ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.23 決戦、駒王学園!

 

 

 俺たちは現在、校門の前にいた。

 

 そして、学園では副会長を除く生徒会総動員で学園全体に結界が張られていた。

 

 

「学園全体を結界で覆いました。よほどのことがない限り、外への被害は食い止められるはずです」

 

 

 この結界は学園外への被害を抑えると同時に、これから起こることを外に出さないためのものだった。

 

 

「ありがとう。助かるわ、ソーナ」

 

「・・・・・・ただし、現状が維持されていればの話です」

 

「・・・・・・そうね」

 

 

 部長と会長が苦い表情を浮かべていた。

 

 実際、コカビエルクラスが暴れることを考えたら、正直心もとなかった。それでも、ないよりはマシだが・・・・・・。

 

 そこへ、医療設備のある会長の家で傷ついたライニーたちを診てくれていた副会長が戻ってきた。

 

 イッセーがライニーたちの容態について訊く。

 

 

「副会長、イリナたちは!?」

 

「命に別状はありません。アルジェントさんの治癒のおかげです」

 

「・・・・・・よかった」

 

 

 副会長の報告にアーシアも安堵していた。

 

 

「明日夏」

 

「戻ったか、槐」

 

 

 樹里さんにことの事態を報告に行っていた槐も戻ってきた。樹里さんを通じて、ギルドにも同様のことが伝わっているだろう。

 

 

「樹里さんはなんて?」

 

「・・・・・・あまり増援は期待できないそうだ」

 

「・・・・・・そうか」

 

 

 原因はレンの情報にあった『CBR』のせいだろう。この組織のせいで、はぐれになるハンターが増加傾向にある。しかも、そこのボスがあの『災禍の凶王(カラミティ・キング)』だという。その『災禍の凶王(カラミティ・キング)』がギルドや政府と繋がりあるとのことだ。そのせいで、本来ならはぐれ認定されるような奴らがはぐれ認定されずにいるみたいだ。そのことがあり、派遣できるハンターは信用における人物に限られてくる。だが、そういうハンターに限って、増加傾向にあるはぐれの対処で引っ張りだこなのが現状だ。

 

 イリナ、ライニー、ユウナは眠っており、ゼノヴィア、アルミヤさんは行方知れずなために、教会側にこの事態を伝える者がいないので、教会側からの援軍も期待できない。

 

 堕天使側も独断先行しているコカビエルを止めようとしている素振りもない。

 

 こうなると、魔王が派遣してくれる援軍だけが頼りか・・・・・・。

 

 

「私と眷属総動員でできるだけ結界の維持に努めます。・・・・・・学園の崩壊は免れないかもしれないですね。耐え難いことですが・・・・・・」

 

 

 会長は目を細め、学園のほうを憎々しげに見つめる。

 

 学園に被害が出るのは確定事項か・・・・・・。

 

 

「そんなことはさせないわ。朱乃、お兄さまはなんて?」

 

「サーゼクスさまの軍勢はおよそ一時間程度で到着する予定だそうですわ」

 

「・・・・・・一時間ね」

 

「一時間・・・・・・。わかりました。その間、私たち生徒会はシトリー眷属の名にかけて、結界を張り続けてみせます」

 

 

 会長の決意を聞き、部長も肚を決めた様子だった。

 

 

「さて、私の下僕悪魔たち。私たちはオフェンス、学園内に飛び込み、コカビエルの力の解放を阻止すること。ライザーとの一戦とは違い、命をかけた戦いになるでしょう。でも、私たちに死ぬことは許されないわ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

 イッセーたちの力強い返事を聞くと、部長が俺、千秋、鶫、燕、槐に言う。

 

 

「明日夏、千秋、鶫、燕、それから、夜刀神槐さん。本来ならこれは悪魔と堕天使の問題。だけど、正直に言うと、あなたたちに力を貸してほしい。でも、敵の戦力は強大。もし、いやだと言うのなら、無理強いは──」

 

「──部長」

 

 

 俺は部長の言葉を遮って言う。

 

 

「皆まで言わないでください。いまさら水くさいですよ。仲間がこの町のために戦ってるのに、自分だけ逃げるなんてできません。覚悟はできてます」

 

 

 千秋たちも強くうなずいて覚悟を示す。

 

 

「私もこんな事態見過ごせません。同じく覚悟はできてます」

 

 

 槐も同様の覚悟のようだ。

 俺たちの覚悟を聞くと、部長は学園を見据えて言う。

 

 

「皆、もう一度言うわ! 死ぬことは許さない! 生きて帰って、あの学園に通うわよ!」

 

『はい!』

 

 

 俺たちは部長の言葉に気合いの入った返事をし、結界の内側に入り込み、駒王学園に乗り込んだ!

 

 

-○●○-

 

 

 校舎内を進んでコカビエルたちがいるというグラウンドに向かっている途中、部長が俺に言う。

 

 

「イッセー。あなたにはサポートに徹してもらうわ」

 

「サポート?」

 

「高めた力をギフトの能力で譲渡してほしいの」

 

 

 そうか、素の俺がパワーアップするなんかよりも、俺よりも遥かに強い部長たちに譲渡したほうがずっといいからな。

 

 

「なるほど、了解です」

 

「イッセーが力を譲渡できるようになるまで時間を稼ぐわよ」

 

 

 部長が皆に言うと。皆うなずいて了承した。

 

 

「イッセー」

 

「は、はい?」

 

「当てにしてるわよ」

 

「はい!」

 

 

 部長に力強く返事した俺は『女王(クイーン)』へとプロモーションする。

 

 グラウンドに着いた瞬間、俺は異様な光景に言葉を失った。

 

 陸上競技場の中央に四本の剣が神々しい光を発しながら宙に浮いている。それを中央に怪しい魔方陣が陸上競技場全体に描かれており、四本の剣の近くにバルパー・ガリレイの姿があった。離れた場所では、フリードと、顔に見覚えのある男性が二人いた。確か、樹里さんに見せてもらった写真に写っていたカリス・パトゥーリアとベルティゴ・ノーティラスって奴だった。

 

 それにしても、気になるのはあの魔方陣だ。一体、何をするつもりなんだ?

 

 

「四本のエクスカリバーをひとつにするのだそうだ。あの男の念願らしくてな」

 

 

 上空から俺の疑問に答える声が聞こえ、俺たちは一斉に上空を見る! そこには、なんらかの術で浮いた椅子に座ってこちらを見下ろしているコカビエルがいた!

 

 その傍らには翼が八枚もある堕天使もいた!

 

 

「お初にお目にかかります。私はコカビエルさまの右腕を務めておりまするジブラエルと申します」

 

 

 丁寧にお辞儀をして挨拶するジブラエルと名乗った堕天使。

 

 こっちもコカビエルに負けず劣らずのプレッシャーを放っていた!

 

 だけど、堕天使は二人以外にはいなかった。

 

 レンからの情報じゃ、結構な数の堕天使がこの件に関わっているって言ってたのに。それに、フリードたち以外のはぐれたちの姿も見えなかった。

 

 俺の疑問に感づいたのか、ジブラエルが言う。

 

 

「他の者たちは、総力をあげて『閃刃』殿と『錬鉄の剣聖』殿の相手を任せております。現状、一番の脅威になり得るのはあのお二方ですからね」

 

 

 閃刃? 錬鉄の剣聖? もしかして、レンとアルミヤさんのことか?

 

 

「そんなことよりも、サーゼクスは来るのか? それともセラフォルーか?」

 

「お兄さまとレヴィアタンさまの代わりに私たちが──」

 

 

 パチン。

 

 

 コカビエルが部長の言葉を遮って指を鳴らした瞬間、コカビエルの手元に光の槍が現れた!

 

 

「部長!」

 

 

 俺たちは慌てて主の盾にならんと部長の前に出るが、槍はまったく別の方向に飛んでいき、体育館に突き刺さる。

 

 

 ドォォォオオオオオオオンッ!

 

 

 体育館が爆発し、爆音と爆風が辺り一帯に広がっていく!

 

 体育館が丸々消し飛びやがった!?

 

 

「つまらん。まあいい。余興にはなるか」

 

 

 一応、朱乃さんもライザーとのレーティングゲームのときに体育館を吹き飛ばしてたけど、あれは力を溜めてやっとできたことだったのに、あいつは明らかに軽くやってだった。

 

 う、嘘だろ・・・・・・。あ、あんなのまともにくらったら・・・・・・。

 

 

『ビビってるのか、相棒?』

 

 

 ドライグが茶化すように語りかけてくる。

 

 あんなデケェ光の槍、見たことねえぞ! 次元が違うじゃねぇか!

 

 

『ああ、次元が違うさ。あいつは過去の魔王たちと神を相手に戦い、生き残った男だからな』

 

 

 ・・・・・・そんな奴に勝てるのか?

 

 

『いざとなったら、おまえの体の大半をドラゴンにしてでも勝たせてやるさ。倒せないまでも一時間動けないぐらいのダメージは残してやる。あとは魔王に任せればいい』

 

 

 大半ねぇ・・・・・・。そういうレベルってことかよ・・・・・・。

 

 

「バルパー、あとどれぐらいでエクスカリバーは統合できる?」

 

「五分もかからんよ、コカビエル」

 

「そうか。では引き続き頼む。さて、せっかく来てくれたんだ。そのあいだ、俺のペットと遊んでもらおうか」

 

 

 コカビエルがそう言った瞬間、真下の地面に魔方陣が展開され、何かが出てきた!

 

 

 ギャオオオオオオオオオォォォォォォォンッ!

 

 

 辺り一帯を震わせるほどの咆哮をあげたのは、八・・・・・・いや、十メートルはあるであろう、巨大な黒い犬が二匹だった。四足はひとつひとつが太く、そこから鋭い爪が生えていた。突き出た口から覗かせるのは凶悪極まりない牙だ。何より目を引いたのは、その首が()()あることだった!

 

 

「──ケルベロス!」

 

 

 部長が忌々しそうに言う。

 

 

「え?」

 

「冥界の門に生息する地獄の番犬ですわ! 人間界に持ち込むなんて!」

 

 

 朱乃さんの説明を聞き、身震いする。

 

 

「彼らともぜひ遊んであげてください」

 

 

 カリスがそう言うと、複数の魔方陣が展開され、そこから明らかに正常じゃない人々が現れた! その数は三十は下らない!

 

 あれが明日夏たちが言っていた動く死体ってやつかよ!

 

 

「ケルベロスの相手は私と朱乃と小猫がするわ! 行くわよ、朱乃、小猫!」

 

「「はい、部長!」」

 

 

 部長は朱乃さんと小猫ちゃんを連れてケルベロスに立ち向かっていく。

 

 

「イッセーは神器(セイクリッド・ギア)でパワーの強化を!」

 

「はい、部長! 『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』ッ!」

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 籠手を出し、倍加をスタートさせる。

 

 

「アーシアは後方で待機しつつ、傷ついた者の治癒を!」

 

「わかりました!」

 

「明日夏たちにはあの死人たちのことをお願いするわ!」

 

『了解!』

 

 

 明日夏たちは散開して死人たちに向かっていく。明日夏が言うには、あの死人は五臓と丹田の六ヶ所どれかがカリスの神器(セイクリッド・ギア)の力を受信しているので、そこを叩けばいいらしい。でも、そうしないと、倒してもすぐにカリスに修復されてまた動きだしてしまうとのこと。もし、俺のほうに来たら、そこを気をつけないとな。

 

 

「アーシア、下がってろ!」

 

「は、はい!」

 

 

 アーシアを守るように俺の後ろに下がらせる。

 

 なーに、大丈夫。あんなワン公、部長と朱乃さんがすぐに躾てくれるし、あのゾンビたちだって、明日夏たちの敵じゃねぇよ。

 

 ケルベロスが口から炎を吐いて、飛んでいる部長と朱乃さんを狙い撃ちする!

 

 

「はッ!」

 

 

 朱乃さんが瞬時に炎を凍らせた。

 

 

「はぁッ!」

 

 

 すかさず、部長の滅びの魔力がケルベロスに放たれ、ケルベロスが吹っ飛んだ。

 

 もう一匹のケルベロスが部長に飛びかかるが、小猫ちゃんがカバーに入り、ケルベロスに踵落としを叩きこんだ。

 

 

「もう一撃!」

 

 

 小猫ちゃんの攻撃で怯んでいるケルベロスに朱乃さんの雷が命中する。

 

 だけど、部長の魔力をくらった奴も朱乃さんの雷をくらった奴も、ピンピンしていた。

 

 なんてタフな奴なんだ!

 

 明日夏たちのほうは、危なげなく、死人たちを倒していた。こっちはなんとかなりそうだな。

 

 

「では、少し手を加えますか」

 

 

 そう思った俺の安心を打ち砕くように、死人たちの肉体が変異し始めた!

 

 これも明日夏から聞いてたけど、実際に見ると、気持ち悪いな・・・・・・。

 

 変異して手強くなった死人たちだったが、やはり弱点がわかってることが大きいのか、明日たちが苦戦することはなかった。だけど、いかんせん、数が多い!

 

 倒しても倒しても、すぐさまカリスによって新しい死人たちが追加されてしまう。その追加はとどまることを知らない。どんだけいるんだよ!

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 まだだ。譲渡するには全然足りねぇ! クソッ、俺がもっと強ければ、あっというまにみんなを強化できるのに!

 

 

「きゃあああああっ!?」

 

 

 アーシアの悲鳴が聞こえ、慌てて振り向くと、俺とアーシアを睨んでいるケルベロスがいた!

 

 ケルベロスがアーシアに向けて炎を吐く!

 

 

「くっ!」

 

 

 俺はアーシアを抱えて間一髪でその場から飛び退いた。

 

 もう一匹いたのかよ!

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 クソッ、戦おうにも、攻撃しても、されてもパワーの倍増がリセットされちまうし・・・・・・。他のみんなは自分の相手で手一杯だろう・・・・・・。だけど、このままだとアーシアが危険だった。だったら──。

 

 

「俺が引き付ける! アーシアは逃げろ!」

 

「え、イッセーさん!」

 

 

 攻撃を受けないように引きつける、これしかねえな!

 

 俺はケルベロスに向かって駆けだす。

 

 

 ガァオァァァアアッ!

 

 

 咆哮をあげて前足の爪で攻撃してきた!

 

 

「──ッ!」

 

 

 なんとか飛んで避け、アーシアのいる方向とは逆の方向に向かって走ろうとすると、そこへ、小猫ちゃんがケルベロスに殴りかかってきた!

 

 

「小猫ちゃん!」

 

 

 小猫ちゃんはケルベロスの首のひとつにしがみつきながら言う。

 

 

「ここは任せてください!」

 

「でも、小猫ちゃんだけじゃ!?」

 

「・・・・・・時間稼ぎくらいならできます!」

 

「小猫ちゃん・・・・・・。わかった。頼む、小猫ちゃん!」

 

 

 ケルベロスを小猫ちゃんに任せてその場から離れる。

 

 ケルベロスがしがみついてる小猫ちゃんを振り払おううと首を振るけど、小猫ちゃんも『戦車(ルーク)』の力でがっしりと離れなかった。

 

 すると、他の首が小猫ちゃんに噛みつこうとしたけど、小猫ちゃんの抵抗で誤って首に噛みついてしまい、それに怒った首同士でケンカを始めていた。

 

 

「──って、うおっ!?」

 

 

 死人が俺の前方に回り込んで襲いかかってきた! その数は五!

 

 なんとか攻撃は避けるけど、数がいるぶん、ケルベロスよりもキツかった。

 

 

「イッセー兄、伏せて!」

 

「──ッ!」

 

 

 言われるままに伏せると、風を纏った千秋が風を纏わせた回し蹴りで死人たちをまとめて吹っ飛ばした!

 

 

「大丈夫、イッセー兄!?」

 

「ああ、大丈夫だ! ありがとう、千秋!」

 

 

 千秋が吹っ飛ばした死人たちが起き上がり、また襲いかかってきた!

 

 

「はぁぁッ!」

 

 千秋は手元に風を集め、それを一気に放って、死人たちをまとめて遠くまで吹っ飛ばす。

 

 吹っ飛ばされた死人たちの先には刀を構えた槐がいた。

 

 

「十の型──斬り嗣ぎ舞!」

 

 

 槐の連続の斬擊が死人たちの弱点を正確に切り裂いた。

 

 

「ああっ!?」

 

「──っ! 小猫ちゃん!?」

 

 

 ケルベロスの首にしがみついていた小猫ちゃんが振り落とされ、そこを別の首に噛みつかれた!

 

 さらに別の首によって、小猫ちゃんがケルベロスの口の中に!

 

 だけど、小猫ちゃんはなんとか足でケルベロスの口を強引にこじ開ける。

 

 

「・・・・・・うぅぅっ!」

 

 

 なんとか耐えていた小猫ちゃんだったけど、傷の痛みのせいなのか、いつもの力があまり発揮されてなかった。

 

 

「させない!」

 

 

 千秋がすかさず、小猫ちゃんを食べようとしているケルベロスの目を矢で射る。

 

 それに怯んだスキをついて、小猫ちゃんがケルベロスの口から脱出し、仕返しとばかりにもう片方の目に蹴りを入れた。

 

 さすがに三つある首の中のひとつだけとはいえ、両目を潰されたのが堪えたのか、ケルベロスが倒れこむ。

 

 

「小猫ちゃん!」

 

 

 そのスキにアーシアが小猫ちゃんのもとに走ってきて、小猫の傷の手当てをする。

 

 

「ここからは任せろ! アーシア、小猫ちゃんを頼む! 千秋は二人の護衛を!」

 

 

 俺はケルベロスの前に躍り出て挑発してやる。

 

 

 グルルルルッ!

 

 

 お、怒った怒った。

 

 俺はそのままアーシアたちから引き離すようにケルベロスを引きつける。

 

 あとは時間まで俺がこいつを誘き寄せとくしかねえな!

 

 途中、死人たちも襲いかかってきたけど、ケルベロスが敵味方区別することなく攻撃してくるので、死人たちがケルベロスに吹っ飛ばされていた。おかげで、死人たちのことはあんまり気にせずに済んだ。

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 これで九回目! だけど、まだ足りない! もっともっとパワーを溜めねぇと!

 

 

「イッセーさん、危ない!」

 

「──ッ!?」

 

 

 アーシアの叫びが聞こえてくるのと同時にケルベロスが俺を飛び越して先回りしやがった!

 

 マズい!

 

 

「イッセー、かまわずに一度自分の力を高めなさい!」

 

 

 部長の指示が飛んできたけど、すでにケルベロスが飛びかかってきていて間に合わない!

 

 覚悟を決めたときだった。

 

 

 ズバッ!

 

 

 ケルベロスの首がひとつ宙に舞った!

 

 

「加勢に来たぞ」

 

「ゼノヴィア!」

 

 

 首を斬られたケルベロスの背後にエクスカリバーを振るっていたゼノヴィアがいた。

 

 そのままゼノヴィアは首をひとつ失って絶叫をあげているケルベロスの胴体を両断した。

 

 斬られたケルベロスは塵となって霧散してしまった。

 

 

「流石、魔物に無類のダメージを与える聖剣ですわね」

 

「悔しいけど、来てくれたのはありがたいわ」

 

 

 部長も朱乃さんもゼノヴィアの加勢に嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

 ゼノヴィアはそのまま部長と朱乃さんが相手している二匹のうちの一匹のケルベロスに一気に近付く。

 

 

「はあぁぁッ!!」

 

 

 ズバァッ!

 

 

 ケルベロスはゼノヴィアによって頭から真っ二つに切り裂かれた。

 

 ス、スゲェ・・・・・・。改めて、エクスカリバーのスゴさと恐ろしさを実感しちまった。

 

 

「──ッ! なんだ!?」

 

 

 突然、籠手の宝玉が点滅する!

 

 

『戦闘中の適正な倍加が完了した合図だ』

 

 

 俺の疑問にドライグが答えてくれた。

 

 そんな便利機能があったのかよ! いままでそんなのなかったぞ!

 

 

『おまえも神器(セイクリッド・ギア)も日々成長する。おまえの望むことを実現してくれたのさ』

 

 

 確かに、イリナとの戦いのあとに、どこまで倍増すればいいかわからないことに悩んでたけど、その想いに『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が答えてくれたってことか。そりゃ、結構なことだ。

 

 俺は部長と朱乃さんに向かって叫ぶ。

 

 

「部長! 朱乃さん! 行きます!」

 

「イッセー!」

 

「イッセーくん!」

 

 

 部長と朱乃さんも待ってましたっと言わんばかりの顔をして俺のほうに飛んできてくれた。

 

 

「『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

 部長と朱乃さんに力が譲渡され一気にオーラが膨れ上がった!

 

 

「──いけるわ!」

 

「ええ!」

 

「朱乃!」

 

「はい! 天雷よ! 鳴り響け!」

 

 

 朱乃さんの手元にとてつもない雷が立ちのぼる。

 

 ヤバいと察したのか最後のケルベロスが逃げだした!

 

 

 ザシュザシュッ!

 

 

 逃げだしたケルベロスだったが、突然地面から生えだした複数の剣によって串刺しにされ、動きを封じらてしまった。

 

 

「逃がさないよ」

 

 

 そこに現れたのは俺たちの『騎士(ナイト)』だった。

 

 ゼノヴィアといい、おまえといい、グッドなタイミングで駆けつけやがって!

 

 

「きゃあああああっ!?」

 

 

 またアーシアの悲鳴が聞こえ、アーシアたちのいるほうを見ると、ケルベロスが一匹アーシアたちに襲いかかろうとしていた! まだいんのかよ!

 

 千秋と小猫ちゃんがアーシアを守ろうと前に出たときだった。

 

 

「──もう見飽きてんだよ! 緋い龍擊(スカーレット・フレイム)!」

 

 

 上空から明日夏がオーラの一撃でケルベロスを地面に叩きつけた。

 

 

「いまだ、鶫、塔城! やれ!」

 

「りょ~か~い!」

 

「はい!」

 

 

 叩きつけられたケルベロスを鶫さんと小猫ちゃんが協力して持ち上げる。

 

 

「「やああああぁぁッ!」」

 

 

 二人はそのまま剣で串刺しにされているケルベロスのところまで投げ飛ばしてしまった!

 

 

「朱乃!」

 

「はい、部長!」

 

 

 二匹のケルベロスの頭上からレーティングゲームのとき以上の特大の雷が降り注いだ!

 

 ケルベロス二匹は断末魔をかき消され、跡形もなく消し飛んだ。

 

 ついでにあの死人たちも何体か巻き込まれて一緒に消滅していた。

 

 

「なかなかいい見世物だったぞ」

 

 

 朱乃さんのあの一撃を見ても、コカビエルは余裕そうだった。

 

 

「くらいなさい!」

 

 

 部長の手から強大な魔力が撃ちだされた! デカい!

 

 強大な部長の魔力がコカビエルに迫る。

 

 

「フッ」

 

 

 強大な部長の魔力をコカビエルは片手であっさりと受け止め、薙ぐだけで軌道を逸らされてしまった!

 

 軌道をずらされた魔力はテニスコートに直撃する。

 

 

 ドゴォォォォォン!

 

 

 テニスコートが消し飛んで、巨大なクレーターができてしまった。

 

 嘘だろ! 部長のあんなにデカい魔力を片手だけでなんて!

 

 

「なるほど。赤龍帝の力があれば、ここまで力が引き上がるか。おもしろい。これは酷くおもしろいぞ」

 

 

 コカビエルは手のひらから立ちのぼる煙を見て楽しそうに笑みを浮かべて哄笑をあげていた。

 

 

「──完成だ!」

 

 

 陸上競技場の中央にあった四本のエクスカリバーから眩い光が発せられた!

 

 

「ハハハハハ! これでついに!」

 

 

 四本のエクスカリバーが光の中でひとつに重なっていく。

 

 

「四本のエクスカリバーがひとつに!」

 

 

 陸上競技場の中央にあったのは青白いオーラを放つ一本の聖剣だった。

 

 さらに、光が陸上競技場全体に描かれていた魔方陣に流れこみ、魔方陣が輝き始めた。

 

 

「剣が統合されるときに生じる膨大な力を俺が頂く。そういう取引でな」

 

「・・・・・・その力を利用して大地崩壊の術をかけた!」

 

 

 俺たちは部長の言葉に衝撃を受ける!

 

 マジか! マジで俺の町が! 俺たちの住む(ここ)が消えちまうってのかよ!?

 

 

「ハハハ、ここから逃げるがよい。あと二十分もしないうちにこの町は崩壊する」

 

 

 さらにバルパーが衝撃の事実を口にした!

 

 そんな、あと二十分って、サーゼクスさまの援軍が間に合わねぇじゃねぇか!?

 

 

「防ぎたかったら、俺を倒すしかないぞ。どうする? リアス・グレモリー!」

 

 

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