

 明日夏くんの動揺は当然だった。僕たちも目の前の光景に驚愕を隠せなかった。

 

 明日夏くんの刀はカリス・パトゥーリアの心臓を完全に貫いていた。

 

 そのような状態で生きているはずがなかった。

 

 だけど、現にカリス・パトゥーリアは平然としているし、彼が操る死人たちも動き続けている。

 

 

「疑問にお答えしますよ。いまあなたたちの前にいる私は私ではありません。正確には、肉体が違うですかね」

 

「まさか!」

 

「ええ。この肉体は私が操る死人と同じものですよ。操る死体に私の五感などのすべての感覚をリンクさせ、本来の私は安全な場所にいる状態でこのようにして自分の肉体のように動かし、見聞きや触った感触も感じられることができるのですよ。最近になってできるようになったことですよ」

 

「感覚をリンクしてるだと! だったら!」

 

「ええ。この胸、心臓を貫かれている激痛はいまも感じていますよ」

 

 

 明日夏くんの言葉にカリス・パトゥーリアはあっさりと肯定する。

 

 痛みを感じていると言われても信じられないほど、カリス・パトゥーリアは涼しい顔をしていた。

 

 僕が何を思っているのかを察したのか、カリス・パトゥーリアがこちらを見て言う。

 

 

「昔から痛みに強いんですよ。さて──」

 

 

 カリス・パトゥーリアは拘束している明日夏くんのほうに視線を戻す。

 

 

「キミたちに朗報ですよ。実はこの状態、開発したばかりで粗も多く、そのため、そんなに長い時間維持できないんですよ。しかも、彼らを操るための中継点の役目も兼任していますから、もうすぐ、彼らも停止しますよ」

 

 

 それを聞いても、僕たちはまったく気が抜けなかった。

 

 わざわざ敵である僕たちにそんなことを伝えるなんて、何かあるとしか思えなかったからだ。

 

 そんな僕たちの予感は当っていた。

 

 

「まあ、彼らは停止すると自爆するように改造を加えていますけどね」

 

『──ッ!?』

 

 

 カリス・パトゥーリアの言葉を聞いて、僕たちは慌てて死人たちのほうに視線を向ける!

 

 瞬間、死人たちの肉体が膨張して大きな肉塊へと成り果てていた!

 

 肉塊はいまだに膨張し続けて、いまにも破裂しそうだった!

 

 

「クソッ!」

 

 

 明日夏の声が聞こえ、そちらに視線を向けると、明日夏を拘束していたカリス・パトゥーリアの肉体も膨張を開始していた!

 

 

「明日夏くん!」

 

「明日夏!」

 

 

 それを見て、僕と槐さんが慌てて明日夏の助けに向かおうとしたけど、膨張を続ける死人たちに阻まれて明日夏くんのもとまで近づけないでいた!

 

 

「来るな!」

 

 

 明日夏くんは助けに行こうとしている僕たちに叫ぶと、全身を緋いオーラでおおう。

 

 あれで防ごうとしているのだろうけど、明らかにオーラの波動が全開のときよりも弱かった。

 

 自爆の規模はわからないが、とてもじゃないが、耐えられるとは思えなかった。

 

 

「でも、明日夏くん!?」

 

「俺は平気だ! おまえらも自分の身を守ることだけを考えろ!」

 

 

 叫ぶ明日夏くんをカリス・パトゥーリアの膨張する肉体が包み込み始めていく。

 

 

「いい覚悟ですね。では、私も最後まで付き合いましょう」

 

 

 カリス・パトゥーリアがそう言うと同時に明日夏くんが完全にカリス・パトゥーリアだった肉塊に包み込まれてしまった。

 

 

「明日夏くん!」

 

 

 なおも明日夏くんのもとへ駆けだそうとする僕の肩を槐さんが掴んだ。

 

 

「明日夏を信じるしかない! このまでは私たちも危険だ!」

 

 

 そう言う槐さんも手が震えていた。

 

 でも槐さんの言うとおりだった。僕たちは明日夏くんのように防御できるすべがない。そういう点で見れば、明日夏くんよりも僕たちのほうが危険だった。

 

 見ると、教会組の皆は既にこの場から離脱していた。

 

 クソッ! 明日夏くん、絶対に生き残ってくれ!

 

 あれだけ僕に言ってくれたんだ。生きてまた会えなかったら、許さないからね!

 

 僕と槐さんは明日夏くんのもとへ行きたい気持ちを抑え、その場からの離脱を始める。

 

 肉塊はまだ膨張を続けていた。次第に他の肉塊同士が混ざりあい、さらに膨張していく。

 

 ここまで来ると、規模は相当なものになるはずだ。その爆心地に取り残された明日夏くんは大丈夫なのだろうか?

 

 

「クソッ!」

 

 

 明日夏くんが心配だけど、槐さんの言うとおり信じるしかない!

 

 とにかく、離れないと!

 

 僕は『騎士(ナイト)』の速さを駆使して全力で膨張を続ける肉塊から離れる。

 

 そして、ようやく十分に離れられた瞬間──。

 

 

 ドゴオオオオオオオオオオオン!

 

 

 肉塊が破裂し、大規模な大爆発が起こった!

 

 

「うわっ!?」

 

 

 十分に離れられたと思っていた僕に爆風が襲いかかってきた。

 

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

 

 そのまま僕は勢いよく吹き飛ばされてしまった。

 

 

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