ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍   作:フレイムドラゴン

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Life.25 絶対絶命です!

 

 

「なんということだ!? 聖と魔の融合など、理論上は──ヒッ!?」

 

 

 僕に聖魔剣を向けられたバルパーは情けない悲鳴をあげる。

 

 

「バルパー・ガリレイ! 覚悟を決めてもらおう!」

 

「こ、こんなはずでは!?」

 

 

 バルパー・ガリレイが表情を強張らせる。

 

 彼を打倒しない限り、悲劇は続く。もう、僕たちのような存在を生みだしてはいけないんだ。

 

 さあ、同士たち。これで終わりにしよう! すべてに決着を!

 

 

「──ッ! 木場祐斗、上だ!」

 

「──ッ!?」

 

 

 バルパーに斬り込もうとした瞬間、ゼノヴィアの叫びを聞き、慌ててその場から飛び退く。

 

 

 ドォォォン!

 

 

 刹那、僕がいた場所に巨人が舞い降りた!

 

 僕はその巨人の全容を見て言葉を失う。

 

 それは、たくさんの死体を繋ぎ合わせて巨人のようにした死体の塊という醜悪な存在だった。

 

 

「バルパーさん。同じ研究者という立場のよしみです。下がっていてください」

 

 

 そう言うカリスの傍らにはさらに巨人が複数体現れる。

 

 

「はぁぁぁッ!」

 

 

 ゼノヴィアが巨人へデュランダルで果敢に斬りかかる。

 

 

 ズバッ!

 

 

 デュランダルが巨人の腕を両断するが、すぐに修復されてしまう。しかも、通常の死人よりも修復が速い!

 

 

「──槐。『錬域』状態のおまえなら奴の弱点は見えないか?」

 

 

 明日夏くんが一抹の期待を込めて槐さんに訊く。

 

 この場に駆けつけたときに明日夏くんから聞いた話だと、カリスが操る死人には、神器(セイクリッド・ギア)の力を受信する箇所があり、そこを潰すことであの死人を無力化できるそうだ。

 

 あの巨人もカリスの神器(セイクリッド・ギア)の能力で動いている以上、他の死人と同じく力を受信する箇所があるはずだった。

 

 

「──見える。だが、数が十一箇所もある! しかも、位置も個体ごとにバラバラだ!」

 

 

 十一箇所も!? 通常の死人は弱点が一箇所だというのに!

 

 いや、違うか。あの巨体を操るためにはそれだけの数の受信箇所が必要なのだろう。そしておそらく、それらすべて潰さないといけないのだろう。

 

 

「エクスカリバー打倒を祝してちょっとだけサービスです。彼らの弱点ですが、十一箇所中六箇所はダミーですよ。だから、全部で五箇所です」

 

 

 余裕があるからなのか、カリスがわざわざ弱点について教えてくれた。

 

 わざわざダミーを作ったのは、槐さんのように弱点を見つけることができるヒトのための対策なんだろう。

 

 

「──どうせその五箇所すべて、それも同時に潰さないと意味ないんだろ!」

 

「ご明答です。花丸をあげましょう」

 

 

 明日夏くんの回答に拍手を送るカリス。

 

 戦いながらあの巨体から弱点である箇所を五つ探しだして同時に潰すなんて、とてもじゃないが不可能に近かった。それこそ、先程のイッセーくんにパワーを譲渡された部長や朱乃さんクラスの攻撃でないと。しかも、現状その弱点が見えるのは槐さんのみと来ている。

 

 しかも、このあとにはジブラエルとコカビエルも控えている。・・・・・・状況は最悪だった。

 

 ジブラエルもコカビエルも僕たちの戦いを興味深そうに見ているだけで、手を出すつもりはない様子だ。だけど安心はできない。この状況でもし二人が本格的に参戦したら、たとえ聖魔剣とデュランダルがあろうと僕たちに勝機はなかった。

 

 こうなったら──。

 

 僕はカリスめがけて駆けだした!

 

 この巨人たちの相手をするよりは、操ってる本体のカリスをどうにかしたほうがいいのは明白だ。

 

 幸い、巨人の動きは速さこそあれど、単調なものだった。

 

 おかげで間を縫って突破するのは容易かった。

 

 

「当然、そう来ますよね」

 

 

 当然カリスも僕の行動は想定しており、特に慌ててることなく死人たちをけしかけてくる。

 

 

「聖魔剣よ!」

 

 

 僕は立ち塞がる死人たちを地面から生やした聖魔剣で貫く。

 

 そして、カリスの眼前まで迫った僕はその首めがけて聖魔剣を振るう!

 

 

「──侮りましたね、木場祐斗くん」

 

「──っ!?」

 

 

 僕の斬擊がカリスに右肘と右膝で挟むようにして受け止められてしまった!

 

 

「あまりなめないでいただきたいですね!」

 

 

 ドカッ!

 

 

「がはっ!?」

 

 

 剣を受け止められたことに一瞬のスキを作ってしまった僕はカリスによって蹴り飛ばされてしまった!

 

 カリスはファイティングポーズをとりながら言う。

 

 

「これでも武闘派研究者と自称してるんですよ」

 

 

 僕のスピードを見切ったことからも、自称するだけはあった。

 

 

「なら、聖魔剣よ!」

 

 

 カリスの周囲に聖魔剣を出現させ、カリスを包囲する。

 

 

「おやおや、囲まれてしまいましたか」

 

 

 逃げ場を失くしたというのに、カリスはまったく余裕を崩さない。

 

 

「行け!」

 

 

 僕は聖魔剣を遠隔操作していっせいにカリスへ切っ先を向けて飛ばす!

 

 

 ザシュザシュザシュッ!

 

 

 聖魔剣はカリスの脳、五臓、丹田を貫いた。

 

 これで、彼の死人たちも止ま──。

 

 

「──痛いですねぇ」

 

 

 体中を聖魔剣で貫かれたというのに、カリスは笑みを浮かべていた!

 

 これは──感覚をリンクさせた状態の個体か!

 

 

「残念ながら、この感覚をリンクさせた個体は他の個体と違って能力を受信する箇所はないんですよ。強いて言えば、この個体そのものが受信機ですかね」

 

 

 カリスはそう言いながら、体中に刺さった聖魔剣を手で抜いていく。

 

 個体そのものが受信機ということは、機能停止させるにはもう跡形もなく消し飛ばすしかないってことか!

 

 だけど、僕じゃそれはできない! クソッ!

 

 

「私にばかり集中していてよいのですか?」

 

「──ッ!?」

 

 

 いつの間にか、巨人が僕の背後にいて、拳を振り上げていた!

 

 

「くっ!」

 

 

 巨人の拳をなんとか躱し、距離を取る。

 

 

「部長、溜まりました!」

 

「お願い、イッセー!」

 

「はい!」

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

 部長にイッセーくんの力が譲渡され、部長の魔力が高まる。

 

 

「消し飛びなさい!」

 

 

 部長は極大な滅び魔力を自分たちに襲いかかってくる巨人二体に向けてに放つ。

 

 巨人は塵ひとつ残ることなく、部長の魔力によって消し飛ばされた。

 

 だけど、部長は疲弊から肩で息をしていた。

 

 ダメだ・・・・・・。巨人一体一体にこんなことをしていたら、コカビエルとの戦いまで部長の体力がもたない・・・・・・。

 

 一体どうすれば・・・・・・。

 

 

「──カリス。おまえのおもちゃを下がらせろ」

 

「仰せのままに」

 

 

 すると、突然コカビエルがカリスの死人たちを下がらせた。

 

 

「・・・・・・どういうつもり、コカビエル?」

 

 

 部長の問いにコカビエルは不敵に笑みを浮かべて答える。

 

 

「貴様たちにチャンスでも与えてやろうと思ってな

「・・・・・・チャンスですって?」

 

 

 コカビエルはイッセーくんに視線を向ける。

 

 

「小僧」

 

「なんだよ!?」

 

「限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」

 

「なんだと!?」

 

「ふざけないで、コカビエル!」

 

「フハハハハハ」

 

 

 部長の激昂をコカビエルは嘲笑う。

 

 

「ふざけているのはおまえらのほうだ。この俺を倒せると思っているのか? しかも、このまま行けば、おまえたちは俺と戦うまでもなくジリ貧で敗れる。それではおもしろくない。だからチャンスを与えてやろうと言うのだ」

 

 

 コカビエルの言葉に僕たちは歯噛みする。実際、その通りだったからだ。

 

 部長がイッセーくんの手を握る。

 

 

「・・・・・・時間がないわ。私が倒す」

 

 

 イッセーくんは部長の手を握り返し、二人はゆっくりと前へと歩を進める。

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 そして、二人の歩みに同調するかのようにイッセーくんの力が高まっていく。

 

 

Boost(ブースト)!』

 

 

 それから数分後、イッセーくんの籠手の宝玉がいっそう眩く光り輝く。

 

 おそらく、限界まで力が高まった合図なのだろう。

 

 

「──来ました、部長」

 

「──イッセー!」

 

「はい!」

 

 

 お互いに手を強く握り合う二人。イッセーくんは静かに目を閉じて籠手に意識を集中させる。

 

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

 部長へ力が譲渡され、部長の体を覆う魔力が先程よりも大きく膨れ上がった。

 

 絶大な魔力にこの距離からでも魔の波動がピリピリ感じる。

 

 

「フハハハハハ! いいぞ! その魔力の波! 最上級悪魔の魔力だぞ、リアス・グレモリー! おまえも兄に負けず劣らず才に恵まれているようだな!」

 

 

 あれほどの魔力の波動を前にしても、コカビエルは嬉々としながら不敵な態度を崩さない。

 

 

「消し飛びなさい!」

 

 

 部長は手に魔力を集中させ、最大級の滅びの塊が撃ちだされた!

 

 コカビエルは両手を前に突き出し、部長の魔力に受け止める。

 

 

「おもしろい! 魔王の妹! サーゼクスの妹!」

 

「くっ──はあぁぁぁぁッ!!」

 

 

 部長はさらに放出する魔力を強める。

 

 

「フハハハハハハッ!!」

 

 

 身に纏うローブが消し飛び、魔力を受け止めている手から血が噴きだしてもコカビエルは嬉しそうに大笑いしていた。

 

 

「・・・・・・うぅ・・・・・・!」

 

 

 次第に部長の魔力が徐々に弱まっていき、勢いが死んでカタチも崩れていく。

 

 

「・・・・・・あっ・・・・・・」

 

 

 とうとう部長の力が尽きてしまい部長は膝を着いてしまった。

 

 肩で激しく息をしており、酷く疲弊しているのが丸わかりだった。

 

 もう、同じ一撃どころか、巨人を消し飛ばす威力も難しそうだった。

 

 コカビエルの気まぐれで得られた唯一のチャンスは無駄に終わってしまった・・・・・・。

 

 

「雷よ!」

 

 

 怒りを含ませた朱乃さんの叫び声が、雷鳴と共に僕の耳に届く!

 

 天から自身へ落ちてくる雷を指先に集中させ、朱乃さんは天雷をコカビエルへと放つ。

 

 朱乃さんの雷はコカビエルの黒い翼によってあっさりと防がれる。

 

 

「俺の邪魔をするか、()()()()()()()()宿()()()()よ?」

 

「・・・・・・私をあの者と一緒にするなぁッ!」

 

 

 激昂する朱乃さんに呼応して激しさを増す雷だが、コカビエルの羽ばたきによってあっけなく薙ぎ払われてしまう。

 

 バラキエル──『雷光』の異名を持つ堕天使の幹部の一人で単純な戦闘力なら総督であるアザゼルに匹敵すると聞く。

 

 そして、バラキエルは朱乃さんの──。

 

 コカビエルは部長のほうを向いて哄笑をあげる。

 

 

「悪魔に堕ちるとはな。まったく愉快な眷属を持っているな、リアス・グレモリー。赤龍帝、聖剣計画の成れの果て──」

 

 

 コカビエルが朱乃さんを一瞥して言う。

 

 

「──そしてバラキエルの娘!」

 

「朱乃さんが堕天使の娘!?」

 

 

 コカビエルが告げた事実にイッセーくんが驚愕していた。イッセーくんだけじゃない、朱乃さんの生い立ちを知っている部長や僕、小猫ちゃん以外の全員が驚愕していた。

 

 朱乃さんはコカビエルの言葉に忌々しそうに視線を逸らしていた。

 

 

「フフフフ、リアス・グレモリー。おまえも兄同様ゲテモノ好きなようだ」

 

「・・・・・・兄の、我らが魔王への暴言は許さない! 何より、私の下僕への侮辱は万死に値するわ!」

 

 

 部長の怒りの叫びをコカビエルは鼻で笑う。

 

 

「そんなざまでいっちょまえに吠えるものだ。もう魔力もほとんど残ってなかろうに」

 

「・・・・・・くっ・・・・・・」

 

 

 コカビエルの指摘に部長は悔しそうに歯噛みしていた。

 

 事実、先程の部長の一撃は僕らが出せる最大火力だった。それが通用しなかった時点で、僕たちに勝ち目はほぼなくなっていた・・・・・・。

 

 

「さて、余興はもう飽きた。ジブラエル、カリス、あとは好きにしろ。俺は見学させてもらう」

 

「「では──」」

 

 

 カリスは再び死人たちを呼び出し、ジブラエルは自身の周囲に複数の光の槍を生みだしながら地面に降り立つ。

 

 

 ゾワッ!

 

 

 次の瞬間、ジブラエルからいままでの比じゃないプレッシャーが放たれる!

 

 そして、ジブラエルが手を振ると、光の槍が意思を持ったかのように縦横無尽に軌道を描きながら僕たち全員に飛来してきた! しかも、そのほとんどの狙いはアーシアさん!

 

 

「アーシア!」

 

 

 イッセーくんと小猫ちゃんがアーシアさんを庇って光の槍を受けてしまう!

 

 光の槍が刺さった箇所から煙をあげ、イッセーくんと小猫ちゃんは苦しそうにしていた!

 

 

「イッセーさん!? 小猫ちゃん!?」

 

 

 アーシアさんがすぐにイッセーくんと小猫ちゃんの治療を開始し、部長と朱乃さんが三人を守るために三人の前に出る。

 

 

「はぁッ!」

 

 

 僕は聖魔剣で光の槍を弾きながらジブラエルに斬りかかる!

 

 

「だぁぁッ!」

 

 

 ゼノヴィアも反対側から斬りかかってきた。

 

 

「フッ」

 

 

 ドガッ!

 

 

「「がっ!?」」

 

 

 ジブラエルは笑みを浮かべると、身を翻すだけで僕たちの斬擊を躱し、そのまま僕たちを蹴り飛ばす!

 

 

「くっ!」

 

 

 僕は『騎士(ナイト)』のスピードを駆使してジブラエルの周囲を駆け回る!

 

 

「速いですね。ですが──」

 

 

 ジブラエルは僕と同等──いや、それ以上の速さで動き、あっさりと先回りされてしまう!

 

 

「私からすれば遅いです」

 

「ぐあっ!?」

 

 

 そのまままた蹴り飛ばされてしまう。

 

 

「これでもグリゴリ内ではトップレベルのスピードの持ち主と評されているんですよ」

 

 

 強い! フリードとは違い、洗練された身のこなし、慢心も油断もない冷静さ。間違いなく、いままで戦ってきた誰よりも強い!

 

 ジブラエルは倒れているフリードに歩み寄ると、彼の懐から何かを取り出した。

 

 

「エクスカリバーを失った以上、彼に持たせている意義はありませんからね」

 

 

 あれはフェニックスの涙!

 

 彼らがフェニックスの涙を所持していることも聞いていた。最低一個は持っているであろうジブラエルはこれで実質、複数回倒さなくちゃならなくなった。

 

 

「まずはあなたからです。聖と魔の融合というイレギュラー。後々厄介な存在になるのは明白。未熟のうちに摘みます」

 

 

 ジブラエルの視線が僕を捉える!

 

 ジブラエルは武術家の構えを取ると、僕でも捉えるのが困難な速度で僕に接近してくる!

 

 僕は地面に手を当て、地面から複数の聖魔剣を生やしてジブラエルを攻撃する!

 

 だけで、ジブラエルはすべての聖魔剣を一切スピードを緩めることなく最小の動きで躱してしまう!

 

 そして、意図も容易く僕に接近したジブラエルは蹴りを放つ。

 

 

「がはっ!?」

 

 

 咄嗟に聖魔剣でガードしたけど、ジブラエルの蹴りは僕の聖魔剣を容易に砕き、僕は後方に大きく吹っ飛ばされてしまった!

 

 

「はぁぁぁッ!」

 

 

 ゼノヴィアがジブラエルに斬りかかるけど、ジブラエルは光力を腕に纏わせてデュランダルの刃を受け流してしまう。

 

 ジブラエルはそのまま正拳突きを放つ。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 ゼノヴィアはデュランダルでガードするけど、そのままデュランダルごと吹っ飛ばされる。

 

 

「遅いです」

 

「「──ッ!?」」

 

 

 背後から斬りかかった明日夏くんと槐さんの斬擊を後ろを見ずに手元に生みだした光の剣で止めてしまう。

 

 ジブラエルは二人を弾き飛ばすと、光力の塊を撃ちだす。

 

 

「槐ッ!」

 

「なっ!?」

 

 

 明日夏は槐さんを突き飛ばし、オーラで光力を受け止める。

 

 

「がぁぁぁぁっ!?」

 

 

 だけど、防ぎ切れなかった波動によって明日夏くんは吹っ飛ばされてしまう!

 

 

「明日夏ッ!」

 

「スキありです」

 

 

 明日夏の身を案じていた槐さんの一瞬のスキをついて、ジブラエルは背後から蹴りを打ち込もうとしていた!

 

 

「──ッ!?」

 

 

 槐さんは辛うじてジブラエルの蹴りあげを躱した。

 

 だけど、ジブラエルは蹴りあげの勢いを利用して飛び上がり、その体勢のまま踵落としを繰り出した!

 

 

「がぁっ!?」

 

 

 槐さんは刀でガードするけど、ガードごと地面に叩きつけられ、しかも刀が折られてしまった!

 

 

「──大した隠行術ですが」

 

「──ッ!?」

 

 

 燕ちゃんがジブラエルの背後からクナイで斬りかかるけど、あっさりと防がれてしまった。

 

 

「ふッ!」

 

「かはっ!?」

 

 

 肩からの体当たりで燕ちゃんも吹き飛ばされる!

 

 

「おまえェッ! よくも燕ちゃんをォォォォッ!」

 

 

 燕ちゃんを傷つけられ、激昂した鶫さんが正面からジブラエルに殴りかかる!

 

 

「やれやれ、激情にかられ、せっかくの隠行をわざわざ無駄にするとは・・・・・・」

 

 

 ジブラエルは鶫さんの拳をわずかな動きだけで躱し、鶫さんを回し蹴りで吹っ飛ばす!

 

 ・・・・・・強すぎる! まったく手も足も出ない!

 

 コカビエルといい、彼といい、僕たちと彼らとの実力差は歴然だった・・・・・・。

 

 

「さて、とどめを」

 

 

 ジブラエルは倒れている僕にとどめをさそうと光の槍を生みだす。

 

 マズい! 逃げないと!

 

 だけど、いまだにダメージでまともに動けなかった僕に逃げられるすべはなかった。

 

 

「木場ぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 回復したイッセーくんが小猫ちゃんと共に僕を助けようとするけど、カリスの死人たちが二人を阻む

 

 

「終わりです」

 

 

 やられる! そう思った瞬間──。

 

 

「──何っ!?」

 

 

 赤──いや、緋いドラゴンが突然現れ、ジブラエルに襲いかかる!

 

 

「くっ!」

 

 

 ジブラエルは高速で動いて緋いドラゴンから逃れようとするけど、緋いドラゴンはジブラエルとほぼ同じ速度でジブラエルを追う。

 

 

「チッ!」

 

 

 逃れられないと判断したのか、迎え撃つ構えを取る。

 

 

「ぐっ!」

 

 

 ジブラエルは手元に光力を展開して緋いドラゴンの突進を受け止める。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 だけど、ジブラエルは力負けし、緋いドラゴンはジブラエルの胴体に噛みつく。

 

 そのまま緋いドラゴンは宙高くに舞い上がると、一気に急降下して自身の頭ごとジブラエルを地面に叩きつけた。

 

 緋いドラゴンは緋いオーラとなって霧散してしまう。

 

 あの緋いオーラは!

 

 

「──やれやれ。思った以上に早い出番だな」

 

 

 倒れてる僕たちの前に明日夏くんが手元から緋いオーラを放出させながら舞い降りてきた。

 

 

-○●○-

 

 

「・・・・・・兵藤、頼むぜ。俺、そろそろ限界・・・・・・」

 

「サジ、気を散らしてはなりません!」

 

「──っ! はい!」

 

 

 疲弊から気を散らしそうになっていた匙は椿姫に一喝されて慌てて気を引き締める。

 

 駒王学園の外で魔王の援軍が到着する一時間後まで周囲に被害を出さないための結界を張り続けていたソーナ・シトリー眷属であったが、結界内部での激しい戦闘で結界の維持に予想以上の消耗を強いられていた。

 

 上級悪魔であるソーナと『女王(クイーン)』である椿姫以外はもう体力も魔力も限界に近かった。

 

 

「おーおー、やってるやってる」

 

 

 最悪、自分と椿姫の二人だけで結界を維持することを検討していたソーナは背後から聞こえてきた声に表情を強ばらせる。

 

 背後を見ると、宙に浮いた堕天使が五人いた。

 

 

「くっ、堕天使・・・・・・」

 

 

 ソーナは現在、自分たちが危機的な状況にあることに表情を歪ませる。

 

 下僕たちは椿姫を除き体力も魔力も限界。自分と椿姫も大きく消耗している。そもそも、結界の維持のために身動きが取れない。

 

 だが、結界を解いてしまえば、周囲にどれほどの被害が出るかわからない。結界内部の戦闘の激しさから少なく見積もっても甚大な被害が出るのは明白。ゆえに結界を解くわけにはいかない。

 

 

「椿姫、堕天使たちは私が引き受けます。あなたは皆と引き続き結界の維持を。ですが、もしものときは、私を置いて皆を連れて逃げなさい」

 

「会長!?」

 

 

 ソーナは結界を眷属たちに任せ、堕天使たちに向き合う。

 

 

「そんな消耗した状態で俺たちに勝てると思ってるのか?」

 

 

 ソーナは手元に水の魔力を生みだす。

 

 

「・・・・・・シトリー家の次期当主を──そして、魔王レヴィアタンの妹である私を甘く見ないでください!」

 

 

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