ハイスクールD×D 駒王学園の赤と緋の双龍 作:フレイムドラゴン
明日夏くんは緋いオーラを四本のドラゴンの腕にする。
やっぱり、あの緋いドラゴンは明日夏くんの緋いオーラでできたものだったか。
それを伸ばして──僕、鶫さん、燕ちゃん、槐さんを掴んだ!?
「あ、明日夏くん!?」
「えっ!?」
「ちょ!?」
「お、おい、まさか!?」
いやな予感がした僕たち。
「邪魔だからあっち行ってな!」
「「「「うわっ!?」」」」
予想通り僕たちは明日夏くんによって投げ飛ばされてしまった!
「ちょ!? 明日夏、おまえ!? 何してんだ!?」
イッセーくんたちが僕たちをなんとか受け止めてくれた。
それを確認すると、明日夏くんはジブラエルのほうを向く。
い、一体何が・・・・・・?
明日夏くんらしからぬ粗暴な言動に僕は困惑していた。
「お、おい、千秋、槐。あれってまさか・・・・・・」
「うん・・・・・・」
「ああ、間違いない・・・・・・」
どうやら、イッセーくんと千秋さんと槐さんは明日夏くんのあの様子に心当たりがあるみたいだ。
「おまえ、ドレイクか!?」
イッセーくんが問いかけると、明日夏くんは顔だけこちらに向けてニッと笑う。
「正解だぜ、イッセー」
ドレイク──確か、明日夏くんの
「言っとくけど勘違いするなよ。これはお互い同意のもとなんだからな。いざってときは、俺がこいつの体を使って戦うってな」
明日夏くん──ドレイクがそう言ってると、死人の巨人二体がドレイクに襲いかかる!
するとドレイクは背中からオーラを放出すると、それは巨大なドラゴンの翼となった。
「うぜぇよ」
オーラの翼が高速で振るわれ、巨人がバラバラに斬り裂かれた!
「おやおや、一瞬ですか・・・・・・」
「ダミーを含む弱点十一ヵ所の中から五個の本物の弱点を探せ? はん、関係ねえ。全部いっぺんにやりゃいいだけだ」
バラバラにされた巨人は二度と修復されることはなかった。そして、斬られた箇所もちょうど十一ヶ所だった。
荒々しいのに、なんて正確なんだ。明らかに明日夏くんよりもオーラをコントロールしていた。
いや当然か。あのオーラはもともと明日夏くんに宿っているドレイクのオーラなんだ。自分のオーラを自在にコントロールできるのなんて造作もないことなのだろう。
「さてと。本当ならコカビエルと遊ぶときに俺が出張るはずだったんだが、ヘボい奴らばっかのせいで早出勤だぜ」
・・・・・・ドレイクの言葉に物申したかったけど・・・・・・事実、僕たちは手も足も出ていなかったので、何も言えなかった・・・・・・。
「くっ・・・・・・」
立ち上がったジブラエルは左手で右腕を押さえていた。
あの様子からしてたぶん、さっきので右腕が折れたのだろう。
「・・・・・・
「何事も例外ってのは存在するもんだろ。ついでにこんなこともできるぜ──」
ドレイクからただならぬ重圧が発せられる。
「──
-○●○-
学園での戦闘が始まる前、自宅で装備の補充をしていたときだった。
『勝算あんのか?』
ドレイクが唐突にそう訊いてきた。
・・・・・・俺はすぐには答えられなかった。
『まあ、キツいだろうな。他はともかく、コカビエルがなぁ。ぶっちゃけ、勝てねぇな』
そう、ドレイクの言う通り、他の連中なら厳しくてもなんとか勝てるかもしれない。――だが、コカビエルは別だ。
奴は聖書に名を連ねる伝説の存在。レイナーレたちとは比ぶべくもない。
・・・・・・ああして目にしたいま、正直勝てるイメージがわかなかった。
部長の報告で魔王が援軍をよこしてくれるだろう・・・・・・が、おそらく、準備に時間がかかるはずだ。
それまでは、俺たちで相手することになるだろう。
『手ぇ貸してやろうか?』
・・・・・・手を貸すだと?
『そっ。おまえはいまだにオーラのコントロールにムラがあるからな。消耗が激しいのはそれが原因だ。だから、俺がそのへんをサポートしてやる。そうすりゃ消耗がだいぶ抑えられるぜ。具体的には
だが、それでも──。
『ああ、それだけじゃコカビエルに勝てねぇ。まあ、いきなりコカビエルと戦うってことにはならないだろうがな』
なんでそう言い切れるんだ?
『あいつはあの感じからして典型的な
コカビエルが観戦に徹しているうちに他の奴らを倒せってか?
『そうそう。んで、そこまで行けば、コカビエルも出てくるだろうな。そうなったら、俺と変われ』
おまえに変わったぐらいで勝てるのか?
『「とっておき」をやれば、可能性はあるかもな』
とっておき?
俺はドレイクの言う『とっておき』について聞いた。
なるほど。確かにほんの僅かだけ可能性は出てくるか。
『むろん、リスクはあるが──構わねぇよな?』
ドレイクから『とっておき』のリスクを聞く。それで勝てるのなら安いもんだ。
『なら、そんときが来たら任せな。最低限の活躍はしてやるよ』
-○●○-
ドレイクから膨大なオーラが一気に解放される。その波動は先程の力を譲渡された部長以上だった。
あれってもしかして!
「なんちゃって
やっぱり
『あれが正確には
どういうことだ、ドライグ?
『そもそも、士騎明日夏は至っていない。そのため、ドレイクは
俺がライザーとの戦ったときみたいな感じか?
『いや、あれは代償を払うことで一時的に力を引き出しているのに対し、あちらは一種の暴走状態だ。相棒のように肉体を代償に支払うことはないだろうが、士騎明日夏の肉体にも、
俺以上にヤバいやり方で力を引き出してるってわけか・・・・・・。
「さーてと。宿主さまがへっぽこだからな。速攻で終わらせてもらうぜ」
ドレイクが放出していたオーラがドレイクの身を覆っていく。背中のオーラがドラゴンの翼と尻尾、手元のオーラが鋭い爪を生やしたドラゴンの腕になった。
視界から消え去り、緋い光の軌跡を生みだしながら、ドレイクはジブラエルへ直進する。
速い! 木場とかで目が慣れてきているはずなのに、それでも目で追いきれない!
「くっ!」
ジブラエルは光の槍を生みだしてはドレイクに向けて飛ばすが、そのすべてをドレイクは難なく躱してしまう。
「へっ!」
ドレイクはオーラの爪を突きだすが、ジブラエルはそれを辛うじて躱す。
ドガッ!
「ぐあっ!?」
ドレイクのオーラの尻尾がジブラエルを吹き飛ばした。
吹き飛ばされたジブラエルは空中で体勢を立て直す。
ザシュッ!
「があっ!?」
そのわずかな隙をついてドレイクの爪がジブラエルの腹部に突き刺さった。
そのまま突き刺している手元にオーラの塊を作るドレイク。
「ほら吹っ飛べよ」
オーラの塊が撃ちだされ、ジブラエルはオーラの塊ごと校舎まで吹き飛ばされた。
ドオオオォォォォォン!
ジブラエルとオーラの塊が校舎に激突して大爆発が起こった!
「へへ、スカーレットショット、てか」
オーラの爆発により、校舎が酷く損壊していた。
なんだよありゃ! 俺のマックスのドラゴンショットぐらいの破壊力があるぞ!
『どうやらあの疑似
そんな危険なことをして力を引き出してるのかよ!
『おそらく、士騎明日夏も覚悟のうえなのだろう』
そうしなければ、この戦いを切り抜けられないからと明日夏は思ったわけか・・・・・・。
破壊された校舎の壁の奥から着ていたトレンチコートがボロボロになりながらも無傷なジブラエルが現れた。
あれをくらって無傷かよ!
『忘れたのか、相棒。奴らはフェニックスの涙を持っている。それを使って回復したのだろう。折れた右腕や爪で貫かれた傷が治っているのがその証拠だ』
そっか、そういえばそうだった。そもそも、さっきフリードから回収してたっけ。
ドレイクが挑発するように言う。
「まずはひとつ。あと何回復活できるんだ?」
ドレイクの挑発を意に介さず、ジブラエルはボロボロになったトレンチコートを脱ぎ捨てる。
「・・・・・・なるほど。現状、あなたが一番の驚異ですね。その牙はコカビエルさまに届きうる。ここで確実に仕留めます」
そう言うと、ジブラエルから濃密な光力が解放された。そして、解放された光力がジブラエルの体を覆っていく。
ジブラエルの体は光力そのものみたいな状態になっていた。
ジブラエルは光の軌跡を描きながら飛翔し、ドレイクに肉薄する。
「へっ、上等だ!」
ドレイクも同じ速度でジブラエルを迎え撃つ。
ドレイクが爪や尻尾、翼を使ったもはや人間離れした戦い方に対して、ジブラエルは光力を纏った手足による徒手空拳で戦う。
ドレイクの爪や尻尾、翼の攻撃をジブラエルは腕や脚で薙ぐように捌き、ジブラエルの拳や蹴りをドレイクは腕や翼で防ぐ。
二人の一進一退の攻防はもはや次元が違うレベルの戦いだった。
『このまま行くと、ドレイクの敗北は必至だな』
どういうことだよ、ドライグ。見た感じ、互角な戦いだと思うけど?
『互角だからこそだ。ドレイクは暴走状態。安定している堕天使よりも先にドレイク──正確には士騎明日夏の肉体に限界が来るの明白だ。それは向こうも把握している。その証拠に堕天使の戦い方が長期戦的なものになっている』
それじゃ、このまま行けばドレイクのジリ貧ってことかよ!
『そうなるな』
クソッ! 援護しようにも、あんな次元の違う戦いに割ってはいれないし、そもそも、カリスの死人たちが立ち塞がって自分たちの身を守るのが精一杯だった。
「世話が焼けるな!」
ジブラエルとの攻防の最中、ドレイクは肩から生やしたオーラの腕からオーラの塊を撃ちだして、俺たちに襲いかかってくる死人たちを撃ち抜く。
「お仲間を気にかける余裕なんてあるのですか?」
「しょうがねぇだろ。あいつらに何かあれば宿主さまがうるせぇからな」
その後もドレイクはジブラエルと戦いながらもオーラの一撃で死人たちが俺たちに近づかないようにしてくれる。
クソッ! 俺たちの存在がドレイクの足を引っ張ちまうなんて!
「自分の身は自分で守るわ。だから、あなたは気にせず、目の前の戦いに集中してちょうだい!」
部長がドレイクに言うけど、ドレイクは鼻で笑う。
「現状、一番足手まといになってる奴がよく言うぜ」
ドレイクに言われ、部長は苦虫を噛み潰したような表情をする。
実際、さっきの一撃で部長は魔力と体力のほとんどを消耗してしまってる。そのせいで、死人たちの相手もキツそうだった。
「まあ、安心してろ。こんくらい、片手間にもなりゃしねぇよ」
そう言うけど、さっきのドライグの言葉が気になって気が気でなかった。
『安心しろ、相棒。あのドレイクのことだ。戦いながらも虎視眈々と何かを狙っているだろうさ』
本当に大丈夫なのかよ?
『ああ。あいつはずる賢いからな。白いのとの戦いにちょっかいをかけられてキレた俺たちからもうまいこと逃げおおせる奴だからな』
いや、それ、余計に安心できないんだが・・・・・・。
お互いの蹴りが激突し、その衝撃でドレイクとジブラエルは距離を取る。
「こぷっ」
その瞬間、ドレイクが口から血を吐いた!
よく見ると、体の至るところから血が出ていた!
「そろそろ宿主の肉体が限界のようですね」
「まったくだ。せめて
やれやれといった様子でドレイクは口から出てる血を手で拭い、ペッと口の中の血を吐く。
「ま、別にカンケーねえか」
ドレイクは地に降り立つと、体を覆っていたオーラを消した。
「これで終わらせるからな」
ドレイクは右手をジブラエルに向ける。
すると、ドレイクの右手から膨大なオーラが放出される!
オーラは手元にに集まっていき、やがて、巨大なオーラの塊になった!
その大きさは明日夏の体の十倍以上はあった!
だけど、オーラの放出に右腕が耐えきれていないのか、あっちこっちから血が吹き出ていた。
「なるほど。強大な一撃で一気に終わらせようという魂胆ですか。ですが、それで私を倒しきれなければ、あなたの敗北です」
ジブラエルは身構える。ドレイクのあの強大なオーラの塊にコカビエルのように受けてたつつもりのようだ。
「受けてたつってか? 上等だ! 吹っ飛びやがれ!」
ドレイクはオーラの塊を撃ちだす。
オーラの塊は真っ直ぐにジブラエルに向かって飛翔していく。
「フッ」
受けてたつ構えだったジブラエルが突然構えを解いてオーラの塊の射線上から飛び出してしまう!
「──バカ正直に受けると思ったのですか?」
野郎! 受けてたつと見せかけて、ドレイクに無駄撃ちさせるつもりだったのか!
だけど、今頃気づいてももう遅かった。
ドレイクの一撃はジブラエルに当たることなく、射線上にあった校舎に当たる。
あれだけの大きさだ。凄まじい衝撃が来ると予想した俺たちは衝撃に備えて身構える。
パシュッ。
『え?』
だけど、校舎に当たったオーラの塊はシャボン玉のように割れて霧散してしまった。
えっ、どういうこと!?
「アッハハハハハハハハハッ!」
呆気に取られてる俺たちを見て、ドレイクはお腹を抱えて大笑いしていた。
「引っかかったな! あんなの見てくれが大きいだけの中身が空洞なシャボン玉みたいな塊さ!」
ええぇぇぇぇぇっ!? いまのただの見せかけだったのかよ! なんだってそんなことを!?
「いまのは囮ですか!」
「正解だぜ」
ジブラエルは表情を強ばらせ、あたり見渡し始める。
そうか、ドレイクの狙いはあの巨大な見せかけのオーラの塊を陽動に本命の一撃を叩き込むための布石だったのか。
だけど、いつまでたってもその本命が来ることはなかった。
そのことにジブラエルも訝しげにしていた。
「バーカ。本命ならもうおまえの懐に撃ちこんでるぜ」
「──ッ!?」
ジブラエルは慌てて自身の懐に視線を向ける。
俺たちもジブラエルのほうを見ると、ジブラエルの懐のところに緋い米粒みたいのがあった。
あれが本命? スゴく小さいんだけど?
『いや、あれはオーラを圧縮に圧縮を重ねたものだ』
つまり、どういうことだ?
『さっきの見かけ倒しとは違い、少しでも衝撃を与えれば大爆発するシロモノだな』
マジかよ!?
俺が内心で驚いていると、ドレイクが指を鳴らした。
「──爆ぜろ」
ドオオオオオォォォォォォォォォォォンッ!
刹那、ジブラエルを中心に巨大なオーラの大爆発が起こった!
オーラの波動による衝撃が俺たちを襲い、俺たちは身を屈めて衝撃に耐える。
そして、衝撃が止み、俺たちは顔を上げる。
さっきの衝撃で校舎の窓が見える範囲ですべて割れており、壁にも亀裂がいっぱい入っていた。他にも死人たちが衝撃で吹っ飛んで壁に叩きつけられたのか、見るも無惨な有り様になっていた。会長たちが張ってくれてる結界にも亀裂が入っていた。
ドサッ!
そして、あの大爆発の中心にいたジブラエルはボロボロになって地面に墜落していた。
「ほーん、五体満足で残ったか。フェニックスの涙と光力のほとんどを費やしてある程度のダメージを相殺したってところか? ま、それでも虫の息だろうがな」
ジブラエルはか細いうめき声をあげるだけだった。
「さーてと、ひと思いに楽にしてやるか」
ドレイクは手元にオーラを出してドラゴンの手にすると、その爪をジブラエルに向ける。
「──やれやれ。まったくうぜぇな」
ジブラエルにとどめをさそうとするドレイクに死人の巨人が襲いかかる!
ドレイクは背中からオーラを出す。
さっきみたいに翼にして攻撃するつもりなのだろう。
バシュッ。
「ありゃ」
だけど、背中から出ていたオーラが霧散してしまった。手元のオーラも同じくだ。
「チッ」
舌打ちをしてドレイクは巨人の攻撃を躱して巨人から距離を取る。
「どうやら限界が来たようですね」
カリスがジブラエルに歩み寄っていた。
そして、懐から小瓶を取り出し、中身をジブラエルにかけた。
ジブラエルの傷が煙をあげて治っていく。
あれフェニックスの涙かよ!
回復したジブラエルが起き上がる。
「・・・・・・ヤッベェな」
俺たちのもとまでやって来たドレイクも流石に苦笑いを浮かべていた。
「・・・・・・シスターちゃん、治療頼まぁ」
そう言うと、ドレイクが倒れた!
「・・・・・・・・・・・・がぁ・・・・・・ぁぁ・・・・・・」
倒れたドレイク──いや違う、明日夏がうめき声をあげていた。
「明日夏! アーシア、頼む!」
「は、はい!」
アーシアは急いで明日夏に回復の光を当てる。
「・・・・・・おい、ドレイク。傷が治ったら──」
『あ、無理。もうオーラがほとんど残ってない。いくら俺が表に出ればオーラを自在に操れるといっても、扱えるオーラの量は宿主のレベルに依存しちまうからな。それでも無理くり引き出してやったが、それも限界だ。恨むなら、へっぽこの自分を恨むんだな。まあ、とりあえず、
小型のオーラのドラゴンになって出てきたドレイクが明日夏に言う。
それを聞き、明日夏は苦虫を噛み潰したような表情をする。
つまりもう、ドレイクを当てにすることはできず、ドレイクの言う通りあとはもう俺たちでやるしかないってことか。
「大丈夫ですか、ジブラエル殿?」
「・・・・・・ええ、感謝しますよ。よもや、あそこまでやれるとは・・・・・・」
「
「・・・・・・ええ。アザゼルさまが熱中するのもなんとなくわかりましたよ。──ですから、後顧の憂いのないよう所有者は全員ここで確実に始末します」
ジブラエルから俺や明日夏、千秋に木場にアーシアといった
「──でしたら、もう終わりますよ。──十分に死体は溜まりましたからね」
カリスがそう言った瞬間、俺たちの周りにいた動かなくなったものも含んだ死人たちの体が膨張しだした!
な、なんだ!? 何が起こってるんだ!?
「マズい!?」
回復した明日夏が驚愕の表情で叫んだ。
見ると、木場や槐、ゼノヴィアも同様の表情をしていた。
「おい、明日夏! 一体何が起こってるんだよ!?」
「奴らは自爆する気だ!」
「自爆!?」
「まさか、あのクレーターは!?」
「そうです、部長!」
あのバカデカいクレーターはそれでできたのかよ!
いますぐ逃げないとヤベェじゃねぇか!
だけど、周りはすでに膨張した死人たちの肉塊で囲まれていて逃げ場がなかった!
「朱乃! いますぐ転移の準備を!」
「はい、部長!」
部長の指示で急いで朱乃さんが転移の準備を始める。
「そんな!? 転移の術式が組めません!」
「なんですって!?」
転移の術式が組めないだって!?
「ああ、転移の妨害はバッチリですよ」
カリスが爽やかな笑顔で最悪なことを言いやがった!
「ついでに言うと、外で結界を張っているソーナ・シトリーのところには堕天使の部隊が襲撃している頃ですよ」
さらに最悪なこと言うカリス!
「ソーナ! ソーナ!?」
部長が通信用魔方陣で会長に呼びかけてるけど、反応からして応答がないようだ。
「応答がないのは通信妨害してるからですよ。まあ、この結界があるうちは無事ですよ。時間の問題でしょうけど」
どうすりゃいいんだよ!? 俺たちもピンチだし、会長たちもピンチなんて!
そうこうしているうちに周りは完全に囲まれていた!
こうなったら、体の大半をドラゴンにしてでもあの鎧を着て──。
『無理だ、相棒。鎧を着ようと、相棒ではこの状況をどうにかするの不可能だ。せいぜい、鎧の防御力のおかげで相棒だけが生き残るだけだ』
俺だけ生き残っても意味ねえよ!
クソッ! マジでどうすりゃいいんだよ!
バチッ!
「──
絶体絶命な最中、突然の第三者の声。
「鬼刃一刀流・絶技──」
バヂヂヂヂヂッ!
次の瞬間、グラウンドの一角で紅い雷が激しくほとばしりだした。
「伏せろォォッ!」
突然、槐が叫び、それを聞いた俺たちは反射的に伏せた。
それと同時に雷がほとばしっていた場所から紅い閃光が縦横無尽に駆け巡り、肉塊のすべてを貫いた。
「――
カッ!
再びの第三者の声。刹那──。
ドォォォォォオオオオオオンッ!
轟音と共にすべての肉塊から激しい雷が立ち上ぼり、すべての肉塊を塵も残さず焼き払った!
「よう、ナイスタイミングだったみたいだな?」
雷が止んだその中心には鞘に収まった刀を肩でトントンとさせているレンがいた。